連載コラム「邦画特撮大全」第60章
今年2019年10月25日から劇場公開される『超・少年探偵団NEO –Beginning-』。江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズを翻案した作品で、主人公の小林少年役には高杉真宙、その幼なじみ・ワタリ役には佐野岳が起用されています。
仮面ライダーファンにはもう説明不要でしょう。高杉真宙と佐野岳はかつて『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013~2014)で共演していたのです。
今回の邦画特撮大全は『仮面ライダー鎧武/ガイム』を紹介します。
『仮面ライダー鎧武/ガイム』の作品情報
【放送期間】
2013年10月6日~2014年9月28日
【原作】
石ノ森章太郎
【監督】
田﨑竜太、柴﨑貴行、諸田敏、中澤祥次郎、石田秀範、金田治、山口恭平
【脚本】
虚淵玄、七篠トリコ、砂阿久雁、毛利亘宏、鋼屋ジン、海法紀光
【キャスト】
佐野岳、小林豊、高杉真宙、久保田悠来、志田友美、青木玄徳、松田岳、百瀬朔、松田凌、白又敦、佃井皆美、崎本大海、波岡一喜、弓削智久、吉田メタル、泉里香、山口智充
【声のキャスト】
大塚芳忠、中田譲治、杉田智和、津田健次郎
『仮面ライダー鎧武/ガイム』の作品概要
平成仮面ライダーシリーズの第15弾として製作された『仮面ライダー鎧武/ガイム』。仮面ライダーのモチーフにはなんと「フルーツ」と「戦国武将」が選ばれ、その意外性からファンは発表当時騒然としました。
また衝撃だったのがアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』などハードな作風で知られる脚本家・虚淵玄の起用でしょう。武部直美プロデューサーが『魔法少女まどか☆マギカ』の劇場版を鑑賞した際、「『仮面ライダー龍騎』にスピリットが似ている」と感じたことが、起用のきっかけだそうです。
『仮面ライダーW』(2009~2010)以降、平成仮面ライダーのTVシリーズは登場する仮面ライダーが2人になり、作風も従来の作品に比べるとハードな展開や描写が少なくなっていました。『仮面ライダー鎧武』は久しぶりに『仮面ライダー龍騎』(2002〜2003)などの作品で見られた“仮面ライダー同士の戦い”の要素を復活させたのです。『鎧武』に登場した仮面ライダーは、TVシリーズに限定すると総勢で12体。『龍騎』に登場した13人の仮面ライダーとそう変わらない数字です。
またいわゆる「平成一期」と呼ばれる作品で見られたハードな展開も『W』以降のシリーズの中では積極的に描かれたほか、「平成一期」のオマージュと思える設定や演出も数多く見られました。
『鎧武』を盛り上げた多彩なキャストたち
参考映像:『4分でわかる「仮面ライダー鎧武」その1』
東映特撮公式YouTubeチャンネルより
『仮面ライダー鎧武/ガイム』の魅力のひとつが、ユニークな登場人物とそれを演じるキャストたちでしょう。主人公である葛葉紘汰/仮面ライダー鎧武を演じたのが佐野岳。歴代仮面ライダー俳優の中でもトップクラスの運動神経を誇り、『鎧武』劇中でも壁宙返りなど華麗なアクションを数多く披露しています。
紘汰のライバルである駆紋戒斗/仮面ライダーバロンを演じたのが、名古屋を中心に活動をするユニット「BOYS AND MEN」の小林豊。戒斗はクールな役ですが、演じる小林は明るい性格で元パティシエ。『鎧武』出演者の中でも本人と演じる役のギャップが大きいのが小林でしょう。Vシネマ『鎧武/ガイム外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロン』(2015)ではその本人の個性が生かされています。
呉島光実/仮面ライダー龍玄を演じたのが、数多くの話題作に出演する高杉真宙です。演じる光実は紘汰の親友ですが、紘汰への嫉妬や兄である呉島貴虎/仮面ライダー斬月へのコンプレックスを露呈していき、最終的にはいわゆる“闇堕ち”を果たし紘汰たちを裏切ります。高杉は当時17歳でしたが、二面性のある光実を卓抜した演技力を見せてくれます。
光実の兄・呉島貴虎/仮面ライダー斬月には久保田悠来、変身ベルト・戦国ドライバーを開発した科学者・戦極凌馬/仮面ライダーデュークには青木玄徳がキャスティングされています。久保田と青木の2人には『ミュージカル・テニスの王子様』で跡部景吾を演じていたという共通点があります。
余談ですが「跡部景吾を演じると仮面ライダーに変身できる」というルールでもあるのか、『仮面ライダーカブト』で風間大介/仮面ライダードレイクを演じた加藤和樹、『仮面ライダーディケイド』の主演・井上正大の2人もかつて『ミュージカル・テニスの王子様』で跡部景吾を演じていました。
その他にも松田岳演じる熱血漢のザック/仮面ライダーナックル。策士と自称しながらもツメのあまい城乃内秀保/仮面ライダーグリドン。『魔法少女まどか☆マギカ』でいう所の「マミる」役割を演じた初瀬亮二/仮面ライダー黒影など多彩なキャラクターが多数登場しました。
まとめ
『仮面ライダー鎧武/ガイム』放送終了後には、スピンオフであるVシネマ『鎧武/ガイム外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロン』(2015)と『鎧武/ガイム外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル』(2015)の2作品がリリースされています。また今年2019年3月には舞台『仮面ライダー斬月 -鎧武外伝-』が上演されました。
放送終了後に複数のスピンオフ作品が製作されている点からも、『仮面ライダー鎧武/ガイム』の最大の魅力はやはり個性的なキャラクターと出演者だったのだと実感します。
高杉真宙と佐野岳が再び共演する『超・少年探偵団NEO –Beginning-』は2019年10月25日から劇場公開。『仮面ライダー鎧武/ガイム』放送終了から4年を経た2人がどのようにからむのか、『鎧武』ファンは期待大でしょう。
次回の『邦画特撮大全』は…
次回の邦画特撮大全は、『大巨獣ガッパ』(1967)を特集します。
お楽しみに。