Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/07/24
Update

NETFLIXおすすめ映画『クローバーフィールドパラドックス』ネタバレ感想と結末までのあらすじ|SF恐怖映画という名の観覧車59

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile059

全世界待望の大人気シリーズ終結作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)の監督を務めるJ・J・エイブラムスが、過去に手掛けた作品として有名な『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)。

全編をホームビデオからの視線で描いたPOV映画として爆発的な人気を得たこの作品は、8年後には全く毛並みを変えた続編『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)が製作されるなど、ファンを幾度となく驚かせてきました。

そして2018年、NETFLIXが独占配信したシリーズ最新作『クローバーフィールド・パラドックス』(2018)が全世界同時配信。

今回はシリーズを語る上で、外すことの出来ない作品となった本作の魅力とネタバレあらすじをご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『クローバーフィールド・パラドックス』の作品情報


Netflixオリジナル映画「クローバーフィールド・パラドックス」
全世界同時ストリーミング

【日本公開】
2018年(NETFLIX独占配信)

【原題】
The Cloverfield Paradox

【監督】
ジュリアス・オナー

【キャスト】
ググ・バサ=ロー、ダニエル・ブリュール、エリザベス・デビッキ、デヴィッド・オイェロウォ、クリス・オダウド、チャン・ツィイー

【作品概要】
『美女と野獣』(2017)などへの出演経験を持つググ・バサ=ローが主演を演じたシリーズ第3弾。共演には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でヴィランを演じたダニエル・ブリュールや、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)に出演するチャン・ツィイーなど。

映画『クローバーフィールド・パラドックス』のあらすじとネタバレ


Netflixオリジナル映画「クローバーフィールド・パラドックス」
全世界同時ストリーミング

5年以内に地球の資源が枯渇する予測が公になり、アメリカやロシアなどの大国は残り少ないエネルギーを求め戦争を始めようとしています。

夫を地球に残し、無限のエネルギーを作り出せると言われる量子加速器「シェパード」の開発研究を各国の研究者が集う「クローバーフィールド」宇宙ステーションで続けるハミルトン。

およそ2年の月日が経っても実験は成功せず、燃料の問題から「シェパード」を稼働できる回数も残り3回と差し迫った状態にまで追い込まれます。

地上での戦争も激化し実験の早期成功を望む声も寄せられますが、一方である学者は量子加速器の衝撃が時空の膜を破壊する「パラドックス現象」が起こることを危惧していました。

ドイツ人のシュミットをリーダーに再び実験を始める「クローバーフィールド」の研究者たち。

今まで一度も上手く起動していない「シェパード」の起動に成功し喜ぶ研究者たちでしたが、すぐに機械がオーバーロードし、宇宙ステーション自体が一時機能を停止してしまいます。

全システムダウンの警報が鳴り響き、研究者たちはそれぞれ確認と対処に向かい、一時的に危機からは脱出しますが燃料や日用品の消耗は深刻な状態でした。

更に地球の全ての信号が消失し目の前にあったはずの地球が跡形もなくなくなっていることに気がつきます。

「シェパード」の暴走が地球を消滅させた可能性について怯える研究者たちでしたが、そのことよりもまず自分たちの命を繋ぐために宇宙ステーションの修理を急ぐべきと言う意見を聞き入れ修理を始めました。

修理の最中、「シェパード」の基盤とも言えるジャイロが消えていることに気がついたハミルトンでしたが、その時宇宙ステーションの配管の中からけたたましいほどの悲鳴が鳴り響き、ハミルトンを始めとした研究者たちは壁板を外し中をのぞきます。

そこにはパイプや配線が身体中に刺さった女性がおり、ハミルトンを目視すると女性は彼女の名前を呼び助けを求めました。

記憶にない女性だったため困惑するハミルトンでしたが、他の研究者たちが女性の周りを走る電線の電流を止めたことで助け出すことに成功します。

宇宙ステーションの修理や湖沼の原因究明を主軸にすべきとの声を無視しリーダーのシュミットと中国人研究者のタムは「シェパード」を再稼働させようと行動。

「シェパード」の暴走以降、身体に変調を覚えるヴォルコフは遂に精神までもが異常をきたし始め、3Dプリンタで作成した拳銃を持ちシュミットとタムが宇宙ステーションの破壊を目論むスパイだと断定し襲おうとします。

しかし、その直後にヴォルコフは嘔吐して倒れ、研究者のマンディが飼育していたはずのミミズを体内から吐き出し死亡しました。

目を覚ました謎の女性・ジェンセンは2年前からこの宇宙ステーションのクルーであるとハミルトンに話します。

彼女はタムを除き全員の事が分かると言いますが、一方でクルーのメンバーは誰一人彼女に見覚えがありません。

ハミルトンを抱き寄せるジェンセンは、ハミルトンの耳元で「シュミットを信用するな」と告げます。

その会話を聞いていたキールは、シュミットの端末にアクセスすると彼がドイツと密約し、エネルギー戦争が終わるまで「シェパード」を起動させないように仕向けていたことが分かります。

激怒したキールはシュミットを部屋に閉じ込めますが、シュミットは何が何やら分からない様子でした。

一方、地球では原因不明の大爆発が発生しており、ハミルトンの夫マイケルは情報を集めようとしますが、人々は大混乱に陥りまともな情報が入ってきませんでした。

職場へ向かおうとするマイケルは、道中で謎の爆破により倒壊した家屋内に居た少女モリーを救出し、彼女と共に知人のシェルターへと逃げ込みます。

宇宙ステーションの修理を黙々と行うマンディは、突如壁に腕がめり込み抜けなくなってしまいます。

壁が変化している様子に驚きながらもキールとハミルトンに引き抜かれたマンディ。

右腕が壁に飲み込まれ一見するとちぎれているように見えましたが、痛みもなく傷口から血すらも出ませんでした。

閉じ込められていたシュミットの部屋が突如開き、そこで右腕が独りでに動いていることを目撃したシュミットは研究者全員を呼び出します。

自身の右腕であることに仰天するマンディでしたが、自身の意思で動いているわけではないことが分かると、シュミットは今起きている現象が他次元との相互干渉により起きてしまった「パラドックス現象」であることを言います。

何かを書く仕草を繰り返す右手にペンを持たせると、その手は「ヴォルコフの身体を開け」と書きました。

その言葉通り、ヴォルコフの遺体を切り開くと、無くなっていたジャイロがヴォルコフの体内から見つかります。

ジャイロが発見によって座標の特定が可能となり、太陽を回り込んだ位置に宇宙ステーションが移動していただけだと分かりました。

地球を目にした事で研究者たちに安堵と希望が満ちますが、地球から発せられるラジオやテレビの情報によると「クローバーフィールド」宇宙ステーションは既に大破し地球に落下しているとのことでした。

シュミットは「クローバーフィールド」ごと違う次元に来てしまったことに気がつき、再び「シェパード」を起動させ元の次元に戻るべきだと主張。

マンディや医師のモンクは日用品の不足などから今いる次元の地球に戻るべきなのではないかと言いますが、シュミットはタムと共に「シェパード」の起動を急ぎます。

「シェパード」のオーバーロードが換気ミスによるものだと考えるタムは気圧調整デッキへと向かいますが、換気口から突然水が入り込み、他の研究者に助けを求めたものの、水圧によって窓が壊れ死亡してしまいます。

タムの死亡によって、「シェパード」を動かすために必要なエンジニアがいなくなり絶望に暮れる研究者たち。

しかし、ハミルトンはジェンセンがこちらの次元ではタムの代わりのエンジニアであることを思い出します。

キールは彼女に地球に戻る脱出ポッドの利用を許可する条件として「シェパード」の起動の補佐を依頼。

依頼を引き受けたジェンセンからハミルトンはこちらの次元のハミルトンの来歴を聞きます。

かつて自分のミスで子どもを失い地球を飛び出てきたハミルトンですが、こちらの次元のハミルトンは子どもを失っておらず地球に残ったままと言うことでした。

もう一度子どもに会いたいという想いから、キールに全てが終わった後はこちらの世界に留まることをハミルトンは提案。

キールにはこちらの次元は、こちらの次元のハミルトンの居場所であり、お前の居場所ではないと諭されますがそれでも彼女の決意は揺るぎませんでした。

一方、酸素供給を一時的に止めることで「シェパード」起動のエネルギーを作ろうと考えるマンディは作業に取り掛かり、必要なエネルギーが生まれたことをクルーたちに伝えます。

しかし、その直後にマンディのいるメンテナンスデッキの磁力が暴走し酸素タンクが爆発、マンディは死亡します。

メンテナンスデッキの爆破によって宇宙ステーション全体に歪みが生じ、メンテナンスデッキのある区画を切り離さなければ宇宙ステーションがバラバラになってしまう危機的状況に陥ります。

キール、ハミルトン、モンクは切り離しを行うため該当区画へと向かいますが遠隔操作の時間が足りず、後のことをハミルトンに託したキールが手動で該当区画を切り離し、キールごと宇宙の彼方へと消えていきました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『クローバーフィールド・パラドックス』のネタバレ・結末の記載がございます。『クローバーフィールド・パラドックス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

残りの酸素が少なくなったこともあり、最後の希望として「シェパード」の起動と脱出ポッドの射出を計画するハミルトン。

生き残っているモンク、シュミット、ジェンセンはこの計画に従いますが、秘密裏にジェンセンはヴォルコフの作っていた銃を取りだし脱出ポッドで準備を進めるハミルトンを殴打し昏倒させます。

目を覚ましたハミルトンはポッドが地球に向かって発射されそうになっていることに気がつき、急いで停止。

銃を持つジェンセンはモンクを射殺すると「シェパード」の起動キーを奪い、続いてシュミットの腹部を撃ちました。

ハミルトンがジェンセンに追いつくと、彼女は自身の次元の地球を救うために「シェパード」を奪おうと企んでいることを話します。

シュミットがジェンセンをレンチで殴打し、ハミルトンはその隙にデッキから逃走します。

もみ合いの末、もう一発銃撃を受けたシュミットは力尽き、ジェンセンはハミルトンを始末するために彼女を追い始めました。

ハミルトンを彼女の希望通りこの次元の地球に送り届けるつもりだったジェンセンでしたが、既に彼女を障害として排除する気でいます。

娯楽室に逃げ込んだハミルトンは、ジェンセンの隙を突き銃を奪取。

ハミルトンを動揺させるためにジェンセンが窓に流した、この次元のハミルトンの家族の動画を窓ごと撃ちぬいたハミルトン。

窓は割れ、宇宙空間にジェンセンは吸い込まれるように放り出されていきました。

その後、一命を取り留めたシュミットを治療し、「シェパード」起動の準備を進める2人。

ハミルトンはこの次元の自分自身に、「シェパード」の実験データや構造を記した文章をメールで送り、自身がかつて犯したミスの回避方法を託します。

シュミットと共に「シェパード」を起動させ2人は元の次元に戻ることに成功します。

エネルギーの供給も安定し、地球との交信を取ることが出来た2人は地球に戻るため脱出ポッドに乗り込み発射します。

一方、マイケルは行方不明となっていた宇宙ステーションが見つかり、妻が地球に戻ろうとしていることを聞き「こんな状態の地球に戻らせるのか!」と宇宙ステーションへの連絡員に憤慨します。

宇宙ステーションに留まってほしいと思うマイケルの想いとは裏腹に脱出ポッドは地球に到着。

地球では雲を越すような巨大な生物が咆哮をあげていました。

映画『クローバーフィールド・パラドックス』の感想と評価


Netflixオリジナル映画「クローバーフィールド・パラドックス」
全世界同時ストリーミング

1作目では「未知の生物に対する恐怖」、2作目では「人間に対する恐怖」と様々な手法で「恐怖」を描いてきた「クローバーフィールド」シリーズ。

本作ではそんな「恐怖」に対象が何と「次元の歪み」であり、今までの映画には無い「恐怖」を体験することが出来ます。

相手が人間であれ未知の生物であれ、その行動はある程度の範囲で推測や対策が可能です。

しかし、「次元の歪み」は人間の小細工や想定を越える「世界の仕組み」そのものであり、「次元の歪み」を作り出した研究者たちは予想も対策もできないような方法で次々と死亡していきます。

理不尽な死が連鎖し、歪みの物語が想像もつかない方向に展開していく本作はシリーズの挑戦心を前面に出していると言える作品です。

まとめ

「クローバーフィールド」シリーズの第3弾となる本作は、怪物たちが登場するきっかけが描かれる前日譚。

1作目2作目ともに、混乱に巻き込まれる一般市民の視点から描かれているため物語には「謎」が多く存在しましたが、本作ではその最も根幹の部分が明らかになります。

それ故に、本作からの鑑賞でも充分楽しめる内容。

少しでも興味を持った方はぜひとも本作を鑑賞してみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…


(C)2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Societe Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved.

いかがでしたか。

次回のprofile060では、フランスの鬼才パスカル・ロジェ監督が放つ映画『トールマン』(2012)をネタバレあらすじを交え紹介させていただきます。

7月31日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら




関連記事

連載コラム

NETFLIX『攻殻機動隊SAC_2045 シーズン1』ネタバレ感想と考察。キャラの魅力を引き出したアニメシリーズとは|SF恐怖映画という名の観覧車100

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile100 遂に当コラムも今回で100回目を迎えます。 新型コロナウイルスという新たなる人類に対する脅威の発生が映画やドラマ、アニメ界に大打撃を与え …

連載コラム

映画『バオバオ フツウの家族』あらすじと感想レビュー。LGBT運動の先進国がみせた新たな台湾ムービーの魅力|銀幕の月光遊戯 43

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第43回 映画『バオバオ フツウの家族』が、2019年9月28日(土)より新宿K’s cinemaを皮切りに全国順次公開されます。 赤ちゃんが欲しい2組の同性カップルの姿を …

連載コラム

『超 西遊記』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の評価解説。マーベル映画級の迫力を原作と比較して考察して見えた事とは⁈|未体験ゾーンの映画たち2022見破録5

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第5回 映画ファン毎年恒例のイベント、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が今年も開催されました。 傑作・珍作に怪作、東洋を代表する …

連載コラム

『仮面ライダーBLACK SUN』内容解説考察。白石和彌監督が手掛けるアウトロー的ヒーロー誕生!【邦画特撮大全96】

連載コラム「邦画特撮大全」第96章 今回の邦画特撮大全は、『仮面ライダーBLACK SUN』を紹介します。 石森プロ・ADK EM・東映 2021年4月の「仮面ライダー」生誕50周年企画発表会見にて、 …

連載コラム

【ネタバレ】キャドー湖の失踪|あらすじ感想と結末評価。シックスセンスのシャマラン製作のタイムリープスリラー|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー119

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第119回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学