連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile132
世界的にブームを巻き起こした大ヒット映画の続編はファンにとっても製作陣にとっても期待と不安が入り混じる難しい作品となります。
「前作ほどインパクトがない」や「前作に比べると落ちてしまう」など、自分の敵は自分と言う格言がぴったりとあてはまってしまう続編映画の数々。
今回はそんな続編映画の苦悩を大規模なスケールの特殊効果をふんだんに用いて吹き飛ばしたSF映画『メン・イン・ブラック2』(2002)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『メン・イン・ブラック2』の作品情報
【原題】
Men in Black II
【配信】
2002年(アメリカ映画)
【監督】
バリー・ソネンフェルド
【キャスト】
ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、リップ・トーン、ララ・フリン・ボイル、ロザリオ・ドーソン、ジョニー・ノックスビル
【作品概要】
前作の世界的大ヒットを受け製作されたシリーズ第2作。
監督および主演は前作と同キャストが引き続き担当し、新たにドラマ「ツイン・ピークス」のララ・フリン・ボイルや『レント』(2005)に出演したロザリオ・ドーソンがメインキャストとして参加しました。
映画『メン・イン・ブラック2』のあらすじとネタバレ
1978年、保護を求めて地球に来たザルタ星人と彼らの持つ「ザルタの光」を守るためMIBは、光を狙うカイロス星人のサーリーナを足止めしザルタ星人を逃がしました。
サーリーナは「ザルタの光」を諦めず、邪魔するものは徹底的に殲滅すると言い残し地球を去っていきます。
2002年7月、地球に再び降り立ったサーリーナは宇宙人のスクラッドに接触し、「ザルタの光」の場所を聞きだそうとします。
スクラッドの案内でニューヨークでピザ屋を営むザルタ星人のベンの元を訪れた2人はベンを脅迫。
しかし、ベンは居場所を吐くことはなく、「明朝に光は地球を離れる」とだけ言うとサーリーナに殺害されてしまいます。
相棒のTと地下に住む巨大ミミズのような宇宙人ジェフの規則違反を取り締まるJは、興奮したジェフによって地下鉄を破壊されながらも、怒りを鎮め事態を鎮静化させることに成功。
しかし、Tは英雄になりたくてこの仕事を始めたと話しながらダイナーで泣き始めてしまい、仕事に向いていないと感じたJはニューラライザーでTの記憶を消します。
Jが本部に戻るとMIB内はピリピリとした雰囲気になります。
ZはJが相棒をエージェントとして不適格だと判断するとすぐに記憶を消すことを危惧しており、彼に休暇を取るようにと言いますがJは次の任務を求めていました。
元情報屋であるパグに擬態した宇宙人のフランクと共にピザ屋で起きた宇宙人の殺人事件の調査を命令されたJは、ピザ屋で事件の目撃者である店員のローラと出会います。
店主を殺害した女性が「ザルタの光」と言う言葉を発していたことを聞くと、Jはローラの記憶を消そうとしますが彼女の反応を見て記憶を消すことを躊躇い止めてしまいます。
一方、Zは公園で発見された宇宙船の形状からサーリーナが地球に降り立ったことを確信します。
Zはサーリーナはザルタの光のみを求めていることを熟知しており、25年前にザルタの光は地球外に出たにも関わらずサーリーナが再び地球に来たことに違和感を覚えました。
事件の解決のため25年前に任務を担当したエージェントの情報開示を求めるJは、Zからその担当者はかつてJをMIBに引き入れた伝説のエージェントKであると聞かされます。
Kは5年前に起きたバグによる事件の後、疲れを理由にJによってニューラライザーで記憶を消されており、今は郵便局で働いていました。
郵便局を訪れたJはKに再会しますが、宇宙人やMIBの話しをしても精神異常者だと勘違いされるばかりでまともに取り合おうとしてくれません。
JはKの働く郵便局の局員が全員宇宙人であることを実際に見せると、消された記憶と本当の自分を取り戻せると言いMIBの本部へと案内します。
伝説のエージェントKの帰還に本部はざわめきますが、その時情報を求めてKを探していたサーリーナもMIB本部におり、スクラッドと共に本部を急襲します。
緊急事態により本部は封鎖され、記憶を取り戻す装置「デニューラライザー」の部屋は脱出機構が働き、強制的にJとKは本部から脱出。
Kの記憶を取り戻すためユニバーサル質店を訪れたJは、店主の宇宙人にデニューラライザーを使わせるように頼みます。
一方、MiBの本部を完全に掌握したサーリーンは記憶を失ったKを探すべく、投獄されていた宇宙人犯罪者を全て解放しKを探させていました。
デニューラライザーを使い記憶を呼び戻したKはサーリーナの命令でやって来た宇宙犯罪者を次々と倒しますが、店主によると記憶は完全には戻っていない状態と言うことでした。
K自身、かなりの部分の記憶の復活は感じるものの「ザルタの光」などの大事なことを覚えておらず、2人は殺害されたベンのピザ屋へと行くことにします。
ピザ屋の店内でコインロッカーのカギを発見したKは一般人であるローラの記憶が消えていないことに気づき記憶を消そうとしますが、Jは彼女が重要であるとKに言い、彼女を保護することにします。
素行が悪いが信頼の出来る宇宙人のムシたちにローラを預けると、KとJは駅のコインロッカーのカギを開け扉をあけると、そこには小人たちの王国が築かれており、Kは以前に重要なものを小人たちに預けていたことが分かります。
腕時計とレンタルビデオショップの会員証を取り出すと、腕時計には今日の0時がアラーム設定されていました。
会員証を持っていたレンタルビデオショップに向かうと、そこには「ザルタの光」と言うドラマがあり、1978年に起きた事の顛末が描かれていました。
そのビデオを観て完全に記憶を取り戻したKは「ザルタの光」がブレスレットになっており、その腕輪はローラが腕に着けていると話します。
Jはすぐにその情報をMIB本部に隠れ潜むフランクに伝えますが、フランクは既に捕まっており情報がサーリーナに筒抜けになってしまいます。
JとKはムシの部屋へとたどり着きますが、スクラッドによってムシはバラバラにされローラは攫われていました。
ムシたちは自身の身体をくっつけて復活すると、JとKと共にMIBについていくことになりました。
映画『メン・イン・ブラック2』の感想と評価
前作『メン・イン・ブラック』の大ヒットから5年後に公開された続編映画『メン・イン・ブラック2』。
前作の多くのファンの期待を背負って製作された本作はバディムービーとしての面白さはもちろん、SF映画として技術の進歩と予算の大幅な追加を感じさせる特殊効果でファンの心を鷲掴みにする作品となっていました。
バディムービーとしての面白味
緊迫な状況でも常に軽口を絶やさないが熱い正義感を持ち合わせるエージェントJと、冷静で生真面目な性格のエージェントK。
ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの演じた2人のキャラクターは1作目『メン・イン・ブラック』で大人気となり、前作のラストで道が分かたれた2人が本作でコンビ復活を果たすことになります。
真逆の性格の2人が力を合わせて事件の解決を目指すと言う「バディムービー」としてお決まりの展開を持つ本作ですが、意外なことに2人の友情を押し付けるようなシーンは殆ど存在せず2人はあくまでもビジネス上の上司と部下であることがはっきりと描写されています。
しかし、軽快な喋りとユーモアたっぷりのジョーク織り交ぜたJと寡黙で知っている事実のすべてを話そうとはしないKのやり取りは、テンポも良く飽きることがありません。
プライベートな部分までは踏み込まないものの、お互いがお互いのことを心より信頼している「バディ」としての些細な描写も良く、2人の活躍を延々と見続けていたいと思えます。
スピルバーグ総指揮で描かれる驚愕のVFX
本作は製作総指揮を『ジュラシック・パーク』(1993)や『レディ・プレイヤー1』(2018)などを手掛けたことでも知られるSF界の巨匠スティーヴン・スピルバーグが務めており、前作よりもさらに進化した特殊効果で作品をより一層派手にしています。
劇中に登場する様々な宇宙人を始め、レーザー銃や宇宙船、改造車の飛行シーンなど2020年代に鑑賞しても一切見劣りすることのないCGにも驚愕しますが、僅かなシーンのために制作された小道具にも驚くほどの手間がかけられています。
物語の序盤、エージェントのJは巨大ミミズ型宇宙人のジェフと対峙し、ジェフは地下鉄の車両を半分食いちぎりJを襲おうとします。
このシーンで使われた半分食いちぎられた車両は、本作のために設計された大型の万力を使い車両を実際に押し潰すことで製作されており、スピルバーグ製作総指揮下での映画作りのスケールの大きさを感じさせます。
CGと実際に制作した小道具を用い、「本当に宇宙人は地球にいるのかもしれない」と言うリアリティを作り出すことに力を注いでいる作品でした。
まとめ
前作『メン・イン・ブラック』のクオリティに感動し本作への出演を何度も監督に懇願したとされるスーパースターのマイケル・ジャクソン。
脚本の完成後だったために残念ながら彼の登場シーンはごく僅かなカメオ出演に留まってしまいましたが、マイケル・ジャクソンの映画出演の遺作でもあり貴重な1作でもあります。
地球崩壊の危機に2人のエージェントが再び立ち向かう、大ヒット映画の続編として大満足の続編映画『メン・イン・ブラック2』。
前作がツボにハマったと言う方には間違いなく見て頂きたい1作です。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile133では、10年ぶりの復活を果たした「メン・イン・ブラック」シリーズ第3弾『メン・イン・ブラック3』(2012)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
次回の掲載をお楽しみに!
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