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Entry 2018/08/08
Update

ホラー映画とゲームの身体性の映画体験についての考察|SF恐怖映画という名の観覧車9

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile009


(C)2008 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

8月2日に日本版が発売されたゲーム、『フライデー・ザ・サーティーンス:ザ・ゲーム』。

この作品はアメリカ3大ホラーの1つである名作スラッシャー映画『13日の金曜日』シリーズを題材にしたもので、先月は実際に7月13日が金曜日であったことも重なりかなりの話題となりました。

映画で話題となった作品をゲーム化する風潮は以前からありましたが、近年では特に映画ファンから愛されるゲーム化が多く、「映画」と「ゲーム」は切っても切れない関係となってきています。

今回は、そんなゲーム化された映画の中でも、ジャンルを「ホラー」に絞って紹介し、技術の発展がもたらした、「体験する映画」としての「ゲーム」について考えていこうと思います。

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『デッド・バイ・デイライト』

2016年にPC版が発売された『デッド・バイ・デイライト』は、車の故障から森に取り残された男女が殺人鬼に追われるオープニングムービーから、既にホラー映画ファンにはたまらない作品なのですが、映画のゲーム化作品と言うわけではありません。

ですが、様々なアップデートによる内容の改善と、長く楽しめるゲーム性が人気を得て、2017年には家庭用ゲーム機版が発売されただけでなく、数多くの「ホラー映画」ともコラボをすることとなります。

『悪魔のいけにえ』からレザーフェイス、『エルム街の悪夢』からフレディ、『ハロウィン』からブギーマン、『SAW』からアマンダなど、ホラー映画界でも人気の高い殺人鬼の登場や、その殺人鬼に関連した生存者たちがゲストとして登場し、操作出来ることからホラー映画好きからも熱い支持を受けることになりました。

『フライデー・ザ・サーティーンス:ザ・ゲーム』と『デッド・バイ・デイライト』から見る「映画体験」

冒頭でも紹介させていただいた『フライデー・ザ・サーティーンス:ザ・ゲーム』と『デッド・バイ・デイライト』は、非対称型対戦ゲームと呼ばれるオンラインでのマルチプレイをメインとしたゲームです。

両者とも参加したプレイヤーは殺人鬼と生存者に別れ、殺人鬼は生存者の全滅、生存者は安全圏への脱出を目標として行動します。

生存者は生き残っている他の人間を”おとり”として使い、自分だけが逃げれるようにしたり、時には味方のために自らが犠牲になったりとプレイの仕方は千差万別です。

一方で、殺人鬼側では映画内で常に「敵」として描かれてきた恐るべき殺人鬼を操作し人間を追い詰める感覚を、その身で味わうことになります。

いかに最強の殺人鬼でも、プレイヤーが未熟だと生存者に良いようにあしらわれてしまい、映画のような恐るべき「敵」としての活躍が出来ず、苦虫を嚙み潰したような気持ちになるときもありますが、逆に生存者を全滅出来た時には達成感に包まれます。

このように、それぞれの立場からプレイできるこのゲームたちの最大の魅力は、同じマップ内にいる「敵も味方も生きた人間が操作している」と言う部分であり、友人とプレイしたり、インターネットで顔も知らない相手とプレイしたりと、用意された脚本がない中で毎回違う自分だけの「ホラー映画」の体験が出来る部分だと言えます。

インターネットの普及率は今や全国で8割を越えています。

家で友人とゲームをしたり、ゲームセンターで見知らぬ人とゲームをするのではなく、家で1人でプレイしながらも相手はコンピュータではなく「生きた人間」とゲームをできる昨今。

舞台は「ホラー映画」でありつつも、自分以外の「生きた人間」の行動によって脚本のない「リアルな映画体験」が簡単に出来る羨ましい時代となっていることが再確認できる作品です。

『エイリアン アイソレーション』

2015年に日本で発売された『エイリアン アイソレーション』は、名作SFホラー『エイリアン』(1979年)と『エイリアン2』(1986年)の間を繋ぐ物語を描いた作品です。

現代の美しいグラフィックで、映画公開当時の未来像である宇宙船が完全に再現されていて、それだけでも原作のファンから評価の高い作品ではあるのですが、今作が人気となった理由はどこまでも恐ろしい「エイリアン」の存在にあります。

技術の発展がもたらした「見つかる恐怖」

今作の敵である「エイリアン」はどんな武器でも完全に倒すことは出来ず、見つかることは非常に危険な存在です。

そのため、基本的には「見つからないこと」を意識しながら、足を進めていく必要があります。

このような作品は以前から多く、「ステルスゲーム」と呼ばれたりする1つのジャンルなのですが、この作品は類似の作品とは違う点があります。

今までのゲームの敵は、あらかじめ決められたパターンの行動を繰り返していたり、ある行動に対する反応が決められていたりと、分かってしまえば対策を練ることが出来ました。

しかし、今作の「エイリアン」には高度なAIが搭載されており、ざっくりと言ってしまえば「エイリアン」側がプレイヤーの行動を学習して対策を練ってくるのです。

そのため陽動や撃退などの行動は、複数回繰り返すと「エイリアン」に対して無力となり、最善手を重ねていても追い詰められていく感覚を味わうことになります。

ある程度プレイに慣れてきても「エイリアン」の動きは一定ではなく、また同じ行動を取ればあっさり殺されてしまう恐怖感は、映画の中で描かれていた「エイリアンのいる宇宙船内を歩く」ことに対するハラハラ感が見事に再現されています。

「AIの思考はプログラムされたものだから予測可能」と今まで高をくくって生きていましたが、このゲームをプレイするだけで学習する相手に対する「恐怖」を教え込まれた気分になれる作品でした。

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次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile010では、8月17日公開予定の最新映画『ペンギン・ハイウェイ』(2018年)から、日本SF大賞とその受賞作品が物語る、時代ごとのSFの歩みについて紐解いていこうと思います。

8月11日(土)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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