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『ぼくのお日さま』あらすじ感想と評価解説。カンヌ2024上映作!池松壮亮×奥⼭⼤史監督による心温まるスケートと“雪どけ”の物語|映画という星空を知るひとよ217

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第217回

初⻑編『僕はイエス様が嫌い』(2019)でサンセバスチャン国際映画祭・最優秀新⼈監督賞を受賞した奥⼭⼤史監督の商業映画デビュー作『ぼくのお日さま』

映画『ぼくのお日さま』は2024年9月6日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテにて先行公開後、9月13日(金)全国公開されます。

田舎街のスケートリンクで出会った、吃音のある少年とフィギュアスケートを練習する少女。そして、2人を教えるコーチの物語。3人の心が一つになってほどけてゆく過程を、スケートを通して描き出します。

少年少女を演じる2人には、演技やスケート技術にフレッシュさが光り、コーチ役の池松壮亮も交えて、心温まる美しい作品となっています。

映画公開に先駆けて『ぼくのお日さま』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『ぼくのお日さま』の作品情報


(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督・撮影・脚本・編集】
奥山大史

【音楽】
佐藤良成

【主題歌】
ハンバート ハンバート『ぼくのお日さま』

【キャスト】
越山敬逹、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也、山田真歩、潤浩 ほか

【作品概要】
監督は、⻑編デビュー作『僕はイエス様が嫌い』(2019)でサンセバスチャン国際映画祭・最優秀新⼈監督賞を受賞した奥⼭⼤史。主題歌は音楽デュオ「ハンバート ハンバート」が2014年に手がけた同名曲です。

少年・タクヤを演じるのは、ドラマ『天狗の台所』(2023)のメインキャストで知られ、本作で映画主演デビューを飾った越山敬達。少女・さくらは、演技が本作初となるフィギュアスケート上級者の中西希亜良。そして池松壮亮が、コーチ役を演じています。

本作は第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部⾨にて、ワールドプレミア上映されました。

映画『ぼくのお日さま』のあらすじ


(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

吃⾳をもつ少年・タクヤ(越⼭敬達)は、アイスホッケーを習っていますが、あまり上手くありません。

ある日の練習帰り、スケートリンクでドビュッシー『⽉の光』に合わせフィギュアスケートを練習する少⼥・さくら(中⻄希亜良)を見たタクヤは、その姿に⼼を奪われてしまいます。

それからのタクヤは、何度も練習帰りにリンクでさくらを見つめ、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似るようになりました。

ステップを真似る中で何度も転ぶタクヤを⾒つけたさくらのコーチ・荒川(池松壮亮)は、彼の恋の応援をしたくなります。そしてスケート靴を貸してあげ、タクヤの練習を付き合うことにします。

しばらくして荒川の提案から、タクヤとさくらはペアでアイスダンスの練習を始めることになり……。

映画『ぼくのお日さま』の感想と評価


(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

僕はイエス様が嫌い』(2019)でサンセバスチャン国際映画祭・最優秀新⼈監督賞を受賞した奥⼭⼤史監督。

子どもの頃に7年間フィギュアスケートを習っていた経験から「雪が降り始めてから雪がとけるまでの少年の成長を描きたい」と本作の企画を始めたそうです。また音楽デュオ「ハンバート ハンバート」の同名曲から、主人公の少年の姿がはっきりと浮かび上がったと言います。

主人公は吃音が少しある少年・タクヤ。思ったことがすぐに言葉にできないために、自分の気持ちをうまく表現できません。そのためにいつも消極的で下ばかり向いています。

そんなタクヤが一目ぼれしたのが、リンクで黙々とフィギュアスケートを練習する少女・さくらでした。

不器用ながらも一途にさくらを想うタクヤ。タクヤの気持ちに気が付いたスケートコーチの荒川は、タクヤにスケートを教え始めます。そしてスケートが上達していくタクヤを見て、さくらとタクヤでアイスダンスをさせることにしました。

眩い光が溢れるスケートリンクで、荒川からアイスダンスのレッスンを受ける、タクヤとさくら。初めてのペアダンスで戸惑いながらも、一生懸命に練習します。

呼吸も合うようになり、ペアダンスの練習に没頭する2人の光景が、美しくスクリーンに浮かび上がります

タクヤとさくら、コーチの3人の心が次第にとけあってゆく過程で、タクヤの恋心が見事に描写。スケートと初恋を通して、美しく紡がれたタクヤの成長が胸を打ちます

まとめ


(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

映画『ぼくのお日さま』は、奥山大史監督が手がけた“雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない⼩さな恋たちの物語”です。

小さな街で、コーチからフィギュアスケートを教わるタクヤとさくら。コーチの小さな親切が、少年の心を前向きにさせていきます。

タクヤとさくらのスケートシーンは、淡い光のさすスケートリンクで、監督自らスケートを滑りながらカメラを回していたと言います。

監督のスケートと少年の恋への想いが込められた心温まる作品……3人のキャストのスケーティングにも注目してください。

映画『ぼくのお日さま』は、2024年9月6日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテにて先行公開後、9月13日(金)全国公開!

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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