こんにちは、野洲川亮です。
2016年に公開された『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』は、DCコミックスのアメリカン・コミックの『バットマン』と『スーパーマン』の実写化された映画。
今回はDCコミック二大巨頭の対決を描き、「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズとしては、第2作目となる作品で、新たなヒロインも生みだした『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』を解説していきます。
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『バットマン vs スーパーマン』のあらすじ
地球育ちのクリプトン星人、クラーク・ケントことスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は、『マン・オブ・スティール』(2013)で、地球をクリプトン星に変えようと企んだゾッド将軍との戦いに勝利し、地球の危機を救いました。
しかし、メトロポリスを舞台にした二人の人智を超えた戦いで街は壊滅状態となり、ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は自社ビルが倒壊し、多くの部下が命が落とす様を目にします。
親を失った少女を抱きかかえながら、ブルース・ウェインは英雄スーパーマンの戦いに憎悪の目を向けます。
それから3年の月日が経ち、クラーク・ケントは恋人ロイス(エイミー・アダムス)と共に出版社デイリー・プラネットに勤めながら、スーパーマンとして地球全土を股にかけ活躍していました。
そんなスーパーマンを危険視するブルース・ウェインも、バットマンとして自警活動を行い、ゴッサムシティの犯罪者たちと20年以上に渡り戦ってきました。
とあるきっかけで、バットマンはクリプトン星人を弱体化させる鉱石クリプトナイトの存在を知り、これを強奪します。
一方、上院議員によるスーパーマンの責任の是非を問う公聴会が行われますが、突然会場は爆破され、スーパーマン以外の人々が死亡してしまいます。
これらの動きを裏で仕組んでいたのが、レックス・コーポ社長であるレックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)でした。
レックスの陰謀により、お互いを危険視することになったバットマンとスーパーマンは対決することになり、その裏ではレックスが自分と亡きゾッド将軍のDNAを掛け合わせた怪物ドゥームズデイを生みだします。
戦いの最中に誤解が解け、共闘することになったバットマンとスーパーマン、さらにアマゾネス族の王女、ワンダーウーマン(ガル・ガドット)を加えた3人で、ドゥームズデイとの戦いに挑みます。
ワンダ―ウーマン、バットマンの奮闘で出来た隙を突き、ドゥームズデイを倒したスーパーマンでしたが、相打ちで死亡してしまいます。
レックスは逮捕されますが、いずれ地球に災いが起こることを警告します。
スーパーマン亡き後の来たるべき事態を見据えたバットマンは、ワンダ―ウーマンと共に“メタヒューマン”と呼ばれる超人たちを集め、ヒーローチームを結成することを誓います。
一般人目線で描かれたスーパーヒーローの戦い
本作の象徴的なシーンとして、『マン・オブ・スティール』でのクライマックスの戦いを、ブルース・ウェイン目線で見るオープニングが挙げられます。
『マン・オブ・スティール』劇中では、宇宙人同士のスーパーバトルをドラゴンボール実写版とも言えるような、派手で外連味あふれるシーンとして描かれていましたが、本作ではブルース・ウェインという一般人(超人的能力は持たないバットマン)目線で、スーパーマンの絶大な力の脅威と恐怖の面がより強調して描かれました。
それはさながら9.11テロを彷彿とするような、陰惨で無慈悲なものであり、子供の頃に見ていた“ウルトラマンが戦うことで街がメチャクチャに破壊される”ことのような、正義の矛盾や陰の部分を映し出すものでもありました。
作品序盤のビジュアルインパクトを観客に与え、バットマンの劇中における行動の動機そのものとなる正に名シーンと言えるでしょう。
「大いなる力は大いなる責任を伴う」という、作品は違えど「スパイダーマン」シリーズおなじみのこの名セリフは、強大な力を有するスーパーヒーローの主人公が多いアメコミ映画においては、永遠の共通テーマとして本作にも通底しています。
二大巨頭を飲み込んだ魅力のワンダ―ウーマン
しかし、本作で観客に最も大きな印象を残すのは、上述したストーリー上の真面目なテーマをも超えてしまうワンダーウーマンというキャラクターでしょう。
本作でバットマンと共にシリーズ初登場となったワンダーウーマンですが、やはり演じるガル・ガドットの逞しさと美しさを兼ね備えた表情、スタイルに、観客は目を奪われていきます。
生身のアクションもほぼ本人がこなしていますが、出身国イスラエルの国防軍で戦闘トレーナーとして兵役を務めていたという“本物感”も、ワンダーウーマンというキャラクターの説得力を深めています。
そして、クライマックスでテーマ曲「Wonder Woman’s Wrath」が鳴り響き、ドゥームズデイとの戦闘が始まるシーンでは、バットマン、スーパーマンという古典的な二大スターから、強く美しい女性像への支持が一般的となった時代の変化をも象徴していると言えます。
本作の後、単独主演作『ワンダーウーマン』(2017)、DC版アベンジャーズの『ジャスティスリーグ』(2017)でも主役の存在感を示していくわけで、イチ映画キャラクターを超えた時代や女性を代表するアイコンへと成長していく予感まで感じさせました。
今後のシリーズが成功していくかは、バットマン、スーパーマンという、アメコミを象徴してきたキャラクターを超えた、彼女の存在にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
『ワンダーウーマン』(2017)
『バットマン vs スーパーマン』を観た人へのオススメ作品
MCUシリーズに対抗する形で始まったDCシリーズですが、『マン・オブ・スティール』、『ワンダーウーマン』、『ジャスティスリーグ』と、本作の前後を描いた作品は是非ご覧ください。
直接的な繋がりは強くありませんが世界観を同一にしている、DCのヴィランたち大集合映画『スーサイド・スクワッド』もまた違った魅力を放つ作品です。
バットマン役ベン・アフレックは、マーベルコミックのヒーロー『デアデビル』(2003)でもタイトルロールを演じています。
圧倒的な肉体的存在感を放つスーパーマン役ヘンリー・カヴィルは、大人気シリーズ第6作『ミッション:インポッシブル フォールアウト』で、トム・クルーズと共に命がけスタントアクションをこなしています。
最後にワンダーウーマンを演じたガル・ガドットは、「ワイルド・スピード」シリーズで映画デビュー、24歳のその頃から変わらない美貌でブレイクを果たし、スターの道を駆け上っていくことになります。
次回の「最強アメコミ番付評」は…
いかがでしたか。
次回の第17回戦では、ヴェノムの作者が生んだダークヒーロー『スポーン』を考察していきます。
お楽しみに!