アニメ「七つの大罪」シリーズ最後の映画『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』。
「週刊少年マガジン」で2012年から2020年まで、約7年半に渡って連載された「七つの大罪」。テレビアニメシリーズも完結した2021年、本編で描かれていなかったその後の物語が劇場版となって公開されました。
アニメシリーズでおなじみのキャストに加え、人気声優の中村悠一、そして声優初挑戦の倉科カナが重要な役で登場しています。
テレビ(3期「神々の逆鱗」、4期「憤怒の審判」)同様スタジオディーンが制作を担当し、『図書館戦争 革命のつばさ』『魔法少女リリカルなのは Reflection』などの浜名孝行が監督をつとめました。
CONTENTS
映画『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
鈴木央
【監督】
浜名孝行
【キャスト】
梶裕貴、雨宮天、久野美咲、悠木碧、鈴木達央、福山潤、高木裕平、坂本真綾、杉田智和、中村悠一、神尾晋一郎、川島明(麒麟)、井上裕介(NON STYLE)/倉科カナ
【作品概要】
ついに聖戦が終わり平和になった世界。七つの大罪メンバーではここまでにエスカノールが死亡、マーリンが離脱、バンはキングの妹エレインと結ばれました。
3,000年にも及ぶ呪いが解けたメリオダスとエリザベスは結婚&戴冠式を控え、キングとディアンヌも妖精王の森で結婚式をとりおこなおうとしています。
今回の映画は、テレビアニメシリーズで大罪メンバーが解散してから半年後、という設定で物語が始まります。
登場人物のおさらい
“七つの大罪”とその周辺人物を簡単に紹介します。
メリオダス<憤怒の罪>(cv.梶裕貴)
七つの大罪団長。魔神王の息子で3,000年前にエリザベスと恋に落ちたため魔神族を裏切り、そのため“永遠の生”の呪いを受ける。父である魔神王を倒して聖戦を終わらせ、晴れてエリザベスと結婚してリオネス王国の国王になることが決まっている。
バン<強欲の罪>(cv.鈴木達央)
人間だが、妖精王の森の「生命の泉」の力で不老不死に。そこの守り人エレインと恋仲になるが死んだ彼女をよみがえらせるために不死の力を失った。
キング<怠惰の罪>(cv.福山潤)
三代目妖精王。本当の名前は「ハーレクイン」でエレインは妹。700年前にディアンヌに出会ってからずっと恋していたが、魔神王との戦いの最中にプロポーズしようやく結婚することになった。
ディアンヌ<嫉妬の罪>(cv.悠木碧)
巨人族の少女。団長のメリオダスにあこがれていたが、失われていた記憶が戻ったことでずっとキングとふたりで過ごしていたことを思い出し彼を思うようになる。
ゴウセル<色欲の罪>(cv.高木裕平)
精神操作を得意とする美少年。その正体は魔術師ゴウセルによって作られた人形。記憶を封印し感情を捨てていたが七つの大罪の仲間たちと過ごすうちに心を取り戻した。
マーリン<暴食の罪>(cv.坂本真綾)
“ブリタニア一の魔術士”でその出自は賢者の都ベリアルイン。聖戦後、一度は死んだキャメロット王アーサーを“混沌の王”としてよみがえらせ、七つの大罪から離れアーサーと共に行動している。
エスカノール<傲慢の罪>(cv.杉田智和)
夜間はひ弱、でも日が出ている間は最強となり性格も傲慢となる。マーリンに思いを寄せていたが対魔神王戦で命を燃やし尽くした。
エリザベス(cv.雨宮天)
この作品のヒロイン。リオネス王国の第三王女だが実は最高神の娘。3,000年前メリオダスと愛し合うようになり“永劫の輪廻”の呪いをかけられてしまった。聖戦に勝利し呪いが解け、メリオダスとの結婚が現実のものとなる。
ゼルドリス(cv.梶裕貴:二役)
メリオダスの弟で元「十戒」メンバー。魔神族を裏切ったメリオダスを憎んでいたが、父である魔神王が恋人ゲルダを処刑しようとしたためメリオダスに協力して父を倒した。
ゲルダ(cv.甲斐田裕子)
魔神王に従属する吸血鬼族のひとりで、反乱の際処刑されそうになるが恋人であるゼルドリスに封印され3,000年が経過。今度はメリオダスに助けられ解放された。
マエル(cv.東地宏樹)
女神族“四大天使”のひとり。3,000年前、ゴウセルの術によって「十戒」のひとりエスタロッサとなっていた。聖戦後、七つの大罪によって救われ天界へと戻った。
アーサー(cv.國立幸)
キャメロットの王。“七つの大罪”に匹敵する力を秘めるも聖戦で魔神族に操られ自刃させられてしまう。その後マーリンの魔力によって“混沌”として復活、多くの人命が失われた国を建て直すために戻っていった。
ダリア(cv.中村悠一)
キングが生まれる前に妖精王の森を去った二代目妖精王。ダブズとふたりで突然魔界を強襲し新たな魔界の王を名乗る。巨人族と妖精族を操り地上にいる七つの大罪と聖騎士に攻撃を仕掛ける。
ダブズ(cv.神尾晋一郎)
巨人族の名工。彼のつくった武器をメリオダスたちも使っている(神器ロストヴェインなど)。小柄なため鳥に乗っている。
映画『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』のあらすじとネタバレ
魔界。魔神王の城に攻撃を仕掛けるふたつの影。ひとりは妖精族の羽を持ち、もうひとりは大きな鳥にまたがっています。彼らの力は強大で、魔神族でさえ恐れるインデュラ(伝説の獣)をも一瞬で倒してしまうほどです。
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結婚が決まり、式の前にふたりで思い出の場所をめぐる旅をするメリオダスとエリザベス。
ふたりはメリオダスの弟ゼルドリスとその恋人ゲルダと遭遇します。彼らもゼルドリスが魔神王となる前にふたりきりで旅行を楽しんでいたのです。過去の遺恨がありぎこちない態度のゼルドリスですが、ゲルダはそんな彼をいさめ、エリザベスは温かく見守っています。
ふいに弱い魔力を感じたメリオダスとゼルドリス。その原因をさがしに行くと、魔界から逃げてきた瀕死の男が倒れていました。魔神族が襲撃されていることを知ったメリオダスたちは4人で魔界へと向います。
そこで待ち構えていたのは、二代目妖精王ダリアと巨人族の名工ダブズでした。「聖戦を台無しにした代償を払ってもらおうか」とダリアは魔力で“霊槍(ダレンハート)”や“光華(サンフラワー)”を繰り出してゼルドリスを圧倒、ゲルダが彼を助けその身体を隠します。
一方メリオダスは大して攻撃力のないダブズと戦いますが、彼の持つ“監獄の錫杖”にエリザベスと共に取り込まれてしまいます。
そのころ、妖精王の森ではキングとディアンヌの結婚式がとりおこなわれようとしていました。バンやゴウセル、巨人族のマトローナやリオネス王国聖騎士ドレファスなど多くの招待客がお祝いにかけつけています。
しかし突然地鳴りのような音とともに大勢の巨人族と妖精族が襲来し祝福ムードがぶち壊しに。
“『聖戦』を台無しにした〈七つの大罪〉とそれにくみした者共を罰する”
まるで何者かに操られるように口にする巨人族と妖精族。キングたちは彼らを傷つけないように戦いますが、数が多くらちが明きません。
ドレファスたちは高い木の上に逃げますが、そこからリオネス王国の城下町も攻撃を受けている様子が見え、急いで戻らなければと焦ります。
すると巨人族のひとりが妖精族たちに持ち上げられ迫ってきました。聖騎士グリアモールが防御の“障壁(ウォール)”で全員を包み込ますが、巨人族の一撃によって野球の球のように飛ばされてしまいます。
運良くリオネスの城近くに飛ばされたドレファスたちは町に残っていた聖騎士のギーラやジェリコらと協力して国王や市民を守ろうとします。
敵は聖騎士を狙っているので市民は無事ですが、操られているだけの彼らを殺すわけにもいかず苦戦しています。
妖精王の森でも、キングが“花粒園(パレン・ガーデン)”でディアンヌたちを包みますが、ゴウセルの“傀儡縛り(ジャック)”で動きを止め、キングの“寝醒めの種”で催眠を解こうとしてもすぐにもとに戻ってしまいます。
そしてそれは身につけている武器や装飾品に原因があると気づいたバンが“強奪(スナッチ)”の力でそれらを奪い、巨人族・妖精族はようやく正気を取り戻しました。
一方リオネスの城はグリアモールが“完全なる独房(パーフェクトシェル)”で守っていましたがすでにそれも限界、巨人族たちの攻撃によって破られてしまいます。が、間一髪バンやキングたちが現れて彼らの催眠を解いてくれました。
魔界では、ゼルドリスが難を逃れた魔神族たちに匿われていました。敵を倒すため、メリオダスとエリザベスの救出に手を貸してほしいと言うと、彼らは裏切り者のメリオダスを許すことはできない、なぜ協力するのか?と反発します。
ゼルドリスは今までのいきさつを説明し、ダリアとダブズを倒すにはメリオダスとエリザベスの力が必要なのだと説得します。
そのころ、メリオダスとエリザベスは錫杖の中の真っ白い空間にいました。“神千斬り”の力も全く効かず、ゼルドリスが助けに来るのを待つしかありません。
「信じてほしいなら 信じてあげなきゃ」
エリザベスに言われてメリオダスはあがくのをやめ、彼女のひざまくらで横になりキスを交わします。すると突然空間が裂けてゼルドリスとゲルダが助けにきてくれました。
バツの悪そうなゼルドリスにメリオダスがどうやってここに来られたのか尋ねると、ダブズの作った剣がダメなのだと言います。
メリオダスたちの武器はダブズによって作られているものが多く、その魔力で無力化されてしまっていると。また、メリオダスをよく思っていない魔神族たちが協力してくれたのだとゼルドリスは伝えます。
その近くでは傷ついた魔神族たちがみるみる回復していきます。エリザベスが癒やしの力で治してくれていることをゲルダが教えると、かつて“血まみれエリー”として恐れられたエリザベスの行動とは思えないと魔神族たちは驚き、感謝するのでした。
再びダリアとダブズに対峙するゼルドリスとメリオダス。ダブズの作った武器“死神の鎌”や盾“飛翔する大皿”に対し、ゼルドリスはあえてダブズではない者が作った武器で戦います。
自分の攻撃が効かずに動揺するダブズ。もともと職人であり攻撃力のないダブズはもはや敵ではありません。あっという間に倒されてしまいます。
武闘派のダリアとメリオダスは空中戦をくりひろげ、一見ダリアが押しているように見えますが、実はメリオダスにその攻撃は全く効いていませんでした。
吹き飛ばされ気を失うダリア。そしてダリアとダブズの身体からはオーラのような光が立ち上り、それはやがて消えてしまいました。
「“ペテンの光”?」エリザベスが驚いたように言います。正式には“祝福の息吹”と呼ばれる上位女神族だけが使える術。それをかけられた者は強い高揚感に支配され、痛みと恐怖を失い、死ぬまで戦い続けるというおそろしい術です。
「ダリアとダブズを操っていた者がいる」とメリオダス。
映画『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』の感想と評価
長く連載されてきた「七つの大罪」が終わりました。テレビアニメシリーズも完結しましたが、今回の劇場版ではあえて本編で描かなかった要素が書き下ろされました。
それはメリオダスとエリザベス、そしてキングとディアンヌの結婚式です。これを待ち望んでいたファンは多かったでしょう。
前半ではバンとエレインのイチャイチャぶりをからめつつ、緊張するキングとおおらかなディアンヌとの対比がほっこりとした気持ちにさせてくれました。
ラストでは戦いを終えて平和が戻ったリオネス王国で式を迎えた美しいエリザベスと相変わらずのメリオダス、そしてホークちゃんたちとのやりとりが安定の楽しいエンディングを演出してくれました。
ハッピーエンドではありますが、今回最高神を倒したことでメリオダスにかけられた呪いが解かれたと考えると、ちょっと複雑です。“永遠の生”の呪いがなくなれば年もとるしいずれ死ぬことになる。当たり前なのですが。
エリザベスの方も呪いが解けているので、3,000年くり返してきた人間の娘としての転生がようやく終わり、今回の人生で亡くなったらそれでもう二度と転生しないことになります。
メリオダスは魔神族なので寿命は長いですが、エリザベスが人間として生きているのか女神族として生きているのかはちょっと微妙なところです。
このあたりは原作マンガ「七つの大罪」の正統な続編「黙示録の四騎士」で描かれていくことになるかもしれません。
本作ラストで印象的に登場したアーサーとマーリン。まさしくこれからアーサー王の時代になっていくという流れで終わりましたが、すでにマンガ「黙示録の四騎士」が始まっているのでそちらへの橋渡しという意味合いが感じられます。
メリオダスとエリザベスの間に生まれる子供がトリスタン、バンとエレインの間に生まれる子がランスロットということで、アーサーに仕える円卓の騎士になることは確定的です。
ラストシーンでマーリンが言うとおり、このあとは人間による混沌の時代、アーサー王の物語へと引き継がれていきます。
まとめ
「七つの大罪」の見たかったエピソードが見られ、続編への橋渡しとなった今回の劇場版。長年追いかけてきたファンにとって必見の作品です。
シリーズ一貫して愛と友情の素晴らしさを描いてきたこの「七つの大罪」。
設定や人間関係が複雑なので初めて見るという方には説明が必要かもしれませんが、ぜひ全編通して触れていただきたいシリーズです。