今度の舞台は宇宙空間
“フツー”な主人公エメットがまたも世界を救います。
全部がレゴで出来たすべてがサイコーな映画の待望の続編!
前作からエンタメとしてだけでなく、テーマをさらに深掘りし奥深さがパワーアップ。
2019年3月29日公開の映画『レゴ(R) ムービー2』を紹介します。
映画『レゴ(R)ムービー2』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
he Lego Movie 2: The Second Part
【監督】
マイク・ミッチェル
【脚本】
フィル・ロード、クリストファー・ミラー
【キャスト】
クリス・プラット、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット、アリソン・ブリー、ステファニー・ベアトリス、チャニング・テイタム、ニック・オファーマン、ジョナ・ヒル、ティファニー・ハディッシュ、チャーリー・デイ、アルトゥーロ・カストロ
【作品概要】
2014年に公開され大評判となった『レゴ(R) ムービー』の続編。
前作でデュプロ星人が来襲し荒野になったレゴの世界に、謎の宇宙人がやってきます。
クリス・プラット、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネットらメインキャストが声を続投し、その他豪華なカメオ出演も多数。
前作の監督フィル・ロード、クリストファー・ミラーは脚本に回り、『シュレック フォーエバー』(2010)『トロールズ』(2016)のマイク・ミッチェルが監督を務めました。
映画『レゴ(R)ムービー2』のあらすじとネタバレ
レゴの世界のブロックシティ。
平凡な作業員だったエメットは、お仕事大王”の陰謀を防ぐ冒険を通して、自分たちの世界が、“上の世界”(人間の住む現実のこと)に住む少年フィンとその父親が作ったレゴブロックのジオラマだったと知り、レゴでなんでも作れる選ばれし者“マスタービルダー”になって世界を救いました。
しかしそこに、フィンの妹が持ち込んできた別のレゴ、デュプロ星人が現れます。
エメットはLEGOでハートを作って彼らに渡しますが、デュプロ星人はそのハートを噛み砕き、「もっとちょうだ〜い!!」とみんなを追いかけはじめました。
仲間のルーシーもバットマンもロボ髭も応戦しますが歯が立たず、次々と飛来してきたデュプロ星人たちによってブロックシティは破壊されてしまいます。
それから5年が経ち、ブロックシティは荒れ果てたボロボロシティに変わり果てていました。
何度再建してもデュプロ星人たちはやって来て破壊を繰り返します。
彼らは皆幼児のような口調で、一緒に遊ぼうとブロックシティの人々を追いかけ回していました。
バットマンを除く、スーパーマンやワンダーウーマンらジャスティス・リーグの面々もデュプロ星人を倒すため宇宙に飛び立っていきましたが、その後行方知れず。
ボロボロシティの人々は、荒野で弱肉強食の世界を繰り広げていましたが、エメットだけは何も変わらず明るく振る舞っていました。
ルーシーは5年前の冒険を通してエメットの恋人になったものの、、いつまでも子どものように無邪気な彼に対し、あなたにはタフさが足りない、大人の男になってと不満をぶつけます。
ある日エメットは、ルーシーに夢の話をします。
突然地面にブラックホールが開いてすべてが飲み込まれてしまう“アルママゲドン”という惨事が起きるという夢でした。
ルーシーはそれは正夢になるのではと不安になりますが、エメットは気にする様子もありません。
エメットは流れ星を見つけてお願いをしようとしますが、それは星ではなく宇宙船でした。
エメットとルーシーはユニキャットと一緒に、宇宙船を物陰から見ていましたが、見つかってしまい攻撃を受けます。
かれらはボロボロシティまで逃げのびるも、宇宙船に侵入されてしまいます。
宇宙船に乗っていたのは謎の宇宙人、スウィート・メイヘム将軍。
彼女は「自分たちの住んでいるシスター星雲の支配者ワガママ女王が結婚式を挙げるため、誰かを連れて行く」と言って暴れ、無理矢理ルーシー、バットマン、ユニキャット、ベニー、ロボ髭を誘拐して宇宙船で飛び立ってしまいました。
エメットはみんなでルーシーたちを救いに行こうと提案しますが、やさぐれたボロボロシティの人々は誰もついて来ません。
仕方なく自分で宇宙船を作ってシスター星に向かうエメット。
シスター星雲についたルーシーたちは、支配者であるわがまま女王と対面します。
女王は自在に姿を変えられる能力を持っており、グネグネ変形しながら自分がいかに優しいかを歌に乗せて紹介してきました。
ルーシーは明らかにあやしいと感じますが、他の4人は女王の口車に乗せられて彼女を信用してしまいます。
女王はその日の17時15分に結婚式を挙げると言い、相手にバットマンを指名しました。
バットマンは絶対に身を固めないと断言しますが、女王はルーシーたちをとある星に連れて行くように命令。
エメットは宇宙空間で、レックス・デンジャーベストというタフガイに救われます。
レックスは宇宙の救世主、英雄的カウボーイ、恐竜の調教師など様々な顔を持つマッチョな大人の男でした。
彼はかつてエメットのように宇宙空間に飛び立つも、そこで遭難し、誰も助けに来ない状況で長い月日を過ごしたといいます。
そんな逆境が自分を強くしたというレックスに、憧れを抱くエメット。
レックスの宇宙船は、知能の高いヴェロキラプトルたちがクルーをしており、エメットをシスター星雲まで連れて行ってくれました。
エメットたちは星に到着すると奇妙な生物たちに襲われますが、レックスは圧倒的な力を見せて彼らを蹴散らします。
レックスはエメットに相手に容赦のないタフな男になれと言ってきました。
ルーシーたちは結婚式に出る準備のためにシスター星雲の中のとある機関に連れてこられ、エステやマッサージのサービスを受けます。
バットマンたちは無邪気にサービスを満喫してしまいますが、ルーシーは抵抗。
彼女は無理やりシャンプーをされた結果、それまで暗めでシックな色だった地毛が、カラフルで可愛らしい色だったことが明かされます。
皆からイメージが違うと言われるルーシー。
メイヘム将軍は全く従順にならない彼女を音楽で洗脳するように命令し、ルーシーは密室に閉じ込められてヤケに耳に残る曲をずっと聞かされてしまいます。
エメットとレックスもシスター星の街にやってきましたが、そこで完全に骨抜きにされて平和に暮らしているジャスティス・リーグのヒーローたちを発見。
ヒーローや町人たちもヤケに耳に残る曲を歌ってエメットたちに迫ってきます。
その頃、バットマンはわがまま女王とのディナーに招待されます。
彼は結婚するつもりはないと女王に言い放ちますが、彼女は本当はスーパーマンの気を惹きたいだけと答え、「いかにゴッサムシティの男がダメなのか」を歌いだしました。
寂しがり屋で負けず嫌いのバットマンはムキになってわがまま女王に求婚。
正式にバットマンとわがまま女王の結婚が決まりました。
逃げていたエメットはレックスのアドバイスを受けて、地面に強烈なパンチを食らわせ、穴をあけて脱出します。
エメットたちはルーシーと合流。
ルーシーの本来の髪色に戸惑いながらも、エメットはわがまま女王の結婚式をぶち壊して仲間を取り戻す計画を立てます。
レックスは女王の計画を邪魔しないと“アルママゲドン”が起きて大変なことになると言っていました。
映画『レゴ(R)ムービー2』の感想と評価
1作目の『レゴ(R)ムービー』は、レゴの世界を固定化を企む“お仕事大王”と戦うエメットたちの物語でした。
そして冒険の果てにエメットは、自分たちのいる世界が、ある一家の父親が作ったレゴのジオラマだという真実を知ります。
その父親が、息子のフィンに勝手に組み替えられるのを防ごうと、完璧なレゴの世界をスーパーボンドで固定化しようとしていたのが、レゴの世界で描かれていたお仕事大王の陰謀だったんです。
お仕事大王=父親、エメットやその他レゴを自由に組み替えられるマスタービルダーたち=フィンだとわかったエメット。
彼が「レゴは自由に遊ぶものだ」と気づいたことにより、フツーの人間から“選ばれしもの”になります。
そしてお仕事大王に「その自由なアイデアはあなたから学んだものだ」と手を取り合い、レゴの世界にも、現実の親子関係にも平和が訪れました。
一作目はすべてがレゴで出来た世界を舞台に、自由な創造性とは何かを問い直し、子どもの想像力を掻き立て、かつて子どもだった大人たちに自由な発想の楽しさを思い出させる「すべてがサイコー」な映画でした。
『レゴ(R)ムービー2』は人間世界の影響がレゴの世界に反映されることは既に周知の事実として話が進むので、本作を見る前に『レゴ(R)ムービー』は事前に見ておく必要があります。
それにしても、現実世界と関係する物語でした、というどんでん返しはもう使えないのに続編はどう作るのかと心配していたんですが、それは杞憂でした。
『レゴ(R)ムービー』から5年、脚本や制作で『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017)や『ブリグズビー・ベア』(2017)そしてアカデミー受賞作『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)を作り出してきた脚本のクリストファー・ミラー、フィル・ロードのコンビはさらに進化を遂げていました。
『レゴ(R)ムービー2』は1作目よりさらにスケールがアップしつつ、大人な物語になっています。
創造性だけでなく協調性と思いやりの物語へ
一作目のラストではフィンが父から妹とも遊べと言われ、妹ビアンカが低年齢向けレゴブロックを持ち込んでくるというオチがついていましたが、本作ではそれが物語の主軸になっています。
親子の創造性の継承の物語から、兄妹の協調性の物語になっているんです。
デュプロ星人たちとエメットたちのいざこざはそのまま、一緒にうまく遊べない兄妹たちの関係性を表しています。
また、マッドマックスのような荒れ果てたボロボロシティの世界観も思春期で拗らせたフィンの心情を反映。
未来のエメットとして出てくるマッチョなタフガイのレックスも、フィンが憧れる大人の男なのかもしれません。
エメットもレックスに憧れて彼のようになろうと変わっていってしまいます。
しかしレックスは過酷な体験をしたゆえに心を固くし、排他的な人間になってしまっています。
本作では「大人になるというのはそういうことじゃない」と教えてくれます。
現実が荒れ果てているからといって、過去を捨て、「理想なんか無駄だ」尖ったニヒリズムに浸るのではなく、思いやりと歩み寄りの姿勢を持って相手と接することが大人になるということ。
その考えを表すのが劇中で歌われる「すべてはサイコーじゃない」という歌です。
1作目のテーマソング「すべてはサイコー!」は人の持つ創造性を称える歌でしたが、今回の歌は「現実はすべてはサイコーじゃないけど、でもすべてがサイコーである必要もない。それにみんなで力を合わせてサイコーを目指すことはできる」という内容。
「型にとらわれず自由に遊ぶことが大事!」という一作目のテーマに対し「相手と強調してよりいいものを目指そう」という他者性を意識した更に進んだメッセージを提示してくれています。
そのために大事なのは、相手にまず思いやり=ハートをあげること。
ここまでいくと単なる兄妹の物語やおもちゃ論を超えて、昨今排他的になりつつある世界全体への問題提起すら見えてきます。
そして特にサイコーなのはエンドロール。
他者と協力してもサイコーなものを作れるというメッセージ通り、「現実にこんな例があるよ」としっかりと見せてくれるので、最後まで見ることを推奨します。
まとめ
深いテーマをもった本作ですが、単純にエンタメとしてもサイコーです。
相変わらずすべてがレゴで出来た世界には驚かされますし、様々なパロディや映画オマージュが満載です。
あの超有名スターがレゴで登場し、しかも本人が声を当てているので必見です。
ちなみにレックスとエメットはクリス・プラットが両方声を当てているのですが、レックスが宇宙の救世主やラプトルの調教師、カウボーイなど様々な顔を持っているのは、ここ5年間で大作スターになったプラット本人(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とか『ジュラシックワールド』とか)へのイジりでもあります。
テーマも奥深いうえに、さまざまな小ネタがあるので字幕と吹き替えと、複数回見ることをオススメします。