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Entry 2021/01/26
Update

デート・ア・バレット後編|ネタバレ感想。ナイトメア・オア・クイーンの結末のあらすじ。白の女王を相手に美少女準精霊の闘いを描く

  • Writer :
  • 秋國まゆ

美少女の準精霊たちの死闘を描いたアニメの後編をご紹介

橘公司のライトノベル『デート・ア・ライブ』のスピンオフ小説、『デート・ア・バレット』をアニメ化した前後編の後編『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』。

美少女の準精霊たちが、自らの願いを叶えるために死闘を繰り広げていく姿を描いた本作は、具体的にどのような内容なのでしょうか。

今回は中川淳が監督を務めた、美少女アニメ映画『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

映画『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』の作品情報


(C)2020 東出祐一郎・橘公司・NOCO/KADOKAWA/「デート・ア・バレット」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【原作】
東出祐一郎、橘公司

【監督】
中川淳

【声のキャスト】
真田アサミ、大西沙織、本渡楓、伊瀬茉莉也、日高里菜、瀬戸麻沙美、藤原夏海

【作品概要】
シリーズ累計発行部数600万部を突破した、橘公司のライトノベル『デート・ア・ライブ』のスピンオフ小説、『デート・ア・バレット』をアニメ化した前後編の後編。他のアニメ映画よりも上映時間が短く、29分に凝縮して作られた作品です。

「ナイトメア」のコードネームを持つ時と影を操る主人公の精霊・時崎狂三役を真田アサミ、主人公と敵対する精霊・白の女王役を大西沙織が演じています。

映画『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』のあらすじとネタバレ

かつて災厄と呼ぶほどの力を持った精霊たちが存在していた世界『隣界』の一部である、『第一〇領域(マルクト)』は、今では姿を消した精霊たちの代わりに、精霊の次なる存在『準精霊』と呼ばれる少女たちの戦場となっていました。

そこにいる準精霊たちは、唐突に始まった殺し合いに戸惑いつつも、己の願いを叶えるため、最後の生き残りの1人になるまで飽くなき戦闘を繰り返しています。

『第一〇領域(マルクト)』に落ちた、時と影を操るを操る第3の精霊『ナイトメア』の時崎狂三は、「亡き親友を生き返らせたい」という願いの為に戦う準精霊・紗衣響という協力者を得ました。

混沌とした戦場を軽やかに渡り歩いていく狂三は、山打紗和というかつての親友と、世界に敵がいない平和な世界で、「いつか好きな人とデートしてみたい」と他愛もない話をしていた記憶を思い出します。

紗和と過ごした平凡で幸せな日常は、失ってみて初めて、まるで宝石のような大切なものだったと気づいた狂三は、大切なものはもう二度と失いたくないと誓います。

巨大なハルバードを携えた準精霊・蒼(ツァン)の強襲によって、体育館まで吹き飛ばされた狂三は古式な二丁拳銃(歩兵銃と短銃)を手に、様々な忍の技を駆使する準精霊・佐賀操唯と、身の丈に匹敵するほどの日本刀を得物とする準精霊・土方イサミと対峙していました。

イサミは、自分が戦いたかった準精霊・武下彩眼を殺した『人形遣い』、準精霊・指宿パニエを殺そうと体育館へやって来たのですがその行方が分からず、開始早々に戦いを挑んできた蒼と再び戦う事になります。

体育館へ駆けつけた響が後ろから声を掛けたことにより、一瞬隙が生まれた狂三でしたが、戦っていた唯の肩に一撃食らわせ、彼女を退けることが出来ました。

イサミと戦っていた蒼は、戦う相手がいなくなった狂三に銃口を向けられますが、「あなたとは最後に戦いたい」と言い、イサミとの戦いを再開します。

これに拍子抜けした狂三は、響と一緒に体育館から教室へ移動し、響の生き返らせたい人について詳しく話を聞きたいと言いました。

すると響はそれまで浮かべていた笑みを消し、「ある人に裏切られ、何も悪くない大事な友人が理不尽に殺された。ただその場にいただけで」と話します。

一方イサミと蒼は、場所を学校の廊下へと移し、お互いに今持てる全ての力を結集させた一撃を交えますが、その結果イサミは腹に致命傷を負って倒れました。

イサミは今のは紙一重だったと言う蒼に、「今のが私の全力で、彩芽が好きだった真っすぐな剣筋だ。これがだめだったなら、まあ仕方ない。彩芽、次は…」と涙を流して話し、消滅します。

学校の敷地内を響と歩いていた狂三は、隣界に落ちたときに邂逅した一匹の猫を追いかけ、グラウンドへ向かいました。

そこで猫は、追いかけてきた狂三にある1通の手紙を渡します。それを見た狂三は『一〇の弾(ユッド)』を発動し、撃ち抜いた手紙の過去の記憶を知りました。

いるはずのない猫を追いかけて戦場から離れようとする狂三の元へ、走って追いかけてきた響は、いきなり足元目掛けて撃ってきた彼女に驚きます。

すると狂三は、「たすけて」と書かれた手紙を響に突き出し、「これはどういうことか説明してくださいませんこと?白の女王(クイーン)」と言い、近づいてこようとする響にもう一発銃弾を浴びせました。

狂三が見た過去の記憶、それは白の女王が響を撃って彼女の姿に成りすまし、撃たれた響は猫の姿に変えられてしまい、狂三に助けを求める手紙を書いたのです。

以下、『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』ネタバレ・結末の記載がございます。『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

正体がバレた白の女王は元の姿に戻り、「生き返らせたい人がいるという話は嘘。だってそう話せば、友情ごっこに狂三は付き合ってくれるから」と告げ、挨拶もそこそこに攻撃を仕掛けます。

『切り捨てられたもう1人の狂三』だという白の女王と戦う狂三、2人が剣と銃を交えていると、そこへこの隣界を滅ぼそうとする白の女王を倒すべく、共闘した蒼と唯が乱入してくるのです。

蒼たちが白の女王と戦っている隙に、グラウンドから離れ教室に逃げ込んだ狂三は、逃げる際に片足を撃たれた猫を『四の弾(ダレット。時間を巻き戻して傷などを復元させる)』を使って治療します。

そんな狂三に向けて、「至急礼拝堂へお越しください、白の女王がお待ちです」という校内放送が流れてきました。

白の女王は軍刀と歯車で構成された短銃を巧みに使い、蒼を戦闘不能にさせるも、その隙を狙ってきた唯の発顕する天使、『七宝行者』に動きを封じ込められてしまいます。

しかし空間を支配する能力を持つ白の女王は、『天秤の弾(モズニーム。空間内部の因果を逆転させる弾)』を撃って瞬時に唯の背後につけ、唯の後頭部に銃口を突きつけるのです。

唯は白の女王に、何故隣界を滅ぼそうとするのか聞くと、彼女は「何もかも憎いからだよ、時崎狂三も憎い。でも再会して分かった、彼女がとても愛おしいと」と話します。

そう話す白の女王はもう1人、狂三を大事に思う紗和の姿が見え隠れしますが、それに気づいた唯は白の女王に殺されてしまいました。

猫と共に礼拝堂へ向かう狂三は昔、目的のために消費する命など惜しくはない、誰も味方なんていないと思っていましたが、そんな自分に手を差し伸べてくれた男性に眩しい恋をしたことを思い出します。

狂三は礼拝堂に着くなり、すぐに白の女王と戦いを繰り広げるも、彼女の攻撃に圧倒されて苦戦を強いられてしまいますが、こちらに銃口を向ける彼女が「何で自分を殺したの?」という声には聞き覚えがありました。

炎を纏った異形の精霊となってしまった紗和は、自分の存在に気づかない狂三によって殺され、隣界に落ちます。

狂三に殺されたことに絶望し涙を流す紗和に、狂三が紗和を殺したことに気づいて絶望し、反転した瞬間を『八の弾(ヘット、自身の過去の再現体を出現させる)』で再現した分身体が近づき、「復讐できるなら、あなたに私の全てをあげる。約束する」と声をかけました。

紗和は自分を異形の精霊にした者や狂三、そして本体の狂三への憎しみを持つ分身体と自分を押し潰したこの世界が憎いと思い、分身体と融合して狂三の反転体『白の女王』となったのです。

白の女王の正体が、偶然同じ時間・同じ場所に隣界に落ちた自分の分身体と紗和の魂が融合したものだと気づいた狂三は、紗和の目的は一体何なのか問い詰めます。

すると白の女王は、狂三に向けていた武器を消し、仰向けに倒れる彼女の両頬に両手を当て、「最初は狂三を殺す為だった。ここでも仲間外れだった自分は、他の子なんてどうでもよかった。ただ狂三ともう一度、また一緒に仲良く過ごしたかった」と答えました。

狂三と戦うための力を得るために、他の準精霊たちに殺し合いを強いて力を奪ってきた白の女王、それを知った狂三は、自分のせいで変わってしまった紗和ごと彼女を殺すと決心するのです。

白の女王は軍刀と歯車で構成された短銃の『狂々帝(ルキフグス)』を、狂三は古式な二丁拳銃(歩兵銃と短銃)の『刻々帝(ザフキエル)』を起動した激しい戦いを繰り広げていきます。

白の女王は再び狂三を追い詰め、止めを刺そうとしますがその瞬間、直前に狂三が放った『四の弾』が、彼女の心臓を撃ち抜いたのです。

戦いの最中でも狂三を思いやっていたことが、自身の敗北へとつながった白の女王は狂三に「怪物になってしまった私に気づいてなかったから、狂三さんが殺したこと知ってました。ごめんなさい」と言います。

そして白の女王は猫に変えた準精霊にも、自分の代わりに謝るよう狂三にお願いすると、「ちゃんと狂三さんの恋、応援するから。本当にごめんなさい」と言い遺して死んでしまいました。

狂三はそんな白の女王の言葉を最後まで聞き、涙を流しながら彼女の手を握って最期を看取り、礼拝堂から出ると、そこへ姿が戻った響が声をかけてきます。

狂三は警戒して響に銃弾を放つも、紗和との約束通り彼女に謝罪の言葉を述べようとしますが、それを遮って自分をからかってくる彼女に苛立ち、再び銃弾を放ちました。

それを非難しながらもめげずに話しかける響は、狂三にこれからどうするのか尋ねます。

すると狂三は、約束を守りに愛しいあの人がいる現実世界へ戻ると答え、お供したいと腕にひっつく響と一緒に、その場を立ち去っていきました。

映画『デート・ア・バレット ナイトメア・オア・クイーン』の感想と評価

前編で狂三と戦う気満々で襲い掛かってきた蒼と唯が、狂三を庇って白の女王と戦い、その儚い命を散らした姿は感動します。

しかしもっとも感動するのは、親友同士の紗和と狂三が戦う場面です。

紗和が生前、誰に炎を纏う異形の精霊にされたのかは本編で明かされていないものの、それによって親友同士の関係に亀裂が入ってしまったことは、もう悲劇としか言いようがありません。

そのまま本体の狂三への憎しみを抱く分身体と融合し、白の女王として生まれ変わった紗和、彼女は狂三に匹敵する力を得るために準精霊たちを戦わせた黒幕でした。

狂三は誤って自分が紗和を殺してしまったせいで、優しかった彼女を歪めてしまったことへの責任として、彼女を殺すという悲しい決断をしてしまいます。

狂三と紗和が仲が良かった時の姿を、劇中で描かれた狂三の回想シーンで知った上で、礼拝堂での彼女たちの死闘を観ると悲しくて涙が止まりません。

狂三たちの悲しい別れをした後に、響が陽気に狂三に声をかけ、猫好きの彼女に可愛がられたことをネタにからかいます。

一気にシリアスからギャグへと変わったこの場面、まるで漫才のように繰り広げられる狂三と響のやり取りに、泣いていた人も思わず笑ってしまうことでしょう。

まとめ

前編よりもアクションシーンが多く、それぞれが己の願いの為に命を賭して戦う狂三たちの姿は、どれも美しくて格好いいものばかりです。

準精霊たちに殺し合いを強いていた黒幕である白の女王が、実は狂三が誤って殺した親友の紗和だったこと、猫は本物の響であるという衝撃的な真実に、観ている誰もが驚いたことでしょう。

彩芽とイサミの友情話も泣けますが、狂三と紗和の話はもっとシリアスで、悲劇によって引き裂かれた2人の友情話は号泣必至です。

世界を恨んで準精霊たちを殺す白の女王、狂三を思いやる親友の紗和、2人の複雑な思いと性格を大西沙織は見事に声で演じ分けていたので、その凄さと演技力に感服しました。

美少女の精霊たちによる華麗なる死闘、それと共に描かれる狂三たちの悲しい友情話に、笑ったり泣いたりできる面白い美少女アニメ映画です。

狂三たちのような美少女たちが、大事な何かの為に命をかけて戦う姿が観たい人に、是非オススメしたい作品となっています。

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