『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』は2019年6月22日に7月5日かけて、池袋シネマ・ロサでレイトショー公開!
海外の武者修行から帰って来た少年が、謎の殺人空手使いと激突する本格カンフーアクション映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』。
カンフーアクション×スプラッター×80年代青春ドラマが融合したカオスな本作。ジャンル映画のコテコテの“お約束”もふんだんに織り交ぜています。しかし、それほどの遊び心に溢れながらも、エンターテイメント作品のツボはガッチリ押さえています。
果たして、いったいどんな作品なのか。映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』の作品情報
【公開】
2019年公開
【監督・脚本】
中元雄
【キャスト】
茶谷優太、白畑伸、倉田恭平、小矢菜奈美、大屋峻、平井航介、氏家康成、鈴木雄登、梶塚廉、寒川祥吾、高橋剛士
【作品概要】
「ぴあフィルムフェスティバル(PFFアワード)2018」観客賞、「カナザワ映画祭2018」期待の新人監督賞を受賞した驚異のカンフーアクション映画。
監督には、映画『デッドコップ』『スマホ拾っただけなのに』と多くの自主映画を制作し、多くの映画祭にて賞をを獲得してきた中元雄。
本作が初主演作となる茶谷優太も、劇中にて凄まじいアクションを披露しています。
映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』あらすじとネタバレ
漫画家志望のシラハタは、出版社への持ち込みを8年間続けていますが、編集者には作品を酷評され続け全く芽が出ません。
出版社からの帰り道、シラハタは大学時代の後輩・クラタと偶然再会します。
定職に就いていないクラタはお酒とギャンブルで多額の借金を作り、借金取りに追われていました。
夜の公園で再会を祝うシラハタとクラタは、女性が不良たちに絡まれている場面に遭遇します。
その場から逃げようとしたシラハタとクラタですが、シラハタの鞄が偶然不良の顔に当たった事で彼らを怒らせてしまい、集団で暴行を加えられます。
その絶体絶命のピンチを救ったのは、1人の少年でした。少年はあっという間に1人で不良の集団を倒してしまい、その場を立ち去ろうとします。
シラハタは漫画のネタに、クラタは借金取りのボディーガードにするために、少年に近づきます。
少年の名は、一文字ユウタ。海外で修行をしていましたが、兄が事故死した事を聞きつけ、急遽一時帰国したのでした。
ユウタは兄の墓参りに行こうとしていましたが、方向音痴のため場所が分かりません。
シラハタとクラタは、ユウタの兄が眠る墓場や街を案内し彼と親交を深めます。
ユウタには他にもやり残した事がありました。それはかつて海外へ旅立つ日に自分を見送り、修行日記をプレゼントしてくれた当時の恋人に会うことです。
3人はユウタの恋人を訪ねますが、彼女の容姿は変わっており、新しい彼氏を作っていました。
ショックから夜の公園で落ち込むユウタと、ユウタを励まそうとするシラハタとクラタ。
そこへ借金取りが現れ、クラタは逃げていきます。
クラタと借金取りは、やがて林の中へ迷い込みます。クラタは借金取りに捕まってしまいますが、そこへ道着を身に付け、ヘルメットを被った不気味な格闘家が現れます。
格闘家に絡んだ借金取りは、一撃で殺されてしまいました。そこへクラタを追いかけて来た、ユウタとシラハタが駆け付けます。
格闘家と対峙するユウタ。ですが、格闘家もユウタと同じ一文字拳の構えを見せた事から、ユウタは動揺します。
映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』感想と評価
1980年代の勢いを感じるアクションエンターテイメント
カンフーと80年代の青春ドラマ、そしてスプラッターホラーの要素をこれでもかと詰め込んだ、アクションエンターテイメント映画『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』。
「一度敗北を味わった主人公が、周囲の人との何気ない会話から勝つためのヒントを得る」など、“お約束”満載の作品になっています。
例えば、シラハタが激辛丼を作る場面。「この場面の会話が、勝つためのヒントなんだろうな」と思い、ニヤニヤしながら観てしまいました。
また、不良グループがラジカセを肩に担いでいたり、赤と青の3D眼鏡をかけていたりと、1980年代のノリが作品全体に反映されており、無意味に勢いのあった時代の作風へのオマージュを感じます。
けれども、ストーリーは非常に練られており、最終的に回収される伏線が全て、冴えない人生を送っていたシラハタの成功物語に繋がるため、観賞後はとても清々しい気持ちになりました。
カンフーやスプラッターを知らない方でも、理屈抜きで楽しめる作品になっています。
凄まじい茶谷優太の身体能力
カンフー映画のテイストを盛り込んだ本作のアクションシーンはかなりクオリティが高く、制作側の本気を感じます。
特に、主人公のユウタを演じた茶谷優太の身体能力の高さが凄まじく、気になって経歴を調べてみました。
1999年3月2日生まれの兵庫県出身である茶谷は、幼少期から空手を10年、器械体操を13年間学んでいました。
本作で見せる彼の身体能力の高さにも、納得がいきました。
茶谷は2003年に製作されたタイのアクション映画『マッハ!!!!!!!!』を観てアクション俳優を目指し、上京しました。
実際に足に火をつけて撮影を行うなど、本作でのあまりにも体を張ったアクションは、『マッハ!!!!!!!!』で主演を務めたトニー・ジャーに通じる所があります。
アクションシーンの苦労の様子は、本作エンドロールで流れるNGシーン集で見る事ができます。このNGシーン集もまた、カンフー映画の“お約束”であることは言わずもがなでしょう。
まだ年齢も若く、これからの日本アクション映画を引っ張る存在ではないかと感じさせる程の情熱に満ちた茶谷優太。今後の活躍が楽しみです。
続編:『帰ってきた一文字拳 最強カンフーおじさん対改造人間軍団』
『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』を2019年6月22日から2019年7月5日にかけて上映する池袋シネマ・ロサでは、本作の続編となる短編映画『帰ってきた一文字拳 最強カンフーおじさん対改造人間軍団』も同時上映しています。
『帰ってきた一文字拳 最強カンフーおじさん対改造人間軍団』も、少しだけご紹介します。
『帰ってきた一文字拳 最強カンフーおじさん対改造人間軍団』あらすじ
中小印刷会社の社長オオサコは、漫画『一文字拳』の大ファンです。
ある夜、オオサコは帰宅時に不良グループに絡まれ、従業員の給料を全て奪われてしまいます。
ボクシングをやっていたため、腕っぷしに自信のあったオオサコですが、自身の不甲斐なさを痛感し、自主トレーニングを開始します。
河原で自主トレーニングに励んでいたオオサコは、兄の墓参りに訪れたユウタと出会います。
従業員の給料を取り返すために、ユウタから一文字拳の特訓を受けるオオサコ。一方、街では、人々が突然暴れ始めるという、謎の現象が多発するようになります。
事件の背後には、怪人を製造する謎の企業が絡んでいました。ユウタとオオサコは、怪人製造企業の陰謀に巻き込まれていきます。
続編は大急ぎで制作された!?
2019年6月24日の池袋シネマ・ロサでの上映終了後、『帰ってきた一文字拳 最強カンフーおじさん対改造人間軍団』のキャストと、中元雄監督による舞台挨拶がありました。
『一文字拳 序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い』が関東のさまざまな映画祭で上映されていたため、中元雄監督は「劇場公開しても、誰も来ないんじゃないか?」と不安になったことが、続編制作のキッカケになったそうです。
撮影は2019年5月に行われ、2週間で編集し上映に漕ぎ着けたという、これまでにない急ピッチで完成させた作品です。
中元雄監督も「作って良かった」と感じているそうですが、続編の存在が『一文字拳』の世界を広げています。機会があれば、2本続けての観賞をお勧めします。
まとめ
1980年代のテイストで、スタッフ・キャスト陣が本気で挑んだカンフー映画『一文字拳』シリーズ。
遊び心に溢れた作品ですが、アクションの本気度は、近年の日本映画でもトップクラスだと感じます。
また、エンターテイメントに振り切った、観賞後に清々しくなるストーリー構成も見事です。
1980年代の映画を愛している人たちにはもちろん、そうでなくても、理屈抜きで楽しい映画が好きな方には、是非お勧めしたい作品です。