連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile052
梅雨前の6月でありながら気温が30度を越える日が見られるようになり、「夏」が近づいてきたことを感じさせます。
「SF」という映画ジャンルにおいて、夏と言えば少年たちの冒険の季節。
今回は、そんな夏を感じさせる日々にぴったりな、少年たちの冒険と戦いの映画『リム・オブ・ザ・ワールド』(2019)をネタバレあらすじを交えご紹介していこうと思います。
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CONTENTS
映画『リム・オブ・ザ・ワールド』の作品情報
【日本公開】
2019年(NETFLIX独占配信)
【原題】
Rim of the World
【監督】
マックG
【キャスト】
ジャック・ゴア、ミヤ・ケック、ベンジャミン・フローレス・Jr.、アレッシオ・スカルゾット、アンドリュー・バチェラー
【作品概要】
アメリカの衝撃的なホラー映画『肉』(2014)で俳優デビューを果たしたジャック・ゴア主演で製作されたNETFLIXオリジナル映画。
監督を務めたのは『チャーリーズ・エンジェル』(2000)や『ターミネーター4』(2009)などの大作映画を製作したマックG。
映画『リム・オブ・ザ・ワールド』のあらすじとネタバレ
ある時、NASAの宇宙ステーションが未知の生物に襲われ、壊滅状態に陥ります。
宇宙に憧れを抱きNASAの情報にも興味があるアレックスは、現実世界の友達が少なく、これから行く予定のキャンプにも乗り気ではありませんでした。
母親に「リム・オブ・ザ・ワールド」という、少年少女のキャンプイベントに連れてこられたアレックスですが、内気な彼は陽気な雰囲気の漂うこのイベントに馴染めそうにもありません。
母と別れ、キャンプのアクティビティの1つであるジップラインに参加するアレックス。
しかし、高所恐怖症でもある彼は飛ぶ寸前で恐怖に負け、指導員のコンラッドからはビビリと言われからかわれてしまいます。
その後、中国からこのイベントに参加した孤児の少女ジェンジェンと知り合ったアレックスは、彼女が団体から離れ1人で森の中に入っていくのを目撃し、後を追いかけました。
すると、アレックスは森の中で富豪の息子ダリウシュと出会います。アレックスがジップラインで怖気づいたのを見ていた彼は、アレックスを無理矢理崖に立たせ恐怖を克服させようとします。
しかし、そこに現れた現地の少年ガブリエルにダリウシュは叩きのめされ、アレックスは助けてくれた彼に好感を抱きます。
その直後、スマホから鳴り響く緊急速報と共に大地が揺れました。都市圏の人間に避難するように告げるその速報の後、米軍の戦闘機と未知の戦闘機の戦闘が上空で始まり、ジェンジェンを加えた4人は何かが始まったことを察し、森からキャンプ地へと戻ります。
しかし、キャンプ場にいた人間は酒を飲み寝ているコンラッドを除いて全員下山しており、更にはアレックスたちのスマホの電源がつかないことも分かります。
キャンプ場の固定電話も通じず、アレックスはこれが電磁パルスによる電子障害であることを話し、未知の敵が地球に攻撃を始めたのだと全員に告げました。
宇宙ステーションの脱出ポッドがキャンプ場付近に墜落し、アレックスたちは様子を見に行きます。
中に乗っていた女性の宇宙飛行士は、落下地点が目的地と違うことに落胆しつつも、アレックスに謎の鍵を渡します。そして、NASAのジェット推進研究所(以降JPL)のフィールディング博士にそれを渡すように頼みます。
やがて脱出ポッドから出てきた異形の生物に襲われ、宇宙飛行士は死亡。アレックスたちもキャンプ場の施設に逃げ込みます。
コンラッドも襲われ死亡し、アレックスたち4人は腕が6本も生えているような異形の生物に捕まります。ダリウシュは舌のようなものを口の中に入れられ絶体絶命の状態に陥りますが、戦闘機の攻撃により謎の生物はダメージを受け、アレックスたちはその隙に脱出。
託された鍵こそがこの状態を打破するものだとして、アレックスたちは115キロも離れたJPLに鍵を届けるため、都市部の保安局へと向かうことにします。
JPLまで109キロの地点にあるロサンゼルスに辿り着くアレックスたちでしたが、ロサンゼルスは攻撃により崩壊しており、頼みの保安局にも世界各地の絶望的な状況の情報があるのみで保安官は残っていませんでした。
保安官が避難したことで取り残された牢屋の中の謎の男ルーの懇願により、疑いつつも牢屋の鍵を渡したアレックスたちは保安局から外に出ます。
そこに軍隊が通りかかり、アレックスたちを見つけると「バスで避難所まで護送する」と告げ、謎の鍵を持ってきたことを讃えてくれますが、少し進んだ場所で戦闘機に攻撃されてしまい、護送していた軍人たちは死亡。車体に足を挟まれ動けなくなった大佐から「何があっても使命を全うして欲しい」と再び謎の鍵を託されるのでした。
映画『リム・オブ・ザ・ワールド』の感想と評価
上映時間が90分程度と短く、あっさりと鑑賞できる本作。しかし、内容は見事なまでに練り込まれており、あっさりとした中に深い味わいを感じさせてくれます。
115キロ先のジェット推進研究所を目指すロードムービーの形式を取った作品ですが、物語がダレてしまう部分は無く、アレックスたちの成長とエイリアンや略奪者との攻防がテンポよく軽快に描かれていました。
短い上映時間でありながら、物語展開にも非常に拘って作られており、丁寧に張られた伏線を劇中でしっかりと全て回収し切ってくれます。
NETFLIX資本の莫大な製作費によるCGや、戦闘により崩壊した街並みの再現性も高く、高クオリティで描かれる少年たちの戦いと成長の物語は必見です。
まとめ
手軽に鑑賞できる、後味の良い冒険劇。
『グーニーズ』(1985)や『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)といった作品が好きな人は間違いなくハマる本作。
本格的に暑い季節が始まる前の準備として、あっさりかつ濃厚な『リム・オブ・ザ・ワールド』をぜひともNETFLIXで楽しんでみてください。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile053では、NETFLIXの贈る地球崩壊後の未来を描いたSF映画『ユピテルとイオ 地球上最後の少女』(2019)をネタバレあらすじを交えご紹介させていただきます。
6月12日(水)の掲載をお楽しみに!