映画『ハロウィン』2019年4月12日(金)全国ロードショー!
1978年ジョン・カーペンター監督の手によって生み出された、ホラーアイコン“ブギーマン=マイケル・マイヤーズ”。
シリーズ誕生40周年の名作ホラー作品の代表作が、正統的な続編として新たな恐怖と共に帰ってきました。
キャラクター原案、製作総指揮、音楽を名匠ジョン・カーペンター。そして本続編の監督をデヴィッド・ゴードン・グリーンが務めました。
新たにシリーズ化された映画『ハロウィン』をご紹介します。
映画『ハロウィン』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
Halloween
【監督】
デヴィッド・ゴードン・グリーン
【キャスト】
ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ウィル・パットン、ヴァージニア・ガードナー、ニック・キャッスル、ジェームス・ジュード・コートニー、ハルク・ビルギナー、リアン・リース、ジェファーソン・ホール
【作品概要】
1978年に発表されたホラー映画の金字塔の一つ『ハロウィン』の正統的な続編作品。ハロウィンの日にある街を震撼させた恐怖の殺人鬼と、その殺人鬼によって人生を狂わされた一人の女性が、40年の時を経て再び対決します。
製作総指揮として、第1作でメガホンを取ったジョン・カーペンターが参加。
メインキャラクターである殺人鬼マイケル・マイヤーズをニック・キャッスル、そのマイヤーズと対決する女性・ローリー・ストロード役をジェイミー・リー・カーティスが担当と、第1作で演じた当時の役者が登場します。
映画『ハロウィン』のあらすじとネタバレ
2018年のハロウィン間近。
ジャーナリストのアーロンとデイナの2人は、アメリカ・イリノイ州のハドンフィールドという街で、40年前のハロウィンの日に起きた凄惨な連続殺人事件の真相を追って、その事件の加害者である殺人鬼マイケル・マイヤーズが収監されている精神病院をたずねます。
2人はマイヤーズを担当する主治医のサルテインに、マイヤーズが収監されて現在までの経緯をたずねると、彼は40年間、一言も話すことなく、動機や感情すら一切見せることはなかったと明かします。
そして厳重な警戒のもと、2人は精神病院の中庭で鎖につながれたマイヤーズと対面することになります。
変わらず言葉を発することのないマイヤーズに対し、アーロンは彼が殺人の際に着用したマスクを目の前に示して挑発しますが、彼の周囲にいた患者たちが何かにとりつかれるように騒ぎ始めるも、彼自身は何の反応も示しません。
2人は精神病院を後に、次に事件の被害者で唯一の生き残りである女性ローリー・ストロードの家へ、インタビューのために出向きます。厳重な囲いを施した家の前で、デイナが謝礼を払うことを申し出て、インタビューを行う交渉は成立します。
しかし事件以来トラウマを抱え、気難しい人間となっていたローリーは、彼らの質問を無下にするだけで「新事実があるのではないか」とたずねるも否定し、マイヤーズ自身が人知を超えた存在だと、あくまで主張するばかり。
アーロンはマイヤーズがハロウィンの前夜に別の精神病院に移送されることを伝え、これを機に彼との再会を果たしてはと提案しますが、それも拒絶し、報酬だけを受け取って2人を追い返します。
一方、マイヤーズのことが忘れられないローリーは、彼が再び目の前に現れることとを想定し、いつ起きるか分かららないその非常事態に備えることでこの40年間を過ごしていました。
彼女には娘のカレンと孫のアリソンがおり、かつてカレンからは銃の撃ち方を教わったこともありましたが、そんなローリーに対してカレンは、彼女の思いを妄想と片づけ、付き合いきれないと距離を置いていました。
それでもアリソンは、ハロウィン間近になると情緒が不安定になるローリーを心配し、大学をたずねてきたローリーに、マイヤーズのことは忘れ苦難を乗り越えてほしいと伝えていました。
そして新たな惨劇は始まります。ハロウィン前日、マイヤーズを護送する車が護送中に横転、同乗していたサルテイン以外の警備員は全員死亡。
その後駆け付けた警官たちは、この惨事に頭を悩ませながら、ハロウィンで盛り上がる街に水を差しては、とこの事件の発生を伏せることに。
ハロウィン当日、アーロンとデイナの2人は付近のガソリンスタンドにたどり着き、一時の休みを取っていましたが。そんな2人を陰から見つめる一人の男が。まさしくその男はマイヤーズ。
彼はデイナがトイレに入ったころ合いを見て襲い掛かります。アーロンがそれに気づき助けに入るも、抵抗もむなしく2人は惨殺され、凄惨な死体となって発見されます。
マイヤーズは、2人よりあのマスクを奪い、再びハドンフィールドに訪れます。一方でこの一連の状況を知ったローリーは、この事件をマイヤーズの仕業と察知し、再び彼と対峙することを決意。
家族のもとへ向かいますが、カレンはその言葉に応じず、アリソンもパーティーに出かけてしまい、一家は最大のピンチを迎えることになるのでした。
映画『ハロウィン』の感想と評価
かつて、1978年にジョン・カーペンターによって作られた映画『ハロウィン』。
この作品をこれまで作られたホラー映画の中でも、最も完成された作品のひとつであると確信していたプロデューサーのジェイソン・ブラムは、本作の制作にあたり、製作会社から彼のプロダクション「ブラムハウス」への依頼に対して、“ジョン・カーペンターの賛同が、ブラムハウスがこの映画にかかわる前提条件”と提言したといいます。
そしてローリーとマイケル・マイヤーズの最後の戦いとして、これまで数多く作られたシリーズを1度リセットすべきという共同制作者の意見に賛同、長くブギーマンのファンから待ち望まれていたエピソードとして本作品の制作を進めていきました。
そういった意味では、製作総指揮としてジョン・カーペンターを迎え、さらに記念すべき第1作でローリー・ストロード役を務めたジェイミー・リー・カーティスと、同じくマイケル・マイヤーズとしてマスクをかぶり、殺人鬼役を務めたニック・キャッスルといった、まるで同窓会的とも見えるこの人員の起用は必然だったのでしょう。
40年前と変わらぬ感情のない、不気味さを見せるマイヤーズ、対して40年の積年の恨みを晴らすべく奮闘しつつも、彼に大きく人生を狂わせられる一方で娘。
そして孫ともつながりを持ち、最後は3人で戦いに終止符を打つローリーと、この2人の関係は、当時の役者が再び対決のシーンを見せることで、まるでスクリーンを超えて現実に近くなったような様相すら感じさせます。
音楽はジョン・カーペンター自身と、と彼の息子であるコーディ・カーペンターが担当していますが、この映画のメインテーマのメロディは、シリーズの象徴的なものでもあり、本作でも要所でこのストーリーを演出。
この音が鳴れば、いよいよ迫りくる恐怖が現れる!作品を見る側は「その瞬間が来ることは分かっていても抜けられない」そんなドキドキ感を味わうことになります。
一方、改めて「『ハロウィン』の身のすくむ恐怖は、マイヤーズのバックグラウンドを知ることで生じるのではない」と語るブラムですが、この言葉はまさしくマイヤーズの性質そのものに当てはまります。
一切の感情、慈悲の心を持たないマイヤーズ。その恐怖はまさしくそこにあり、彼がそこに至った経緯は、実はあまり関係なく、むしろ“分からない”ということが彼の神秘性、そして醸し出す恐怖感をさらに倍増させているようにも見えます。
また映像は新しくなってはいるものの、劇中にはこれまで「ハロウィン」シリーズで描かれた恐怖や戦慄の瞬間が、リスペクト的に諸々のシーンでちりばめられています。
そして、この恐怖をさらに掻き立てているものが、俗に「ホラー映画の法則」と呼ばれているもの。
『ハロウィン』同様、80年代頃には『13日の金曜日』『血のバレンタイン』など、殺人鬼を取り扱ったホラー映画もたくさん作られましたが、その中で「バカップルは捨て駒的扱い」、「傲慢な態度の人や怪物を否定する人間は危ない」、さらには「子供は殺されない」など。
まるでどこかで示してあるかのように共通の法則がストーリー展開の中には見られましたが、その展開が分かっていながらも、見るとやはり怖い、ショックだと強烈な印象を残しており、改めてこの作品の深さ、そして同時期に制作された名作ホラー映画の根源が、ここにあったことを感じさせてくれます。
まとめ
一時期、この映画でもちりばめられている「ホラー映画の法則」は笑い話とされる向きもありましたが、本作はあえてこの法則を頑なまでに踏襲。
しかしこの作品では法則が当てはまり「殺される」という瞬間が分かっていながらも、その瞬間を見るとまるで首筋を氷で撫でられるような恐怖を味わうことになります。
それはあくまで恐怖を感じさせるために、練りに練った演出によるもの。
お約束的に見せられながらも感じてしまう恐怖に、つい“やられた”という感覚をおぼえつつも、この法則がまさに「恐怖を本当に怖いと思わせる」ためにある法則であると認識させられることでしょう。
そして第1作が登場して40年、歴史的なホラー大作の区切りにこういった事実が示されるというのは、ある意味ホラーというジャンル、その方式が改めて確立されたことを認識させてくれているようにも感じられます。
思えばこうした方法論は、『ハロウィン』のような連続殺人鬼がテーマの作品だけでなく、モンスターパニック的な作品、SF、ゾンビ映画と様々なジャンルにも適用されており、そんな作品群に大きな影響を与えていることを、改めて感じさせてくれるようでもあります。
一方で今作では、『ハロウィン』の続編である『ハロウィンII』から続いていた、ある意味前作を超えるインパクトを目指した続編作りへのジレンマを一度リセットし「こうしたかった」と当初願っていた続編の作り方を、改めて整理したような印象もあります。
そこには単に「どうやったらみんなが怖がるか?」という安直な指標ではない、映画として、またストーリーとして高いレベルの作品作りを目指した意図も感じられます。
『ハロウィン』をはじめ、正統的なこれらホラー映画を好まれるファンの方はもとより、ホラー映画というジャンルに対し懐疑の念を持たれる方にも、一度見ていただくことをオススメします。
ホラー映画の本当の面白さ、作品としての質の高さなど、本当に楽しめる映画と感じられることでしょう。