Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/04/13
Update

花戦さキャストとあらすじ!原作はある?舞台挨拶や試写会情報も

  • Writer :
  • リョータ

その花僧、大胆不敵なり!

花の力で世直しに挑んだ男の痛快時代劇エンターテインメント『花戦さ』をご紹介します。

映画『花戦さ』の作品情報

【公開】
2017年(日本)

【監督】
篠原哲雄

【キャスト】
野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市、高橋克実、山内圭哉、和田正人、森川葵、吉田栄作、竹下景子

【作品概要】

鬼塚忠さんの同名小説を脚本を担当する森下佳子さんが大胆に脚色し、『真夏のオリオン』で知られる篠原哲雄監督がメガホンを取った時代劇エンターテインメント作品。

初代池坊専好を野村萬斎さんが演じ、豊臣秀吉役に市川猿之助さん、織田信長役に中井貴一さん、前田利家役に佐々木蔵之介さん、千利休役に佐藤浩市さんと、超豪華キャストが名を連ねている。

映画『花戦さ』のキャスト一覧


(C)2017「花戦さ」製作委員会

池坊 専好 / 野村萬斎

狂言方和泉流の能楽師であり俳優でもある野村萬斎さんが狂言以外の作品に初めて出演したのは、1985年の黒沢映画『』。

1994年にはNHK大河ドラマ『花の乱』、1997年にはNHK連続テレビ小説『あぐり』に出演し、純粋に俳優としての高い演技力が評価されました。

おそらく最も印象的だったのは2001年の滝田洋二郎監督の映画『陰陽師』でしょう。この時演じた安倍晴明のイメージが今でも強く残っていますね。

その後も『のぼうの城』(2012)や声優に挑戦した『風立ちぬ』(2013)、さらには『シン・ゴジラ』(2016)でゴジラのモーションアクターを務めるなど、狂言という舞台に限ることなく、幅広く活躍されています。

そんな野村萬斎さんが本作で演じているのは、華道家元三十一世である初代池坊専好(いけのぼう せんこう)。

口下手で人の顔もろくに覚えられず、出世も名誉も興味がないというこの池坊専好を、野村萬斎さんがどのように表現してくれるのか要注目です!

豊臣 秀吉 / 市川 猿之助

2012年6月に二代目市川亀治郎改め、四代目市川猿之助を襲名し、歌舞伎界だけでなく俳優としてもその名を轟かせています。

最初に歌舞伎の世界から飛び出したのは、2007年のNHK大河ドラマ『風林火山』でした。この作品以降多数のドラマ・映画に出演することに。

代表作はNHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010)、映画『天地明察』(2012)や『超高速!参勤交代』(2014)など多数。

そして『花戦さ』で豊臣秀吉役を演じる市川猿之助さん。ちなみにテレビ東京のスペシャルドラマ『寧々〜おんな太閤記』(2009)ですでに秀吉役を経験済みのようですね。

今回はどちらかというとコメディ色の強い作品なだけに、果たしてどのような秀吉像を描いてくれるのか…非常に楽しみです!

織田 信長 / 中井貴一


(C)2017「花戦さ」製作委員会

1981年、松林宗恵監督の映画『連合艦隊』でスクリーンデビューを飾り、いきなり日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した中井貴一さん。

1983年には『父と子』で映画初主演を果たすとともに、TBSの伝説的ドラマ『ふぞろいの林檎たち』でも主演を務めるなど、一気に注目を集めることに。

80年代後半には市川崑監督の『ビルマの竪琴』(1985)、山田洋二監督の『キネマの天地』(1986)、NHK大河ドラマ『武田信玄』などで主演を務め、実力派俳優としての名を轟かせました。

90年代に入ってももちろんその勢いが音得ることはなく、『激動の1750日』(1990)、『四十七人の刺客』(1994)、『愛を乞う人』(1998)、『梟の城』(1999)など、今でも語り継がれる名作には必ずといって良いほど出演しています。

最近でも『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(2010)や『プリンセス・トヨトミ』(2011)、『グッド・モーニングショー』(2016)など、常に第一線で活躍し続けていますね。

本作『花戦さ』では織田信長を演じており、調べてみた所過去には経験していないようなので、数々の名優が演じて来た織田信長という歴史上の人物を中井さんがどう演じているのかに注目していきたいです!

前田 利家 / 佐々木蔵之介

元々舞台役者として活動していた佐々木蔵之介さんが、最初に注目されるようになったのは、2000年のNHK連続テレビ小説『オードリー』

2006年の映画『間宮兄弟』からは主演としても存在感を示すようになり、2008年には『ギラギラ』で連続ドラマでも初主演を飾ることになります(ゴールデン帯において)。

映画界でも堤幸彦監督の『本格科学冒険映画 20世紀少年』の3部作でフクベエ役で強烈なインパクトを残し、2014年の『超高速!参勤交代』では見事第38回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、演技派俳優としての地位を確立しました。

2017年には本作の他にも、『3月のライオン』(前編は3月18日より公開中。後編は4月22日より公開予定)、『美しい星』(2017年5月公開予定)と公開予定作品が続々と控えているという状態ですね。

今回『花戦さ』で佐々木蔵之介さんが演じているのは、加賀藩主・前田利家。豊臣秀吉や織田信長に引けを取らぬくらい人気のある武将だけに、佐々木さんがどう演じているのか…要注目です!

千利休 / 佐藤浩市


(C)2017「花戦さ」製作委員会

名優・三國連太郎さんの息子として、1980年にNHKドラマ『続・続 事件 月の景色』で華々しく主演デビューを飾った佐藤浩市さん。

翌1981年には『青春の門』に出演しブルーリボン賞新人賞を受賞。1986年には『人間の約束で確執が噂されていた父・三國連太郎さんと共演したものの、それほど共演シーンはありませんでした。

その後も『敦煌』(1988)、『GONIN』シリーズ、『あ、春』(1998)など、様々な話題作に出演し、その演技力の高さを見せつけました。

近年でも『愛を積む人』(2015)や『64-ロクヨン-』(2016)などで主演を務め、常に映画界をリードする存在であり続けていますね。

そんな佐藤浩市さんが『花戦さ』で演じているのは、わび茶の大成者であり、“茶聖”と称された千利休。

戦国時代をテーマにした作品に主要人物として登場するのは珍しい千利休は、史実通り秀吉の逆鱗に触れたことにより切腹せざるを得なくなるのですが、果たして佐藤浩市さんがどう演じているのか、非常に興味深いですね!

映画『花戦さ』のあらすじ


(C)2017「花戦さ」製作委員会

1573(天生元)年。

時の天下人である織田信長の居城・岐阜城の座敷を埋めていたのは、竜のごとく天を貫く巨大な松と菖蒲の花。

この花を活けたのは、京都にある頂法寺六角堂の花僧・池坊専好でした。

彼は権力にも名誉にも興味を持たぬ、純粋に生け花を愛する男。

その場に一堂に会していた刃、豊臣秀吉、前田利家、千利休らそうそうたる面々。彼らはこの斬新な生け花に思わず息を呑みます。

なぜならあまりにもこの挑戦的な趣向が信長に受け入れられなければ、専好を待っているのは“死”のみだったからです。

家臣らが緊張で固まる中、扇で膝を叩きながら信長が発したのは…

見事なり!池坊!」という大絶賛の言葉。

すると…突然!ボキっと音を立てて松の枝が折れてしまいます!

皆の背筋を冷や汗が伝う中、専好を救ったのは秀吉の機転の利いた一言でした。

扇ひとつで松の枝を落とすなど、それがしには神業としか思えませぬ

その一言でその場は収まり、これが専好と後に天下を取る秀吉との最初の出会いでした。

12年後 ―

明智光秀に本能寺で討たれた信長に代わって、豊臣秀吉が天下を統一。

一方の専好は、頂法寺の住職として寺を運営する立場になっていました。

しかし、この職務は専好にとっては本意ではなく、花を活ける時間が持てなくなり、そのことで深く落ち込んでいたのです。

ある日、京の町で偶然専好が活けた花を見かけた利休は、彼を探し出し、自らの草庵に招くことにしました。

招待された専好は、草庵で体感した光と音が織り成す、混然一体となったもてなしに感銘を受け、花への思いが漲ってきたのでした。

しばらく後…利休庵を訪れた秀吉は、花が刈り取られた生垣を見て激高。

さらに秀吉を苛立たせたのは、信長の葬儀をを執り行った大徳寺に設置された利休像でした。

秀吉にとっては大徳寺の門をくぐる度に踏みつけられているような気がするとのことで、このことが両者の断絶を決定的なものとしてしまったのです。

この話を前田利家から聞き知った専好は、秀吉に詫びを入れるよう利休を説得するも、彼はこれを拒みました。

そうして、千利休は切腹。

その後しばらくしてから秀吉の息子・鶴松が病死。利休の呪いだという噂が巷に蔓延り、秀吉は関係者を次々に粛正していきます。

このことを見過ごせなかった専好は、「花には、抜いた刀をさやに納めさせる力がある…」と信じ、平和を取り戻そうと秀吉に一世一代の大勝負を仕掛けました!

果たして専好は一体どのような勝負を挑んだのか?!

そして…彼の命運はいかに…?!

映画『花戦さ』原作情報


「花戦さ」(角川文庫)

映画『花戦さ』は、鬼塚忠(おにつか ただし)さんの同名小説を原作としています。

鬼塚忠さんは、1965年生まれ鹿児島県鹿児島市出身の小説家。

大学在学中に世界を渡り歩き、帰国後は南日本新聞で旅行記を連載するなど、紀行作家として当初はデビューしたようです。

その後、著作権エージェントの会社であるアップルシード・エージェンシーを設立。和田裕美さんや赤坂真理さん、小手鞠るいさんら才能豊かな作家を多数発掘。

自身の著作としては、『Little DJ〜小さな恋の物語』、『カルテット!』、『僕たちのプレイボール』などがあり、ここに挙げた3作品は全て映画化されています。

『花戦さ(原題:花いくさ)』は2011年に12月に角川書店から出版されたもので、今回は映画化にあたって脚本を担当した森下佳子さんが大幅に改訂して作り上げた物語となっているのだとか。

ちなみに森下佳子さんは、『世界の中心で愛を叫ぶ』(テレビ版)や『JIN-仁-』、さらには『ごちそうさん』や『天皇の料理番』、そして現在放送中のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』も手掛けている人気脚本家。

大河のような実録の時代物に加え、『JIN-仁-』(マンガ原作)のような歴史フィクションも巧みに実写ドラマ化した森下さんが、今回はどのような改変を加えているのか、非常に興味深い所ですね!

映画『花戦さ』公開はいつから?


(C)2017「花戦さ」製作委員会

映画『花戦さ』の劇場公開は、2017年6月3日(土)より開始するということがすでに決定済です。

劇場情報などは公式サイトで現時点で発表されておりませんが、東映作品ですのでTOHO系列での上映になると思われます。

野村萬斎さんを始め、市川猿之助さんに中井貴一さん、さらには佐々木蔵之介さんや佐藤浩市さんら超超豪華キャストが集結している作品であることを考慮すれば、スクリーン数としては全国規模でなおかつ大々的なものになるに違いありません。

公開期間に関しても同様で、ロングランの可能性もありますが、いかんせん“花”がテーマという所が少し引っ掛かる所ではありますね。

監督を務める篠原哲雄さんは、『命』(2002)や『深呼吸の必要』(2004)、『真夏のオリオン』(2009)などで高評価を得ていますが、時代ものとなると『小川の辺』(2011)くらいかと思われますので、この辺りがどう影響してくるかで、公開期間も大きく変わってくるでしょう。

映画『花戦さ』試写会はある?


(C)2017「花戦さ」製作委員会

※映画『海辺のリア』の試写会は現在の所予定されておりません。発表があり次第、更新してまいります。

まとめ

野村萬斎さんと市川猿之助さんという伝統芸能を代表する2人の俳優がぶつかり合うということで、すでに大きな話題となっている映画『花戦さ』。

さらには中井貴一さん、佐々木蔵之介さん、佐藤浩市さんと、そのどなたが主演を務めてもおかしくないというあまりにも豪華すぎるキャストが集結しており、その演技合戦にも注目が集まっていますね!

そんな大注目の映画『花戦さ』の劇場公開は2017年6月3日(土)より始まります!ぜひ劇場で池坊専好の生き様をご覧ください!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『散り椿』キャストと原作のあらすじネタバレ。劇場版と小説の違いは何か⁈

時代劇映画『散り椿』は、9月28日(金)より全国公開。 直木賞作家、葉室麟の同名小説が原作。監督はこれまで主に撮影技師として数々の映画製作に参画してきた木村大作。 『剣岳 点の記』では日本アカデミー賞 …

ヒューマンドラマ映画

映画『偽りの忠誠 ナチスが愛した女』ネタバレ結末感想とあらすじ解説。原題の意味から読み解く隠されたメッセージ

リリー・ジェームズとジェイ・コートニーが共演の映画『偽りの忠誠 ナチスが愛した女』 第二次世界大戦下のオランダ、ドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム2世が亡命している公邸に、ナチス政権から派遣された一人のドイ …

ヒューマンドラマ映画

映画『HANNORA』あらすじ感想と評価解説。“ロックの伝説”オマージュがバンドの行方と“孤独なお嬢さん”を描く

結局なんかになんねぇと、 自由にはなれねぇってことだろ? 数々の映画祭で評価された明石和之監督による、青春をロックに捧げながらも、独り立ちできない少年(半ノラ)を主人公した映画『HANNORA』。 バ …

ヒューマンドラマ映画

映画『焼肉ドラゴン』あらすじとキャスト。主演の真木よう子の演技力は?

映画『焼肉ドラゴン』は、6月22日(金)より全国ロードショー! 2008年に初演された日本の新国立劇場と、韓国の芸術の殿堂によるコラボ舞台劇「焼肉ドラゴン」。劇作者の鄭義信が自らメガホンを取り映画化! …

ヒューマンドラマ映画

映画『荒野にて』あらすじネタバレ感想。競走馬リーン・オン・ピートと少年チャリーが共に走る理由とは

映画『荒野にて』は、2019年4月12日(金)より、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開。 映画『さざなみ』の監督アンドリュー・ヘイが描く、孤独な少年と孤独な馬の逃避行。 現代社会の過剰な情報と物が …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学