連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第303回
本作『劇情』は、『光る校庭』(2023)の⽐嘉⼀志監督が、原作から脚本や編集までも手掛けた作品です。
夢がなくても、今を⾃分らしく⼀⽣懸命正直に⽣きてさえいればそれでいいのではないか。という、⽐嘉⼀志監督の思いが込められています。
就活がうまくいかずに悩む女子大生の彩がサークル仲間に誘われて、映画作りの手伝いをすることになりました。
彩は、次第に映画作りの中から一つの作品を作る楽しさを知ります。そして、彩はエキストラたちの言葉からある衝撃を受けたのでした……。
映画『劇情』は、2026年9月19日(土)K’s cinema他全国公開です。
映画『劇情』の作品情報

(C)one & be
【日本公開】
2026年(日本映画)
【監督・脚本・編集・原作】
⽐嘉⼀志
【プロデューサー】
⾚峰勇⼀
【出演】
中野歩、⼩林⼤⽃、りゅう(ドンココ)、中野綾琉、佐藤⾥菜 、伊吹空次朗、徳⽥皓⼰、沖⽥ももの、宮下和、内藤⼤助、遼河はるひ
【作品概要】
『光る校庭』(2023)の⽐嘉⼀志監督が、原作、脚本、編集も手掛けて映画『劇情』を作り上げました。
主人公は、将来なりたい自分像がなく、就活で苦労している女子大生井上彩。こんな主人公を中野歩が演じています。
本作は、監督が観た⼈が⾃分らしく⽣きていくための⽀えになれることを目指した作品となっています。
映画『劇情』のあらすじ
⼤学4年⽣の井上彩(22歳)は、現在就職活動中。
しかし“将来なりたい⾃分像”というものが無く、⾯接で聞かれるたびに答えることが出来ずに、苦戦を強いられていました。
そんな頃、⼤学のサークル仲間の⼀⼈が映画を撮るとのことで、その⼿伝いを頼まれてしまいます。
勢いに押されるまま引き受けてしまった彩ですが、撮影現場を⼿伝っているうちに楽しくなってきていると感じていました。
撮影も終盤。クライマックスのシーンでは、多くのエキストラが現場に来ていました。ついエキストラ同⼠の話しに聞き⼊ってしまう彩。
「せっかく出演するなら主役や俳優を⽬指さないでいいんですか?」エキストラは笑いながら「世の中は通⾏⼈がいないとダメなんだよ」と答えます。
それを聞いて、彩は⼼が軽くなるのを感じました。
彩は初めて⾃分と向き合います。そして、自分自身について出した答えとは……。
映画『劇情』の感想と評価
“将来なりたい⾃分像”というものを持たない女子大生の彩は、ことごとく就活に失敗します。
自分の将来を悲観しかけていたころ、サークル仲間の一人から声をかけられて、映画作りを手伝うことになりました。
その後、自分のやりたいことを率先してやっている人たちの生き生きと働く様子を間近で見る彩の心境に、徐々に変化が現れはじめます。
まず、映画作りが楽しいと思えるようになったこと。
そして、率先して自分ができることもあることがわかったこと。
さらに、彩を目覚めさせたのは、メインでなくても脇役も必要なんだと言ったエキストラの言葉でした。
就活の失敗談などの体験がリアルに描かれ、あの頃のことを思い出す人も多いのではないでしょうか。
就活は、夢を叶える第一歩ともとれますが、ここでつまづくと人生が狂ってしまう場合もあります。
⽐嘉⼀志監督は、本作を夢を叶えるサクセスストーリーとしてはいません。
自分らしく精いっぱい生きることが大切と思う監督が、自分の想いを女子大生・彩に託した作品です。
自分らしさに気が付いた彩の清々しい笑顔が印象的な『劇情』で、きっと彩の気持ちや監督の願いは、観客にも届くことでしょう。
まとめ
映画『劇情』は、⽐嘉⼀志監督の‟夢を持つことはとても素晴らしいことだが、⼈から指⽰されて持つものでは決してない”という気持ちが込められた作品です。
観た⼈はおそらく「⾃分の⼈⽣とは何か?」と考えさせられることでしょう。
そんな映画『劇情』は、2026年9月19日(土)K’s cinema他全国公開されます。
就活をする女子大生彩とその仲間たちが繰り広げる映画作りの日々から、主人公の彩は生きる上でとても大切なことを学んでいきます。
夢を追うのが人生ばかりではありません。右往左往する青春から自分らしい生き方を得る人生もいいのではないかと思えることでしょう。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。





















