連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第272回
再開発が進み、変化の絶えない渋谷の街で紡がれる家族の物語を描き出した映画『見はらし世代』。
第78回カンヌ国際映画祭・監督週間に日本人最年少で選出された団塚唯我監督による、新しいスタイルの日本映画です。
本作では、東京・渋谷の町の景観を映し出し、大都会の真ん中で疎遠になりつつある家族の関係を見つめ直す青年の姿を詳細に映し出します。
映画『見はらし世代』は、2025年10月10日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国公開!
映画『見はらし世代』の作品情報

(C)2025 シグロ/レプロエンタテインメント
【日本公開】
2025年(日本映画)
【監督・脚本】
団塚唯我
【企画】
山上徹二郎
【キャスト】
黒崎煌代、遠藤憲一、井川遥、木竜麻生、菊池亜希子、中村蒼、中山慎悟、吉岡睦雄、蘇鈺淳、服部樹咲、石田莉子、荒生凛太郎
【作品概要】
『見はらし世代』は、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で俳優デビューを果たし注目を集めた黒崎煌代の映画初主演作。
文化庁の委託事業である若手映画作家育成プロジェクト「ndjc(New Directions in Japanese Cinema)」で短編『遠くへいきたいわ』を発表した、26歳の団塚唯我監督がオリジナル脚本で手がけました。
2025年5月、第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出。
映画『見はらし世代』のあらすじ

(C)2025 シグロ / レプロエンタテインメント
再開発が進む東京・渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働く寡黙な青年、蓮。
幼い頃に母・由美子が喪失し、ランドスケープデザイナーである父・初と疎遠になっていましたが、姉・恵美とはたまに連絡を取り合いながら、日々を慎ましく暮らしています。
ある日、蓮は配達中に数年ぶりに父に再会してしまいます。姉・恵美にそのことを話しますが、恵美は「私には関係ない」といった様子で、黙々と自分の結婚の準備を進めています。
悶々と日々を過ごしていた蓮ですが、彼はもう一度家族の距離を測り直そうと決心しました。
家族にとって、最後の一夜が始まります……。
映画『見はらし世代』の感想と評価

(C)2025 シグロ / レプロエンタテインメント
26歳の次世代を担う新鋭監督団塚唯我自ら、オリジナル脚本で作り上げた『見はらし世代』。
主人公の青年・蓮と、結婚を控え将来について悩む姉。そして母の喪失をきっかけに姉弟と疎遠になった、ランドスケープデザイナーの父。渋谷の街を舞台に、関係を再び見つめ直そうとする彼らを描き出します。
気になるのは『見はらし世代』というタイトルですが、これは団塚監督の造語だそうです。
監督は『Brand New Landscape』と決まっていた英題から、邦題にしたときに最も良い意訳を考え、「Brand New」の持つ「未使用で真新しい」という意味を、「世代」という言葉に委ねてみたいと思ってつけられたと語りました。
ばらばらになった家族が生活しているのは、再開発が進む渋谷です。姉弟の幼い頃の思い出と対比するように、進化する街並みが描かれ、そこからは明らかに新しい時代を生きる若者の姿が伺えます。
監督が持っていた、家族に対する違和感と都市に対する違和感。
2つの違和感を上手くマッチさせ、疎遠になった家族の様子も表現されています。特にフードコートでの3人の静まり返った気まずい食事風景は、家族の関係性をよく表していました。
フレッシュな魅力で寡黙な主人公を演じる黒崎煌代の好演と、悪役からコミカルなキャラまで幅広い役をこなせる、父親役の実力派・遠藤憲一の存在感が光ります。
まとめ

(C)2025 シグロ / レプロエンタテインメント
26歳の団塚唯我監督による、新しいスタイルの日本映画『見はらし世代』をご紹介しました。
普遍的な家族の風景から、都市の再開発がもたらす影響までを、監督の瑞々しい感性で繊細に描き出された本作です。
疎遠になりながらも、前を向いて新たな道を行こうとする家族。それぞれのその生き方について賛否両論あるでしょうが、精一杯日々を生きる家族の姿を、どうか劇場で見届けてください。
映画『見はらし世代』は、2025年10月10日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。
































