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Entry 2025/06/23
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映画『私は何度も私になる』あらすじ感想と評価考察。監督タン・チュイムイは主演作×長編復帰作でアクション訓練を通じて《自分自身》を取り戻す

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

タン・チュイムイ監督&主演作『私は何度も私になる』は2025年6月28日(土)ポレポレ東中野で先行公開、シネマリス(神保町に開館予定)で開館記念公開!

『タレンタイム~優しい歌』(2009)の名匠ヤスミン・アハマドらとともに、2000年代のマレーシア映画界を牽引した女性監督・タン・チュイムイの長編復帰作『私は何度も私になる』。

出産、離婚を経験し女優を引退したムーン・リーの元に、旧知の監督からアジア版『ボーン・アイデンティティー』の主演を提案されます。

撮影のための特訓が始まり、身体を鍛えていたはずが、いつしか自分自身を見つめ直し始めるムーン・リー。そんな彼女が《己との闘い》の果てに感じたものとは。

初長編作『愛は一切に勝つ』(2006)では、釜山国際映画祭ニュー・カレンツ・アワード及び国際批評家連盟賞を受賞し、第36回ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワードを受賞する快挙を達成したタン監督が、自ら主演を務めた『私は何度も私になる』。

映画人としての監督も重ね合わせ、女性たち、そして映画人に贈る映画になっています。

映画『私は何度も私になる』の作品情報


(C)2022 By Heaven pictures/HK/Cinemago

【日本公開】
2025年(香港・マレーシア合作映画)

【原題】
野蛮人入侵

【監督・脚本】
タン・チュイムイ

【キャスト】
タン・チュイムイ、ピート・テオ、ブロント・パララエ、ジェームス・リー、ニー・ウーイ

【作品概要】
監督・主演のタン・チュイムイは、『タレンタイム~優しい歌』(2009)の名匠ヤスミン・アハマドらとともに、2000年代のマレーシア映画界を牽引した女性監督。

初長編作『愛は一切に勝つ』(2006)で釜山国際映画祭ニュー・カレンツ・アワード及び国際批評家連盟賞を受賞し、第36回ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワードを受賞、第19回東京国際映画祭「アジアの風」部門で「マレーシア新潮流」の一作として上映されました。

10年以上監督業を休業していたタン監督にとって、長編復帰作となった本作。結婚・出産を経験したタン監督が、10年以上の沈黙を経て描く半自伝的作品でもあります。

映画『私は何度も私になる』のあらすじ


(C)2022 By Heaven pictures/HK/Cinemago

出産と離婚を経て引退した女優ムーン・リーの元に、かつて仕事をともにしていた映画監督ロジャー・ウーから復帰作の提案がきます。

それはロジャー曰く、アジア版『ボーン・アイデンティティー』というべき内容のアクション映画。ムーンは、幼い息子をロジャーのアシスタントに預けて、ロー師範のもと過酷な武術の訓練に励みます。

そんな時に、映画のスポンサー側から「ムーンの元夫ジュリアードを相手役として起用したい」という提案がきたと監督に言われます。

武術の訓練を通し、母として、女優としてではなく、個として己を見つめ直したムーンが進む道とは……。

映画『私は何度も私になる』の感想と評価


(C)2022 By Heaven pictures/HK/Cinemago

子育てに追われ、女優を休業していたムーン・リー。さらに離婚をした彼女に、長年共に仕事をしていた監督から、復帰作の話が舞い込みます。

その復帰作とは、マット・デイモン主演の『ボーン・アイデンティティー』(2002)のアジア版というべき新作アクション映画。そのために、武術の特訓をすることになります。

言われるがまま特訓に励む日々。過酷な特訓により身も心も疲弊していきます。

「自分の行き先は分かるか」

特訓を通して自分の身体と向き合い始めたムーン・リーは、母として、女優として、世間から求められる姿、自分自身がこうあるべきだと思っている姿に囚われていたことに気づき始めます。

「自分とは何ですか」

母であり、女優である前に“個”としての自分を取り戻していくムーン・リーの姿は清々しく、希望を感じさせます。

本作は、タン・チュイムイ監督の長編復帰作であり、タン監督が演じた主人公ムーン・リーは、監督自身を投影しているとも言えます。

しかし、それだけではなく、女性の映画人として映画業界の様々なところで闘っている、闘ってきた全ての人々に向けた映画とも言えるのではないでしょうか。その意味で、韓国映画『オマージュ』(2023)にも通じる部分があるでしょう。

『オマージュ』はヒット作に恵まれず「新作を作れないかもしれない」という不安を抱える女性監督・ジワンが、1960年代に活動した女性監督ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の修復プロジェクトの仕事を引き受けます。

修復作業の中で失われたフィルムがあることに気づいたジワンは、失われたフォルムを探して、ホン・ジェウォン監督の足取りを辿っていきます。

女性の社会進出が難しかった時代、働く女性が少なかった映画業界で道を切り拓いてくれた先人たちの思い、そして自分自身を見つめ直していくジワンの姿は、ヒーリングとエンパワーメントを与えてくれるものでした。

映画『私は何度も私になる』も、タン監督が主演も務め、自分を見失っていた主人公が自分を取り戻していく姿を描いています。

同時にそこにあるのは、映画人としての監督の思いです。特訓を通して主人公がたどり着いた道とは。ぜひ劇場でご覧ください。

まとめ


(C)2022 By Heaven pictures/HK/Cinemago

出産、離婚を経て女優を休業していたムーン・リーの元に来た、旧知の監督からの「アジア版『ボーン・アイデンティティー』な新作アクション映画」のオファー。

子育てに追われていたムーン・リーが過酷な武術訓練を通して、己を見つめ直し、自分を取り戻していきます。

女性として、映画人として、10年の沈黙を経て語るタン・チュイムイ監督の思いとは……。

映画『私は何度も私になる』は2025年6月28日(土)ポレポレ東中野で先行公開、シネマリス(神保町に開館予定)で開館記念公開されます!



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