たったひとりの若者が世界中を震撼させた。
米国家安全保障(NSA)がテロ対策として極秘に大量の個人情報を収集していたことを、元外部職員であったエドワード・スノーデンが世界中に暴露した「スノーデン事件」を映画化。
監督は、ハリウッドを代表する社会派監督オリバー・ストーン。米国最大の機密を暴いた男の実話『スノーデン』を紹介します。
映画『スノーデン』の作品情報
【公開】
2016年(アメリカ・ドイツ・フランス合作)
【監督】
オリバー・ストーン
【キャスト】
ジョセフ・ゴードン=レビット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザッカリー・クイント、トム・ウィルキンソン
【作品概要】
『500日 のサマー』『インセプション』『ザ・ウォーク』などにも出演した実力派俳優ジョセフ・ゴードン=レビットが渾身の役作りを魅せてくれました。スノーデン本人の風貌、声色、仕草を完璧なまでに表現しています。
原作は著者ルーク・ハンディングのノンフィクション『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』。
監督は『プラトーン』『7月4日に生まれて』で二度のアカデミー賞監督賞に輝いたオリバー・ストーン。
映画『スノーデン』のあらすじとネタバレ
暴露
2013年某日、香港のとあるホテルにて。
ドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)とイギリスのガーディアン紙の記者グレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)の前にエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レビット)がルービックキューブを持って現れるシーンから物語は始まります。
2人はスノーデンの話を世界中に発信する為に、香港のホテルにやってきたのでした。
その内容とは、スノーデンがこれまで体験し得た、アメリカ政府、NSA、CIAの情報機密の暴露。
スノーデンは自分の身が危険に冒されようとも、これらの情報を世界中に発信しなければならない信念を持っていたのです。
ザ・ヒル
9.11の同時多発テロに危機感を抱き、国家の役に立ちたいと考えたスノーデンは軍隊に志願しました。
しかし特殊部隊の訓練は想像を絶するほど過酷で、足に大怪我を負ったスノーデンは除隊を余儀なくされてしまいます。
国の為、信念の為にスノーデンはCIAの採用試験に合格し、“ザ・ヒル”と呼ばれる訓練センターでサイバー・セキュリティのノウハウを学びます。
そこで持ち前の天才的な頭脳とプログラミング能力の才能を発揮し、厳格な指導教官コービン・オブライアン(リス・エヴァンス)に一目置かれる存在となり、ハンク・フォレスター教官(ニコラス・ケイジ)とも親しくなります。
またプライベートでは、ネットで知り合ったリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)との交際も始まっていました。
監視
“ザ・ヒル”でトップクラスの成績を叩き出したスノーデンはスイスのジュネーブにあるアメリカの国際代表部に派遣されます。
現地でスノーデンが目の当たりにしたのは、一般市民のメール、チャット、SNSからあらゆる情報を収集するNSAの極秘検索システムの存在と、それを利用してテロ活動とは無関係の人物をスパイとして抱き込むCIAの汚い手口でした。
彼女のリンゼイにさえ相談出来ない情報機密。少しづつスノーデンの信念に影が生まれていくのでした。
それから2年が経ち、スノーデンはCIAを辞職し、NSAの契約社員として日本へ異動します。
表向きでは、サイバーテロの防衛技術の指導をし、裏では日本政府や企業の盗聴やハッキングといった任務を課せられていたのでした。
日々憔悴していく中、リンゼイとも衝突をし、リンゼイがアメリカに帰っていってしまうのでした。
日本での業務を終え、アメリカに帰ってからリンゼイとの仲直りをし、再び同棲をした矢先、またしても異動を言い渡されます。場所はハワイ。
リンゼイとの安定した生活を失うことに大きな不安を持ち、心身共に、限界がきてしまったスノーデンは“てんかん”という病に倒れてしまうのでした。
映画『スノーデン』の感想と評価
『シチズンフォー スノーデンの暴露』と比べて決定的に違うのが臨場感です。
ドキュメンタリーのように淡々とストーリーが進むのでなく、本作『スノーデン』では、スノーデン自身の感情が顕著に描かれていて、彼と共に不信感を抱き、共に怒り、共に悲しみ、共に笑えます。
だからこそ、スノーデンの勇気ある行動が報われるエンディング。グッと来ます。すごい事をやってのけます。
専門用語が多くて少し難しめの映画ではありますが、わかりやすく落とし込んで説明してくれて、良い意味で敷居の高い映画ではないと思います。
ルービックキューブの演出やザ・ヒルでの課題のシーン、スノーデンがカメラを拒むシーンなど、場面場面で心が熱くなる、映画的な「観せる」要素も多くあり、上映中は終始惹き込まれます。オリバー・ストーンの才能には脱帽です。
まとめ
国を守るために「どこまで」許されるのか?
情報化社会に加え、マイナンバー制度が導入された昨今、他人事ではなく、現代を生きる私達が考えていかなくてはならないテーマなのではないでしょうか。
文句の付けようがない、おすすめの作品です。