小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が、二宮和也主演で2022年8月11日(木・祝)に映画公開されます。
ある日、庭に旧型ロボットがあらわれて、妻に逃げられたダメ男がロボットの持ち主を探すために、ロボットと共に旅に出るというハートフル物語の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。
2022年度に二宮和也主演で映画化が決定しました。二宮和也は、『硫黄島からの手紙』(2006)『母と暮せば』(2015)や『検察側の罪人』(2018)、『浅田家!』(2020)などの作品に出演して活躍しています。
監督は、『フォルトゥナの瞳』(2019)『きみの瞳(め)が問いかけている』(2020)の三木孝浩。愛され中古の不良品ロボット“タング”に命を吹き込むのは、『STAND BY ME ドラえもん』(2014)『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017)などを手がけてきた、VFXプロダクション「白組」。
はたしてどんなダメダメコンビになるのでしょう。映画化の前に原作小説のネタバレあらすじをご紹介します。
CONTENTS
小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の主な登場人物
【ベン・チェンバーズ】
家にこもりがちな迷える主人公
【アクリッド・タング】
ベンの庭に現れた旧式の箱型ロボット
【エイミー・チェンバーズ】
ベンの妻。法廷弁護士
【リジー・キャッツ】
ヒューストンにある宇宙博物館に勤務する女性
【カトウ・オーバジン】
人口知能を研究するエキスパート
小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』のあらすじとネタバレ
イギリスのある町。
9月の朝、ベン・チェンバーズの家で、妻のエイミーは自宅の庭に一台のロボットがいるのを発見しました。
柵の扉が壊れていたからあのロボットが入り込んだんだと妻に小言を言われるベンは、仕方なく庭のロボットの様子を見にいきました。
塗装もされていない剥き出しの金属ボディにホースを繋げただけの腕と脚で、手はマジックハンドという、ロボットの四角張った典型的な元祖のスタイルでした。
ロボットは「アク・リッド・タング」と「オーガスト」という言葉しか話しません。今が8月で、自らのことをアクリッド・タングと名乗っているとベンは思いました。
「今は9月なんだよ。おまえは、タングという名前なの?」。その日からベンはそのロボットをタングと呼び、気に掛けるようになりました。
何日たってもロボットは庭から出て行こうとしません。
旧型のロボットではなくアンドロイドを自宅に置いてほしいという妻よりも、ベンはタングにばかりかまけるようになります。
就職もせずに親が残した遺産を食いつぶしながら、旧型ロボットの世話に熱中するベンに愛想をつかしたエイミーは、家を出て行きました。
やがてベンは、タングに内蔵されたシリンダーが割れていて、中の液体が減っていることに気付きました。
タングの出生を調べるために、体に彫られた掠れて半分見えない文字を検索すると、製造元がアメリカにあるとわかりました。
ベンは、タングを修理するために彼を連れて、アメリカへと旅立ちます。
アメリカでは、タングの製造元と思われた会社に問い合わせましたが、タングのことを知らないし、修理もできないと言われました。
しかし、そこのゲーム製作担当者が、ヒューストンの博物館に勤めるリジー・キャッツという女性が何か知っているかもしれないと紹介してくれました。
ベンとタングはアリゾナ州ヒューストンへレンタカーを走らせます。途中で“放射線もれ”の街に迷って入ったりしましたが、無事にアリゾナ州のリジ―の元へ辿り着きました。
しかし、リジ―もタングの製造元のことなどわかりません。リジーは、ベンに日本の東京にいる技術者のカトウ・オーバジンを訪ねてみることを勧めました。
東京行の飛行機に搭乗にするとき、ロボットに埋め込むチップの有無を聞かれ、とまどうベンにたいして、タングは「ボク、持っている」と答えます。
いつのまに?と不思議に思うベンですが、タングはベンといられるので嬉しそうでした。
東京に着くと、タングは地下鉄に乗って上機嫌。タングが面白がったのは地下鉄が歌う電車だったからです。
ホテルにチェックインしたベンとタングは、35階の部屋へと案内されました。
窓辺から車の行き交う道を見下ろすベンは、飛行機事故で両親が天国へ旅立った日のことを思い出していました。父の書斎で鳴った固定電話の音をベンは今でも鮮明に覚えています。
切ない思いから逃れるように、東京の街の刺激を求めてカラオケバーに行ったベンでしたが、思いのほか早く酔い出しました。
酷く酔っ払ったベンに、タングに興味を持ったという男性に話しかけられます。
どうして日本へという男性に、ベンはある男性を探してと、これまでの経緯を説明します。すると男性は「僕がカトウ・オーバジンです」と言いました。
翌朝、カトウの事務所をベンとタングは訪れました。カトウにはタングは修理できないそうですが、タングの持ち主と思われるボリンジャーという男のことは、かつての同僚だったと言いました。
カトウとボリンジャーたちは、ロボットの知覚と認識の研究開発を行っていたそうです。その後、研究の途中で事故がおこり、プロジェクトは中止され、口外禁止令に署名させられたと言います。
カトウはボリンジャーが卑劣な臆病者と言いました。何があったのかわからないけれど、タングを直せるのがその男だというのなら、彼の元へ行くしかないのです。
カトウに別れを告げ、ベンはタングを連れてボリンジャーがいるというパラオに向かいます。
小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の感想と評価
親の残した遺産で生活し、家に引きこもるベン。愛する妻もいるのに、自分からは将来のことも仕事のことも何一つ考えようとしない、無気力な男性です。
ある日そんな彼の自宅の庭に四角張った箱型の旧式ロボットがあらわれ、ベンになついてしまいます。
ベンも片言の言葉を話すロボットに次第に愛着が湧き、そんな凹凸コンビに愛想をつかして妻は家を出て行きました。
妻から見放されても、ベンはタングと名付けたロボットが気になって仕方ありません。ついにその持ち主を探しにタングを連れて旅に出ます。
物語の背景は、社会での様々な仕事をアンドロイドやロボットが行うことが当たり前になっている時代。
ただでさえ、型遅れの箱型ロボットは目立つのに、タングは半分壊れかけたようなロボットで、見る人の笑いを誘います。
けれども、その語り口調や失敗しながらも純粋に人と接する態度に好感を覚え、知らず知らずのうちに、このポンコツロボットが可愛らしく思えてきます。
ロボットとダメオ君のコンビといえば、アニメの『ドラえもん』がすぐに頭に浮かびます。未来から来た猫型ロボットのドラえもんは、便利な道具を出すロボットで、まるまるとした容姿もおっとりとした性格も好感度高く、人気を呼びました。
本作のポンコツなロボット・タングにも、紛れもなく人の心を虜にする魅力があります。
小さな子どものように、タングは言葉や社会のルールから、人との生活スタイルを一つ一つ覚えていきます。
覚えたことから自分で判断して、人に迷惑をかけない一人前の行動ができるようにもなります。例えそれが少し的外れであったとしても、真面目に一生懸命に取り組み姿が好感を呼ぶのです。
そんなタングを連れて旅をしているうちに、ベンはタングの保護者として大きく成長していきます。
人もタングも共に成長する……。ロボットへの親愛の情の芽生えと、主人公のベン自身の内面の成長が見事に描かれた作品です。
映画『TANG タング』の見どころ
映画『TANG タング』は、イギリスの作家デボラ・インストールの『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を日本版にアレンジし、実写化した作品です。
二宮和也が扮するのは、ゲーム三昧で妻に捨てられ、無職で人生迷子中の春日井健。
ある日、健の家の庭に、記憶を無くした不良品ロボットが現れます。どこから来たのか、また目的も分からないそのロボットは、自らを“タング”と名乗ります。やがて、この迷子同士たちは、驚きに満ちた壮大な冒険へ旅立つことに……。
タングというロボットを通じて、ダメ人間が社会と向き合う姿を描き出すことになる本作。二宮和也のダメ人間ぶりが今から楽しみです。
また、タングに命を吹き込むのは、最高峰のVFX技術を誇るVFXプロダクション「白組」です。
『STAND BY ME ドラえもん』(2014)や『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017)などでその技術を披露済みですから、邦画実写映画史上、誰も観たことがないクオリティの映像が期待されます。
はたして、二宮和也扮する健とタングは、どのように固い絆で結ばれていくのでしょう。原作通りなのかどうかも、気になります。
映画『TANG タング』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【原作】
デボラ・インストール:『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(訳:松原葉子/小学館文庫)
【脚本】
金子ありさ
【監督】
三木孝浩
【キャスト】
二宮和也
まとめ
小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(デボラ・インストール作 松原葉子 訳 小学館文庫)は、人間とロボットによる心温まる物語。ロボットのタングの可愛らしさもあり、シリーズ化した名作です。
この小説は、ロボットやアンドロイドが日常的に働いている未来の世界が舞台です。日本のアニメ『ドラえもん』と似ている部分は、ロボットと一緒にいる人間がだんだんと成長していくという点でしょう。
ドラえもんは、ダメ人間ののび太を少しでもやる気のある子にするために未来から来て、いつも一緒にいるようになります。
一方、タングの場合は、舞台となる未来のイギリスで偶然がかさなって主人公と出会い、一緒に旅をすることで、主人公はタングと共に育っていきます。
旅の途中で出会う様々な出来事からの2人の成長物語がどのように映像化されるのか、とても楽しみです。
映画『TANG タング』は、2022年8月11日(木・祝)全国ロードショー!。