Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2021/06/01
Update

映画『東京クルド』内容/公開日/上映館。日本で難民申請を続ける青年を5年以上取材したドキュメンタリー

  • Writer :
  • 石井夏子

夢みてしまった。絶望の国で———

日本で生きるふたりのクルド人青年を5年以上取材した、日向史有監督のドキュメンタリー映画『東京クルド』。


(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

映画『東京クルド』が、2021年7月10日(土)より渋谷 シアター・イメージフォーラム、大阪・第七藝術劇場にて緊急公開が決定しました。ほか全国順次公開となります。

あわせて、チラシビジュアル、場面写真、日向監督からのメッセージが解禁されましたのでご紹介します。

映画『東京クルド』について

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

本作で日向監督が追うのは、難民申請を続けるトルコ国籍のクルド人である18歳のオザンと19歳のラマザン。彼らは故郷での迫害を逃れ、小学生のころに日本へやってきました。

2021年5月、入管の収容者に対する非人道的な行為や環境を問題視する世論の高まりを背景に、入管法改正案は事実上、廃案となりました。しかし「難民条約」を批准しながら難民認定率が1%にも満たないという日本の現状に変わりはありません。

5年以上の取材を経て描かれるふたりの若者の青春と「日常」から浮かび上がるのは、救いを求め懸命に生きようとする人びとに対するこの国の差別的な仕打ちです。

かれらの希望を奪っているのは誰か? 救えるのは誰か? スクリーンから問いが投げかけられます。

日向史有監督からのメッセージ

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

2021年、入管法「改正」案が閣議決定され、審議の末に成立は見送りとなった。しかし、私には、今も日本が難民を排除する方向に向かっているとしか思えない。
この原稿を書いている今、ニュースでは収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの続報が伝えられている。だが、なぜ彼女が亡くならねばならなかったのかについては、未だ明らかにされていない。
今回の「改正」案が見送られたからといって、この映画に出演してくれた人たちの置かれている過酷な状況は、何ひとつ変わらない。 今回の映画公開にいたるまでには約5年かかった。少しでも多くの人に、日本で生きるクルド人について知ってもらいたいと思っている。

日向史有監督のプロフィール

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

本作で監督を務めた日向史有(ひゅうが・ふみあり)は、1980年東京都生まれ。

2006年、ドキュメンタリージャパンに入社。東部紛争下のウクライナで徴兵制度に葛藤する若者たちを追った『銃は取るべきか』(2016・NHK BS1)や、在日シリア人難民の家族を1年間記録した『となりのシリア人』(2016・日本テレビ)を制作。

本作『東京クルド』(2021)の短編版『TOKYO KURDS/東京クルド』(2017・20分)で、Tokyo Docsショートドキュメンタリー・ショーケース(2017)優秀賞、Hot Docsカナダ国際ドキュメンタリー映画祭(2018)の正式招待作品に選出。

また、ドホーク国際映画祭(2018)にて上映、DMZ国際ドキュメンタリー映画祭(2019)コンペティション部門にノミネートされました。

テレビ版『TOKYO KURDS/東京クルド』(2018・テレビ朝日・30分)は、ギャラクシー賞(2018)選奨、ATP賞テレビグランプリ(2018)奨励賞。近作に、『村本大輔はなぜテレビから消えたのか?』(2021・BS12)。

映画『東京クルド』の作品情報

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

【日本公開】
2021年(日本映画)

【監督】
日向史有

【撮影】
松村敏行、金沢裕司、鈴木克彦

【編集】
秦岳志

【クルド語翻訳】
チョラク・ワッカス

映画『東京クルド』のあらすじ

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

故郷での迫害を逃れ、小学生のころに日本へやってきたオザン (18歳)とラマザン(19歳)は、難民申請を続けるトルコ国籍のクルド人。

入管の収容を一旦解除される「仮放免許可書」を持つものの、身分は“不法滞在者”です。いつ収容されるか分からない不安を常に感じながら夢を抱き、将来を思い描くふたり。

しかし、住民票もなく、自由に移動することも、働くこともできません。また社会の無理解によって教育の機会からも遠ざけられています。

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

東京入管で事件が起きました。長期収容されていたラマザンの叔父メメット(38歳)が極度の体調不良を訴えたんですが、入管は家族らが呼んだ救急車を2度にわたり拒否。

彼が病院に搬送されたのは30時間後のことでした。在留資格を求める声に、ある入管職員が嘲笑混じりに吐き捨てます。「帰ればいいんだよ。他の国行ってよ」と……。

まとめ

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

2021年5月、入管法改正案は事実上廃案となったものの、日本にやって来た難民たちが置かれている過酷な状況は何ひとつ変わっていません。

差別的な入管法、1%に満たない難民認定率。それでも青春を生きるふたりの青年の物語を、ぜひ劇場で見届けてください。

映画『東京クルド』は、2021年7月10日(土)より渋谷 シアター・イメージフォーラム、大阪・第七藝術劇場にて緊急公開決定。ほか全国順次公開です。

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『横須賀綺譚』感想評価と解説レビュー。タイトルの意味と結末を深読みすることで見えてきたアフターコロナという“日常”

『横須賀綺譚』は、7月11日(土)より新宿K’sシネマにて3週間のレートショー公開。 その後、今夏、神戸元町映画館ほか全国順次公開! 忙しい日常を送る青年、春樹が、東日本大震災で被災し、行方不明になっ …

ヒューマンドラマ映画

花戦さキャストとあらすじ!原作はある?舞台挨拶や試写会情報も

その花僧、大胆不敵なり! 花の力で世直しに挑んだ男の痛快時代劇エンターテインメント『花戦さ』をご紹介します。 CONTENTS映画『花戦さ』の作品情報映画『花戦さ』のキャスト一覧池坊 専好 / 野村萬 …

ヒューマンドラマ映画

映画『天使の欲望』あらすじ感想と評価解説。痴漢狩りを始めたふたりの女子高生の悲劇的な出会いと別れを描く衝撃作

許し合えない少女たちが迎える戦慄の結末 映画美学校フィクション・コース第13期高等科助成金作品。監督・脚本を磯谷渚が務め、痴漢狩りをするふたりの女子高生の欲望が暴走するさまを衝撃的に描きます。 ゆうば …

ヒューマンドラマ映画

映画『タッチ・ミー・ノット』感想レビューと考察解説。マイノリティの人たちに見出す“ありのまま”という心の模様替え

映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』は2020年7月4日(土)に公開予定。 6月6日(土)より先行オンライン公開。 映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』 …

ヒューマンドラマ映画

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生|あらすじと感想【実話】

ドイツで大ヒットを記録した感動の実話を映画化し、笑って沁みて元気になるハートフルなエンターテイメント『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』。 突然、先天性の病気で95%の視覚を失った青年サリー …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学