チャドウィック・ボーズマン主演のクライム・サスペンス!妹の行方を追う、兄の姿を熱演!
Netflix映画『キングのメッセージ』は、2020年8月28日に死去したチャドウィック・ボーズマンが主演するクライム・サスペンス。
妹からのSOSを頼りに、彼女を追う過程で衝撃の展開を迎え、その真相を追う姿を描いた作品です。
妹を追う兄、彼が何者なのか。南アフリカからやってきた男性が、その正体を隠したまま小さな手がかりからおぞましい結末へたどり着く様を、チャドウィック・ボーズマンが勇敢に演じています。
チャドウィック・ボーズマンが亡くなる原因となった大腸がんの病状を抱えながらも、見事に演じた勇ましい姿が必見となる、骨太なダークな世界を舞台に描いたクライム・サスペンスです。
映画『キングのメッセージ』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ・フランス・イギリス・ベルギー合作映画)
【原題】
Message from the King
【脚本】
スティーヴン・コーンウェル、オリヴァー・ブッチャー
【監督】
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
【キャスト】
チャドウィック・ボーズマン、ルーク・エヴァンス、テレサ・パーマー、ナタリー・マルティネス
【作品概要】
ベルギーの映画監督ファブリス・ドゥ・ヴェルツが演出を担当。主演は、『ブラックパンサー』(2018)のチャドウィック・ボーズマン。
ヒロインは、オーストラリア人女優で、現在ではハリウッドを中心に活躍するテレサ・パーマー。『ウォーム・ボディーズ』(2013)など多数作品でもヒロインを務めるなど、実力派の女優。悪役には、ルーク・エヴァンス。ディズニー映画の『美女と野獣』(2017)のガストン役などで知られている、イギリス人俳優。また2016年のトロント国際映画祭でプレミア上映されました。
映画『キングのメッセージ』のあらすじとネタバレ
ジェイコブ・キングは妹からのSOSの電話を受けて、南アフリカのケープタウンからアメリカのロサンゼルスへとやってきました。
滞在予定は、5日間。ジェイコブ・キングは妹を探すため、アメリカへとやってきたのです。
まずは拠点となる安いモーテルにチェックインをし、早速、妹が住んでいたへ向かうジェイコブ・キング。隣人のトリシュに会い、妹を探していることを伝えます。
すると、妹はもういないこと、さらには結婚していて、息子がいると言う事実まで知ります。ジェイコブは、その事実を知りませんでした。
と言うのも、その息子アルマンドは夫の連れ子で妹が連れて出て行きました。妹の夫は、とっくに出て行っており、妹が息子のアルマンドのことを気にかけていたのです。
その日の晩にパーティーがあるからと、誘われるジェイコブ。妹が残して行った荷物をトリシュが持っていた為、それを預かって大家を訪ねます。
大家を訪ねると、妹の夫だった男のひどい話を聞かされます。連れて行かなきゃ追い出していたと言い、ジーコという男に連れていかれたという情報を得るジェイコブ。
ジーコは、地中海の男で危険だという。妹は、今の家にやってきた頃は上品で気立ての良い子だったけど、出ていく頃にはボロボロだったと語る大家。
ジェイコブは心配になり、直ぐにジーコの元を訪ねます。しかし、ジーコはいませんでした。家賃を支払った時に、小切手の住所になっていた洗車場を訪ねましたが、何も収穫はありませんでした。ただ、怪しい男たちが揃っていたのをのぞいては。
手がかりを得られず、ホテルに帰るジェイコブ。妹の荷物を調べると韓国マーケットの袋がある事に気がつきました。
マーケットにて、妹を知らないかと尋ねると、女性は皆韓国語でしか対応してくれませんでしたが、息子らしき男性店員は、英語を喋れるらしく、話を聞いてくれました。
そこで、母親らしき女性は、間髪入れずに話をしています。もちろん韓国語。ジェイコブは男性に何を言っているのかを尋ねると、死体安置所に入ってみったのか…と言っているのでした。
ジェイコブは、戸惑いの表情を見せるもその疑いがあるのだと感じ、死体安置所へと足を運びました。
アフリカ系の女性の遺体を見ていくジェイコブ。すると、とある女性の遺体が、気にかかります。顔は鈍器で殴られていた為、判別はしづらい状態でしたが腕にはとあるタトゥーがありました。
でも、ジェイコブは違うと言います。しかしその後、ジェイコブはゆっくりと泣き崩れてしまいます。
そう、その腕にタトゥーのあった女性の遺体は、ジェイコブの妹だったのです。
ホテルに戻ると、自室は売春専用の部屋に変えたと言われ、別の部屋が用意されていました。そこで、妹の遺品となってしまった荷物を見ていると写真が目につきます。
そこには、先ほど洗車場にいた男が写っていたのです。
おそらく妹の行方や死んでいたことを知っていたはずなのに、嘘をついていたことがわかります。ジェイコブの復讐劇が幕を開けました!
ジェイコブは、外国人渡航者扱いです。当然武器は手に入れることは困難です。
なので、ジェイコブはバイク用の太いチェーンを買って、それを武器にして洗車場でマフィア相手に立ち向かいます。
まずは末端である、洗車場にいるマフィアたちを、やっつけます。妹が殺された理由を、知りたかったのです。しかしそれは上からの指示だったと言われ、携帯を奪ってその場を去るしかありませんでした。
夜、ジェイコブはトリッシュに誘われたパーティーに行きます。そこで、薬の売人の存在を突き止め、トリッシュの携帯からその売人を呼び出します。
妹の夫だったアレックスの影響で、薬に手を出していたことが明らかになり、妹を探していることを伝えるジェイコブは、妹が死んだ理由を尋ねます。
すると、売人は外に出ていき、キングがここにいると電話をしていました。
ギャングの正体を、ようやく掴みました。ジーコのボスは、デューク。彼らの指示で妹は殺されていたのです。
でも、なぜギャングに目をつけられ、殺しの指示を下していたのか、その理由までは掴めません。
その日は調査を打ち切り、レストランで食事を取るジェイコブ。彼の元に、女性が現れます。その女性は、ケリー。
昼間のホテルの、売春婦でした。彼女は、ジェイコブにお礼を言います。「何故?」と、尋ねるジェイコブ、彼女は本番を教養されていたから助かったのだと。
しかしジェイコブは、「それも生活のためだろ?」と、理解を示していました。きっと、ジェイコブが育ってきた環境も、ひどいものだったのかもしれないと、予感させる一幕。
そんな中、彼女と談笑すると2人は自己紹介をし、少しづつ打ち解けていく様が感じ取れました。
翌朝、ジェイコブは、妹の荷物から見つけた名刺、ポール・ウェントワースという人物を訪ねます。その前に、ジェイコブは昨日の女性、ケリーの元を訪れました。彼女の部屋は、ジェイコブの隣。
そこで、荷物を預かって欲しいと、もうひとつ車を借りました。
まず訪れた場所は、トリッシュ。妹の様子を改めて聞きます。すると、ジーコに怯えていたことが判明します。そしてトリッシュに、妹が死んでいることを伝え、その場を去るジェイコブ。
ポール・ウェントワースは、歯医者でした。患者として、その歯科医の元を訪ねると、妹の紹介で来たと伝え、組織に自分の存在をアピールするジェイコブ。
その結果、ポールは動きを見せ、組織の中枢へと動き出します。ジェイコブはそれを狙って、ポールの後を尾行しました。
たどり着いたところは豪邸。妹が殺された真相には、おぞましい真実が隠されていたのです。
映画『キングのメッセージ』の感想と評価
チャドウィック・ボーズマンの勇姿が見れる映画として、骨太なアクション・ミステリーとなっている本作。
この映画を100%楽しむには、単なるミステリーでは片付けるにはあまりにも簡単すぎるほど、この映画の背景は複雑にできています。
まず、この映画で描かれている、黒幕であるマイク・プレストンの性的指向には、アメリカでまことしやかにささやかれている都市伝説が関係しています。
これは、政治的背景にも直結する話で、現在アメリカでは”Q”という謎の人物が取り立たされています。
この”Q”を支持する活動をQアノンと言いいます。
Qアノンとは、具体的にここでは言いませんが、Twitterでは”Qアノン”に関するツイートができなくなっているなど、非常にセンシティブな話題なのです。
その”Q”が提唱しているある出来事が、この映画にも関係するのです。アメリカのエンタメ業界の裏では、小児性愛者が権力を持っており、彼らが大きな影響力を有していると。
そしてそれを阻止すべく戦っているのがドナルド・トランプであるという、政治的背景が存在し一部では指示を得ているのです。
この映画『キングのメッセージ』では、そんなアメリカの政治的背景をベースに物語が作られています。
しかしこの事実は、あくまで都市伝説。アメリカではこういったことに多くの関心がされているので、一般的ないち意見として認知されていますが、我々日本人にしてみれば、都市伝説でしかありません。
そんな背景に賛同するのか、黒人であるチャドウィック・ボーズマンが主演しているというのも、何か匂わせるものを感じてしまいます。
とはいえ、そんなアメリカの背景なんて知らなくても、この映画は骨太なミステリーとして小さな手掛かりから巨悪へと近づいていく様を楽しめる作品です。
見れば見るほどに、惜しい人を亡くしてしまった…と、感じてしまいます。
まとめ
映画『キングのメッセージ』は、妹を亡くしてしまった兄が、自責の念を感じその復讐を遂げるという作品です。
チャドウィック・ボーズマンのシリアスな演技が白眉とも癒えるもので、勇敢な姿がとても格好いいストーリーになっています。
しかし、これはチャドウィック・ボーズマンが兄弟、さしては家族の愛を伝えるべく、彼のメッセージだったのかもしれません。
妹のことを思うキングの姿は、それこそチャドウィック・ボーズマンが家族を想う姿を感じさせるような、愛のある表情に見入ってしまいます。
この映画『キングのメッセージ』は、そんな家族への想い、贖罪を行う様を彼の姿に捉えて、メッセージとしたものだったのかもしれません。