雨と街と人と出会いとノスタルジック。そんな魅力が詰まった映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』
ウディ・アレン監督による、魅力的にニューヨークの街を描くハートフルラブストーリー『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』。
雨の日のニューヨーク・マンハッタン。あるひと組のカップルが、それぞれに過ごす1日。人生って中々、思い通りにはいかない。そんな日に限って、人生を左右する出来事が起きます。
雨と街と人と出会いとノスタルジック。この映画の魅力あふれる味わい深さを、魅力的に解説します。
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は2020年7月3日(金)から全国公開中!
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【脚本・監督】
ウディ・アレン
【キャスト】
ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ
【作品概要】
ベテラン映画監督ウディ・アレンによる、ニューヨークの情景がとても情緒あふれる恋愛映画。主演は『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』など、グレタ・ガーウィグ作品で常連のティモシー・シャラメ。
その他、「マレフィセント」シリーズで、プリンセスを演じるエル・ファニング、Netflixドラマ『13の理由』で製作総指揮を務めているセレーナ・ゴメスの出演も。その他では、『キャプテン・マーベル』など幅広く活躍するジュード・ロウなど、豪華出演陣が話題となっています。
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のあらすじとネタバレ
大学生のギャツビーは、母親の社交気取りの教育に嫌気がし、田舎のヤードレー大学に通っています。大学生活では、ギャツビーには大切な彼女がいました。彼女の名前は、アシュレー。
ギャツビーはニューヨークのマンハッタンで生まれ育った、都会っ子。田舎の大学でも楽しく過ごせたのは、アシュレーのおかげです。
そんなアシュレーは、学校の課題で憧れの映画監督、ローランド・ポラードにインタビューするアポイントメントが取れます。興奮した面持ちでギャツビーの元に現れるアシュレーは、ニューヨークに行ける喜びを伝えます。
ギャツビーは、ポーカーで3万ドル勝っていたので、アシュレーを地元のニューヨークを案内して甘い週末を過ごせるだろうと、一緒に行くことにしました。
アシュレーはアリゾナの銀行頭取の娘で、将来はジャーナリスト志望。とても明るいいい娘だというのは、見ていても明らかな女性でした。
ギャツビーにはこの週末、母親の誕生日パーティーがあり、もちろん参加しなければいけませんでしたが、大学の行事で断っています。内緒にしてニューヨークに行くことにします。
母親主催のパーティーには、出たくないギャツビーでした。
ニューヨーク。アシュレーはまずは取材に行きます。ギャツビーは取材後に落ち合おうと、地元を歩いて散策します。
アシュレーは、ローランド・ポラードに取材をします。映画の話を熱狂的に話すのですが、ポラードは映画の話ではなくアシュレーの話ばかり。アシュレーに興味を持ったことが分かります。
すると、新作の試写があるから一緒に見るかい? と誘われます。もちろんアシュレーは二つ返事でOKします。一旦彼氏に約束を遅らせることを伝え、その後に行きましょうと、伝えました。
ギャツビーは、アシュレーと別れた後、歩いていると同級生に遭遇。
大学の課題で短編映画を撮っているらしく、撮影に参加してくれと頼まれます。車に乗ってエキストラでいいと言われるのですが、キスシーンがあるのだという。
動揺するギャツビー、相手役はチャン・ティレル。ギャツビーの、昔付き合っていた女性の妹でした。懐かしんで話していると、撮影開始。キスを交わします。
キスをするときに、チャンの提案でどうせするなら情熱的な本気のキスをやろう、という提案をしていました。しかしギャツビーは面食らって、口を閉じたまましてしまいます。
ぎこちないキスに、不甲斐ない部分を見せてしまったギャツビーでした。しかしそこにはもちろん、アシュレーへの罪悪感もあったのです。
一方そのアシュレーはというと、試写室にいました。映画を観ていると、ポラードがこの映画はダメだと言い、試写室を飛び出してしまいます。脚本家のテッド・ダヴィドフと共に、タクシーを拾いポラードを追いかけることに。
その道すがら、脚本家のダヴィドフの奥さんを発見しました。それは浮気の現場でした。ダヴィドフは、奥さんが出てくるのを待ち、問い詰めました。
アシュレーもその様子をタクシーから眺めていましたが、仲裁に入ります。しかし夫婦の問題だと言われ、ポラードをひとり追いかけることになり、タクシーでスタジオに向かいます。
土砂降りの雨。ギャツビーはタクシーに乗ることにしました。するとそこに、先ほどのチャンがやってきます。ほぼ同時でしたが、相乗りして行くことにする2人。
ギャツビーは近代美術館(MOMA)で、アシュレーと落ち合う予定でしたが、その予定もなくなってしまいました。
チャンは、ギャツビーとはウマが合いません。言い合いをしています。しかし、なんだかんだとギャツビーの時間潰しに美術館へと付き合ってくれたり、2人の時間を過ごしていきました。
実は幼少期の頃、チャンはギャツビーに想いを寄せていたことが分かります。
そんな時、美術館で親戚とばったり会ってしまうギャツビー。結果として、母親主催のパーティーに出席することになってしまいます。
一方、アシュレーはスタジオに向かったと思われるポラードを追いかけ、到着します。スタジオでは、人気俳優でプレイボーイとして名高いフランシスコ・ヴェガと遭遇。
ポラードを探していると言うと、あれよあれよのうちに、ヴェガと食事にいくことになってしまいます。すると、彼と一緒にいるところを大勢に記者や取材陣に囲まれ、パパラッチされてしまいました。
ヴェガと食事をして浮かれていたアシュレーは、お酒が進んでどんどん飲んでしまいます。
美術館をあとにし、雨でびしょ濡れになった2人は、チャンの家に。ギャツビーはチャンの姉と付き合っているときに何度も来たことがある家で、懐かしんでいました。
ピアノを弾く、ギャツビー。その光景に2人の時間が過ぎていくチャンとギャツビーでしたがふとテレビに目をやると、ポラードと取材しているはずのアシュレーが、フランシスコ・ヴェガと一緒にいるところをニュースで目撃してしまいます。
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』感想と評価
この映画は普通に観れば、ただのラブコメ作品です。古い映画の様に、とあるカップルがすれ違っていく様を淡々と描いたもの。
エル・ファニングの底抜けに浮かれている様子も、とても滑稽に見えてくるでしょう。白眉といえるのは、ティモシー・シャラメ。
彼は、何をしていても様になります。きっと何をしても似合ってしまう。ただし“イケメン”に限る…の“イケメン”なのですから……。
でもそんなティモシー・シャラメの魅力を十二分に引き出しているのは、まさしく、ニューヨークの風景なのです。
序盤に登場する、ギャツビーが同級生と再会し、チャンと出会う短編映画のロケ地になっている裏路地。
一見、映画のセットに見えるかの様な通りは、ミネッタ・ストリート。アシュレーが、ダヴィドフと共にタクシーを拾うのはノース・ムーア・ストリートだったりと、ニューヨークのおしゃれなストリートがたくさん出てくる作品です。
この映画を見るだけで、ニューヨークに行きたくなるような……。せめてそんな気分が味わえるように、明日の朝はカフェのテラス席で朝食を食べよう! と、ちょっとよそ行きの気分になれる、ほんの少しの贅沢を楽しめる様な映画です。
まとめ
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、正直ハリウッドでは、様々な事柄の影響で無期限上映禁止となっている作品です。事実、監督のウディ・アレンは、過去の行いを糾弾されていました。
その結果、出演者たちは、この映画から収入を受け取ることを拒否し、寄付に回している人も多いとされています。
しかし、何があっても悪いのは人であり、完成した映画は悪くありません。アメリカでの上映がないので、この作品の評価も低くなることは間違いないでしょう。
ただ、一つ言いたいことは、その色眼鏡をなくして、この映画を楽しんで観て欲しいと言うこと。
だって、あんなにおしゃれに映るニューヨーク、滑稽なアシュレー、とっぽいギャツビー、日常をこんなに愛らしく切り取った映画は、まさしくウディ・アレンだからこそ成せる技。
まずはは是非とも、偏見を持たずに映画として楽しんで欲しい作品です。