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Entry 2020/08/27
Update

Netflix韓国ドラマ『梨泰院クラス』ネタバレ感想とあらすじ考察。恋愛・復讐・経営という3つの物語が一方通行の恋愛模様を含んで展開

  • Writer :
  • ゆきむらゆきお

恋愛・復讐・サクセス、3要素が秀逸な韓国ドラマ『梨泰院クラス』

Netflixで配信されている韓国ドラマ『梨泰院クラス』。韓国のケーブルテレビ局で放映されていた連続ドラマです。

主演は、映画『パラサイト 半地下の家族』にも出演していたパク・ソジュンです。ヒロインとなる女性の主人公は、新鋭の女優キム・ダミが抜擢。韓国らしい、社会派復讐劇に恋愛要素を巧みに盛り込み反響をよんだ本作を、徹底解明! 
 

韓国ドラマ『梨泰院クラス』の作品情報

 

【配信】
2020年(韓国ドラマ)
 
【原作】
チョ・クァンジン作ウェブ漫画『梨泰院クラス』
 
【演出】
 キム・ソンユン
 
【キャスト】
パク・ソジュン、キム・ダミ、ユ・ジェミョン、クォン・ナラ
 
【作品概要】
2020年1月31日から3月21日まで3ヶ月間韓国のケーブルテレビで放送された連続ドラマです。ケーブルテレビながら高視聴率を獲得し、大人気となっている作品。日本ではNetflixで独占配信されており、瞬く間に人気ドラマとなりトレンドに。

主演は、『パラサイト 半地下の家族』で主人公一家に仕事を紹介したミニョク役を演じたパク・ソジュン。ヒロインとなるキム・ダミは、今韓国で最もホットな新鋭女優。そんな2人をベースに展開する、一方通行な恋愛模様が見どころです。ドラマは、1話およそ1時間で全16話で構成。


 

韓国ドラマ『梨泰院クラス』のあらすじとネタバレ

(c) JTBC

時は15年前。高校生のパク・セロイの夢は警察官で、馴れ合いはせず常に1人でいます。警察学校のテストにも受かり、正義感も強く、父親の仕事の影響で転校します。

パク・セロイの父親は、韓国の外食産業No.1企業”長家”(チャンガ)に務めるパク部長。部下からの信頼も厚い。

パク部長は、養護施設へ仕事として通いつつも、気にかけています。その施設の女の子、オ・スアは自分の子供の様に面倒を見ていました。

オ・スアもパク部長は、自分の父親の様に慕っていたのです。そこにパク・セロイも父親に付き合って共に尋ねると、オ・スアと出会いました。

2人は駅のホームで出会っており、スアはホームレスの手を払うなど冷たい対応をしていました。一方で、パク・セロイはそのホームレスの手を取り親切にしており、根本的に2人は真逆の性格でした。

最初は、スアとセロイは犬猿の仲でしたが、ある時を境にセロイは彼女のことを一目置く様になっていきます。そしていつしかその気持ちは、恋心へと変わっていきました。

パク・セロイの転校先では、チャン・グンウォンがいました。彼は、父親が務めている会社チャンガの会長の息子で、学校では傍若無人の態度で特別扱いを受け、校内暴力も当たり前だったのです。

しかしチャンガの会長の息子というだけで、みんな見て見ぬふりをしていました。

パク・セロイはの夢は警察官。そんなことを見過ごすわけもできずに、チャン・グンウォンを殴ってしまいました。

そして、両家の父親が呼ばれます。

チャンガの会長、チャン・デヒは、パク・セロイに息子に土下座をすれば許すと言います。しかし、いじめを止めただけで、悪いことはしていないというセロイはその申し出を固辞します。

すると、セロイの父親のパク部長は、会社を辞めてまで息子を守ります。セロイは涙を流すも父親の勇敢な姿にただただその顔をしかめるしかありません。

居酒屋で父親と盃を交わす、パク・セロイ。父親に教わった初めてのお酒の味、それはとても甘かったのです。

チャンガを辞めても、兼ねてからの夢だった、自分お店を出すお金くらいはあると、息子に心配させまいと優しい一面を見せました。

父親と一緒に、開店準備を進めるパク・セロイ。そんな日常がとても幸せだったのです。

しかしある時、父親と約束していたのに、その場に現れませんでした。父親は事故に遭い死んでしまったからです。

葬式で犯人が見つかりますが、監視カメラに映った車は、チャン・グンウォンが乗っていた車種だったのです。

しかし犯人は、全く別のおじさん。要するにチャンガの会長チャン・デヒによって身代わりを作られたのでした。

パク・セロイは、グンウォンを探します。病院にやってくると、グンウォンを見つけ、半殺しにしてしまいます。

大きな石をつかんで殺そうとするも、駆けつけた警察に止められ、パク・セロイはスアの説得によって踏みとどまりました。

明らかな殺意があったとして、パク・セロイは3年の禁固刑となってしまいます。刑務所で3年を過ごした彼は会社のチャンガに、チャン・グンウォンとチャン・デヒに、復讐を誓うのでした。

なぜなら、チャン・デヒが面会にやってくると、息子を殴ったことを根に持っており、土下座をしたら許してやると、パク・セロイに再度言っていたからです。

その言葉を聞いたパク・セロイは激昂し、「父親を殺したのだから、土下座をするのはそっちだろ!」と、怒りをあらわにします。

出所してから7年、パク・セロイは梨泰院にお店をオープンさせていました。

梨泰院は、オ・スアからの手紙で興味が持ち出所後に行った街。そこでスアと再会して一晩過ごし、居心地の良さを感じていたのです。

チョ・イソは、高校生の女の子。IQも高く、成績優秀でスポーツ万能。その頭脳を生かしてSNSを中心に活躍するインフルエンサー。しかも腕っ節も強い。

しかし、その賢さゆえにすでに達観しており、人生にどこか希望を持たずにあきらめかけていました。

そんなチョ・イソは、梨泰院でパク・セロイと出会います。学校のいじめっ子の校内暴力をSNSに投稿し炎上させ、退学に追いやっていました。

その腹いせに母親が殴り込みにきて、イソを殴ろうとした時にセロイが通りかかり抑制します。しかしイソはカウンターと言い、その母親を殴ってしまうのでした。

パク・セロイと、チョ・イソはお互いに煙たい最悪な出会いを果たすのでした。

パク・セロイが梨泰院で経営する居酒屋は、「タンバム」。シェフは、ヒョニ。ホールはスングォン。しかしお店は閑古鳥。

しかしひょんなことから、チョ・イソとその友達であるチャン・グンスが入ります。

チョ・イソは、半ば強引に「タンバム」のマネージャーに就任すると、その賢さとインフルエンサーである自身の地位をフル活用し瞬く間にお店を繁盛させるのでした。

「タンバム」が繁盛し始めると、黙っていないのはチャンガの会長、チャン・デヒ。

パク・セロイを目の敵にしており、妨害工作を始めます。そしてパク・セロイが思いを寄せる女性オ・スアも、会長からの肝いりで室長というポストにいました。

パク・セロイは、チャンガを韓国No.1の外食企業からの陥落を狙っています。その野望が、近づけば近づくほど、チャンガからの妨害も強くなっていきます。

そしてついに、お店が営業できないまでの窮地に陥ってしまうのです。「タンバム」が入ってるテナントビルを、チャンガが買い取りました。

以下、ネタバレ・結末の記載がございます。『梨泰院クラス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

パク・セロイは誰にも言っていない秘密がありました。

彼は、高校時代チャン・グンウォンにいじめられていたイ・ホジンとチャンガの株を所有し暗躍していたのです。

そのお金は、父親の保険金でした。そのお金を使い、チャンガの手にかからない様に自社ビルを購入し、「タンバム」を移転させてしまうのです。

移転先でも、寂れていた通りを真心込めて対応し見事に復活させ、お店だけではなく、通りごと盛り上げていきます。

そして自社ビルも持つことになり、パク・セロイたち「タンバム」の面々は法人化することにしました。

社名は梨泰院クラスの頭文字をとって、”ic”。株式会社icとして、新規一転新たな「タンバム」をスタートさせるのでした。

一方、チョ・イソは持ち前の若さとパク・セロイと出会ってからつまらなかった世界が、面白い世界になり、この人についていくと決めて、半ば強引にやってきていました。

利益優先のマネージメントをする度に、パク・セロイと揉めるイソ。そして揉めれば揉めるほど、セロイのやり方が非合理的であっても結果に繋がっていき、彼のそのやり方だからこそ、この人を好きになっている自分がいると認めていきます。

そして、自分も気持ちを隠さずに、パク・セロイにぶつけていきます。しかし彼には、ずっと思っている女性がいました。オ・スアです。

現在はチャンガに務めているので、イソにとってもセロイにとっても、「タンバム」にとっても敵であるスア。

しかしスアは、頻繁にタンバムにきてはみんなと溶け込んでいました。イソ以外は。

イソにとっては恋敵であり、セロイにとっても敵の企業にいる人物です。イソはそんなスアのことが嫌いでしたが、反対に、自分にはできない、感情をそのままぶつけてくるイソのことを気に入っていたスア。

イソ→セロイ→スアという一方通行の恋は、どこまでも続いていきます。

スアはセロイに、好きにならないで、と伝えます。そしてセロイもイソに好きにならないでくれと伝えます。

しかしお互いに相手への想いは、あきらめません。

チャンガの会長チャン・デヒは、ついにイソへと触手を伸ばします。彼女をヘッド・ハンティングするのです。

チャン・デヒの側近の室長は、彼の息子であり現在は常務のチャン・グンウォンにその仕事を任せます。

すると、イソはグンウォンにセロイの父親を車で引いた事実を自白させ、その証言を録音することに成功し、ついに復讐のひとつを果たすのでした。

グンウォンは、刑務所に7年の禁固刑となるのでした。

4年後…セロイたち”ic”は韓国でも指折りの大企業へと成長しています。”ic”は、韓国から世界に飛び出し中国などに進出し、チャンガとは違う独自の路線で、会社を大企業へと躍進させていました。

一方チャンガは、セロイたちが暗躍しグンウォンが逮捕された時に、会長のチャン・デヒを辞任に追い込むために動いていましたが、それをくぐり抜け、業界1位の座を守っていました。

しかし、チャンガは衝撃の展開を迎えます。これまで圧倒的な独裁で会社を発展させてきたチャン・デヒがガンで余命宣告を受けてしまうのです。

セロイの金銭面の管理をしている同級生のイ・ホジンは、その情報をパク・セロイにリークします。そして、これを機にセロイは、一気に業界1位の座をチャンガから奪い取るために、さらなる戦略を講じます。

それは、会長の後継者任命に割り込むこと。そのために筆頭株主たちの説得に回り、チャンガの経営陣を自分達で牛耳るために様々な策を立て、イソと共に動き始めます。

そして万全の準備をして株主総会に臨もうとした時、それまで無理していたイソが過労で倒れてしまいました。

さらに事態は急変します。

グンウォンが、模範囚だったので早めに出所しており、ついに行動を起こすのです。病院にいるイソを拉致し、パク・セロイを始末するべくついに勝負をかけるのです。

パク・セロイは、それまでイソのことを大事な妹であり、パートナーとしてあくまで1番大事な仲間の1人として扱ってきました。

しかし、それはいつしか恋心に変わっていきます。その自分の本当の想いに気がついたセロイは、イソを助けにグンウォンの元に向かうのですが、イソに好意を寄せるチャン・グンスも、彼の後を追います。

チャン・グンスはかつて「タンバム」で働いていました。イソに言われてチャンガを継ぐための決意をし、父親のチャン・デヒの元に行っていた人物です。グンウォンとは異母兄弟となります。

セロイの後を追って、兄の元にいくグンス。そこで、衝撃の展開!

パク・セロイが車に轢かれて瀕死状態。グンスも拉致られて、イソと共に監禁されてしまいました。

捕まる前にグンスが警察に通報していたので、パク・セロイは一命を取り留めます。

意識を失う中で、父親と再会するセロイ。しかし父親と一緒に行く訳にはいきません。セロイは、イソと一緒に過ごすために、彼女を助けに行くことに!

グンウォンの元に向かうため、その居所を知るチャン・デヒの元に向かいます。チャン・デヒは、居所を知りたければ土下座をしろ、と言います。

ひざまずくパク・セロイ。しかしセロイは失望しました。なぜなら、セロイにとってチャン・デヒは、敵であると共にライバルであり、尊敬する人だったのです。

それはパク・セロイが刑務所にいる時に熟読したのは、チャン・デヒが執筆した経営の本だったからです。セロイはその時に彼のことを尊敬していました。

ただ、それは経営のやり方を学んだことであって、やり方は真逆でした。パク・セロイはチャンガのやり方を反面教師として真逆のやり方で”ic”を発展させていたのです。

セロイは、負けを認めさせる土下座をこんな結果でやらせたことに失望します。仕事で負けを認めさすわけではなく、イソを救うための土下座ならば、セロイにとってはたやすいことでした。

居場所を知ると、急いで向かいようやくイソと合流します。グンウォンと決着をつけ、ついにこの騒動が終わりを迎えました。

この事態の最中、オ・スアは内部告発をしました。チャン・デヒのこれまでの悪事を記録したものを公表したのです。

これを受けて、チャンガは完全に没落。株価も下がり立て直すのも不可能なほどに落ちてしまいます。

そこを狙って、セロイはチャンガを買収し、完全勝利となりました。

チャン・デヒは全てを奪われ、パク・セロイの元に訪れます。

パク・セロイは、豆腐チゲを作って振る舞います。それは、チャンガが反映してきた味でした。そう、近年のチャンガの味は、セロイの父親パク部長によるものだったのです。

そして、全てを奪われたチャン・デヒは、敗北を認めパク・セロイに向けて土下座をして謝罪。完全敗北を認めました。

オ・スアは、新しいお店をオープンさせています。チャン・グンスはアメリカにいくことを決めました。それぞれに自分の道を歩み始める皆。

パク・セロイは、仲間を大切に、人を大事にしてチャンガを新しく生まれ変わることを決意表明しています。

そして、イソと2人、これまでは苦い日々だった人生を、これからの毎日が甘くなることを願い、特別じゃない普通の1日の大切さをも身にしみて感じていました。

韓国ドラマ『梨泰院クラス』の感想と評価

このドラマは、主軸となるストーリーが3つほど存在するので、どのジャンルを重点的に置いてみるのか……という部分でも、見方が変わってきます。老若男女楽しめるのが大きくヒットした一因でしょう。

キーワード①「恋愛」

1つ目は、恋愛です。これまでは泥沼化していくような三角関係的な恋愛が多かったのですが、本作では、完全な一方通行の恋がラストまで続きます。グンスがイソを、イソがセロイを、セロイがスアを。この一方通行の恋が、見ていてとてももどかしい。

主人公2人の恋模様は特に、所々に胸キュンポイントも用意されていて、前のめりになりながら見てしまうことでしょう。

キーワード②「復讐劇」

2つ目は、もちろんこの物語の本線ともいうべき復讐劇になります。これはもはや、日本の半沢直樹がヒットしていることからも、人間はこういった話が大好きです。

そしてこの復讐劇の舞台を飲食業界として、多くの人が身近に感じる業界を扱っているというのも、興味深い点です。

父親を殺されたパク・セロイが、いかにして復讐を遂げるのか。その過程を徹底的に邪魔するチャンガ、という構図は、このドラマに緊張感をもたらす存在となっています。

キーワード③「経営」

そして3つ目は、居酒屋「タンバム」のサクセスストーリー。この物語の梨泰院というのは、地名です。

日本では六本木のような、国際的な土地。地価も高いこの場所でスタートを切ったものの、商売はうまくいかない。

ここから如何にして、パク・セロイたち居酒屋「タンバム」の面々は這い上がっていくのか…その成り上がりストーリーも見どころです。

さらには、居酒屋「タンバム」の従業員たちそれぞれにも、主役となるエピソードがしっかり用意されているので、メインキャラクターたちにもしっかり感情移入できる点なども、非常に好感度が高い作品です。

そしてこの『梨泰院クラス』は漫画が原作になっているということ。ちなみに、日本では”ピッコマ”というアプリで、「六本木クラス」というタイトルで日本向けにローカライズされて掲載されています。

漫画では、とても簡素にストーリーが展開しており、原作に登場するほとんどのエピソードはドラマの中でしっかりと描いています。

むしろ、漫画では描き切れていない部分をドラマではちゃんと補完していることも、よりヒットに繋がっている要因かも。事実、冒頭だけでパク・セロイがどういう人間か、ドラマではしっかり人物描写をしています。

これは、原作漫画では引越しの場面からスタートするので、パク・セロイという青年に関して情報不足なのです。

ウェブ漫画が原作という、新しい形での実写ドラマ化となる『梨泰院クラス』は、これからの時代を表す新たな形の作品として、現在でもNetflixから世界に大きな発展と影響をもたらしています。

まとめ

(c)JTBC
韓国ドラマ『梨泰院クラス』は、『パラサイト 半地下の家族』同様にドラマでも大きなインパクトを与えている作品です。

特にこのドラマのヒロインを務めた、チョ・イソ役のキム・ダミは作品選びに非常に慎重になっていました。彼女は、韓国で大ヒットした映画『The Witch/魔女 −第1部 転覆−』の主演で広く知れ渡るようになった女優です。

このヒットから、一気に売れて『梨泰院クラス』のヒロインに、というわけではありません。

キム・ダミは、しっかり女優として活動し続けていくために、自身の出演作に慎重になっていました。なので、話題になった前回の出演から2年も出演作の間隔が空いています。

話題の女優になったのに、2年明けて出演した本作『梨泰院クラス』は、やはり注目度も一気に高まっています。新人女優の域を出ないキム・ダヒの注目は計り知れないものだったのです。

そのキム・ダヒの相手役で本作の主人公を演じたパク・ソジュンも、これまでのイメージを一新する役柄となり話題となっているのです。

2020年は韓国エンターテイメント界の勢いが遂に世界中に飛び火し、この勢いはまだまだ今後もっと増して行くことを予感させる、そんなきっかけを作ったかも知れない作品が、この『梨泰院クラス』なのかも知れません


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