映画『アントラム/史上最も呪われた映画』は2020年2月7日より公開。
1979年に製作され、関わる者が次々と命を落とす呪われた映画『アントラム』。
1993年に行方不明になったこの作品を入手した、2人のドキュメンタリー作家が、呪われた映画の真相に迫るドキュメンタリー映画『アントラム/史上最も呪われた映画』。
呪われた映画に隠された、真実に迫る本作の内容をご紹介します。
映画『アントラム/史上最も呪われた映画』の作品情報
【日本公開】
2020年(カナダ映画)
【原題】
Antrum: The Deadliest Film Ever Made
【監督・製作】
マイケル・ライシーニ、デビッド・アミト
【キャスト】
ニコール・トンプキン、ローワン・スミス、サーカス=サレフスキ、ダン・イストラーテ、シュウ・サキモト、クリステル・エリング
【作品概要】
1979年に製作されたと言われる、カルト映画『アントラム』。
その内容は「幼い姉弟が地獄の扉を開く」という事以外は不明でしたが、ドキュメンタリー作家のマイケル・ライシーニとデヴィッド・アミトが、行方不明になっていた『アントラム』の35ミリ・フィルムを入手。
関係者の証言を交えながら、呪われた映画の本編を公開します。
映画『アントラム/史上最も呪われた映画』のあらすじとネタバレ
1979年に製作された映画『アントラム』。
この作品を1988年に上映したハンガリーの映画館は、上映中に原因不明の火災が起き、56人が死亡するという悲劇的な事件が発生しています。
また、自身の映画祭で『アントラム』を上映しようとした映画祭の主催者、ジャネット・ヒルバーグは映画を見た24時間後に死亡。「『アントラム』は上映するな」と言い残していました。
その後も、自身の主催する映画祭で『アントラム』を上映しようとした主催者が次々と命を落としている事から、『アントラム』は「呪われた映画」と呼ばれるようになります。
そして、1993年に、呪われた映画『アントラム』の上映イベントが開催されます。
『アントラム』の上映が始まった瞬間、観客全員が発狂を始め、映画館内が暴動状態となり、30名の死傷者を出してしまいました。
そして、1993年以降『アントラム』のフィルムは行方不明となっていましたが、長年この作品を追い続けていた、マイケル・ライシーニとデビッド・アミトの、2人のドキュメンタリー作家が入手します。
2人は『アントラム』の事をよく知る、映像クリエーター達に作品の鑑定を依頼し、『アントラム』には、何者かの手による細工が行われている事が判明。
そして、呪われた映画『アントラム』が、40年のベールを脱ぎます。
映画『アントラム/史上最も呪われた映画』感想と評価
1979年に製作され、関わる人間が次々と命を落とす、呪われた映画として知られる映画『アントラム』。
本作は、映画『アントラム』のフィルムを入手した、2人のドキュメンタリー作家が、呪われた映画の真相に迫るという、フェイク・ドキュメンタリーです。
『アントラム』本編が始まる前に、「ここから先、全ての映像を見た方に、何が起きても責任は取りません」と注意書きが表示され、呪われた映画の雰囲気を盛り立てています。
作風的には、「本当にあった呪いのビデオ」シリーズを連想させる内容で、「本当にあった呪いのビデオ」シリーズの、スペシャルなどに「自己責任で見てください」という、関わった人間が、全員失踪したと言われる動画が入っている事がありますが、作品の方向性は同じです。
ただ、「本当にあった呪いのビデオ」シリーズの動画は短いですが、『アントラム』は映画なので、結構長い間、映像を見なければなりません。
作中のドキュメントパートに登場する、『アントラム』の事をよく知る映像クリエーターも「作品自体は、怖くも面白くない」と言っていますが、『アントラム』の映画本編は、本当に特に面白くありません。
ですが、作中に100ヵ所以上も挿入されている「逆五芒星」や、たまに流れる不快な音が、どんどん何とも言えない、不安な気持ちにさせてくる映画です。
作品の内容も、悪い夢を見ているような内容なので、この不快感は短い動画ではなく、ある程度長尺で、独自の世界を展開できる映画だからこそ、表現可能な独特の不快感です。
特に後半の、唐突に「THE END」の画面が現れた後の、理解不能とも言える展開は「何か見てはいけないものを、見てしまっている」感覚に陥ります。
この不快感や、独特の感覚に陥る謎は、エンドロールで究明されます。
この辺りの流れは、フジテレビで過去に放送され、劇場版も製作された「放送禁止」シリーズに近い流れとなっています。
そして、全てが解明されたこそ、感じる恐怖。
ここが、本作最大の魅力となっています。
フェイク・ドキュメンタリーは、映画としての評価が難しい部分がありますが、少なくとも、前述した「本当にあった呪いのビデオ」シリーズや、「放送禁止」シリーズが好きな方は、間違いなくおススメしたい作品となっています。
まとめ
参考動画:映画『アントラム』除霊式でまさかの除霊失敗、衝撃の一部始終!!
フェイク・ドキュメンタリーの傑作と言えば、1999年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が有名ですが、当時から「これは、映画なのか?」という論争が起きました。
フェイク・ドキュメンタリーというジャンルは、予算に関係なく、アイデアだけで勝負できる部分が魅力です。
特に2008年の『クローバーフィールド/HAKAISHA』は、作品本編だけではなく、公式のWEBサイトも「実際にあった事件」として扱っており、映画では描かれていない事件の始まりを、ユーチューブで「謎の動画」として公開するなど、本気で騙しにきている姿勢が大好きでした。
映画『アントラム/史上最も呪われた映画』も、フェイク・ドキュメンタリーなので、確実に人を選ぶ作品です。
『アントラム』自体は、本当に面白くないので、苦痛に感じる方もいるかもしれません。
ですが「『アントラム』は悪魔が細工をした映画」というアイデアは面白いですし、その映画を、実在したかのように扱っているこの作品は、何か印象に残り、忘れられない作品となりました。
前述したように、フェイク・ドキュメンタリーの魅力は、アイデアだけで勝負できる部分です。
その心意気を感じて、フェイク・ドキュメンタリーに、あえて乗っかる事も、映画の1つの楽しみ方ではないでしょうか?
『アントラム』が全て嘘だと、誰も証明していないので、もしかすると、本当に呪われてしまったかもしれないですしね。