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Entry 2019/12/27
Update

Netflix映画『生きのびるために』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。“物語の持つ力”は現実を生きる勇気となる

  • Writer :
  • 伊藤博章

Netflix映画『ブレッドウィナー/生きのびるために』配信中

タリバン政権下のアフガニスタンで暮らす、ある家族を描いた長編アニメーション映画。

2001年のアフガニスタン、両親と姉、幼い弟と暮らす少女パヴァーナは、ある日、パヴァーナの父親はタリバン政権により不当に捕まってしまいます。

アフガニスタンでは女性だけでの外出が禁止されているため、パヴァーナ達は食料の調達すらできなくなり、生活の危機を迎えてしまいます。そこで家族のためにパヴァーナがとった行動とは…。

今回はタリバン政権下のアフガニスタンで力強く生きる少女の姿を描いたNetflixアニメ『生きのびるために』を紹介します。

映画『生きのびるために』の作品情報

【公開】
2017年(アイルランド・カナダ・ルクセンブルク合作映画)

【監督】
ノラ・トゥーミー

【キャスト】
サーラ・チャウディリー、ソーマ・チハヤー、アリ・バドシャー、シャイスタ・ラティーフ、ラーラ・シディーク、カワ・アダ ヌーリン・グラムガウス
【作品概要】
原作は、カナダ人平和活動家デボラ・エリスによる「生きのびるために」。製作は『ソング・オブ・ザ・シー海のうた』『ブレンダンとケルズの秘密』によりアカデミー賞に2度のノミネートを果たしたカートゥーン・サルーン。UNHCRの特使であるアンジェリーナ・ジョリーも本作の製作には関わりました。

ファンタジックな映像とタリバン政権下で力強く生きる少女の姿を描いたストーリーは大変な評価を集め、アカデミー賞やゴールデングローブ賞をはじめとした世界の映画祭で数多くのノミネートを果たしました。

映画『生きのびるために』のあらすじとネタバレ

パヴァーナはタリバン政権下のアフガニスタンで両親と姉、生まれたばかりの弟と暮らしていました。学校の教師をしていた彼女の父親は戦争により脚を失くしてしまい、行商人及び翻訳家として一家を養っていました。

ある日、父親がタリバン政権の若者を侮辱したという濡れ衣を着せられてしまい、不当に逮捕をされてしまいます。

不当逮捕により父親を失くした一家は窮地に立たされます。アフガニスタンでは女性だけでの外出が禁止されており、食料の買い出しですら行うことができなくなってしまったためです。

もちろん、生活費を稼ぐために仕事を行うこともできません。そこで、パルヴァーナはある決意をします。それは、家族を支えるために自身の髪を切り落とし男性に扮するということでした。

パルヴァーナは昼は町に食料を調達しに行き、夜は幼い弟を童話で楽しませ、家族を支え続けます。

そして、パルヴァーナは不当逮捕された父親を刑務所から救うためのお金を稼ぐために行商人の仕事と文章の翻訳の仕事を始めます。

ある日、客としてやってきたラザクという男性と知り合います。幼いのにも関わらず一人で行商人をしていることを気にかけられたパルヴァーナは、ラザクに父親が不正に逮捕されてしまったことを話しました。

すると、ラザクから刑務所で働くラザクの親族を紹介されます。その人を頼れば父親を助け出すことができるはずだと。

パルヴァーナは父親を救いだすために刑務所に向かいます。しかし、その時にアフガン戦争が始まってしまうのでした。

戦争が始まったことにより、刑務所に収監されているパルヴァーナの父親は処刑されることになってしまいます。

時を同じくして、始まったアフガン戦争から避難させるために、家に残っているパルヴァーナの家族の元に親戚がやってきます。

母親はパルヴァーナの帰りを待つと抵抗しますが、無理矢理に車で連れて行かれてしまいます。

以下、『生きのびるために』ネタバレ・結末の記載がございます。『生きのびるために』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

刑務所に到着するも戦争により刑務所内が混乱しており父親を救うことができずにいるパルヴァーナの元にラザクが現れます。そして、ラザクはパルヴァーナにパルヴァーナの代わりに父親を救いだすと告げ、刑務所内へと向かって行きました。

町から連れ出されているパルヴァーナの母親は車から降り、パルヴァーナが戻るまで避難はしないと告げ、姉と弟と共にパルヴァーナの元へと向かって行きました。

混乱が増す刑務所でラザクを待ち続けるパルヴァーナは弟に聞かせていた童話を思い出し勇気を保っていました。そこに、パルヴァーナの元に父親を救い出したラザクが戻ってきました。

そして、ラザクの手助けで刑務所から抜け出したパルヴァーナと父親は母親たちと再開を果たしました。

映画『生きのびるために』の感想と評価

優れた表現で描かれる二つの世界

本作品『生きのびるために』はアニー賞、アカデミー賞をはじめとした世界的な映画祭で多数ノミネートされ、合計9つの賞を受賞しています。そのような数々の受賞に裏付けされるように、非常に優れた表現がされている映画でした。

本作では、現実のアフガニスタンの暗鬱としたリアルな街並みとパヴァーナが弟に語る童話の煌びやかで温かみのある世界が対比されて表現されています。

それは、パヴァーナが生きる現実世界の厳しさに対して、いかに彼女の心が強く豊かで希望に満ちているかが伝わってくる優れたものでした。世界の映画祭での評価もうなずけます。

“現実VS物語”希望を信じる心の勝利

『生きのびるために』では、希望のある物語の世界から力をもらうパヴァーナの世界が描かれていました。タリバン政権下での圧政の中でも、パヴァーナの眼はいつも力強く、戦争が始まり窮地に陥ったとしても決して希望を捨てません。

そんな彼女を支えていたのは彼女の心の中にある英雄の童話です。

パヴァーナの姿はアフガニスタンから遠く離れた日本での生きる者の日常と通じるものがあります。日常にはたくさんの困難もありますが、そのような逆境の中でも、“映画や音楽”などに勇気をもらうことが多々あります。

このような、非常に厳しい現実の中でも人々の心に力強い灯りを灯してくれるような「物語が持つ力の偉大さ」が、『生きのびるために』では描かれていました。日常での辛い現実に向き合う際のヒントになるかもしれません。

まとめ

カナダ人平和活動家デボラ・エリスによる「生きのびるために」に原作に、カートゥーン・サルーンが製作した長編アニメーション映画『生きのびるために』を紹介しました。

数々の世界的な映画祭でのノミネートに裏付けされるように、暗鬱としたアフガニスタンの表現と、それに対比された主人公パヴァーナの希望を諦めない心の表現は非常に素晴らしいものでした。

そして、本編を通して描かれていたのは「物語の持つ力」です。現実は辛い中でも、パヴァーナの心に宿る英雄の童話が、彼女を支え続けていました。

それは、日本で生きる観客の皆さんの日常にも通じるものでした。『生きのびるために』自体も私達の日常での辛い現実に向き合う勇気をくれる物語となるはずです。

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