Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2016/12/20
Update

映画『ぼくらの家路』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

少年を描いた映画には名作が多いと言われています。

例えば、フランソワ・トリフォー監督の名作『大人は判ってくれない』や、

日本映画では、是枝裕和監督作品の『誰も知らない』では、主演を務めた柳楽優弥の眼差しは見事な演技でした。

今回ご紹介する、『ぼくらの家路』もドイツ少年の成長を描いた秀作です。

映画『ぼくらの家路』の作品情報

【公開】
2015年(ドイツ)

【脚本・監督】
エドワード・ベルガー

【キャスト】
イボ・ピッツカー、ゲオルグ・アームズ、ルイーズ・ヘイヤー、ネル・ミュラー=ストフェン、ビンセント・レデツキ、ヤコブ・マッチェンツ

【作品概要】
施設を飛び出した10歳の少年と、その弟6歳の兄弟が、母親を捜す姿を描き、2014年の第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された作品。

主役ジャックは、撮影当時わずか11歳で、俳優デビューとなるイボ・ピッツカーが務めています。

映画『ぼくらの家路』のあらすじとネタバレ

ぼくらの家路
(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH

10歳のジャックは、6歳の弟マヌエルの面倒をみるのが毎日の日課。

シングルマザーの母親は優しいが、その若さから、恋人との時間や夜遊びを何より優先してしまいます。

ある日、弟マヌエルが、バスルームで誤って熱湯を浴びてしまい火傷をおってしまいます。

これきっかけに、ジャックは施設に預けられることになります。

寂しさゆえに心を開けないジャックは、友達もできず、施設に馴染めません。

ジャックは、待ちに待った、家に帰宅を許される夏休みがようやく訪れます。

しかし、母親から施設に電話があり、「迎えは3日後になる」と、ジャックは告げられます。

ショックを受けたジャックは、施設のいじめっ子とのいざこざもあって、施設を飛び出してしまいます…。

以下、『ぼくらの家路』ネタバレ・結末の記載がございます。『ぼくらの家路』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
夜通し歩き続けて自宅に着いたものの、母親は不在で、いつもの場所にカギも置いてありません…。

ジャックは、母親の携帯電話に電話をかけますが、留守番メッセージばかりが流れます。

仕方なく母親に伝言を残して、マヌエルを預けている親類のもとに迎えに行くジャック。

ジャックは、弟マヌエルを連れて、仕事場やナイトクラブ、昔の恋人の働く事務所まで行き、母親の行方を捜してベルリン中を歩き回ります。

やっと、施設を飛び出して三日目に、自宅に帰っていた母親と再会を果たしたジャック。

母親は、幼い弟マヌエルを一緒に寝かしつけると、安堵のジャックは歯を磨きます。

ふと、ジャックは、思い起こします。いつでも自宅に戻れるように自宅の鍵を手にします。

やがて、ジャックは、弟マヌエルを連れて、元のの施設に帰ってきます、

映画『ぼくらの家路』の感想と評価

ぼくらの家路2
(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH

原題『JACK』と示さすように、1人の少年に焦点をあて、その成長を見つめた作品です。

ジャックが毎日おこなう手慣れた食事の準備や、弟への献身的な世話が、けな気だが痛々しくもあります。

原題『JACK』は、始めと終わりに2度映し出されます。

それを見た時、観客は心境の変化に気が付かれることでしょう。

それこそが、少年の成長を目撃した心の動きに他なりません。

また、ジャックが施設で初めて心を交わした少年から借りた双眼鏡のエピソードは秀逸。

友人が双眼鏡を大切にする姿の隠喩は、憧れの父親の視線との同一化。父親と同じものを見ている感覚を示しています。

しかし、ジャックは、友人の双眼鏡を不注意から無くしてしまいます。

気にかけていたジャックは、代わりの双眼鏡を盗んで返そうとする。

つまりは、今度はジャック自身が、苦難の末に大人へ成長した視野を持った意味を示しています。

双眼鏡を返すシーンは描かれてはいませんが、友人は許してくれると信じたいですね。

まとめ

ぼくらの家路3
(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH

10歳のジャックは、6歳の弟のマヌエルとシングルマザーの母親と3人で暮らし。

しかし、若い母は、息子たちよりも恋人との時間や夜遊びを優先してしまう。

そんな母親を当てにせず、 成長への一歩を決意をしたショットが、終盤に再会した母親に安堵しつつ、ジャックが就寝前に歯磨する姿。

ベルガー監督は、ジャックの繰り返される日常的な動作で“気付き決意”を表現した手腕は流石と言えるでしょう。

歯磨きをする姿は、虫歯予防であり、育児放棄予防なのだと思います。

母親の愛情を求めていたジャック、弟の面倒をみるジャック、友人思いのジャック、これらを通してジャックの導いた成長の決断を静かに見つめてほしい作品。

きっと、女性の心を揺さぶる映画、ぜひ、観てほしい1本です!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

『瞬きまで』あらすじ感想と評価考察。長谷川朋史監督の描いた‟家族のいない家族ドラマ”とは…⁈

映画『瞬きまで』は2023年8月5日(土)〜8月11日(金・祝)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開 『あらののはて』(2021)で門真国際映画祭グランプリ、うえだ城下町映画祭で特別賞の長谷川朋史が、 …

ヒューマンドラマ映画

『長江哀歌』ネタバレあらすじ感想と結末ラストの評価解説。ロケット・ビルなど“シュルレアリスム的表現”を混在させた理由は?

時代のうねりに翻弄されながらも、 精一杯に生きた「三峡」の善人たち……。 今回ご紹介する映画『長江哀歌』は、2006年のベネチア国際映画祭にコンペティション作品として招待されながらも、タイトルすらも一 …

ヒューマンドラマ映画

映画『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』あらすじネタバレと感想評価。音楽と感動のドラマが勇気を与える

素敵な音楽と感動のドラマ。 人生に悩む時、音楽は生まれる。 元ミュージシャンの父と母親の才能を受け継ぐ娘が、音楽活動を通してお互いの人生を考え、前に進んで行くストーリー。 将来への希望と不安、愛する人 …

ヒューマンドラマ映画

『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』あらすじ感想と評価解説。若松孝二監督が立ち上げたミニシアターを舞台に“映画の虜”になった人々を描く

映画『青春ジャック 止められるか、おれたちを2』は2024年3月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開 若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画『止められるか、俺たちを』 …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ 護られなかった者たちへ】結末ラスト感想と考察解説。本格ミステリーとして佐藤健と瀬々敬久監督が社会保障の落とし穴を暴く

佐藤健が殺人事件の容疑者を熱演する社会派ミステリー 『護られなかった者たちへ』は、作家中山七里の同名小説を『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の主演・佐藤健と瀬々敬久監督のコンビで映画化したものです。 東日 …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学