2018年2月に公開されるお薦めの洋画をご紹介します。
日本公開が延期されていたエル・ファニング主演のLGBTをテーマに扱った映画『アバウト・レイ 16歳の決断』から、ソフィア・コッポラ監督がカンヌで女性として史上2人目の監督賞を受賞した、ニコール・キッドマン主演の『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』までピックアップ!
シネコンのメジャー作品から、ミニシアター系のアート作品まで幅広いジャンルから厳選4作品紹介します。
さあさあ、あなたは2月に劇場で出かけて何を見ます?
CONTENTS
2月1日公開の映画『スリー・ビルボード』
【公開】
2018年(イギリス映画)
【原題】
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
【監督】
マーティン・マクドナー
【キャスト】
ウディ・ハレルソン、フランシス・マクドーナンド、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ピーター・ディンクレイジ、ケレイブ・ランドリー・ジョーンズ、ケリー・コンドン、キャスリン・ニュートン、フランシス・マクドーマンド、ジョン・ホークス、ジェリコ・イヴァネク、ルーカス・ヘッジズ、クラーク・ピータース、サマーラ・ウェイビング、ニック・サーシー、サンディ・マーティン
【作品概要】
『セブン・サイコパス』などのマーティン・マクドナー監督&脚本を担当。ゴールデングローブ賞では作品賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞の4冠を達成しました。
映画『スリー・ビルボード』のあらすじ
ミズーリ州のエビングで10代の女の子が被害者の強姦殺人事件が発生。悲惨な事件にも関わらず犯人が見つからないまま7ヶ月が経ってしまいました。
警察の体たらくな状況に被害者の母ミルドレッドは憤怒し、ビル・ウィロビーという保安官を名指しで批判する内容を含む3枚の大きな広告看板を出します。
その行動に名指しされたウィロビーとレイシストの警官ディクソンもまた怒りを覚えます。
ディクソンは広告代理店のオーナーを脅迫し、それに止まらず無実のミルドレッドの友人デニスを薬物所持の罪で逮捕、釈放も拒否。
そして困惑したエビングの住民にもミルドレッドは嫌がらせをされてしまいます。
そんな時、膵臓癌を宣告されていたウィロビーは吐血したことをきっかけに死期を悟り、自らの命を経ってしまいました。
タイミングがタイミングだっただけに、エビングの住人は騒ぎ立ちミルドレッドへの風当たりはさらに強いものになり、広告看板は放火されてしまいます。
しかしウィロビーは遺書を残しており、それを読んだディクソンは心を改めもう一度事件に真剣に取り組もうとします。
すると事件と同じ手口で女性を強姦したという男が容疑者として見つかりました。しかしアリバイがあり犯人と特定するのは難しいことでした。
ディクソンはミルドレッドに連絡しその旨を伝え、ふたりは男の住むアイダホへと向かいます…。
映画『スリー・ビルボード』の見どころ
最初にご紹介しておくべき作品は、本作『スリー・ビルボード』です。先のゴールデン・グローブ賞では作品賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞の4冠を達成させていました。
もう、それ以前から映画ファンのあなたなら、注目されていた作品でしょう。
また3月に発表される米国アカデミー賞では、作品賞をはじめ、編集賞など最有力候補にあがっていますので、この作品は見逃す訳にはいきませんね。
また、被害者の母親役のミルドレッドを演じたフランシス・マクドーマンドの熱演に、オスカー賞の行方も気になるところです。
2月劇樹公開の筆頭にある映画『スリー・ビルボード』は、いよいよ、2月1日(木)より全国ロードショーされます。
2月3日公開の映画『アバウト・レイ 16歳の決断』
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
3 Generations
【監督】
ゲイビー・デラル
【キャスト】
エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドン、テイト・ドノヴァン、リンダ・エモンド、サム・トラメル
【作品概要】
トランスジェンダーの主人公をエル・ファニング、その母にナオミ・ワッツ、祖母にスーザン・サランドンが扮し、家族間の絆や葛藤を描いたヒューマンドラマ。
『リトル・ミス・サンシャイン』(06)のマーク・タートルトーブ、ピーター・サラフがプロデューサーに名を連ねている
映画『アバウト・レイ 16歳の決断』のあらすじ
身体の性別と心の性別が一致しないトランスジェンダーである16歳のレイは、身体も心も男性として生きていきたいという決意をします。
医者から受け取ったホルモン治療についての資料を手渡されたシングルマザーのマギーは、レイの決断に動揺を隠せません。
共に暮らすおばあちゃんのドリーはレズビアンですが、同性愛とトランスジェンダーは本質的に違いがあり、今ひとつ、レイの決断を理解することが出来ません。
一方、髪を短く切り、毎日身体を鍛え、一歩、一歩“本当の自分”に近づいていくレイ。
生き生きしていくレイを目の当たりにして、次第にマギーとドリーはレイの本来の姿を受け入れ、理解し始めます。
マギーは、治療の同意書のサインをもらうため、何年も会っていない別れた夫クレイグに会いに行きますが、クレイグの返事はしばらく時間を来れというものでした。
マギーはクレイグのせいにして、時間を引き延ばしますが、レイは独自でクレイグを探し出し、彼に会いに行きます。
そこでレイは思いがけない家族の秘密を知ってしまいます…。
映画『アバウト・レイ 16歳の決断』の見どころ
当初2016年の1月に日本公開が予定されていましたが、本国での公開無期延期により、公開が中止されていました。
延期に至ったのには様々な事情があったようですが、本国では2017年5月に公開され、日本でも劇場公開されることになったのは、大変喜ばしいことです。
トランスジェンダーという社会的テーマを主題にし、心のみならず、身体も男性として生きていく決意をした16歳のレイの心情を見つめると共に、価値観の違う、三世代の家族の葛藤と愛情がどのように描かれているか注目です!
劇場公開は2018年2月3日(土)より、新宿ピカデリー他にて全国ロードショーされます!
2月10日公開の映画『アウトサイダーズ』
【公開】
2018年(イギリス映画)
【原題】
TRESPASS AGAINST US
【監督】
アダム・スミス
【キャスト】
マイケル・ファスベンダー、ブレンダン・グリーソン、リンゼイ・マーシャル、キリアン・スコット、ロリー・キニア、ショーン・ハリス、
バリー・コーガン
【作品概要】
「X-MEN」シリーズや『エイリアン コヴェナント』のマイケル・ファスベンダー主演による親子三代の父と息子の物語。
マイケルが主人公のチャドを演じ、父親コルビー役に『アサシン クリード』に次いで2度目の父子役を演じたブレンダン・グリーソン。
演出はケミカル・ブラザーズの映像作品を手がけ、長編劇映画初監督となるアダム・スミス監督。音楽はケミカル・ブラザーズのトム・ローランズが担当しています。
映画『アウトサイダーズ』のあらすじ
イングランド南西部のグロスタシャー州。犯罪を生業にしながらトラヴェラーズコミュニティを形成し、トレイラーハウスで各地を回る放浪をして代々生きてきたカトラー・ファミリー。
コミュニティの長である父親コルビーの後継ぎであり、腕利きのドライバー役として多くの悪事に手を染めてきたチャドは、家族に何も告げずに独り密かな計画を立てていました。
自分のように学校教育も受けずに、識字もできない人生をまだ幼い息子と娘に歩ませたくなかったのです。
チャドは悪事から足を洗い、ひとつの場所に定住することを望み、妻と子どもたちと4人で安定する暮らしを始めようと、町の片隅に家を借りる算段をしていました。
しかし、それに巨大な壁のように立ちはだかったのは、絶対的な力で一族ファミリーを支配する父親コルビーでした。
息子チャドとコミュニティの長でもある父親コルビーの確執は、どのような断絶へと向かうのか…。
映画『アウトサイダーズ』の見どころ
脚本を担当したアラステア・シドンズは、『アウトサイダーズ」のアイデアについて、偶然に読んだ犯罪一家の新聞記事から始まった実話だと語っています。
記事によるとそのファミリーは州の7割の犯罪で告訴をされていた凶悪なもので、豪邸に度重なる不法侵入で地元警察にはよく知られた存在だったそうです。
当初アラステアはドキュメンタリー映画に最適な題材になると興味を抱きますが、熟考する間にフィクションの劇映画にして表現を広げた方がパワフルなストーリーになると確信したそうです。
それが脚本となり、出演依頼を受けたのが、俳優のマイケル・フェスベンダーです。
社会の時の流れや親子世代に揺れるチャド役を演じきったマイケルの演技は、彼がこれまで出演してきた「X-MEN」シリーズや『エイリアン コヴェナント』とはまったく違う表情を見せています。
メジャー作品ではなく、何か良い映画を探していたなら、誰もが持つ家族をテーマにしなが、父子の確執や絆をダイナミックに掘り下げた本作はオススメな作品ですよ。
映画『アウトサイダーズ』は、2018年2月10日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにて全国順次公開!
2月23日公開の映画『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
The Beguiled
【脚本・監督・製作】
ソフィア・コッポラ
【キャスト】
コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニング、オオーナ・ローレンス、アンガーリー・ライス、アディソン・リーケ、エマ・ハワード
【作品概要】
『マリー・アントワネット』や『ロスト・イン・トランスレーション』などで知られるソフィア・コッポラ監督の長編作品6作。
1971年にドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッド主演の『白い肌の異常な夜』のリメイク版で、原作トーマス・カリナンの小説『The Beguiled』を女性から視点で映画化。第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を獲得しました。
2.映画『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』のあらすじ
1864年のアメリカ・バージニア州。鳥のさえずりが響くの森には、遠くから絶え間なく大砲の音が聞こえ、3年目に突入した南北戦争が暗い影を落としていました。
キノコ狩りをしていた女子寄宿学園で暮らすエイミーは、傷を負った北軍兵士マクバニーを発見。
はじめは恐れていたエイミーですが、兵士を手当をするために学園へ連れ帰ることにします。
マーサ・ファーンズワース女子学園は、園長のマーサ、教師のエドウィナ。
そして戦争の影響で家に帰れない事情を抱えたエイミーをはじめ、アリシア、ジェーン、エミリー、マリーの5人の生徒が暮らしていました。
招かれざる敵兵の出現に、はじめこそ戸惑う彼女たちでしたが、キリスト教の教えに従い回復するまで面倒を見ることにしますが…。
映画『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』の見どころ
この作品を観て、はじめに気が付くのはフィルム撮影で行なった映像の美しさです。
撮影監督を務めたのはフィリップ・ル・スール。2016年に『プロヴァンスの贈りもの』や2013年に『グランド・マスター』で知られるキャメラマン。
そのことがあって画面は薄暗く見えるシーンも多いのですが、ローソクの灯りなどで補い時代背景に即した情感を再現させています。
その光と陰の中に佇む女優たちの筆頭には、学園をまとめる園長ミス・マーサに、『めぐりあう時間たち』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』などで知られるニコール・キッドマンが演じています。
彼女は2017年に、カンヌ国際映画祭に出品された『ビッグ・リトル・ライズ 〜セレブママたちの憂うつ〜』『パーティで女の子に話しかけるには』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』、そして本作で第70回記念名誉賞を受賞しています。
また、この前に紹介した映画『アバウト・レイ 16歳の決断』のエル・ファニングは、こちらでは女子の魅惑的な役柄を演じています。
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、2018年2月23日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開です。
まとめ
2月の洋画は米国アカデミー賞の発表前に、期待される映画『スリー・ビルボード』のお出ましという感じでしょうか。
また、カンヌ国際映画祭でソフィア・コッポラが監督賞を受賞した『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。
ほかにも日本公開が先延ばしにされていたエル・ファニング主演のLGBT映画『アバウト・レイ 16歳の決断』と楽しみですね。
しかし、ニコール・キッドマンも大女優への道を確実に歩んでいますが、俳優として先輩の後を追うかのようにエル・ファニングも素晴らしい演技を見せています。
個人的にはイギリス映画の『アウトサイダーズ』はオススメしたい作品!
「Xメン」シリーズのマイケル・ファスベンダーと、「ハリーポッター」シリーズのブレンダン・グリーソンが、映画『アサシン クリード』に引き続き、今回も父と息子役で共演。
俳優としてのマイケル・ファスベンダーの演技力に注目です。
2月公開作品の各作品を「福は内、鬼も内、そしてあなたも劇場の内」でご覧くださいね。お見逃しなく!