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Entry 2021/02/17
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映画『パーム・スプリングス』あらすじ感想と評価レビュー解説。タイムループで“同じ時間を繰り返す”恋人たちを描いたラブコメディ

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『パーム・スプリングス』は2021年4月9日(金)より新宿ピカデリー他全国公開。

カリフォルニア州にある砂漠のリゾート地パーム・スプリングスを舞台に、同じ日を繰り返すことになってしまった男女をコミカルに描いた、タイムループ・ラブコメディ映画『パーム・スプリングス』。

本作が長編監督デビューのマックス・バーバコウが手掛け、アンディ・サムバーグとクリスティン・ミリオティが恋人役を演じます。

サンダンス映画祭で上映され、映画評論家から高い評価を受け、2021年第78回ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)にて、作品賞・主演男優賞の2部門にも選出された、リゾート気分を満喫できる楽しい作品をご紹介します。

映画『パーム・スプリングス』の作品情報


(C)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2021年(アメリカ・香港合作映画)

【原題】
Palm Springs

【監督】
マックス・バーバコウ

【脚本】
アンディ・シアラ

【キャスト】
アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、ピーター・ギャラガー、J・K・シモンズ、メレディス・ハグナー、カミラ・メンデス、タイラー・ホークリン

【作品概要】
監督を務めたのは本作が長編監督デビューとなったマックス・バーバコウ。次回作としてジェイソン・モモア&ピーター・ディンクレイジ共演作『Good Bad & Undead(原題)』が控えています。

ナイルズ役にはドラマ「ブルックリン・ナイン–ナイン」シリーズ、『ブリグズビー・ベア』(2018)のアンディ・サムバーグ、サラ役には『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)のクリスティン・ミリオティ。他の共演者には『セッション』(2014)で2015年度米アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズ、ドラマ「リバーデイル」シリーズのカミラ・メンデスなど。

映画『パーム・スプリングス』のあらすじ

(C)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

カリフォルニア州の砂漠のリゾート地、パーム・スプリングス。結婚式にやってきたナイルズ(アンディ・サムバーグ)と新婦の姉・サラ(クリスティン・ミリオティ)。

ナイルズの積極的なアプローチにより2人で会場を抜け出し、いい雰囲気になるも突如謎の老人が現れナイルズが撃たれてしまいます。当然のことで事情が飲み込めないサラでしたが、ナイルズは負傷したまま謎の洞窟に入っていきます。

追いかけてきたサラにナイルズは来るなと制しますが、その忠告を聞かずサラは洞窟に入り、赤い光に包まれます。目が覚めると昨日と全く同じ朝。困惑したサラはナイルズにどういうことかと詰め寄ります。

困惑するサラに、一度眠りにつくと同じ結婚式の朝を繰り返す“タイムループ”にはまってしまったと説明するナイルズ。彼はすでに「何万回」と繰り返される同じ日を過ごしていたのです。

2人で過ごす無限の今日は自由で楽しく、2人の距離も縮まっていきますが……。次第に全てが無意味であると思い始める2人。

果たして2人は繰り返される今日から抜け出し、明日を迎えることができるのでしょうか。

映画『パーム・スプリングス』の感想と評価

(C)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

“タイムループ”を題材にした映画はいくつもあり、ラブコメディだと『恋はデジャ・ブ』(1993)、ラブロマンスだとタイムトラベルものになりますが、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』(2014)を思い浮かべる人もいるかもしれません。

更に近年話題になったタイムループものといえば『ハッピー・デス・デイ』(2019)があり、タイムループとホラー要素を見事に融合していました。

本作も、何度も繰り返される朝のシーンなど、タイムループもののあるあるを織り交ぜつつ軽快なラブコメディになっています。

困惑するサラタイムループ上級者の飄々としたナイルズという設定が面白く、2人のコミカルな演技が更に面白さを引き立てます。

様々な手を尽くすサラに、それはもう試したとあっさりと言ってしまうナイルズ。何をしても無駄だと悟ったサラはナイルズと共にやりたいことをして、自由に無限に繰り返される今日を楽しみ始めます。

しかし、2人の関係が変化していくとともに、どんなに好きなことをしても、全ては無意味でしかない明日を生きなくては意味がないと気づき始めるサラ。

一方、ナイルズは全てを諦め、面倒なことを起こさず楽しめばいいと思っていました。そんなナイルズもサラと過ごす時間が自分にとって大切なのだと気付いていきます。

だからこそ、面倒な人間関係のない2人だけの世界でこのままでいればいいと考えてしまいます。楽しい今の関係がなくなることに怯えているのです。

明日を生きるために何とか脱出しようとするサラと、このままがいいと臆病になるナイルズ。

でも、2人とって何より大切なのは共にいることでした。2人で生きることに意味があり、2人で生きることが“幸せ”なのです。

退屈な毎日をただ過ごすのではなく、しっかりと“明日”を大切な人と共に生きる、そんなメッセージが込められたコミカルでハッピーな映画です。

まとめ

(C)2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

映画『パーム・スプリングス』は、カリフォルニア州の砂漠のリゾート地パーム・スプリングスを舞台に、タイムループにはまってしまった男女をコミカルでポップに描くタイムループラブコメディ。

何度も繰り返す今日を通して“明日”を生きることの大切さを伝えてくれます。

映画『パーム・スプリングス』は2021年4月9日(金)より新宿ピカデリー他全国公開です。




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