格差カップルが繰り広げる、少々カゲキなラブストーリー
才色兼備の国務長官と世にでることのないジャーナリストとの恋愛模様をシニカルに描いた、シャーリーズ・セロンとセス・ローゲンの映画『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』。
劇中に登場するシャーロット役をセロン、フレッド役をローゲンが演じ、共演にオシェア・ジャクソン・Jr.、アンディ・サーキス、アレクサンダー・スカルスガルドらが務めます。
また演出を務めたジョナサン・レビン監督は、『50/50 フィフティ・フィフティ』以来のローゲンとは再タッグになります。
CONTENTS
映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【原題】
Long Shot
【監督】
ジョナサン・レヴィン
【製作】
エヴァン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン、ジェームズ・ウィーバー、シャーリーズ・セロン、A・J・ディックス、ベス・コノ
【キャスト】
シャーリーズ・セロン、セス・ローゲン、オシェア・ジャクソン・Jr.、アンディ・サーキス、ジューン・ダイアン・ラファエル、ボブ・オデンカーク、アレクサンダー・スカルスガルド、ラビ・パテル、ボーイズⅡメン
【作品概要】
才色兼備の国務長官シャーロットと、うだつの上がらないジャーナリストのフレッドとの関係を、ユーモアたっぷりに描いたラブストーリー。
シャーロット役にオスカー女優のシャーリーズ・セロン、フレッド役を『グリーン・ホーネット』(2011)や『50/50 フィフティ・フィフティ』(2011)のセス・ローゲンが、それぞれ演じます。
その他のキャストとして、『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015)のオシェア・ジャクソン・Jr.、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001~03)のアンディ・サーキス、『ターザン:REBORN』(2016)のアレクサンダー・スカルスガルドらが脇を固めます。
監督は、ローゲンとは『50/50 フィフティ・フィフティ』、『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』(2015)でもタッグを組んだジョナサン・レヴィンです。
映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』のあらすじとネタバレ
アメリカ、ニューヨーク。
新聞記者のフレッドは、白人至上主義者が集うオルタナ右翼のパーティーに潜入し、その模様を記事にしようとしていました。
しかし、ユダヤ人であることがバレて、慌てて逃亡する羽目に。
その頃、国務長官のシャーロット・フィールズは、アメリカ合衆国大統領チャンバースから、次期大統領選には出馬せず、映画俳優になることを告げられます。
シャーロットは、チャンバースの後ろ盾を得て大統領選に出ることを決意、スタッフのマギーにトム、そしてチーフマネージャーのキャサリンらとともに、選挙キャンペーンを開始します。
一方フレッドは、新聞社の上司に白人至上主義者の潜入取材を記事にするよう頼みますが、この会社がメディア王のウェンブリーに買収されたと知らされます。
ウェンブリーが保守派の人間であり、買収した新聞社をプロパガンダに使われることを直感したフレッドは、上司と口論の末に会社を辞めることに。
友人のランスを呼んで愚痴をこぼすフレッドは、そのままボーイズⅡメンらセレブが出演するチャリティーパーティーに参加。
そのバーティーにいたシャーロットを見て、フレッドは驚きます。
実は彼女は、子どもの頃のフレッドのベビーシッターをしていた、3歳年上の憧れの女性だったのです。
久々の再会にときめくフレッドでしたが、同じくパーティーに参加していたウェンブリーに思わず暴言を吐いたことがきっかけで、醜態をさらしてしまいます。
後日、シャーロットはフレッドの記事を読んでそのユーモアセンスを見込み、彼をスピーチライターとしてスタッフに加えることに。
彼の素性をよく知らないマギーの反対を押し切り、フレッドをワシントンに招いたシャーロットは早速、ストックホルムで行われる環境サミット用のスピーチ原稿の執筆を依頼。
政治の世界に関心がないながらも、フレッドは自分の意見をストレートに伝えるスピーチにするようアドバイス。
「原稿を変えるべきだ」と言うマギーと衝突するも、シャーロットのスピーチは好評を博します。
その後、外交で世界中を移動するシャーロットとフレッドは、フィリピンのマニラでの反政府暴動に遭ったのをきっかけに、徐々に距離が近づいていきます。
アルゼンチンのブエノスアイレスで、フレッドはマギーから「冴えない男性が大統領の夫になれば、国民の支持は得られない」と忠告されれば、シャーロットはカナダの首相ジェームズからのアプローチを受けます。
しかし2人は夜にダンスに興じるうち、ついに一夜を共に。
幸せに包まれたシャーロットでしたが、チャンバースから、彼女が推進する環境保護政策の一部を見直すよう命じられてしまいます。
シャーロットはストレス発散のために、変装してフレッドと町に繰り出し、酒やドラッグを楽しむのでした。
そこへ、反政府テロによるアメリカ軍機の撃墜・人質事件が発生。
そのままテロリストとの交渉に臨んだシャーロットは、酒とドラッグでしどろもどろ状態ながらも、なんとか人質解放に成功。
これにより、一気に支持率を上げたシャーロットは、フレッドとの関係を秘密にするようにというマギーのアドバイスも拒みます。
そんなある日、シャーロットとチャンバースの会議の場にウェンブリーが現れます。
かつてパーティーの場でシャーロットをくどこうとするも、軽く一蹴されたことを恨んでいたウェンブリーと、環境政策において彼女と意見が対立していたチャンバースは結託していたのです。
2人は、フレッドのハレンチ行為を盗み撮りした映像をシャーロットに見せ、この映像を暴露されたくなければ、環境政策を一から見直すよう脅すのでした。
映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』の感想と評価
地位のある男性に見初められた一般女性が、彼の手ほどきを受けセレブとなっていく…そんな身分違いの恋を描くシンデレラ映画。
『王様と私』(1956)、『マイ・フェア・レディ』(1964)、『プリティウーマン』(1990)などなど、挙げればキリがないほど作られている、ある種ラブストーリーのひな型ともいえるこのジャンルですが、本作『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』は、その男女の立場が逆転したバージョンです。
ただ、本作はそれだけでなく、女性の社会進出につきまとう理不尽にも目を向けています。
国務長官のシャーロットは、TVに映るとファッションをチェックされ、公の場で少しでも表情をこわばらせると「ヒステリーを起こした」と言われ、独身の首相と会談すればロマンスを噂されます。
さらには、フレッドとの関係が崩れそうになると、矢面に立ってダメージを受けるのはシャーロットの方という辛い現実。
女性だからという理由で降りかかる理不尽を、ユーモア交じりの皮肉を込めて描いているあたりが、本作の巧みなところでしょう。
そんなシャーロット役を、今や“タフな女性”のアイコンとなったシャーリーズ・セロンが演じるのもポイント。
表向きは完璧な女性として振舞いつつ、オフでは陽気で明るい等身大の女性を、魅力的に演じています。
また、政財界を扱いつつ、リベラル派(民主党)と保守派(共和党)双方に忖度した内容というのも、昨今のアメリカ映画ではちょっと珍しいかもしれません。
まとめ
本作タイトルの「ロング・ショット(Long Shot)」とは、「成功率が低い」、「見込みがない」といった意味のほかに、選挙において当選率が低い候補者のことを称します。
つまり、本作におけるロング・ショットとは、大統領選に臨むシャーロットと、高嶺の花である彼女に恋心を抱くフレッドです。
はたして、2人の「ロング・ショット」の行方は?
下ネタ交じりのギャグもあるため、観る人を選ぶかもしれませんが(レイティングはPG-12)、王道のラブコメディとして楽しめること確実の本作。
2020年新春の初笑いに、いかがでしょうか。
映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』は、2020年1月3日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショー。