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Entry 2020/08/14
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【石田秀範監督インタビュー】映画『がんばれいわ‼︎ロボコン』2020年の日本を生きる子どもたちにこそ楽しんでほしい

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  • Cinemarche編集部

映画『がんばれいわ‼︎ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン‼︎の巻』は2020年7月31日(金)より劇場公開中!

2020年7月31日(金)に劇場公開を迎えた映画『がんばれいわ‼︎ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン‼︎の巻』。石ノ森章太郎原作の人気キャラクター・ロボコンが、1999年から2000年にかけて放送されていた『燃えろ‼︎ロボコン』以来、20年ぶりに復活しました。


(C)Cinemarche

『がんばれいわ‼︎ロボコン』を手がけたのは石田秀範監督。「ヒデ・I」名義で『燃えろ‼︎ロボコン』の監督に参加し、翌年『仮面ライダークウガ』でメイン監督を担当して以降、平成仮面ライダーシリーズを牽引した監督です。脚本を手がけた浦沢義雄との『燃えろ‼︎ロボコン』以来20年ぶりのタッグも話題となりました。

このたびは劇場公開を記念し石田秀範監督にインタビューを敢行。20年ぶりに復活したロボコンをどのような意図で監督したのか、撮影現場での苦労など貴重なお話をうかがいました。

20年ぶりの『ロボコン』、20年ぶりの浦沢脚本


(C)石森プロ・東映

──はじめに、今回オファーを受けた経緯などについてお聞かせ願います。

石田秀範監督(以下、石田):『がんばれいわ‼︎ロボコン』のお話をいただいたのは、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が出されるずいぶん前でした。しかし実務が始まった頃から雲行きが怪しくなっていきまして、結局コロナの影響で1ヶ月ほど撮影開始が延びてしまいました。

また今回は脚本が浦沢義雄さんで、浦沢さんの書かれる脚本は難しいので、「ああ大変な仕事になるな……」とは当初から感じていました。ただ撮影が延期になったことでいろいろと試行錯誤する時間がもらえたため、それが結果的には良かったと思っています。


(C)石森プロ・東映

──浦沢さんとのお仕事をされるのは『燃えろ‼︎ロボコン』以来20年ぶりですね。お二人のタッグを久しぶりに楽しませていただきました。

石田:浦沢さんは昔からああです(笑)。一緒に仕事をするのは20年振りですけど、作風が良い意味で全然変わっていません。浦沢さんの脚本は、演出する側からすれば「何も書かれていない」という感覚があります。こうしろ、ああしろと言うような指示はほとんど書かれていません。そのため演出家の手腕が試されるので、非常に厄介です(笑)。ただしその分、自由さもあるのでやりがいも同時に感じていました。

撮影方式の違いとジャンルの違い


(C)石森プロ・東映

──新型コロナウィルス対策のため、今回の撮影はオールアフレコ方式でしたね。

石田:現在の状況下では、現場に録音部を付けるのがあまり得策ではないという判断になり、オールアフレコでの撮影になりました。『仮面ライダークウガ』(2000)以降はシンクロ(同時録音)になりましたので、オールアフレコの現場も20年ぶりとなりました。録音部には悪いんですが、音を気にしなくていいので現場は楽になります。それにオールアフレコ自体は過去に経験していることですから、現場での負担はありませんでした。

──石田監督は『仮面ライダークウガ』以降、“平成仮面ライダーシリーズ”へ長年参加されていました。そうしたアクションが主体となる作品と、今回の『ロボコン』のようなコメディー作品とで、演出する際に違いなどはありますか?

石田:僕はアクションが特別好きというわけでもなく、コメディーが特別好きというわけでもありません。どんなジャンルであっても、好き嫌いなく演出し完成させることが「職人監督」の務めだと思っていますし、どんなジャンルの作品でもこなせる自信もあります。

ロボコンに求めた“子ども”へのまなざし


(C)石森プロ・東映

──ロボコンのスーツアクターは『燃えろ‼︎ロボコン』と同じく神尾直子さんが担当されていますが、ロボコンの演技についてはどのような演出をされたのでしょうか?

石田:彼女はベテランですし僕の性格もよく知っていますから、こちらからいちいち言わなくても、彼女自身は何を要求されているのか、何をやらなければいけないのかをわかった上で演じてくれました。

今回、僕自身は「どうしたら子供が笑ってくれるかな?」を第一に考えて演出をしました。映像・芝居・音楽・音響といった全ての要素に対し、それだけを念頭に置いたんです。ですから神尾さんにも「子供が喜んでくれること」「子供がロボコンに抱きつきたくなるような芝居をしてくれ」ということは伝えましたね。

やっぱり今回のコロナの騒動で、世の中の雰囲気が大きく変わってしまったことが影響していると思います。今は世間の空気がピリピリしているし、重苦しいし、楽しいことも少ないじゃないですか。僕には甥っ子と姪っ子がいますけど、彼ら彼女らと接していても、ストレスが溜まっていてどこか怒りっぽくなっているんです。

特に撮影当時は、遊園地などの子どもが遊ぶ場所はどこも閉鎖されていました。ですから、子どもたちに向けて「娯楽」を作ってあげたいという気持ちが第一でしたね。今回のコロナを取り巻く世の中の空気が、『ロボコン』を作るモチベーションになったと言えるかも知れません。

大分への移住が生んだ「リフレッシュ」


(C)Cinemarche

──2020年現在、石田監督は大分県在住とお聞きしました。

石田:そもそも業界から身を退こうと思って大分へ移住したんです。今はお仕事をいただいた時にだけ、大分と東京を行き来するような状態です。いわば、セミリタイアです。

──大分へ移住されたきっかけは何だったのでしょう?

石田:心境の変化でしょうね。仕事に対する考え方が変わったといいますか。僕は大分のことを「宝の山」だと思っています。そんな大分で暮らしているとストレスがないんです。

そんな時に東京からまた仕事の依頼をいただいた際には、当初とても悩みました。ただ僕は、やっぱり映像の仕事が好きだったんですね。「この仕事をやめられない」と感じました。スタッフたちとああでもないこうでもないと言いながら眠い目をこすって映画を作る、そんな撮影所の中の雰囲気が好きなんでしょう。

大分へ引っ越してから半年ぐらいの間で、一旦気持ちがリフレッシュされたのかもしれません。どこかでスイッチが切り替わって、今回やる気が出てきたのだと思います。

「作る人」から「伝える人」へ


(C)Cinemarche

──「リフレッシュ」を経て、実際のお仕事に対する向き合い方にも変化が生じられたのでしょうか?

石田:『仮面ライダーゼロワン』(2019~)の第19話・第20話も大分に移住してからの仕事だったんですが、「自分が、自分が」と我を強く出すことはなくなりましたね。何よりもお客さんを第一に考えるようになりました。

お客さんから「面白い」「楽しい」と思ってもらえることを中心に考えるようになると、自分と他者との葛藤がなくなるので、これまでより楽な気持ちで仕事に臨めるようになりました。「自分が、自分が」と我を強く出していくと、どうしても自分自身を追いつめてしまいます。多分そのせいで、仕事をしていく中でつらくなっていったんだろうと思います。そういう我を張る気持ちがなくなったことで、今は仕事が楽しくなりました。

特に今回の『ロボコン』は「無邪気」に撮影ができましたね。多分東京にいた頃に監督していたら、もう少し「影」というか暗い部分などが出ていたのかもしれません。「この作品の監督は石田秀範だよ」というアピールをしたかも知れませんね。

──石田監督の中で「作る人間」から「伝える人間」へと意識が変わったのかもしれませんね。

石田:その表現は合っていると思いますね。ただ「伝える」と言っても、僕自身の中に伝えたいテーマや想いなどが強くあるわけではないんですよ。ただお客さんに喜んでもらおう、笑ってもらおうということだけを考えるようになりました。

今後も仕事をいただければ断る理由もないのでやり続けますが、ガムシャラに営業しようという気持ちはないです。もちろん与えられた仕事はちゃんと頑張りますけど、今は大分での生活もありますから。

僕のこれからの人生は、こういう生き方になると思います。あまり先を見据えた展望や期待とかはせずに、風任せといいますか、リラックスした生き方を送ることになると感じています。

──現在の石田監督の生き方を聞いていて、『仮面ライダークウガ』の主人公・五代雄介を思い出しました。

石田:ああ、そう言われればそうかも知れないな(笑)。こういう生き方も良いんじゃないかなと、自分でも満足しています。

インタビュー/森谷秀
撮影/出町光識

石田秀範監督プロフィール

1962年生まれ、富山県出身。横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)を卒業後、『宇宙刑事ギャバン』(1982)の現場に参加。以降、東映特撮作品でキャリアを積み、『特警ウィンスペクター』(1990)でチーフ助監督に昇進、翌年の『特救指令ソルブレイン』で監督デビュー。

『仮面ライダークウガ』(2000)ではメイン監督を担当し、以降『仮面ライダードライブ』(2014)まで“平成仮面ライダーシリーズ”を牽引。近年ではネット配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(2016)とその劇場版『仮面ライダーアマゾンズTHE MOVIE 最後ノ審判』(2018)、初の時代劇『GOZEN ─純恋の剣─』(2019)を監督。

『がんばれいわ‼︎ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン‼︎の巻』の作品情報

【公開】
2020年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【監督】
石田秀範

【脚本】
浦沢義雄

【出演】
斎藤千和、江原正士、鈴村健一、土屋希乃、小浦一優(芋洗坂係長)、高橋ユウ、屋鋪琥三郎、清水ミチコ

【作品概要】
最高視聴率29.2%を記録し、全118話が製作された石ノ森章太郎・原作の特撮コメディー『がんばれ‼︎ロボコン』。1999年には香港で起きたブームを受けてリメイク版『燃えろ‼︎ロボコン』も制作されました。そのロボコンが2020年の令和の世に、20年ぶりの復活を果たしました。

脚本には『美少女仮面ポワトリン』やアニメ『忍たま乱太郎』などで知られる浦沢義雄。監督は『仮面ライダークウガ』のメイン監督であり、平成仮面ライダーシリーズを牽引した石田秀範監督。

同時上映はアニメーション作品『人体のサバイバル!』、『スプリンパン まえへすすもう!』。MX4Dによるアトラクション上映を含む全国東映系で劇場公開中。

『がんばれいわ‼︎ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン‼︎の巻』のあらすじ


(C)石森プロ・東映

ときは令和、町の中華屋「全中華」に、ロボットスクールから来たお手伝いロボット・ロボコンが天井を破って現れた!!

お手伝いで人の役に立ちたいロボコンは「全中華」の店主・カズオパパと、ヨーコママを手伝おうとするも、ドジを連発。見かねた息子のヒロシは、ロボコンとトルネード婆々のもとへ出前に出かける。お手伝いができていると思ったロボコンは嬉しさの余り、タンタンメンが入ったオカモチを振り回してしまい……案の定、オカモチを開けるとそこにはすっかり汁の飛んだタンタンメンが!

心配するヒロシをよそに、トルネード婆々は“汁なしタンタンメン”をすすって一言、「うめぇ!!」。ところが、“汁なしタンタンメン”をきっかけに、ロボコンの恋するロビンをも巻き込み、物語はやがて地球規模の大騒動に発展する!? ロビンのハートをつかめ! 100点目指して、がんばれいわロボコン!!


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