「ブギーマン」マイケル・マイヤーズの、新たな恐怖は加速する!
1978年にジョン・カーペンターにより制作され、不気味なマスクを被った殺人鬼マイケル・マイヤーズの恐怖を描いたホラー『ハロウィン』は、現在も根強い人気を持つ作品です。
1978年版『ハロウィン』の正当な続編として公開された2018年版『ハロウィン』のラストでは、40年前にマイケル・マイヤーズに襲われたローリー・ストロードが、街に戻って来たマイケル・マイヤーズを、ショットガンで狙撃した後に地下室に閉じ込め、家ごと燃やし撃退。
不死身の殺人鬼マイケル・マイヤーズも、これで終わりかと思われましたが、その直後の出来事を描いたのが『ハロウィン KILLS』です。
生きていたマイケル・マイヤーズは、次第に街を混乱状態に陥れていきます。前作ではローリーとマイケル・マイヤーズの戦いがメインでしたが、果たして『ハロウィン KILLS』では、どのような展開が起きるのでしょうか?
映画『ハロウィン KILLS』の作品情報
【公開】
2021年公開(アメリカ映画)
【原題】
Halloween Kills
【製作総指揮】
ジョン・カーペンター、ジェイミー・リー・カーティス、ダニー・マクブライド、ライアン・フレイマン
【製作】
マレク・アッカド、ジェイソン・ブラム、ビル・ブロック
【監督・脚本・製作総指揮】
デビッド・ゴードン・グリーン
【共同脚本】
スコット・ティームズ、ダニー・マクブライド
【キャスト】
ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ジェームズ・ジュード・コートニー、アンソニー・マイケル・ホール、カイル・リチャーズ、ウィル・パットン、トーマス・マン、ナンシー・スティーブンス、ニック・キャッスル、ディラン・アーノルド
【作品概要】
1978年にジョン・カーペンターにより制作され、今なおホラー映画の金字塔として名高い『ハロウィン』。その40年後に続編として制作された2018年版『ハロウィン』の続編となる『ハロウィン KILLS』は、前作ラストから数時間後、生きていたマイケル・マイヤーズが、街全体に恐怖と混乱をもたらします。
マイケル・マイヤーズと因縁ある女性ローリー役は、1978年版と2018年版に引き続きジェイミー・リー・カーティス。その他にも、ローリーの娘カレン役をジュディ・グリア、カレンの娘アリソンをアンディ・マティチャックが演じるなど、前作メインキャラクターのキャストは続投となっています。
そして前作に続きデヴィッド・ゴードン・グリーンが、監督と脚本を務めています。
映画『ハロウィン KILLS』のあらすじとネタバレ
ニュージャージー州の田舎町、ハドンフィールド。この街では、1978年に住民を恐怖に陥れた連続殺人事件が起こりました。
6歳の時に姉を理由なく殺害し、15年間精神病院に収監されていたマイケル・マイヤーズが脱走し、無差別の連続殺人に及んでいたのです。
新米警官のフランクは、マイケルの幼馴染である同僚の警官と共に彼の生家へと向かいます。
手分けをして屋敷内を捜査していた際に、突然現れたマイケルに同僚の警官が襲われます。駆け付けたフランクはマイケルを狙撃しますが、誤って同僚の警官を撃ってしまいます。
やがてマイケルは逃亡しますが、周囲を包囲していた警官に囲まれ、そのまま連行されます。
その40年後。再び精神病院へと収容されていたマイケルでしたが、脱走してハドンフィールドへ戻って来ます。
マイケルは次々に連続殺人を起こしますが、40年前マイケルに襲われ、復讐の時を伺っていた女性ローリーと、その娘のカレンと孫娘のアリソンにより、地下室に幽閉され家ごと燃やされます。
ローリーはマイケルとの戦いの際に重傷を負ったことで病院に収容され、カレンとアリソンも付き添います。
完全に死んだと思われたマイケルでしたが、実は無傷で燃え盛る屋敷の中から姿を現しました。
消火活動をしていた消防隊を皆殺しにしたマイケルは、市街地へと歩いていきます。
映画『ハロウィン KILLS』感想と評価
1978年に公開され、今でも高い人気を誇るホラー映画『ハロウィン』。
『ハロウィン』最大の魅力はなんと言っても、「ブギーマン」こと殺人鬼マイケル・マイヤーズのキャラクターです。
白い不気味なマスクを被っているため、一切の感情を読み取ることができないマイケルが、次々に人を殺していく様子を淡々と描いており、目的も正体も不明のマイケルはかなり不気味な存在です。
そして殺人鬼マイケル・マイヤーズの最大の特徴は、人並み越えた怪力と、どれほど攻撃をしても死なない、不死身であるという点です。
ホラー映画ではジェイソンやフレディなど、「不死身の殺人鬼」というキャラクターは多数存在しますが、マイケルには「精神病院から脱走し、街の何処かに隠れながら殺人を繰り返す」という、やたらリアルな恐怖性があります。
1978年公開の『ハロウィン』以降、さまざまな続編やリメイクが制作されましたが、正式な続編として公開されたのが2018年版の『ハロウィン』です。
1978年版『ハロウィン』でマイケルに襲われた女性ローリーと、再び姿を現したマイケルの40年越しの戦いを描いた2018年版『ハロウィン』は、ラストでマイケルは家ごと燃やされ、完全に葬り去られたと思われました。
ホラー映画にありがちな「まだ、終わっていなかった」的な場面もなかったため、2018年版の『ハロウィン』でシリーズ終了かと思われましたが、「マイケルは実は生きていた」という所から『ハロウィン KILLS』は始まります。そのため『ハロウィン KILLS』は、やはり少なくとも2018年版『ハロウィン』を観ることで、そのストーリーや面白さがより強まるでしょう。
2018年版『ハロウィン』の前半は、マイケルの精神病院からの脱獄や街に戻るまでと、周囲から変人扱いされながらも、復讐に燃えるローリーの姿が重点的に描かれていました。
そのため少し静かな展開が続いたのですが、『ハロウィン KILLS』では、マイケルは次々に殺人を繰り返し、最初からその恐怖が存分に味わえます。2018年版『ハロウィン』はあくまでも「序章」であり、『ハロウィン KILLS』から「本番」に入ったというわけです。
また2018年版『ハロウィン』では、ローリーとカレン、アリソンの母娘がマイケルに立ち向かいますが、『ハロウィン KILLS』では街全体でマイケルに対抗しようとします。
40年前にマイケルによって恐怖を与えられたのはローリーだけではなく、トミーやロニーも幼少期に襲われており、戦うための準備をしていたのです。
トミーは街の住民たちに、一緒に戦うように呼びかけますが、これがキッカケで、街全体がパニック状態になっていきます。
マイケルへの恐怖と怒りから住民たちは暴徒と化し、警察さえも抑えられなくなり、やがて秩序が崩壊していきます。その結果、全く無関係だった人間を死に追いやってしまうのです。
この場面では、冷静さを失った群集心理、集団で間違った方向に進んでしまった、人間の恐ろしさが生々しく描かれています。
ロニーは「俺達がモンスターになってしまった」と呟きますが、善良に見える人達の奥底にも、誰しもモンスターとも呼べる、恐ろしい部分が潜んでいるわけです。
マイケル・マイヤーズという存在は、そうした人間の持つ「モンスター」の部分のみで行動しており、本作の監督であるデヴィッド・ゴードン・グリーンは彼について「完全なる悪」と語っています。
今や殺人鬼の恐怖を描いたホラー映画は「古典的」であり、もはやパロディ映画の対象になっているほどです。
しかし『ハロウィン KILLS』は、マイケルを「完全なる悪」にして「街が抱える闇の本質」として具現化した存在のように描いており、「悪や闇の存在」に対する人間の複雑な心理描写が描かれた、かなり奥の深い作品となっています。
マイケル・マイヤーズは「ブギーマン(伝説・伝承の中では幽霊とも怪物とも妖精とも語られる、「恐怖」を象徴する「何か」)」と呼ばれていますが、まさに「完全なる悪」を象徴する存在として描かれている彼にふさわしいあだ名といえます。
まだ未見の方は、1978年版『ハロウィン』と2018年版『ハロウィン』と併せて観賞すると、奥の深さを実感できるのではないでしょうか?
まとめ
40年越しの因縁に決着がつくかと思われた『ハロウィン KILLS』ですが、実際はカレンの死というかなり後味の悪いラストで締めくくられています。
実はすでに第3作目となる『Halloween Ends(原題)』が企画されており、デヴィッド・ゴードン・グリーンが引き続き監督を務める予定になっています。2018年に蘇った『ハロウィン』は、まさかの3部作だったのです。
『ハロウィン KILLS』では、不死身の殺人鬼マイケル・マイヤーズの化け物ぶりがエスカレートしており、これまでのシリーズ作品では「武器さえ揃えば勝てそう」と思える程度だった彼は、もはやそのようなレベルをとうに過ぎてしまいました。
この化け物に対抗できるのは誰よりも復讐心を燃やすローリーだけであり、マイケルに両親を殺されてしまったアリソンも共に戦うのでしょうが、どうやったら彼を倒せるのでしょうか?
「タイトルが「Ends」ということは、次回作で「ハロウィン」シリーズは終わり?」などなど、いろいろな考えながらも、第3作目の公開を楽しみに待ちたいですね。