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Entry 2019/11/14
Update

映画『テルマ&ルイーズ』あらすじネタバレと感想。ラストで見せた解放された笑顔【リドリー・スコット作品】

  • Writer :
  • もりのちこ

どうなってもこの旅は最高よ!
本当の自分になれたから。

『エイリアン』『ブレード・ランナー』の代表作で知られるリドリー・スコット監督の、1991年製作アメリカ映画の『テルマ&ルイーズ』

平凡な主婦テルマとウェイトレスのルイーズは、週末のドライブに出かけます。楽しいはずのドライブは思わぬ事件を引き起こし、2人は警察に追われることに。

テルマとルイーズが逃避行の末、選んだ最後の選択とは?女性2人の冒険と友情を描いたロードムービー『テルマ&ルイーズ』を紹介します。

映画『テルマ&ルイーズ』の作品情報


(C)1991-MGM

【日本公開】
1991年(アメリカ映画)

【原題】
Thelma & Louise

【監督】
リドリー・スコット

【キャスト】
スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル、マイケル・マドセン、クリストファー・マクドナルド、スティーブン・トボロウスキー、ブラッド・ピット、ティモシー・カーハート、ルシンダ・ジェニー、ジェイソン・ベギー、マルコ・セント・ジョン、ソニー・カール・デイビス、ケン・スウォフォード

【作品概要】
『エイリアン』『ブレードランナー』のリドリー・スコット監督の、初めてアカデミー監督賞候補になった作品『テルマ&ルイーズ』。

結果は、1992年のアカデミー脚本賞、ゴールデン・グローブ脚本賞の受賞となりました。

リドリー・スコット監督は80歳を過ぎてもなお、『ブレードランナー』続編『ブレードランナー2049』の製作総指揮として携わるなど、映画界で活躍を続けています。

そして今作で、揃ってアカデミー主演女優賞にノミネートされた、スーザン・サランドンとジーナ・デイビスの名女優たちの共演にも注目です。

映画『テルマ&ルイーズ』のあらすじとネタバレ


(C)1991-MGM

ウェイトレスとして働くルイーズは、しっかり者のタフな女性です。一方、専業主婦のテルマは、外出するのも夫に言えない弱気な女性です。

2人は、今日からルイーズのオーナーの別荘に泊まりに行く予定でしたが、テルマはとうとう夫のダリルに旅行のことを言えませんでした。

荷造りの仕方にも性格がでます。ルイーズは、必要なものだけ素早くパッキングしていきます。テルマは、とにかく目に付いたものを適当に鞄に詰め、逃げるようにルイーズの車に乗り込みました。

テルマはダリルから護身用に預かっている拳銃まで持ち出していました。

「旅行なんて久しぶり。羽目を外して楽しむわよ!」。ダリルに置手紙だけ残し出てきたテルマは、もうすでにテンションが上がっています。

2人は、途中休憩に町のナイトクラブに寄ることにしました。

調子に乗るテルマは、酒を飲み、言い寄って来たハーランという男と踊りに夢中です。「そろそろ行くわよ」。ルイーズの声にも耳を貸しません。

踊りすぎて具合の悪くなったテルマは、ハーランに連れられ外へと出ます。するとハーランは急変。テルマを殴りつけ無理やり襲い掛かります。

必死の抵抗をするテルマでしたが、力が入りません。そこに助けに現れたルイーズ。ハーランの侮辱的な態度に怒り、手にしていた拳銃で撃ち殺してしまいます。

自首したところでどうにもならないと諦めた2人は、車で逃走。パニック状態の2人は罵り合いながらも、ドライブを続けます。

ナイトクラブでは、ハーランの死体が発見され、警察が捜査に乗り出していました。

「ハーランは殺されて当然よ」。ウエイトレスの証言を聞いたハル刑事は、何かしらの事情があったのではと考えます。

ルイーズは、メキシコ行きを決意します。金の工面のため、付き合っているジミーに連絡をします。

事情は明かせないと言うルイーズのお願いに、ジミーは戸惑いながらも聞き入れます。

テルマは夫のダリルに電話をしていました。浮気で帰りが遅くなったにも関わらず、ダリルは電話に出るなり「すぐ戻ってこい」とテルマを怒鳴りつけます。

怒ったテルマは「くたばって!」と言い放ち電話を切ります。ルイーズと一緒にメキシコ行き決定です。

2人はとりあえず、ジミーがお金を送ってくれるオクラホマまで向かうことにしますが、途中で、ヒッチハイクをする若者に出会います。

陽気な学生J.D.は、テルマと意気投合。気が進まないルイーズの反対を押し切り、乗せてあげます。

オクラホマのホテルに着くと、そこにいるはずのないジミーがいました。ルイーズとの別れを察したジミーは、プロポーズの指輪を持って迎えに来たのでした。

「嬉しいけど、今は無理なの」。ルイーズとジミーは、最後の夜を過ごします。

一方、テルマの部屋にはJ.D.が訪ねて来ていました。J.D.の本当の姿は、強盗を繰り返す悪でした。その嘘を見破るテルマでしたが、一夜の関係に溺れていきます。

以下、『テルマ&ルイーズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『テルマ&ルイーズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
次の朝、ホテルのラウンジでコーヒーを飲むルイーズの元へ、テルマがご機嫌でやってきます。

J.D.との関係を嬉しそうに話すテルマを他所に、ルイーズは部屋に置きっぱなしだったお金が気になり部屋に飛び交えります。

案の定、すべて取られた後でした。ジミーからのお金をすべて取られたルイーズは、泣き崩れます。

テルマは、そんなルイーズを連れ出し「大丈夫よ。私にまかせて」と、車に乗り込みます。

テルマはJ.D.の真似をし、スーパーに強盗に入ります。拳銃で脅しながらも、丁寧にお礼を言ってみごと成功させます。

ルイーズは「なんて人なの!」と呆れながらも、頼もしくなったテルマに嬉しそう。もう後戻りは出来ません。

警察は戻ったジミーから話を聞き、お金を盗んだJ.D.を逮捕します。「君が金を奪ったからあの2人はさらに罪を犯したんだ」。ハル刑事は、彼女たちを救いたい気持ちでした。

テルマとルイーズは、メキシコを目指し長いドライブに出ます。壮大な自然の中をスピードを上げて走る2人。

「いい気分。ずっと旅に憧れていたの」。抑圧的な夫との結婚生活から解放されたテルマは、本当の自分に戻った気分でした。

そして、ルイーズもまた元の暮らしに戻る気はありませんでした。過去に男に虐げられた経験があったルイーズは、友達を守ったことを後悔していません。

グランドキャニオンが見えてきます。感動するほど美しい光景が広がる中、何十台ものパトカーが2人に迫ってきます。

「ごめんね。すべては私のせいね。でも、どうなってもこの旅は最高よ!」。行く手を阻まれ、完全に包囲されるテルマとルイーズ。

ハル刑事は、今にも発砲しようとする警察を止めに入ります。しかし時はすでに遅かったのです。

「このまま行って」。「本気なの?」。見つめ合う2人は、キスを交わし、手を取り合います。アクセルを踏むルイーズ。

2人を乗せた車はスピードをあげ、グランドキャニオンの崖から飛び出します。宙を舞う車。テルマとルイーズは自由を手に入れました。

映画『テルマ&ルイーズ』の感想と評価


(C)1991-MGM

映画『テルマ&ルイーズ』は、現代より製作当時の方が強かったであろう男性優位主義に激しく抵抗する女性たちの姿が描かれています。

自分を解放して自由を選んだテルマとルイーズの、「男たちの思い通りにはならないわよ!」という感じが爽快です。

テルマの夫・ダリルは、抑圧的で妻を家に縛り付けておくタイプの夫です。自分の浮気は棚に上げ、テルマが帰ってこないのを攻め立てます。

警察に「盗聴をばれないように対応しろ」と命令され、かかってきたテルマからの電話に優しく対応しただけで、怪しまれ電話を切られるシーンでは、映画館が失笑に包まれました。

また、彼女たちが旅の途中で出会う男たちは、テルマをレイプしようとしたハーラン、強盗のJ.D.、下品なトラック運転手と、ろくでなしばかりです。

そんな、ろくでなし男ばかりの中で、彼女たちの見方も存在します。2人の事情を理解し、助けたいという思いで追いかけるハル刑事です。

ルイーズとの電話のやり取りは、古くからの友達のように心を開いたものでした。しかし、ハル刑事ひとりの力では彼女たちを救うことは出来ませんでした。

そして、もうひとり。ルイーズの彼・ジミーです。ジミーは、ルイーズの逃走の理由を何も聞かず力を貸してくれます。

初めは、他の男との浮気を疑い、あせって指輪を持ってくるあたりが滑稽でしたが、ルイーズへの愛が感じられました。

テルマとルイーズは、旅をしながら傷つき、その経験を乗り越え、最強になっていきます。

旅の最後の決断の時、2人は互いを称え合い認め合います。悲しい選択でしたが、確かな友情で結ばれたテルマとルイーズが、自由へと飛び立つ晴れやかなラストシーンとなっています。

そして、テルマとルイーズを演じたジーナ・デイビスとスーザン・サランドンの名演技に、終始惹き込まれます。

テルマを演じたジーナ・デイビスは、始めは夫の言うなりの優柔不断テルマから、羽目を外しすぎるセクシーテルマ、そして友のために立ち上がる最強テルマまで、コロコロと変わる表情や仕草がとても魅力的です。

そしてルイーズを演じたスーザン・サランドンは、辛い過去を背負い気丈に強く生きるルイーズにぴったりの配役となりました。

しっかり者でどちらかと言うとテルマの世話焼き係りだったルイーズが、疲れ果て途方に暮れた姿や、愛する人との別れのシーンでは、か弱い女性の一面が見えます。

また個人的には、強盗犯J.D.役を演じた、20代後半のブラッド・ピットの鍛えられた肉体が発狂物でした。これはお金を盗まれても憎めない!?

まとめ

平凡に暮らしていた女性2人が、ある事件をきっかけに犯罪者として逃亡するロードムービー『テルマ&ルイーズ』を紹介しました。

窮屈な男性優位社会の中で、テルマとルイーズは逃避行を続けながら、人生を謳歌していきます。

アメリカの壮大な自然の中をオープンカーで駆け抜けるカッコイイ女たち。

2人が逃亡の末、手に入れた自由とは。ラストシーンでの、彼女たちの解放された笑顔が印象的です。

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