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Entry 2018/02/18
Update

映画『RAW 少女の目覚め』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品】

  • Writer :
  • 馬渕一平

第69回カンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞した映画『RAW 少女の目覚め』

失神者続出!衝撃のカニバリズム映画!!少女から女性への成長を誰も観たことのない形で描いた話題作『RAW 少女の目覚め』。

フランス人の女性監督ジュリア・デュクルノーが長編デビューを果たした作品で、主人公ジュスティーヌ役をデュクルノー監督の短編作品『Junior』でデビューした、ガランス・マリリエールが演じています。

厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳のジュスティーヌは、両親、そして姉も通った獣医学校に進学。しかし、見知らぬことが多い環境での寮生活に不安な日々を過ごします。

そして、ジュスティーヌは、上級生からの新入生の通過儀礼として、強制的に生肉を食べさせられ…。

カンヌ国際映画祭で高い評価を得た映画『RAW〜少女のめざめ〜』をご紹介します。

1.映画『RAW〜少女のめざめ〜』の作品情報


(C)2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2018年(フランス・ベルギー映画合作)

【原題】
Grave

【監督・脚本】
ジュリア・デュクルノー

【キャスト】
ガランス・マリリエール、エラ・ルンプフ、ラバ・ナイト・ウフェラ、ローラン・リュカ

【作品概要】
2016年のカンヌ国際映画祭批評家週間でワールドプレミア上映され、スタンディングオベーションが巻き起こる大喝采を浴びた本作。

その後も世界各国のファンタ系映画祭、トロント国際映画祭やサンダンス映画祭などメジャー級の映画祭を席巻し、数多くの賞を受賞。

批評家や映画ファン、映画監督たちからも圧倒的な支持を得て、本国フランスでヒットを記録、アメリカやイギリスでもスマッシュヒット。

映画史に残る衝撃の1本が満を持して日本上陸!

2.映画『RAW〜少女のめざめ〜』のあらすじとネタバレ

(C)2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED

ベジタリアンとして育てられたジュスティーヌは、親元を離れ姉と同じ大学の獣医科に入学します。

大学寮はゲイであるアドリアンと同室になりました。

最初の夜、新入生は上級生にたたき起こされ、強制的に新入生歓迎パーティーへ。

ジュスティーヌはそこで姉のアレックスを見つけますが、彼女は1年会わない間に雰囲気が変わっていました。

翌日、校庭に集められた新入生たちは頭上からは動物の血を浴びせられ、そのまま記念撮影。

合図の音が鳴るまで新入生は研修期間、上級生の命令は絶対と教え込まれました。

そして、ウサギの生の腎臓を食べるよう強制され、みな嫌々ながら口にします。

ベジタリアンのジュスティーヌはそれを拒み、アレックスに助けを求めます。

しかし、アレックスはジュスティーヌの口の中に無理矢理ウサギの腎臓を押し込みました。

その夜、ジュスティーヌの身体中には赤い発疹ができ、痒みのために掻きむしります。

掻きむしりすぎて身体の皮が剥けてしまったジュスティーヌは学校の医務室で塗り薬を処方してもらいました。

その頃からベジタリアンであったはずのジュスティーヌにある変化が。

学食では衝動が抑えきれずにハンバーグをポケットの中へ隠し入れたり、食欲を抑えるために自らの髪の毛を大量に飲み込んだり、肉を口にしたい欲求が彼女を襲います。

そして遂に、アドリアンと外出した先で肉料理を口にしてしまいます。

寮に戻ったジュスティーヌは深夜に冷蔵庫を開けて生の鶏肉のササミにかぶりつきます。その姿は正に獣そのものでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『RAW〜少女のめざめ〜)』ネタバレ・結末の記載がございます。『RAW〜少女のめざめ〜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
自分の変化に戸惑うジュスティーヌは姉の部屋を訪ねます。

ムダ毛の処理もしていない妹のために、アレックスはブラジリアンワックスを施します。

そこでなかなか剥がれないワックスを切り取ろうとアレックスがハサミを持ってきたところ、怖がったジュスティーヌは反射的に蹴飛ばしてしまいました。

その際にアレックスの左手の中指が根元から切断され、それを見たアレックスはショックで気絶。

ジュスティーヌはすぐに救急車を呼び、切断した指を氷で冷やすよう指示されますが、氷が見つかりません。

そして、ジュスティーヌは姉の切断された指を拾って見つめているうちに欲求が抑えられなくなってきました。

指から滴り落ちる血に吸い付いてしゃぶると、そのまま食べ始めます。

夢中で姉の指を食べているジュスティーヌの横でアレックスが目を覚ましますが、彼女はジュスティーヌに対して何も言いませんでした。

病院に搬送された処置を施されたアレックスでしたが、指は食べられてしまったため縫合することは出来ません。

アレックスの指を食べたのは飼っていた犬ということにされたため、ジュスティーヌのことは姉以外には誰も知りません。

退院後、アレックスはジュスティーヌを人通りの少ない道路に連れて行きます。

アレックスはちょうどいい速度で走ってきた車の前に飛び出し、運転手に事故を起こさせました。

車は街路樹に激突。大怪我を負って大量の出血をしている運転手は死にかけています。

アレックスは瀕死の状態の運転手を一口食べ、ジュスティーヌにも食べるよう言いました。

真面目なジュスティーヌは姉の行動が許せず、それを拒否して学校まで歩いて帰ります。

変わっていく自分を否定したいと思いながらも、ジュスティーヌはアドリアンのことを食べてみたいと考えるようになっていました。

ある日、上級生が主催するパーティーでジュスティーヌはその場にいた男子生徒と身体を重なり合わせるように命じられます。

初めてのキスの最中にジュスティーヌは相手の唇を噛み切ってしまいました。

部屋に戻ったジュスティーヌはアドリアンのベッドにもぐりこみ、そのまま二人は関係を持ちます。ジュスティーヌにとってはそれが初体験でした。

アドリアンを食べたい欲求と戦いながら、ジュスティーヌは自らの手首を血が出る程に深く噛んで必死に堪えます。

肉体関係を持ったことでジュスティーヌとアドリアンの間に微妙な距離感が生まれました。

その夜、ジュスティーヌは記憶をなくすほど泥酔。次の日、クラスメイトの冷たい視線が彼女に注がれます。

泥酔して記憶をなくしている間にアレックスによって撮られた動画がその原因でした。

その動画には、アレックスが遺体安置所の遺体をジュスティーヌに食べさせようとしている姿が映っています。

激怒したジュスティーヌはアレックスを見つけると掴みかかり、そのままお互いが噛みつき合う大喧嘩に。

その姿は姉妹揃って獣そのものでした。

その後、落ち着いた2人は、アレックスの部屋で互いの傷を手当しながら仲直り。ジュスティーヌは自分の部屋へ帰ります。

翌朝、研修期間の終わりを告げる音が鳴り響き、新入生はぞろぞろと校舎に集まり出します。

そこにジュスティーヌとアドリアンの姿はありません。

ジュスティーヌが目を覚ますと、隣にはアドリアンが眠っていました。

愛おしそうにアドリアンを見つめるジュスティーヌでしたが何やら異変を感じます。

布団をめくると、アドリアンの下半身は大部分が食われていて、彼はすでに亡くなっていました。

ジュスティーヌは遂に欲求を抑えきれなくなった自分が彼を食べてしまったのだと思い込み、どうして抵抗しなかったのと泣き叫びます。

しかし、よく見るとアドリアンの背中には穴があいており、ベッドの下には血のついたスキーのストックが。

ジュスティーヌがキッチンの方へ歩いていくと、そこにはうつろな状態で口が血だらけのアレックスが床に座り込んでいる姿が。

アレックスの額にストックを当てて殺そうとしますが、ジュスティーヌは思いとどまります。

そして、血だらけのアレックスの体をシャワーで洗い流してあげました。

アレックスは殺人容疑で逮捕。

刑務所へ面会に行ったジュスティーヌは、帰り際にアレックスからガラス越しにキスをされました。

実家に戻ると、父は真剣な表情でジュスティーヌにある話をします。

父の上唇には傷痕があり、それはジュスティーヌが同級生の子に噛み付いた時の痕に似ていました。

「お前たち姉妹のせいではない」と言い、父はおもむろにシャツを脱ぎ始めます。

その身体のあちこちには噛み付かれたような痕がありました。

「お前には解決法を見つけてほしい」と父はジュスティーヌに言います。

ジュスティーヌは全てを理解しましたが、その血に流れる運命をまだ受け止めきれず、ただただ父を見つめることしかできません。

3.映画『RAW〜少女のめざめ〜』の感想と評価

(C)2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED

カニバリズム、人の肉を食べるという行為は最大のタブーであり、であるからこそ作り物である映画の世界では度々描かれてきました。

クラッシックである『食人族』や『悪魔のいけにえ』、最近ではイーライ・ロス監督の『グリーン・インフェルノ』など。

サスペンス要素の方が強いですが『羊たちの沈黙』もその一種です。

食人映画という一つのジャンルを形成する程、一部のファンには人気があります。

この作品の何がそこまで絶賛されているのかと言うと、作品の重要な要素として食人行為が意味あるものとして組み込まれ、最終的には非常に切ない青春と感動的な愛の物語として語られているからです。

こういったジャンル映画は、外観のイメージで観客を刺激しながらもその中に繊細で美しいメッセージが隠されている場合、強烈な魅力を放ちます。

私的に近年特にお気に入りの作品は『イット・フォローズ』。この作品もホラーでありながら、青春と美しい愛の物語が織り込まれているとても感動的なお話でした。

何と何を組み合わせるのか、その意外性という意味で本作はずば抜けています。

「食人」×「少女が大人に成長する青春もの」×「姉妹愛+家族愛」。

まずもってそのキャッチーさがこの作品の圧倒的な魅力であり、いかにして誰も観たことのない物語を生み出すのかという難問に、監督のジュリア・デュクルノーは見事に答えを出しています。

人肉を食べたいというのはそのまま性欲のメタファー。身体の皮が剥けるのは脱皮、布団に包まるのは子宮のイメージ。

姉が妹に人肉の見つけ方を教えるのは、獣が狩りのやり方を教える方法そのもの。

姉妹の噛み付き合う喧嘩も獣そのものなので、上級生が止めに入るシーンは首輪をつけられるイメージです。

研修期間の終わりを知らせる合図の音に反応してゾロゾロと新入生たちが集まってくるのも家畜などを連想させます。

こういったメタファーやイメージが多くのシーンに入れ込まれているので、映画好きの方は色々と考えながら観るのも楽しいのではないでしょうか。

ラストにあの展開が待ち受けていますが、これはあくまでジュスティーヌの物語にオチをつけるため。(最高の終わらせ方でした)

これは誰しもが当てはまることで、獣医(社会人)になると厳しい現実が待ち受けています。

そこに足を踏み入れる前の練習、一種の通過儀礼(イニシエーション)として研修期間が設けられ、大人になるために傷つきながら心と身体が共に成長していきます。

そこには、甘酸っぱい初恋や切ない失恋だったり、初めての色んな体験が詰まっています。

この作品において姉のアレックスはそこから誘惑に負けて脱落してしまったように見えますが、それは誰のためを思ってとった行動だったのか。

父親の姿も含め、強い愛の肯定を描くこの作品の温かさには大きく心惹かれてしまいます。

まとめ

(C)2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED

鮮烈な長編監督デビューを飾ったジュリア・デュクルノー。

冒頭シーンの切り返しの巧さ、脚本の面白さ、ショットの美しさ。

これからどのような作品を手掛けていくのかが、とても気になる監督になりました。

恐ろしくも美しい物語は、その内容故にどうしても観る人を選びますが、耐性のある方にはぜひ観ていただきたいです。

生々しさを超えた先にきっと大きな感動があるはずです。

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