『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメイン&フェリシティ・ジョーンズのコンビが、はるか上空を目指す
『博士と彼女のセオリー』(2014)のエディ・レッドメイン&フェリシティ・ジョーンズのコンビが、再共演したことで話題の映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』。
気球で前人未到の高度世界記録に挑んだ実話をベースとした、ヒューマンドラマです。
CONTENTS
映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』の作品情報
【日本公開】
2020年(イギリス映画)
【原題】
The Aeronauts
【監督・製作・原案】
トム・ハーパー
【製作】
トッド・リーバーマン、デビッド・ホバーマン
【キャスト】
フェリシティ・ジョーンズ、エディ・レッドメイン、ヒメーシュ・パテル、トム・コートネイ
【作品概要】
『博士と彼女のセオリー』のフェリシティ・ジョーンズとエディ・レッドメインが再共演した、実話をベースにしたヒューマンドラマ。気球で前人未到の高度世界記録に挑むジェームズとアメリアの男女コンビを、エディとフェリシティがそれぞれ演じます。
その他のキャストとして、『イエスタデイ』(2019)の主演で一躍注目を集めたヒメーシュ・パテル、『長距離ランナーの孤独』(1962)や『ドクトル・ジバゴ』(1965)に出演する名優トム・コートネイらが脇を固め、演出は『ワイルド・ローズ』を手がけたトム・ハーパー監督。
映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』のあらすじとネタバレ
1862年、イギリスのある広場で、今にも大きな気球を飛ばそうとする男がいました。
その男、気象学者のジェームズ・グレーシャーは、天気の予測が可能であるという考えの元、気球で1万メートル上空まで昇り、そこで気象に関するデータを手に入れようとしていたのです。
研究資金を提供するも、ジェームズの理論に半信半疑なネッドは不安になりますが、ジェームズは成功を確信。
そこへ、派手に着飾った一人の女性が遅れて到着。
彼女は名をアメリア・レンといい、気球操縦士としてジェームズの調査飛行に帯同。
当時、世界各国では気球での高度到達記録を競っており、アメリアはフランスが持つ高度7000メートルの世界記録を超えようと意気込みます。
連れてきた犬も同乗させると言い出したアメリアがジェームズとひと悶着起こすも、2人を乗せた気球は大観衆が見守る中、空へと浮かびます。
気球のロープに登ってアクロバティックなパフォーマンスをしたり、同乗させた犬にパラシュートを付けて放すなど、ゴンドラ内をせわしなく動くアメリアに呆れるジェームズ。
まさに水と油な性格の2人ですが、ジェームズは、気象予測ができるという理論をバカにした仲間の学者たちを見返そうと躍起になり、アメリアに気球の操縦を頼んだのでした。
一方のアメリアも、2年前に、夫と一緒に気球に乗っていた際に起こった事故により、彼を亡くしてしまった悲劇を引きずっていたのです。
そんな中、気球は積乱雲の中に入ったことで、2人は激しい突風と雷雨に見舞われます。
安全確保のために積んでいた荷物を捨てようとするアメリアでしたが、荷物の大半が研究道具であるジェームズは拒絶。
風の勢いで気球から落ちそうになるアメリアの手を、ジェームズがつかんで引き上げるなどのピンチに陥りながらも、なんとか雲を抜けた先には、晴れやかな青空と太陽があります。
蝶の大群などを見て平静を取り戻した2人は、初対面時の思い出や、それぞれがこの飛行にかける思いを改めて語り合うのでした。
映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』の感想と評価
本作『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は、あらすじ展開の大半が、気球でのジェームズとアメリアの対話劇となっています。
そもそも、あらすじの元となった実話自体が1時間半程度という短い飛行で、それに合わせてか本作のランニングタイムも101分に設定されています。
そう聞くと、画替わりしない単調な作りなのではと思いがちですが、そのあたりは2人の回想シーンを適度に盛り込んだり、何よりも後半以降に待ち受ける劇的展開に目が離せなくなります。
終盤での、極寒となった1万メートルの上空で、涙も鼻水も垂れ流し、髪も指も凍ってしまった2人が生命の危機からの脱出を図る姿は、観ていて手に汗握ります。
宣伝文句などで『ゼロ・グラビティ』(2013)と比較される理由が、よくわかることでしょう。
実話をベースにした本作ですが、当然ながら脚色した部分もあります。
一番の変更は、フェリシティ扮するアメリアが、実際はヘンリー・コックスウェルという男性だった点でしょう。
もっとも、アメリアも実在のフランスの気球操縦士ソフィー・ブランチャードをモデルに創作されたものの、実在した男性を女性に変えたことに対する批判の声が上がりました。
なかには、「主人公の一人をアメリアという女性にしたのは、エディ・レッドメイン演じるジェームズとの恋愛要素を高めるため」といった声も。
しかし、あらすじを読んだ方も察しが付くように、主人公の2人は、愛ではなく友情を育む関係として描かれています。
過去に製作された、男女が一緒に行動する冒険映画の多くは、男性が勇猛果敢でたくましく、女性は男性に守られる立場といった構成が目につきました。
しかし、本作でのジェームズとアメリアの関係は、それとは逆転しています。
自身の理論を証明したいという理想は高いものの、頑固で融通が利かないばかりか、終盤では気絶して何もできない状態になってしまうジェームズに対し、アメリアはそんな彼を必死になって助け、守ろうとします。
目がくらむようなアクロバティックなシーンや、決死の覚悟で気球に上って修理するシーンといった、アクション描写がアメリア中心であることからも、それはうかがえるというもの。
キャラクター性別の変更に関しては、フェリシティとエディが再共演できる脚本を探した末の脚色であることや、男性優位だった当時のイギリスにおける女性の反発を描きたいという製作サイドの思惑があったようです。
フェリシティといえば、『ビリーブ 未来への大逆転』(2019)でも、男女平等問題をライフワークにした実在のアメリカ連邦最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを演じただけに、こうしたタフで芯の強い役はお手のもの、といったところでしょうか。
まとめ
映画製作をアマゾンスタジオが手がけているということもあり、本作『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は、アマゾンプライムでも手軽に鑑賞することができます。
しかし、アメリアが披露する気球でのアクロバティックなパフォーマンスや、終盤でのスリリングなサバイバルシーンなどは、劇場の大スクリーンで観るとより臨場感が高まることでしょう。
劇中でのアメリアの言葉「世界は見てるだけじゃ変わらない。自分がどう生きるかで変わる」を、如実に表した、渾身の一作となっています。
映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は、2020年1月17日(金)より全国ロードショー。