長い間、その存在について議論になる事が多かったUFOと宇宙人の存在。
ですが、2020年4月に米国防総省がUFOの可能性がある映像を公開し、日本でもUFOに遭遇した時の手順が決められるなど、すでにUFOと宇宙人の存在は、世界的に認められる段階にきていると言えます。
そのUFOと宇宙人を、世界的に多発している宇宙人による拉致事件「アブダクション」に注目し存在や目的について迫ったドキュメンタリー映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』。
「アブダクション」遭遇者や、歴史を辿る事で、いったい何が見えるのでしょうか?
本作を通して見えてきた「真実」をご紹介します。
CONTENTS
映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』の作品情報
【公開】
2020年公開(アメリカ映画)
【原題】
Beyond the Spectrum: Being Taken
【監督・製作 撮影】
ダーシー・ウィアー
【キャスト】
スタントン・フリードマン、キャスリーン・マーデン、ジョン・E・マック、フィリップ・J・クラス、スーザン・A・クランシー、スティーブン・バセット
【作品概要】
1896年から近年にかけて多発している、宇宙人による拉致事件「アブダクション」を、さまざまな角度で検証したドキュメンタリー映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』。
本作では全米を震撼させた「アブダクション」遭遇者のインタビューや、著名なUFO研究家などの専門家の見解を紹介しながら、宇宙人の存在や目的に関して迫っていきます。
映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』のあらすじ
宇宙人による人間拉致事件、いわゆる「アブダクション」。
近年、この「アブダクション」が世界中で多発しているという報告が増えています。
「アブダクション」は、睡眠状態から一時的に目覚め、夢と現実の区別がつかない状況で「自分が宇宙人に拉致された」と錯覚した人による証言との仮説がありますが、実際の「アブダクション」遭遇者は、前後の記憶が明確にある事と、精神的に何の異常も無い人が多いとの報告があります。
また「アブダクション」の体験を偽り、マスコミに取り上げてもらう事で「お金儲けを考えている人達」という考え方もありますが、そもそも「アブダクション」の体験を語った所で、信じる人が少ない為、「アブダクション」遭遇者は、自身の経験を積極的に語らない事が特徴です。
それでは「アブダクション」は実際に発生しているのでしょうか?
アメリカにおける、UFO研究の第一人者として知られる物理学者、スタントン・フリードマンは「アメリカはUFOを脅威ではないと考えるが、宇宙人自体の存在が、宗教観を揺るがす脅威だ」と語ります。
そして、数ある「アブダクション」の中でも、全米を震撼させた事で知られる、1961年の「ベティ&バーニー・ヒル夫妻誘拐事件」を紹介します。
真夜中のドライブを楽しんでいたヒル夫妻は、夜空に謎の光る物体を見つけた事で、それを追いかけていました。
ですが、その光る物体は、逆にヒル夫妻の車を追いかけて来ます。
ヒル夫妻は、その物体が宇宙船で、船内に人影を確認したところで拉致されます。
船内で、ヘソに針を刺されるなど、標本のようにされたヒル夫妻ですが「宇宙人はテレパシーで話しかけてきて、怖くはなかった。不思議と痛みを感じなかった」と後に証言しています。
ヒル夫妻は、その後「アブダクション」遭遇者として話題になりますが、「アブダクション」後に、それぞれが体調を大きく崩し始めた事を、ベティ・ヒルの姪、キャスリーン・マーデンは語っています。
キャスリーン・マーデンも「アブダクション」の遭遇者で、UFO研究家として有名な人物です。
もう1つ、有名な「アブダクション」があります。
1975年に発生した「トラヴィス・ウォルトン事件」です。
アメリカのアリゾナ州で、森林作業員をしていたトラヴィス・ウォルトンが突然5日間失踪します。
同時期に同じ場所で作業をしていた同僚は、皆が「トラヴィスがUFOにさらわれた」と証言し、現場に戻る事すら怯えて拒んだとされています。
6日後に、トラヴィスは無事に発見されますが、この事件は大きな話題になり、1993年に『ファイアー・イン・ザ・スカイ/未知からの生還』という作品まで製作されたほどです。
「ベティ&バーニー・ヒル夫妻誘拐事件」「トラヴィス・ウォルトン事件」。
この2つの「アブダクション」を、当事者のインタビューも含めながら、さまざまな角度で検証を開始。
すると宇宙人の目的と、一連の「アブダクション」に関する、UFO懐疑論者達の情報操作など、さまざまな事が発覚します。
映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』感想と評価
宇宙人による人間拉致事件「アブダクション」に迫った、映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』。
「アブダクション」に関する最古の事件は、1896年のカリフォルニア州ストックトンで起きた「H・G・ショー大佐の誘拐事件」とされています。
その後1990年代に、日本でもUFOブームなどが起き「アブダクションされると、宇宙人に謎の金属を埋められる」「宇宙人に身体検査をされる」など、さまざまな噂が飛び交いました。
大ヒットしたテレビドラマ「X-ファイル」シリーズでも、物語の核の部分が、主人公モルダーが、目の前で妹を「アブダクション」された時の、記憶が真実かどうか?という部分だったので、印象に残っている方も多いのではないでしょうか?
本作は、その「アブダクション」に関して、さまざまな事例を紹介し検証していきます。
ですが、ほとんどの情報元がウィキペディアだったり、実際にインタビューに応じているのは、UFO肯定派の著名人ばかりなので、この作品だけで「アブダクションの真実」を、判断する事はできません。
せめて、UFO懐疑論者として名前が出ている、フィリップ・J・クラスとスーザン・A. クランシーには、直接インタビューするべきだったのではないかと感じます。
ですが「トラヴィス・ウォルトン事件」の詳細については、当事者のインタビューもあった事から、かなり興味深い部分がありました。
当時、全米で話題になったトラヴィスの誘拐事件は、事件をモデルに製作された『ファイアー・イン・ザ・スカイ/未知からの生還』によって「完全な嘘」とされてしまいました。
トラヴィスは「完成後に、ある場面が追加されていた。事前に知っていたら承認しなかった」と語っています。
その部分がどこなのかは、作中で深く掘り下げていませんが、何かしらの印象操作があったのでしょう。
逆に、製作者が「フェイクだ」と言っているにも関わらず、本物とされてしまった映像「UFO ABDUCTION」も紹介されています。
この「UFO ABDUCTION」は、1990年代に日本のテレビ番組でも放送された事があり、ホームビデオの映像がやたらリアルでした。
前述のトラヴィスは、宇宙人が友好的である事を主張していましたが、ディーン・アリオトが製作した『UFO ABDUCTION』では、一家を襲う恐怖の宇宙人の映像が流れます。
『UFO ABDUCTION』が、全米のメディアによって「本物」とされてしまった経緯を考えると、何者かによる、明らかな印象操作があったと考えられます。
誰が?何の為に?かは不明ですが、本気になれば世論を簡単に誘導できる存在がいるという事です。
それは、宇宙人に関する情報だけなのでしょうか?
近年「フェイクニュース」という言葉が頻繁に使われるようになりました。
ニュースを鵜呑みにしてしまうのは、実はかなり危険な事なのかもしれません。
「真実」とされている事は、実は誰かが誘導した「フェイク」の可能性がありますよ。
まとめ
映画『UFO真相検証ファイル Part1 戦慄!宇宙人拉致事件』は、関係者のインタビューや、ニュース記事などを淡々と紹介していく内容です。
かなりスピーディーに話が進むので、突然違うテーマになっていたりしますが、「アブダクション」に関しては、全て詳細を紹介してくれるので、予備知識無しでも「アブダクション」に関して、何が起きたかは分かるようになっています。
ただ人間と宇宙人の交配種と呼ばれる「ハイブリッド」や、UFOの墜落現場に遭遇した人を連れ去り拷問を行ったとされる「謎の組織(おそらくメンインブラック)」に関して、もっと深く掘り下げてほしかったという部分がありますが、本作はUFOの入門編的な作品と言えます。
日本でUFOブームが起きた1990年代に比べ、現在はインターネットが普及された事により、あらゆる情報を簡単に調べる事ができますし、宇宙人関連の情報も、かなり興味深い情報を探す事ができます。
大切な事は、一方的に与えられる情報を鵜呑みにしないで、自分である程度調べて、情報を精査して検証する事です。
本作は「アブダクション」に関して、検証は行いますが、結論はあえて出していません。
そこは観客に委ねたという事でしょう。
ただ、本作からは、ろくな検証もせずに「アブダクション」遭遇者を嘘つきと決めつける、UFO懐疑論者への明らかな怒りが込められています。
宇宙人への愛情さえも感じるドキュメントで、本当は声を大にして言いたい「結論」があるはずなのですが、あえてそこに観客を誘導しない冷静な作品制作の姿勢には、かなり好感が持てました。