1969年に発表された『エル・トポ』や 1973年の『ホーリー・マウンテン』で一躍カルト映画の筆頭に躍り出たアレハンドロ・ホドロフスキー。
2017年に日本公開された『エンドレス・ポエトリー』をご覧になった映画ファンも多いことでしょう。
その際にホドロフスキー映画の制作資金の一部は、世界各国から集まったクラウドファンディングによるものでした。
アレハンドロ・ホドロフスキー監督はこのように語ります、「映画芸術とは真の自己を見つけるための扉。金儲けではなく、自由で独立した映画をつくる為にあなたの力が必要です」。
いよいよ次なる作品『サイコマジック』のクラウドファンディングを開始されました。
CONTENTS
1.クラウドファンディング開始された『サイコマジック』とは
2014年に23年ぶりの『リアリティのダンス』、2017年には続編となる『エンドレス・ポエトリー』を発表。
カルト映画の名匠アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、89歳になって精力的に創作活動を行っています。
さらなる続編制作も噂されるなか、今回発表されたのは、ドキュメンタリー映画『サイコマジック(英題:Psychomagic, an art that heals)』。
サイコマジックは、ホドロフスキー監督が提唱してきたロールプレイングと、精神分析を合わせたような心理セラピー。
本作は実際にホドロフスキーに悩み相談に訪れた人たちが出演しており、サイコマジックとはどのように実践され、作用しているのかを描いているそうです。
2.アレハンドロ・ホドロフスキー監督のプロフィール
カルト映画として映画史に残る『エル・トポ』(1970)
1929年にチリ生まれ。1970年にジョン・レノンやアンディ・ウォーホルが惚れ込んだという伝説カルト映画『エル・トポ』を発表。
その後1973年に『ホーリー・マウンテン』、1989年に『サンタ・サングレ/聖なる血』を発表し、カルト界の巨匠としての確固たる地位をえます。
ホドロフスキー作品は他の映像作家の誰の映画スタイルとも似ていないことは、彼に批判的な批評家たちでさえ認めています。
鑑賞者を眩惑し、無から有を生みだした映像の奇跡を見せつける作風は、まるで“魔術師”のようでもあります。
また、2014年に日本公開された作品には、ホドロフスキー監督が1975年に企画した幻のSF大作『DUNE』についてのドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』と、自伝的な作品『リアリティのダンス』が、2作品連続公開して大きな反響を呼びました。
2017年日本公開には、『リアリティのダンス』の続編『エンドレス・ポエトリー』も日本公開されています。
3.『サイコマジック』のクラウドファンディング内容は
アレハンドロ・ホドロフスキー監督のスペシャル・メッセージ
現在、フランスのクラウドファンディング・サイトUlule(ウルル)で、『サイコマジック』の制作費を募るプロジェクトを4月23日6時59分(日本時間)まで実施中。
プロジェクトを紹介したページは、英語、フランス語ほか8ヵ国語表記されています。
ホドロフスキー監督作品『サイコマジック』制作支援プロジェクトページ
こちらには日本語でのインフォメーションはありませんが、もちろん日本からの支援も可能です!!
ドキュメンタリー映画『サイコマジック』の支援にあたっては、支援金を5ユーロから2,500ユーロまで選ぶことが可能です。
その支援金の金額に応じて、本編DVDやプレミア上映招待はもちろん、サイン入りカチンコや、あの!幻のSF映画『デューン』のシナリオのコピーなどの特典が進呈される予定となっています。
ほかにも、ホドロフスキー監督が制作を準備している『エル・トポ』の続編『エル・トポの息子』や、デヴィッド・リンチを共同プロデューサーに迎え、ニック・ノルティ、マリリン・マンソン、ウド・キアーが出演するはずだったものの制作中止となった幻のスパゲティ・ウェスタン映画『King Shot』のシナリオPDFなどもあります。
ホドロフスキー監督ファンにとっては、思わずヨダレモノだと言っても良い垂涎の様々なアイテムが用意されています。
4.アレハンドロ・ホドロフスキー監督のコメント翻訳(抜粋)
アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、映画を作ることに関して「私だけの力ではできません」と述べたうえで、クラウドフィンディングについて、「多大なる情熱を持つ人々が参加してくれることによって初めてこの作品は出来上がるのです」と語り、次のようにメッセージをあなたに投げかけています。
「小さい頃にチリの港町で育ちました。北部、タラパカ砂漠の隣の港町です。そこは3世紀も雨が降っていない大地です。木も、そして川もない大変乾燥したところで、私は木の葉が森で音をたてるのを聞いたことがなく、蝶々も目にしたことがなく、裸足で大地を歩く心地よさも味わったことがありませんでした。
そんな中での唯一の楽しみと言えば、毎週日曜日に小さな映画館でモノクロ映画を見る事でした。そこで私は夢に出会いました。
外国人の親を持ち、大きな鼻を持ち、学校ではピノキオと呼ばれていじめられて友達もいなく、家では店を手伝わされる毎日の中で、映画館という場所が自分にとっては唯一の喜び、魔法の様な時間でした。『フランケンシュタイン』や『ノートルダムの鐘』、そしてSF映画の古典である『来るべき世界』を見ました。映画に出てくる登場人物は当時の私にとって純粋なヒーローでした。私は映画に救われたのです。映画が私を生かしてくれました。
そうしていつか自分のアートを作りたい、と思うようになりました。しかしずっと後になるまで、映画というものが大きな産業によって生まれたという事に気づきませんでした。アートであり産業、つまり映画業界。もちろん、映画業界はこの素晴らしき魔法のアートを我々に与えますが、彼らは映画をアートとしてではなく「商品」として扱い、お金や名声や権力のために魂を売っています。何とも痛々しい世界だと思いませんか?私にとってのアートは、そして壮大なるアートへの欲望は、精神・感情の世界であり、魂の星です。私は死ぬ前に、映画業界の本質に革命を起こしたい。不可能を可能にしたい。より良いものに少しでも近づき、星を掴みたいのです。
今回の作品では、現在の映画業界の要素が一切ないものを作ります。お金の為に魂を売ったり、金儲けの為に社会情勢を利用して作品を作ったりする日和見主義ではなく、人間の本質的な美しい魂が映し出されるような、本来の人間の美しさに気付けるようなアートをつくりたい。
心が興奮し狂乱する状態とは何でしょう?
私はかつてシュルレアリストで、「パニック」を作り出しました。
様々な不可能を、情熱と忍耐を持って探求しました。
今回は役者を使わず、普通の人々を起用し、演じてもらうのではなく、彼ら個人の本当の姿を見せる。
悲しい時は本当に悲しみ、怒る時には本当に怒っており、苦しむときには本当に何かの問題に苦しみ、闘う時は本当に闘う……。
今までの映画では見たことのない「本当の感情」を見せるのです。映画というものが、私自身の、あなたの、そして人類の魂の、あらゆる問題を救うものであることを願っています。
映画というものが、神聖な文章と同じような価値を持つことを願っています。
全ての人々が自分自身の中に深く入っていって欲しい。「我を知れ」。自分自身を知ることです。
私は「個人」ではなく人類です。そして自分を知るには他人を知ることです。
「時」を知るには「永遠」とは何かを探し求めなければいけない。
「一つの場所」を知るには「無限」というものを知らなければいけない。
全ての芸術的な活動は新たな世界への種となります」
少し長文にはなりましたが、アレハンドロ・ホドロフスキー監督を日本から支援している配給アップリンクから願いも考量して、今回は抜粋をそのまま掲載させていただきました。
ホドロフスキー監督の作品や、映画にクラウドフィンディングを通して支援をすることは、単に金額の多い少ないという金額の提供が意味ではありません。
ここで資金面で『サイコマジック』に参加することで、完成した作品を前に映り出された映像に、「自分自身を知る」「“永遠”とは何かを探し求める」という、あなたの成長でもあるはずです。
ホドロフスキー監督とともに、“人類の価値”を知るきっかけを得るのも良いはずです。
まとめ
本作『サイコマジック』の制作にあたり、アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、「今までの映画では見たことのない“本当の感情”を見せる」と述べています。
また、冒頭で紹介したように映画を制作は、「映画芸術とは真の自己を見つけるための扉。金儲けではなく、自由で独立した映画をつくる」とも語っています。
あなたがホドロフスキー監督のファンでしたら、クラウドファンディングで監督とともに映画の情熱を傾けて見るのも良いかもしれません。
また、アップリンクでは以下のような映像配信も行っています。
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品は観たことはないけど、映画制作のクラウドフィンディングに興味があるあなたの参考にして観てはいかがでしょうか。
★『エンドレス・ポエトリー』(2016)は、先行オンデマンド配信中☆
UPLINK Cloudでの視聴は下記より行えます。
※先行配信は2018年4月21日(水)23:59までとなります。
★『リアリティのダンス』(2013)は、UPLINK Cloudにて配信中☆
UPLINK Cloudでの視聴は下記より行えます。
★『ホドロフスキーのDUNE』(2013)は、UPLINK Cloudにて配信中☆
UPLINK Cloudでの視聴は下記より行えます。