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Entry 2018/11/30
Update

LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て|あらすじと感想。宅間孝行監督が仕掛けた演劇と映画の妙味

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』は、2019年1月18日(金)より東京・テアトル新宿ほか全国順次公開

新宿歌舞伎町にあるラブホテルにいた刑事の間宮は、ぎこちない様子でビデオカメラの撮影を確かめながら、手に持っていたカバンにカメラを忍び込ませます。

すると勤務中にもかかわらず、呼び出したデリヘル嬢の麗華とお楽しみに耽けるのだが…。

『私をスキーに連れてって』や『スワロウテイル』などで知られる、三上博史が14年ぶりに映画主演を果たした本作。

演出は劇作家や俳優としても活躍する宅間孝行監督が務め、ワンシチュエーション・ドラマをコミカルな描写で描きます。

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映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』の作品情報


(C)2018 SOULAGE

【公開】
2018年(日本映画)

【脚本・監督】
宅間孝行

【キャスト】
三上博史、酒井若菜、波岡一喜、三浦萌、樋口和貞、伊藤高史、ブル、世戸凛來、柴田理恵、阿部力

【作品概要】
三上博史が14年ぶりに映画主演を果たし、劇作家や俳優として活躍する宅間孝行監督のワンシチュエーション作品。

共演のキャストに酒井若菜、波岡一喜、三浦萌、柴田理恵、阿部力たちが参加し、群像劇をコミカルに演じています。

映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』のあらすじ


(C)2018 SOULAGE

新宿歌舞伎町にあるラブホテル828号室。

刑事の間宮は、慣れない手つきでビデオカメラを撮影しながら部屋に入ります。

乱暴に靴を脱ぎ捨てた間宮は、手持ちのカバンに細工した穴にビデオカメラをセット。

間宮は室内での行為が、しっかりとビデオカメラに残せるように企んでいたのです。

そこに、いつものように呼び出したデリヘル嬢の麗華がやって来ます。

麗華の若い身体を求めようとしますが、小娘ながら間宮よりも一枚上手の麗華は、それに応じようとはしません。

しかも、今日に限って間宮は、デリヘルを40分のショートコースで麗華を呼び出していただけに、気は焦るばかり。

不甲斐ない間宮は、麗華のいいなりであり、弱みを握られていました。

この日の間宮は、麗華に入れ知恵された方法で横領した現金を彼女に手渡し、なおも麗華の身体を求めます。

それでも麗華は間宮を拒みますが、やがて彼が持ち込んだケチャップたっぷりのハンバーガーを食べた後、間宮と麗華は激しくまぐわいながら楽しむことになりました。

なんと、そこに間宮の妻で婦警の詩織が踏み込んできます。物凄い剣幕で怒りを露わにする妻の詩織。

夫婦ゆえに抑えられない感情で間宮と麗華に罵声を浴びせ、取り調べさながらの勢いで2人の交際関係の月日を問いただします。

間宮は必死で詫びを入れ、詩織の機嫌を取り繕おうとしますが、デリヘル嬢の麗華を巻き込みながら夫婦喧嘩は、さらにエスカレートしていきます。

しかし、状況が一変。

妻から責められ、麗華に愛想を尽かされた間宮は取り乱し、刑事として手持ちである銃で麗華を撃ってしまいます。

慌てる間宮と詩織。

死体を処理して遺棄するしかない状況で間宮が呼んだのは、かつて犯罪行為を見逃したことで弱みを握っているヤクの売人ウォン。

中国人のウォンがやって来ると、手慣れた手つきで解体用の刃物や道具を並べる彼に、間宮は驚きますが、その時、部屋のチャイムが鳴ります。

デリヘルの40分ショートコースが終わっても、麗華と連絡が取れないことにシビレを切らしたマネージャーの小泉が、彼女を探しにやってきたのですが…。

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映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』の感想と評価

役者が監督を務め、役者が演技力を発揮できる映画

劇作家や俳優など、様々な分野で活動している宅間孝行監督は、演劇プロジェクト「TAKUMA FESTIVAL JAPAN(タクフェス)」の主宰としても知られています。

宅間孝行監督が自ら脚本を手掛けた本作品『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』は、新宿歌舞伎町にあるラブホテルを舞台に、基本的にはワンシチュエーションのみで展開させる男女の思惑と葛藤が入り乱れた密室の群像劇です。

この作品で主演を務めたのは、14年ぶりの映画主演となる三上博史。

三上博史といえば、1987年公開の映画『私をスキーに連れてって』の出演で注目を集めて以来、1988年にテレビドラマ『君の瞳をタイホする!』に出演するなど、数多くのドラマに主演し、トレンディドラマのエースと呼ばれた逸材です。

しかし、三上博史は“俳優と呼ぶよりも役者と呼ぶべき存在”だともいえます。

それは、泉鏡花原作のピエール・ブロンベルジェ製作のフランス映画『草迷宮』(1979)が、三上博史の初主演のデビューという、輝かしき実績からはじまったからです。

若き日の三上博史という原石をオーディションで見出しのは、歌人で劇作家である、唯一無二の鬼才・寺山修司です。

寺山自身が監督・脚本を手がけた映画『草迷宮』は、今なお、役者・三上博史の代表作といっても良いでしょう。

そんな三上博史が年齢を重ねた現在。身体を張った演技力で役者としての力量を見せたのが、同じく役者である宅間孝行監督の『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』です。

主演を務めた三上博史は、本作について次のように語っています。

「ご自身が俳優でもある、宅間孝行さんが、脚本、監督をされたことで、成立できた作品だと思います。宅間さんは、俳優の生態をよく知っている。俳優のバカさ、かわいさ、狡さ、脆さ、強さ、しぶとさ、覚悟。そして、それらをどのように発揮させれば、作品がよくなるかわかっていらっしゃる。

今回、そんな撮影現場に出会えることができて、しあわせでした。しかも、そこに敬愛する俳優、波岡一喜さんや、酒井若菜さんらがいる。役者冥利に尽きます」

本作の演出を務めた宅間孝行監督が同じ役者という事実に共感を抱きながら、その上で「俳優のバカさ、かわいさ、狡さ、脆さ、強さ、しぶとさ、覚悟。そして、それらをどのように発揮させれば、作品がよくなる」と熱く心情を吐露しています。

また監督のみならず、共演者に対しても配慮を見せ、「敬愛する俳優、波岡一喜さんや、酒井若菜さんらがいる。役者冥利に尽きます」。

感謝を“役者冥利に尽きます”と語っています。

なぜ本作は、三上博史が役者として恍惚と不安の淵を楽しみながら演じられた作品なのでしょうか。

宅間孝行監督の役者の本望を活かす作風を次の章でご紹介していきましょう。

ワンシチュエーションを覗き見るカメラの存在

この映画の基本的な舞台は、ラブホテルの1室内でドラマが進行していきます。

この閉ざされた猥褻なことを行う空間ということが、観る者に好奇心を抱かせながら面白さを見出させる仕掛けを作っています。

映画の中で描かれる性行は、どこか他人事として滑稽に見えることが多くあります。

それは肉体の欲望に対して、まるで無防備で動物的な行動を露わにしているからでしょう。

本作は観る者にそんな期待を抱かせながらも、物語の中心にあるのは男女のそれぞれが抱えた事情の思惑を密室で解決しようと押し通すドタバタ喜劇さながらの心情と身体のコミカルさを繰り広げるユニークさです。

小さな空間で何か面白い出来事が起こる様子を観客に見せるのは、小さな小劇場で見せる“演劇的な要素”だともいえます。

つまりは、三上博史をはじめとしたキャスト陣の役者としての“演技力”(三上云う所の俳優のバカさ、かわいさ、狡さ、脆さ、強さ、しぶとさ、覚悟など)を見ることができる作品となっています。

しかも、その現場で有様(演技力)をショット割りしたカメラワークで役者の表情のみを切り取って見せるのではなく、三上博史が演じた登場人物の間宮が仕掛けた、“ある思惑を実行するためのカメラ”を通して体感していきます。

ラブホテルの他人の行為を覗き見るだけで、とてもエキサイティングとも言えるのに、まるで“見世物小屋”ともいえる撮影手法で本作ではそれ以上の効果と物語性に意味を持たせています

映画の物語が進行するなかで、そのことに気がついた時、観客は事の次第に合点がいくとともに、“ある秘密”を知ってしまったゆえに窃視が目撃に変わり、共犯関係の意思を抱きます

すると今度は、観客も共犯者となって企ての成功者の蜜の味得ようと結末に向けて舞台的な映画であった本作が、映画的な時間軸を見せるラストを迎えます

役者としても演じることに長けた宅間孝行監督が仕掛けた、舞台的であり、映画的でもある表現は秀逸といってよいでしょう。

映画の中盤まで密室内をに窃視してた頃に脳裏をかすめたのは、日本版の『ロープ』(アルフレッド・ヒッチコック/1948)や、『レザボア・ドッグス』(クエンティン・タランティーノ/1992)という印象でした。

しかし宅間孝行監督は、本作に登場するキャラクターについて、「この映画の登場人物は、全員クソ野郎です」と述べています。

そこで思い出したのは、アメリカンニューシネマの先駆けとなった、1968年の映画『俺たちに明日はない』や代表格的作品の1974年の映画『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』の風味。

参考映像:『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』

かつて、世間から外れてしまったどうしようもない愛すべき男と女(クソ野郎たち)に共感した世代や、そのようなお行儀の悪さを知らない若き男女に体感してもらいたい作品に仕上がっています。

また宅間孝行監督は、本作『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』をこのようにも語っています。

「トンがってる日本映画あるじゃねえか。日本の人たちにも、日本以外の国の人たちにもそう言わせたい。この映画はそんな想いの結晶です」

あなたはどのようなことを覗き見、そして目撃するのか。ご自身の目で刮目せよ!

まとめ

新宿歌舞伎町にあるラブホテルを舞台に繰り広げられる密室群像劇『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』

宅間孝行監督にキャスティングされた役者は、14年ぶりの映画主演となる三上博史。

そのほか所狭しと次々に暴れまわるクセ者やキレ者の役柄に、酒井若菜、波岡一喜、三浦萌、阿部力が強烈なインパクトでまさに怪演の様相を見せてくれます。

登場人物のお互いの立場と思惑が交差するなかで、「握られた弱み」や「弱みを知っている」という状況がシーソーゲームのごとく、転がっていく面白さは、役者たちの演技と汗の量に比例した映画の質となっています。

また、本作の主演を務めた三上博史は、次のようにも映画の魅力を述べています。

「痺れるような長い長~い、長回しの撮影の瞬間に、ぼくらの魂の“何か”が映っているはずです。どうか、皆さんがその“何か”を発見し、楽しんでくださいますように心から願っています」

映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』は、2019年1月18日(金)より東京・テアトル新宿ほか全国順次公開

ぜひ、お見逃しなく!

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