連載コラム「邦画特撮大全」第64章
令和最初の仮面ライダー“ゼロワン” と平成最後の仮面ライダー“ジオウ”が競演する仮面ライダー冬映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』(2019)。
2010年に公開された『仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010』以降、恒例になった新旧仮面ライダーのクロスオーバー映画。世界観が全く異なるゼロワンとジオウがどのように交わるのか?
今回の邦画特撮大全は『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』(2019)を紹介します。
CONTENTS
映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』の作品情報
【公開】
2019年12月21日(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【脚本】
高橋悠也
【監督】
杉原輝昭
【キャスト】
高橋文哉、奥野壮、岡田龍太郎、鶴嶋乃愛、井桁弘恵、押田岳、大幡しえり、渡邊圭祐、 中川大輔、砂川脩弥、桜木那智、成田愛純、石井康嗣、佐伯新、児島一哉、和田聰宏、生駒里奈、山本耕史、西岡徳馬
映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』の作品概要
“令和最初”の仮面ライダー「ゼロワン」と“平成最後”の仮面ライダー「ジオウ」の競演映画。
ゲストキャラクターであるヒューマギア・ウィル/アナザーゼロワンには話題となったTVドラマ『あなたの番です』(2019)の和田聰宏。タイムジャッカ―のフィーニス役には元「乃木坂46」の生駒里奈。
監督は『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018~2019)の杉原輝昭、脚本は『仮面ライダーエグゼイド』(2016~2017)の高橋悠也が担当しました。
映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』のあらすじとネタバレ
飛電インテリジェンスの社長兼仮面ライダーゼロワンの飛電或人が会社へ向かうと、社長は或人ではなくヒューマギアのウィルになっていました。
なんと世界はヒューマギアに支配されていたのです。或人はゼロワンに変身し、ウィルが変身するアナザーゼロワンの攻撃へ対抗。
しかし変身ベルト“ゼロワンドライバー”を奪われてしまいます。
或人はレジスタンスとなっていた不破諫/仮面ライダーバルカン、刃唯阿/仮面ライダーバルキリーに救われ、人間たちが隠れる避難所へ。或人はそこで秘書であるヒューマギア・イズに再会します。
しかしウィル率いるヒューマギアの大軍が来襲。ドライバーを奪われ戦えない或人でしたが、謎の男から滅亡迅雷フォースライザーを渡され“仮面ライダー001”に変身。或人は再びアナザーゼロワンと戦いますが、イズをかばったため重症を負ってしまいます。
アナザーゼロワンの追撃を受けそうになった或人でしたが、常盤ソウゴ/仮面ライダージオウたちに助けられます。彼らは分断されたはずの仮面ライダーの世界が再びひとつになろうとしていることに気付き、動き始めていました。
事件の裏にタイムジャッカ―がいると察知したソウゴたちは、或人を連れてデイブレイク事件が起きた12年前へ飛びました。
映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』の感想と評価
『仮面ライダーゼロワン』と『仮面ライダージオウ』の競演映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』。過去の仮面ライダー冬映画と同様に非常に情報量の多い濃密な映画となっています。
2018年公開された『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFOEVER』(2018)と同様、『ジオウ』の持つメタフィクショナルな作風と設定が『ゼロワン』との競演を可能にしました。
杉原輝昭監督が『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』で魅せた華麗な演出は本作でも健在で、スタイリッシュさと東映らしい大胆さを兼ね備えた映像は非常に見ごたえのあるものとなっています。
『ゼロワン』の物語の発端である“デイブレイク事件”の詳細が語られるため、ドラマは飛電或人と父・其雄の親子の物語を中心に進みます。
前作『ジオウ』の主人公・常盤ソウゴは本作では迷いを見せる或人を導く役割で、ソウゴの1年間での成長と先輩ライダーの風格を感じさせます。
本作の敵によって世界が支配され生き残った人類がレジスタンス活動をしているという世界観は、『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003)を彷彿とさせます。
しかしヒューマギアがAI搭載型アンドロイドという点やタイムトラベルの要素などから、今年2019年に最新作が公開された『ターミネーター』シリーズを意識した世界観にも感じられます。
また或人が父・其雄を超えるというテーマも2019年最新作が公開された「スター・ウォーズ」シリーズを意識したものではないでしょうか。
本作のキーワードは劇中にも登場した“始まりのライダー”でしょう。令和最初の仮面ライダーであるゼロワンのほか、本作には『ゼロワン』の世界で最初に開発された仮面ライダー1型、全ての仮面ライダーの始まりである仮面ライダー1号をベースにした敵“アナザー1号”が登場する点も興味深いです。
まとめ
令和という新たな時代を迎えた仮面ライダーシリーズ。本作『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』。
ソウゴがアナザー1号に対して放った「仮面ライダーに原点も頂点もない」、其雄が或人に語った「お前は誰の後継者でもない。お前はお前の時代の1号なんだ」という2つの台詞は、新時代の仮面ライダーとはどういうものなのかという宣言にも感じられます。
この宣言を受けて、『仮面ライダーゼロワン』がどのような終着点に辿りつくのか、2020年の夏まで見届けましょう。
次回の『邦画特撮大全』は…
次回の邦画特撮大全は『騎士竜戦隊リュウソウジャーVS快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2020)を紹介します。
お楽しみに。