映画『CHERRY AND VIRGIN』は第39回東京国際映画祭アニメーション部門で上映!
デビュー短編『ある日本の絵描き少年』(2018)が注目された川尻将由の初長編作『CHERRY AND VIRGIN』(2026)が、2026年の第39回東京国際映画祭のアニメーション部門で上映されました。
2027年に劇場公開も予定されている、非モテ男女が不器用ながらも関係を紡いでいくラブコメディーの見どころを、レビューします。
【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2026』記事一覧はこちら
映画『CHERRY AND VIRGIN』の作品情報

(C)2027東映ビデオ
【日本上映】
2026年(日本映画)※2027年より劇場公開
【監督・脚本】
川尻将由
【製作】
佐藤現
【共同脚本】
加賀未恵
【キャラクターデザイン/総作画監督】
高柳カツヤ、仲春リョウ
【衣装】
スージー・クルサード
【キャスト】
大門嵩、清瀬やえこ、西沢5ミリ、大塚明夫
【作品概要】
デビュー短編『ある日本の絵描き少年』が、第74回毎日映画コンクール大藤信郎賞、第23回文化庁メディア芸術祭/アニメーション部門優秀賞など多数の賞を受賞した川尻将由監督による初長編作。
キャストは、日台合作の短編映画『多日想果』(201)や短編アニメ『マンガガールズ』(2021)の監督を手がけた大門嵩、『騙し絵の牙』(2021)、『ポプラン』(2022)に出演の清瀬やえこ。両者は、実写素材から作画・背景を制作するロトスコープ用の撮影にも参加。
日本では2026年の第39回東京国際映画祭のアニメーション部門で上映され、2027年に劇場公開を予定しています。
映画『CHERRY AND VIRGIN』のあらすじ

(C)2027東映ビデオ
創作に悩みくすぶりつづけるエロ漫画家の本田遼は、亡き友人が生前マッチングアプリに登録していた事実を知り、自身も登録します。
数人の女性と会ってみたものの上手くいかず、自信喪失と共に女性不信を募らせていたある日、腐女子で同人活動をしている榎本亜美とマッチング。
まともな恋愛経験がない2人のオタク同士は意気投合し、初々しくもぎこちない男女交際が始まるのでした…。
映画『CHERRY AND VIRGIN』の感想と評価

(C)2027東映ビデオ
リアル恋愛経験ゼロの男女が織りなすコメディ
「幼児の絵」から「漫画家の絵」へと、登場人物のタッチが変化していく手法に実写映像を織り交ぜて、漫画家を目指す少年の半生を描いた2018年製作の20分短編、『ある日本の絵描き少年』が高く評価された川尻将由監督。
彼の第2作目にして初長編作となる本作『CHERRY AND VIRGIN』は、リアルな恋愛を知らない成人漫画家と腐女子が出会い、不器用ながらも関係を紡いでいくラブコメディーとなっています。
前作同様に、実写映像素材をベースにしてアニメーションを制作する手法“ロトスコープ”や、実写、漫画の要素を取り入れ、モノクロとカラーのキャラクターが同一シーン内に描き出されるという独特のアニメ表現がポイント。
クラウドファンディングで資金を調達し、ほぼ有志という形でキャストやスタッフを募り2019年から製作に着手。コロナ禍で撮影が延期される事態に見舞われるも、およそ6年の歳月をかけ完成に至った渾身作です。
『ある日本の絵描き少年』(2018)
共感できるが感情移入しきれないキャラクター像
(C)2027東映ビデオ
女性にモテたためしがない童貞の遼と、現実の男性に良い印象がない処女の亜美。
遼が自分をフッた女性たちを罵倒する漫画を描いて鬱憤を晴らせば、亜美は男性不信をこじらせるあまり陰に籠るという、少々面倒くさい性格の持ち主でもあります。
東京国際映画祭の上映後に行われたトークショーで、遼と亜美を、共感できる面はあるも、感情移入もしきれないキャラクターに設定したと明かした川尻監督。
とりわけ、リチャード・リンクレイター、チャーリー・カウフマン、ポール・トーマス・アンダーソンといったフィルムメーカーが得意とするコメディのジャンルである、“クオーキー”な作風を目指したとか。
クオーキー(quirky)とは、大まかに言うと「同情できるが引いてしまう面もある、笑えるのか真面目なのかつかみきれない」人物が主人公の作品(例として挙げたのがポール・トーマス・アンダーソン監督作『パンチドランク・ラブ』)。
恋愛にしがみつくアラサー男女の姿は、観ていて応援したくなる一方で痛々しく滑稽な、同情と批判の感情が混在します。
しかしながら、恋愛することで生じる“苦しみ”と“楽しみ”は、人として生まれてきた者なら誰しも経験があるのでは。
性欲というある種センシティブな題材を扱いつつ、人の心のキレイさと醜さを、軽妙かつコミカルに描いた1作となっています。
まとめ

(C)2027東映ビデオ
会話を交わすうちに、次第に打ち解け意気投合していく遼と亜美は、はたしてめでたく結ばれるのか? それとも……。
川尻監督曰く、「題材から言っても、人にどう勧めていいか分からない作品かもしれない」としながらも、男女の性差、理想と現実、自己実現と自己探求といった普遍的テーマも盛り込まれています。
『ある日本の絵描き少年』でもあった、数々のマンガやアニメに親しんできた方なら、観ていて思わずクスッとしたくなるようなオマージュにあふれた演出も楽しいです。
2027年の劇場公開を、大いに期待しましょう。
【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2026』記事一覧はこちら
松平光冬プロフィール
テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。
ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)


































