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映画『She Has No Name』あらすじ感想評価レビュー。チャン・ツィイー主演作品は“夫殺しの容疑者となった妻”を通して女性の人権を描く|TIFF東京国際映画祭2025-7

  • Writer :
  • 松平光冬

映画『She Has No Name』は第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門で上映!

『She Has No Name』が、第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門で上映されました。

1940年代、日本占領下の上海で実際に起こった殺人事件を題材に、チャン・ツィイー主演で描いた衝撃作です。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2025』記事一覧はこちら

映画『She Has No Name』の作品情報


(C)2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin)All Rights Reserved.

【日本上映】
2025年(中国映画)

【原題】
醬園弄(英題:She Has No Name)

【製作・監督】
ピーター・チャン

【脚本】
シャン・ヤン、ジャン・フォン、シー・リン、パン・イーラン

【撮影】
ジェイク・ポロック

【編集】
ウィリアム・チョン、ジャン・イーボー

【キャスト】
チャン・ツィイー、ライ・チァイン

【作品概要】
『君さえいれば/金枝玉葉』(1994)『ウォーロード/男たちの誓い』(2007)『最愛の子』(2014)のピーター・チャン監督による、1940年代の日本占領下の上海で実際に起こった殺人事件から着想を得たスリラー映画。

『クライマーズ』(2020)のチャン・ツィイーを主演に、『チャオ・イェンの思い』(2024)のチャオ・リーイン、『小さな私』(2024)のイー・ヤンチェンシー、『飛行家』(2025)のレイ・ジャーインらが共演。

2024年のカンヌ映画祭で上映され、その後ウィリアム・チョンによる全面的な再編集を経て2025年の上海映画祭のオープニングを飾ったバージョンが、第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門で上映されました。

映画『She Has No Name』のあらすじ


(C)2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin)All Rights Reserved.

1940年代の日本占領下の上海。主婦のジャン・ジョウは夫を殺害し、遺体を切断した容疑で逮捕されます。

彼女の単独犯行と決めつける警察による尋問と虐待に耐えて、無罪を証明しようとするジャン。そんな彼女に世間の注目が集まり……。

映画『She Has No Name』の感想と評価


(C)2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin)All Rights Reserved.

本作『She Has No Name』は、第二次世界大戦時の日本の統治下にあった中国にて実際に起こった殺人事件を着想としています。

夫を殺害した容疑で逮捕された妻のジャン・ジョウは、夫からのDVに苦しめられていたとして冤罪を主張。しかし警察はその実情から目を反らし、ジャンの単独犯行と決めつけて自白を強要、尋問と虐待を繰り返します。

監督のピーター・チャンは、女性への権利が著しく認められていなかった中国の格差社会を通して、権力者と弱者の関係を浮き彫りにしていきます。

監督も公言するように戯曲『人形の家』を核に、戦後間もなく中国で起こった女性解放運動や、蒋介石率いる国民革命軍による日本からの解放(このあたりは香港出身のチャン監督ならでは)など、権力に抗う人民の姿は現代にも通じるものがあります。


(C)2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin)All Rights Reserved.

ここでキャストにも触れておくと、男たちからの虐待に耐え、女性としての尊厳を失わない妻ジャンを演じたチャン・ツィイーの演技は白眉。

加えて、刑務所内にてジャンと心を通わせる女囚役のチャオ・リーイン、怪しい手相占い師役のイー・ヤンチェンシーといった助演陣も光ります。

まとめ


(C)2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin)All Rights Reserved.

チャン監督によると、本作には続きがあり、エンディングの後に事件の裁判の再審が開かれ、戦後にジャンが受けた刑が変化。

やがて中華人民共和国となった後に強制収容所に入り、1960年の釈放を経て2006年までの人生が描かれているそう。

トータルでランニングタイム4時間という長尺で、本作はその前半部のパート1に相当、残りの2時間半はパート2として2026年1月に中国公開が予定されています。

パート2では、パート1に登場しなかった人物も姿を現すとのことで、近い将来の日本での完全上映も期待したいところです。

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松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)






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