Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

『ザ・プレデター』新作映画の続編ブームはなぜか?ハロウィン2018版も紹介|SF恐怖映画という名の観覧車7

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile007

チャールズ・ブロンソン主演の『狼よさらば』(1974)をブルース・ウィルス主演でリメイクした『デス・ウィッシュ』(2018)や、海外での人気ドラマ『ザ・シークレット・ハンター』を映画化した『イコライザー』(2014)の続編『イコライザー2』(2018)の公開日が決まるなど、今年は例年にも増して過去作品のリメイクや続編作品の情報を良く見かけます。

この流れは「スラッシャー」や「モンスターパニック」といったジャンルでも顕著で、ファンの中でも期待されている作品がいくつも待ち構えています。

今回はその中でも特に伝説級の作品である2作の最新作をピックアップして、「なぜ今この作品の最新作が出るのか」を考えていきたいと思います。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

『ザ・プレデター』(2018)

公開日を9月14日に控えたシリーズ最新作『ザ・プレデター』。

「プレデター」と言えば、1987年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『プレデター』以降、続編やスピンオフ作品が幾度となく作られてきた、大人気のシリーズです。

このシリーズは人間側の登場人物が続けて次作に出ることはほとんどなく、基本的に物語として独立しているのですが、シリーズを通しての敵である宇宙生物「プレデター」は、当然ながら毎回登場します。

厳密に言えば、作品ごとにプレデター側も同じ個体ではないのですが、光学迷彩やプラズマ砲と言った「SF」的な装備と、戦闘の意志のないものや弱者を攻撃しない「戦士」としてのプレデターの性格が高い人気を持っています。

今回の最新作には初代に俳優として参加したシェーン・ブラックが監督として携わっていて、初代との繋がりが期待されています。

『Halloween』(日本公開日未定)

1978年に公開されて以降、殺人鬼が人を殺して回る「スラッシャー」と言ったジャンルの先駆けとして長く愛されるようになった『ハロウィン』の最新作の予告編が公開され、全世界で話題となっています。

世界3大ホラーとすら呼ばれるようになった今シリーズの特徴は、何と言ってもブギーマンことマイケル・マイヤーズによる殺戮の数々で、ハロウィンマスクを被り、自分の血縁者をどこまでも追いまわす執念と狂気は様々な類似作品の中でも抜きんでた恐怖性があります。

最新作では初代でマイケル・マイヤーズを演じたニック・キャッスルと、同じく初代に登場して以降、マイケルとの攻防を繰り返すローリーを演じたジェイミー・リー・カーティスがそれぞれ同役で出演することが分かっていて、初代ファンの熱気が吹き返すことが確実視されています。

「リブート」ではなく「続編」


(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

前述させていただいた『ザ・プレデター』と『Halloween』。

実はこの2作は、設定を新たに作り直し、1から物語を始める「リブート」作品ではなく、それぞれ初代から物語の続いた、「続編」と言う立ち位置で映画が作られています。

「スラッシャー」や「モンスターパニック」と言ったジャンルの作品は、内容以上に「敵」のデザインやキャラクター性がなによりも重要視されていたため、その敵が暴れていれば物語の辻褄はないがしろにされていた風潮がありました。

その結果、シリーズを長く続けすぎ、致命的な設定の矛盾を抱えることになり、「リブート」と言う形でまた1から物語を作り直した作品も多くあります。

『ハロウィン』(2007)や海外ドラマ『SUPERNATURAL』で人気の出たジャレッド・パダレッキを主演にした『13日の金曜日』(2009)などのリブート作品は、興行的には成功しましたが、旧作のファンや批評家からは厳しい意見を受けることになりました。

なぜ今「続編」なのか

「SF」では2009年の『スター・トレック』や2015年の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』など、旧作ファンへのサービスを多く入れた「続編」が興行的にも批評的にも成功し、再度シリーズ化を成功させています、

ゲームへの登場や、様々なコラボのおかげで、新規のファンも多くなりはじめましたが、やはり「スラッシャー」や「モンスターパニック」のファンも旧作を愛するファンが多いと言う印象があり、そのファンの多くが「物語の続き」を待ち望んでいます。

そんな声に答え、旧作ファンへのサービスと新規ファンの獲得に意欲を燃やし始めたのが『ザ・プレデター』と『Halloween』なのではないでしょうか。

シュワルツェネッガー自身の出演も噂されていたように、旧作とのリンクを意識している『ザ・プレデター』と、実際に旧作の登場人物が出演する『Halloween』。

最新作自体も期待ですが、今後の展開も見逃せないところです。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile008では、地上波初放送の『オデッセイ』(2015年)から、今より少し技術が進んだ宇宙を描いた映画の数々と、人類の惑星移住の夢を検証します。

8月1日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

映画『ジョーカー』あらすじネタバレと感想。ホアキン・フェニックスが魅せる極限の狂気|最強アメコミ番付評37

連載コラム「最強アメコミ番付評」第37回戦 こんにちは、野洲川亮です。 今回は10月4日に公開された『ジョーカー』をネタバレ考察していきます。 『ヴェノム』(2018)や『ジャスティス・リーグ』(20 …

連載コラム

映画『ゲットイン』感想考察と評価。実話事件を基に“後味悪い系”で知られるオリヴィエ・アブー監督が描く|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録5

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第5回 ポスト・コロナの時代に挑む、佳作から珍作・問題作まで、世界の様々な映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。 …

連載コラム

【2018年のご挨拶】読者さんとお世話になっている映画関係者の皆さんへ

2018年も、「映画感想レビュー&考察サイト Cinemarche」をお読みいただき、誠にありがとうございます! 山の辺の道(天理〜桜井)©︎Cinemarche 見手である読者の皆さんに …

連載コラム

映画『イソップの思うツボ』あらすじと感想。カメ止めに続く「どんでん返し」の魅力|2019SKIPシティ映画祭1

映画『イソップの思うツボ』が2019年7月13日、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にてオープニング上映! 埼玉県川口市にて、“映画産業の変革の中で新たに生み出されたビジネスチャンスを掴んでいく若い才能 …

連載コラム

『バーバリアン』ネタバレ結末あらすじと感想考察の評価。最強ホラー映画として“やばい見てはいけない”ラスト予測不能の展開|増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!13

連載コラム『増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!』第13回 変わった映画や掘り出し物の映画を見たいあなたに、独断と偏見で様々な映画を紹介する『増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!』。 第13回で紹介するの …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学