映画『空の青さを知る人よ』は2019年10月11日(金)公開。
埼玉県にある秩父を舞台にした『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』の長井龍雪監督。
また、脚本家の岡田麿里とキャラクターデザイン&総作画監督の田中将賀がチーム再結集。
前2作同様に秩父を舞台に、オリジナルストーリーで仕上げた長編アニメーション映画『空の青さを知る人よ』をご紹介します。
映画『空の青さを知る人よ』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【脚本】
岡田麿里
【監督】
長井龍雪
【総作画監督】
田中将賀
【主題歌】
あいみょん「空の青さを知る人よ」「葵」
【キャスト】
吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音、松平健
【作品概要】
『あの花』『ここさけ』に続く超平和バスターズによる長編アニメーション。
ボイスキャストに吉沢亮が慎之介、吉岡里帆があかね、松平健が新渡戸団吉の声を演じるほか、あいみょんが映画と同題の主題歌を担当しています。
映画『空の青さを知る人よ』のあらすじとネタバレ
相生あおいは町を出て、山を越え、東京でバンド活動をすると進路面談で宣言します。
帰り道あおいの姉のあかねが迎えに来ます。
あかねは、一度に両親事故で失ったあおいの親代わりとして地元に残り、市役所で働いています。
市役所では町おこしで、ご当地ソングの大家として知られる新渡戸団吉を招くことになります。
取材と称して、バックバンドを率いていて秩父にやってきた新渡戸。
その一団を出迎えたあおいやあかねはその中に見た顔があり驚きます。
バックバンドのギタリストは、地元出身のミュージシャンであかねの恋人でもあった金室慎之介でした。
突然の再会にとまどう二人。
しかし、あおいの驚きは別のところから来ていました。
一団を出迎える少し前、神社のお堂で一人、ベースの練習に励んでいるあおいのまえに高校生の姿、“しんの”と呼ばれていたころの姿をした慎之介が現れたのでした。
何かの幻か、生霊なのかわかりませんが、普通に言葉を交わす“しんの”の存在に戸惑いを隠せません。
“しんの”もまた13年の月日が経ったこと、31歳になった自分の姿やあかねの姿に驚きを隠せません。
さらにどういうわけか、“しんの”だけお堂から出ることができません。
ご当地ソング計画はバックバンドのメンバーが食中毒になり、あおいが急遽、参加することに。
“しんの”と慎之介とあおいとあかねの距離が自然と近づいていきます。
慎之介もまた、音楽を仕事にできてはいるものの、かつて思っていた通りの成功を収められない現状に満足できておらず、その状況で地元に帰り、あかねに再会したことでイライラが募ります。
そして、その気持ちをついつい、あおいに向けてしまいます。
お堂で会う“しんの”と、あまりにも違う性格になっている慎之介に、あおいは不満を隠せません。
いつの間にかあおいは“しんの”に惹かれていき、あかねには悪いと思いながらも気持ちは強まるばかりです。
そして、今の慎之介の姿への不満が強くなり、あろうことかその不満を姉のあかねにぶつけてしまいます。
あかねに向かってなぜ慎之介についていかなかったのか、ついていけば慎之介が今のような男にはなっていなかったのでないかとぶつけてしまいます。
しかし、それは両親を失ったあおいを独りにはできないことが理由だったことは、あおい自身もわかっていたことでした。
リハーサルが始まり、ぽつぽつと空白の期間を埋めていく慎之介とあかね。
その姿を見て、“しんの”に惹かれているあおいは、さらに複雑な思いになります。
そして、新渡戸のコンサート当日を迎えます。
映画『空の青さを知る人よ』の感想と評価
秩父を舞台にした超平和バスターズによる3作目は、誰もが持つ夢や青春にどう決着をつけるのか、どう折り合いをつけるのかがテーマ。
今回の『空の青さを知る人よ』は、『この花』『ここさけ』を経て、さらに少し先の大人の部類に入った人間たちを描きます。
こういう青春との決着をつけるイニシエーションの作品はたくさんありますが、高校生のしんのと30代の慎之介を同時に違和感なく画面に登場させることができるとなると、やはり、アニメならではです。
吉沢亮の一人二役もなかなかはまっていました。
吉沢亮は、倍々ゲームでキャリアアップなかで、再来年の大河ドラマの主演も決まったりしていますが、今後も声優業は要所要所で続けて欲しいなと感じました。
まとめ
『きみと、波にのれたら』『海獣の子供』『プロメア』『HELLOWORLD』にこれから公開される『BLACKFOX』『HUMANLOST人間失格』などなど、アニメーション作品、しかもオリジナル脚本作品の公開本数が増えています。
超平和バスターズの三人もその影響を認めている『君の名は。』からの流れであることは間違いないでしょう。
同じ新海誠監督の『天気の子』もヒットしているなかで、このような流れはまだまだ続きそうです。
これまでは『ドラえもん』『コナン』『ポケモン』『プリキュア』のようなフランチャイズ作品くらいしか、全国公開されることはなく、ガンダムなどでも限定公開というパターンが大半でした。
オリジナル脚本でさらに長編となるとスタジオジブリの独占状態にありましたが、そのジブリの活動休止・縮小宣言を受けての細田守監督、米林宏昌監督のプロジェクトの体制が強化され、大型企画を成立させられるようになりました。
『君の名は。』もそんな流れのなかで登場した作品でしたが、興行スケールが全く違うレベルになってしまいましたので、結果的に源流のような立ち位置になってしまいました。
ちなみに田中将賀は『君の名は。』『天気の子』のキャラクター造形に参加しています。
宮崎駿監督が再始動を宣言し、息子の宮﨑吾郎監督もCG長編を鋭意制作中とのことの、多くのオリジナル長編が受けれいられているなかで、彼らの作品はどのように見られるのでしょう。