映画『ミューン 月の守護者の伝説』は2022年3月23日(水)からフランス語版先行限定公開後、4月に日本語吹替え版にて全国順次公開
2015年にTAAFのコンペティション部門・長編アニメーションにて優秀賞を受賞し、その後、多くのファンから日本公開を切望され7年越しに日本公開が実現した『ミューン 月の守護者の伝説』。
3月23日(水)から開催の“世界の秀作アニメーション2022 春編(東京都写真美術館)”にてフランス語版を先行限定公開後、4月に日本語吹替え版/国際版(英語)にて 全国順次公開されます。
夜を運び、夢の世界を守る「月の守護者」に選ばれたいたずら好きな森の子ミューンが、素晴らしい冒険を経て、伝説の守護者となるまでの物語です。
太陽と月が同時に存在する不思議な世界を舞台にした幻想的なファンタジーアニメーションの魅力をご紹介します。
CONTENTS
映画『ミューン 月の守護者の伝説』の作品情報
【日本公開】
2022年(フランス映画)
【原作】
ブノア・フィリポン
【脚本】
ブノア・フィリポン、ジェローム・ファンステン
【監督】
アレクサンドル・エボヤン、ブノア・フィリポン
【編集】
オリビエ・カルベール
【声の出演】
オマール・シー、イジア・イジュラン、ミカエル・グレゴリオ、パトリック・プレジャン、フェオドール・アトキン
【作品概要】
太陽と月が同時に存在する不思議な世界を舞台に、月の守護者となった森の子ミューンが仲間たちとともに繰り広げる大冒険を描いたフランス発の長編ファンタジーアニメ。
東京アニメアワードフェスティバル2015のコンペティション部門・長編アニメーションにて優秀賞を受賞し、日本公開を切望する声に押されて7年越しに日本公開が実現した秀作です。
空想の世界に暮らす、青白くいたずら好きな主人公・森の子ミューンが「月の守護者」として太陽の守護者ソホーンと蝋人形の少女グリムと一緒に冒険に繰り出し、伝説の守護者となるまでの姿を描きます。
声の出演はオマール・シー、イジア・イジュラン、ミカエル・グレゴリオほか。日本語吹替え版には大橋彩香、小野友樹、武藤志織らが出演しています。
映画『ミューン 月の守護者の伝説』のあらすじ
光がなかった昔。太陽の守護者が光を捕まえていてくれるおかげで、季節や大地が作られました。
一方、最初の月の守護者が月を夢の世界から運んできました。こうして昼と夜が生まれました。
強くたくましい太陽の守護者のソホーンは人々から愛されていました。
蝋人形のグリムの父は、娘が溶けてしまうことを心配して外に出してくれません。夜になると寒さでふたりは凍ります。
月の守護者が選ばれる前日の晩のこと。いたずらっ子の森の子ミューンは夜の闇の中騒いで叱られ、明日の外出も禁止されます。
眠らせる特技を持つミューンは「役立つのに。」と呟き、隣で眠る子の悪夢をなだめます。遠くに空の月をひっぱる聖獣の姿を見て、ミューンはほほえみました。
朝の光で体が動かせるようになったグリムは、まだ凍ったままの父を置いて、歴史的瞬間を見に出かけます。
ミューンもこっそり抜け出して見に行きました。
現在の太陽の守護者ゾラルが、新たな守護者にソホーンを任命します。喜びの大歓声が沸き、グリムも彼にうっとりしています。
続いて、現在の月の守護者のユールが現れました。最も純粋な生き物に次の守護者を選ばせますが、彼は有力と思われていたリユーンの前を通り過ぎ、ミューンを選びます。
ミューンを月の守護者に選んだユール。リユーンは怒って去っていきました。
調和させるのにふさわしい働きをするように言われ、新たな守護者となったソホーンとミューンは握手します。
一方、悪の王のネクロスは太陽の守護者だったゾラルが引退したことを聞き、350年ぶりに太陽を取り戻す時が来たと言って喜びます。
ネクロスは純粋な魂からも闇を引き出せる悪の誘惑者を放ち、リユーンを襲わせました。ネクロスが味方すると聞かされたリユーンは、月の守護者の座をミューンから奪おうと決心します。
ユールに新しい家に連れて行かれたミューン。たくさんの糸を奏でて聖獣を動かすことや、夢の世界から来た月を守るのが仕事であること、そして決して恐ろしい結果を招いてはいけないと教えられます。
ミューンが糸をうまく弾けないために聖獣が暴走し、月をひっぱる糸が次々に切れていきます。とうとう最後の糸が切れて月は飛んでいきました。
その様子を見ていたソホーンのもとにリユーンが現れ、この星の調和の危機だとそそのかします。
ミューンは小さな聖獣を月に向かって投げ、彼の出した糸で月をぐるぐる巻きにしてひっぱって手元に引き寄せました。
見かねたソホーンがミューンのもとにやってきますが、彼が聖獣を離れた隙に太陽がネクロスに盗まれます。
その様子を見ていたグリムは、ソホーンにその事実を知らせるためにとびだしていきました。
太陽を手に入れたネクロスは、世界が暗黒となったことに大喜びします。
月の聖獣を暴走させたミューンを叱るグリムでしたが、途中で松明の火が消えて寒さで凍ってしまいます。ソホーンが戻ってきてミューンを殴ろうととびかかりますが、ソホーンの熱のおかげでまたグリムは動き出しました。
そこにリユーンが現れて、太陽を盗んだのはネクロスの仕業で、月の守護者の仕事はミューンに役不足だと言って月を奪います。
傷ついたミューンは走り去り、仲間からも見放されますが、父には「責任をとって解決する」と告げます。
ソホーンとグリムのもとに戻り、責任をとるために一緒に太陽を探すと言うミューン。ミューンが夜の森を案内し、3人は太陽探しの旅に出ますが…。
映画『ミューン 月の守護者の伝説』の感想と評価
個性あふれる魅力的なキャラクターたち
本作には月の守護者に選ばれて成長を遂げていくいたずら好きな妖精、森の子ミューンをはじめ、魅力的なキャラクターが登場します。
ミューンはふざけて騒いでは叱られているごく普通の男の子でした。しかし、突然「月の守護者」という大役に選ばれ、驚きのなかで失敗を繰り返します。
月も太陽も奪われてしまい、自分の責任を果たすために勇気を持って冒険に挑むミューン。あどけなさはいつのまにか消え、たくましい顔つきへと成長していく様は感動的です。愛も恋も知り大人になっていくミューンに注目です。
太陽の守護者となるソホーンも魅力的です。強い体を持ち、人々から愛される天真爛漫な性格の彼は、自分の使命に対してとても真摯で誇りを持っています。
2人の守護者とともに旅に出るのはキュートな蝋人形のグリムです。本をたくさん読んでいる彼女はとても物知りで勇気にあふれ、彼らの大きな力となっていきます。
日の光に溶かされ、夜露の冷たさに凍りながらも、太陽と月に守られているグリムは、私たち人間を映し出しているかのような存在です。
太陽を盗む冥界の王ネクロスやそのユーモラスな手下たち、月の守護者の座を狙うライバルのリユーン、そして、元・月の守護者としてネクロスにリベンジを果たすべくミューンたちに力を貸すフォスフォ。
個性的な魅力あふれる彼らの活躍はどれも見逃せません。
独特の幻想的な美の世界
太陽と月が同時に存在する本作は、抑えたシックな色合いで幻想的な世界が描かれています。子どもが楽しめる少年の冒険と成長というストーリーですが、大人もじっくり楽しめる極上のアニメーションです。
ミューンは渋く深い青色。同系統の青色の水を泳いでいくシーンが多く、月と水は呼応しています。
対して太陽を象徴するソホーンは灼熱の赤ではなく土に近い色合いです。太陽をひっぱる聖獣は岩の形をしており、こちらは太陽と大地がつながったイメージで描かれます。
かわいい蝋人形のグリムは地味なベージュのグラデーション。控え目な色が、深いブルーの背景によく映えます。
キャラクターたちの足は細く長く、その動きがとてもエレガントなのはフランス作品ならでは。彼らが歩く姿を見ているだけで自然と心が癒されていきます。
風船のように宙に浮いて糸でつながれた月、酸素やヘリウムの藻、くちばしが逆さについている神々しい月の聖獣、死んでいく月、彫って新たに生まれる月など、次々に映し出される独特の美しい世界。
回想シーンや夢の中のシーンはレトロなイラストで描かれ、その対比もとてもコミカルで魅力的です。
いつの間にかファンタジーの世界に誘われ、ミューンたちとともに旅に出ているかのように感じるにちがいありません。
まとめ
あどけない森の子ミューンが立派な月の守護者になっていく様を、美しい幻想的な映像で描くフランスアニメ『ミューン 月の守護者の伝説』。
一緒に旅するミューンと太陽の守護者のソホーン、蠟人形のグリムの運命的な絆からは、人と人がつながる大切さ、自然との共生、立ち向かう勇気、誰かを愛する素晴らしさなど、さまざまなことを教えられます。
彼らの姿は、まるで私たち人間と太陽と月をはじめとするすべての自然とのつながりを描いているかのようです。
映画『ミューン 月の守護者の伝説』は2022年3月23日(水)からフランス語版先行限定公開後、4月に日本語吹替え版にて全国順次公開予定です。