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Entry 2020/04/18
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』あらすじネタバレと感想解説。庵野秀明がアニメ界の閉塞感を打破した“再構築”

  • Writer :
  • さくらきょうこ

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』とは?

1995年~1996年にかけてテレビ放映された『新世紀エヴァンゲリオン』。当時は人気がなかったものの、放映終了後、そのストーリー展開と斬新な映像表現が話題となり大人の世代をも巻き込んだブームになっていきます。

2006年にテレビシリーズを再構築(REBUILD)した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ全4作の制作が発表され、翌2007年、この『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』がその第一弾として公開されました

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の作品情報

(C)カラー・GAINAX

【公開】
2007年(日本映画)

【原作・脚本・総監督】
庵野秀明

【監督】
摩砂雪(Aパート)
鶴巻和哉(Bパート)

【キャスト】
緒方恵美、林原めぐみ、三石琴乃、山口由里子、立木文彦、清川元夢

【作品概要】
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』はテレビシリーズの第1話から第6話までが描かれています。

主人公碇シンジが人型兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとなり、使徒との闘いを通して苦悩し、やがて日本全土を巻き込んだ「ヤシマ作戦」へと事態は突入。第6使徒との闘いまでがこの映画のストーリーとなっています。

テレビシリーズでは後半まで登場しなかった人気キャラクター、渚カヲルが出てきたり、第2の使徒「リリス」の存在が明らかにされている等、テレビシリーズとの若干の違いがみられます。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとは?

(C)カラー・GAINAX
全26話のテレビシリーズが劇場版として再構築されることが決まったのは、放送終了後10年が経った2006年のことでした。

テレビシリーズのアニメを劇場映画化にする際はフィルムを拡大し一部を手直しして使用するのが従来のやり方でしたが、それでは画質が荒れてしまいます。

全てにおいて高クオリティを目指す『エヴァ』のスタッフたちは、最新技術を総動員。テレビ放映時の原画・動画・背景などを集め、それらを細かくチェックし手直しして再構成していきました。

テレビでは省略された設定や新たなディテールが描き加えられ、デジタル技術によってより多様な色彩の表現も可能になりました。また、3D技術を導入して描かれた街や兵器は、未体験の映像として画面に迫力を与えています。

そうした最先端の技術を駆使した『エヴァ』ですが、その原点は「手作りのアプローチ」だといいます。妥協を許さない気の遠くなるような手作業が、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの魅力なのです。

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のあらすじとネタバレ

(C)カラー・GAINAX

特別非常事態宣言発令中の第3新東京市へやってきた中学生の碇シンジは、第4の使徒を迎え撃つ戦闘に巻き込まれてしまいます。間一髪、迎えにきた葛城ミサトに救われたシンジは、父の所属するNERV本部へと連れて行かれます。

3年振りに会った父ゲンドウから、究極の汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンの初号機に乗って使徒と戦えと命じられ、シンジはできるわけないと拒みます。NERV最高司令官であるゲンドウは乗らないなら帰れと言い放ち、重症を負っている零号機パイロット綾波レイを連れてこさせます。

その姿に心を痛めたシンジは自ら乗ることを決意し、ぶっつけ本番で使徒の前に出ますが当然うまく戦うことができません。初号機は頭部を損傷して制御不能に陥ってしまいます。

シンジは意識を失い攻撃を受け続ける初号機は暴走を始め、圧倒的な強さで使徒を追い込みますがその自爆によって多大な損害を被ってしまいます。

病院で目覚めたシンジは、上司にあたるミサトの家に一緒に住むことになりました。ミサトは、ほめられることをしたんだから胸を張っていいと言いますが、翌日転校した中学校で、エヴァのパイロットだからという理由でクラスメイトの鈴原トウジに殴られます。

好きで乗っているんじゃないと思いながら、NERVに請われるまま訓練を続けるシンジ。

ある日第5の使徒が現れ、シンジは出撃します。住民の避難は完了していましたが、一度でいいから本物の戦闘が見たいという友達相田ケンスケの求めに応じ、鈴原は相田とふたりでシェルターを抜け出してしまいます。

使徒の繰り出す触手に苦戦する初号機は、鈴原と相田のすぐ近くまで投げ飛ばされてしまいます。ふたりをエントリープラグ(コックピット)に回収したシンジは、ミサトの指示を無視して使徒に向かっていきます。

訓練で習ったとおりコアを狙ってナイフを突き立てたシンジの初号機は、活動限界ギリギリで使徒を倒します。

ミサトに叱責されたシンジは反抗的な態度をみせ、そのまま家に帰らず街をうろつきます。学校も行かずに山道を歩き回っていたシンジは、ついに観念し尾行していたNERVによってミサトのもとへと連れ戻されるのでした。

エヴァに乗るかどうかは自分で決めなさい、とミサトは言います。

エヴァ零号機。プロトタイプとして開発されたものの、起動実験中に暴走事故を起こしその使用は凍結されていました。その事故によってパイロットのレイは重症を負いましたが、親身になって心配してくれるゲンドウには心を開き、唯一彼にだけは笑顔を見せていました。

ある日、レイに新しいIDカードを渡すよう頼まれたシンジは、レイの住む部屋を訪れます。全裸のレイと鉢合わせしてしまいしどろもどろのシンジと違い、レイは顔色ひとつ変えません。

唯一レイが感情を示したのは、父ゲンドウのことを悪くいったシンジの頰をひっぱたいたときだけでした。

NERV本部へ到着したふたりを待っていたかのように、街には第6の使徒が現れました。変幻自在に形を変えるその使徒から放たれた強力な光線を浴び、初号機で出動したシンジは助けを求めますが、ゲンドウはそれを認めません。

仕方なくミサトは初号機のいる場所ごと地下の基地内へ回収し、シンジは緊急の処置室へと運ばれます。

第6の使徒は地面の掘削を開始し、あと10時間ほどでNERV本部へと到達するとの分析結果がでました。

作戦の指揮官であるミサトは「ヤシマ作戦」の発動を指示します。その概要は、日本全土の電力を結集し極秘開発中の大出力陽電子自走砲をエヴァに撃たせるというもの。短時間で着々と準備は整いつつありました。パイロットを除いては。

ゲンドウは、なんとしてもシンジに乗ってもらう、それが無理ならレイを乗せると言います。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)カラー・GAINAX

目覚めたシンジは、付き添ってくれていたレイから作戦概要を伝えられ、90分後に出発だと告げられます。しかしシンジがエヴァに乗るのは嫌だと言うと、レイは自分が乗るといって病室を出ていきます。

ミサトは、自分だけが死ぬ思いをしていると搭乗を拒否するシンジを本部の地下奥深くへ連れていきます。NERVで働く全員がサードインパクトを防ぐために使徒と刺し違える覚悟だといい、いざとなったら本部は自爆することになっていると説明します。

その理由は第2の使徒「リリス」。地下奥深くに保管されているそれをシンジに見せたミサトは、それがサードインパクトのトリガーであり、それを守るのはエヴァ、エヴァに乗れるのはシンジだと言います。

NERV全体が運命共同体だと理解したシンジはエヴァに乗ることを承諾します。

シンジは、陽電子砲が一箇所しか撃てず、その場所から動くことができない、とNERV技術開発部赤木リツコから説明を受けます。そしてレイの零号機が初号機を守る、と。

午前0時。陽電子砲への通電をカモフラージュするための総攻撃が開始されます。

そしてついに陽電子砲発射。しかしわずかにはずれ、第6の使徒は反撃してきます。

膨大な電力が要り、砲身の冷却が必要な陽電子砲はあと一発撃てるかどうか。倒れた初号機の中で泣いているシンジをゲンドウは更迭しようとしますが、彼を信じるべきだというミサトの言葉でシンジは立ち上がります。

今度は手動で照準を合わせなければならない初号機を、再び使徒が攻撃してきます。そして、そこに立ち塞がったのはレイの零号機でした。

ようやく撃つことのできた2発目は見事使徒のコアに命中し、NERV本部は守られました。

シンジは急いでレイの救出に向かい、その無事を確認すると涙を浮かべます。困惑してどうすればいいかわからないというレイにシンジは、笑えばいいと思うよ、と微笑むのでした。

そのころ月面では、謎の少年が目覚めていました。

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の感想と評価

(C)カラー・GAINAX

「現在の閉塞した日本アニメ界に新たなムーブメントを起こしたい」。これは、新劇場版制作発表時の庵野の所信表明の言葉です。

エヴァンゲリオンはテレビシリーズ放送当時、思ったように視聴率が上がりませんでしたが、その悩める主人公の姿や衰えることのない綾波レイの魅力など、さまざまな要因によって長く愛される作品になっていきました。

時が経ち技術が進歩してくると、「今の技術で作ったあの作品を見てみたい」という欲求がわきあがってくるものです。

斬新な使徒の姿や箱根の町を変貌させる兵装ビルの変形シーンなど、インパクトの強い映像表現が持ち味のこの作品が劇場版として再構築されると決まったとき、ファンは歓喜しました。

おなじみの芦ノ湖の上に不気味に浮かぶ正八面体、ノスタルジックな風景に展開される異形の敵との戦いなど、兵器・敵・背景どれひとつ手抜きのない仕上がりが、エヴァとともに成長してきたかつての少年少女たちを満足させてくれました。

今や当たり前となった「製作委員会」方式のさきがけとなったり、テレビシリーズ終了後に別バーションの結末を映画化したり、さまざまな試みを行なってきたエヴァ。

その当然の帰結として辿り着いた新劇場版の完結を前に今いちど、多くの人にこのシリーズを体験してもらいたいです。

まとめ

(C)カラー・GAINAX

1970年代の『宇宙戦艦ヤマト』、1980年代の『機動戦士ガンダム』、そして1990年代の『エヴァンゲリオン』

現在のアニメ界の礎となった伝説の作品たちは、それぞれ形を変えいまも脈々と受け継がれ新たなファンを獲得し続けています。

なかでもエヴァは明確に解体と再構築を行い、時間をかけ丁寧に、じっくりと深化を続けています。それをファンも期待し、待っています。

21世紀、新たに世に送り出されたエヴァの世界を楽しんでいきましょう。






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