もうひとつの日本からやってきたもうひとりの僕。
もし今の世界が終わるとしたら、守りたい人は側にいますか?
アニメ制作会社クラフタースタジオが、日本独自のアニメーション表現をフルデジタルで実現する「スマートCGアニメーション」映画として世に送り出す、オリジナル劇場用アニメーション第1弾。まさに、これが最新のアニメーションです。
映像の美しさに加え、登場人物のカリスマ性、そして惹き込まれるオリジナルストーリーに、夢中になること間違いなしです。
もうひとつの日本の存在。パラレルワールド。もし、自分がもうひとりいるとしたら。守りたいものの存在が人を強くする。
映画『あした世界が終わるとしても』のあらすじと感想を紹介します。
映画『あした世界が終わるとしても』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
櫻木優平
【キャスト】
梶裕貴、中島ヨシキ、内田真礼、千本木彩花、悠木碧、水瀬いのり、津田健次郎、森川智之、水樹奈々、秋山諒、西島梨央
【作品概要】
監督・脚本は、岩井俊二監督『花とアリス殺人事件』、宮崎駿監督『毛虫のボロ』のCGスタッフとしてキャリアを積み、テレビアニメーションシリーズ『イングレス』で、高いCG技術で世界を驚かせた、クラフタースタジオ所属の櫻木優平監督。
次世代の監督として、最新鋭のアニメーション技術「スマートCGアニメーション」を駆使した話題作を発表し続けています。
劇中歌・主題歌は、人気シンガーソングライターの「あいみょん」が担当。映画の世界観と彼女のストレートな歌詞と、力強い歌声がみごとにリンクされています。
映画『あした世界が終わるとしても』のあらすじとネタバレ
まだ幼い真(しん)は、母親に手を引かれ歩いていました。晩御飯は真の好きなハンバーグに決定したようです。その時突然、母親が倒れます。突然死でした。
悪夢から目覚めた真は、高校生になっていました。母親の死後、父は家に帰らず研究ばかり、真はそんな父とすれ違いの日々でした。
自分のことも父親のことも、将来のこともどこか冷めた態度の真。そんな真を心配してくれるのは幼なじみの琴莉(ことり)でした。
琴莉の父は、真の父の上司でもありました。研究に打ち込む真の父親に変わり、真のことも面倒をみてくれます。親同士の関係もあり、真と琴莉はお互い素直になれない関係を続けていました。
高校生生活も残りわずか。真はようやく琴莉をデートに誘います。喜ぶ琴莉。「僕はキミのことが…」真の告白の途中で、琴莉の携帯が鳴ります。
シンクロする、死刑台の男の姿。それは真の父親でした。「この日本をやり直そう!」琴莉そっくりな公女が叫びます。歓喜する民衆。この世界はいったいどこなのか?
琴莉の電話は父親からのものでした。真の父親が突然死したという連絡でした。
近年増加し続ける突然死は、日本でも問題になっていました。その原因は、思いもよらない相対世界にありました。別の日本国の存在です。
世界大戦後、世界は2つに分裂。この世界と相対するもうひとつの世界「日本公民共和国」が存在していました。2つの世界には相対する相手が存在し、どちらかが死ねばもう片方も死ぬ、命のリンクが存在しました。
日本公国はもうひとつの日本の消滅を目論んでいました。日本公国の公卿たちは自分たちの人形となる公女を操り、独裁政権を行っていました。
父親の突然死にさらに心を閉ざしてしまった真の前に、自分そっくりな顔のジンが現れます。
ジンの登場とともに命を狙われる真。両腕が剣になる少女は真を狙うも、ジンの操る巨大な人形、遠隔人型兵器「アルマ」によって助けられます。
状況を把握出来ない真に、ジンは相対世界の仕組みを教えます。そして、真の両親の死も日本公国の仕業で、自分は日本公国の公女を殺すためにこの世界に転送してきたと話します。
しかし、日本公国の公女こそ、この世界の琴莉と相対するコトコだったのです。
コトコは、操られる独裁政権の中、日本を守ろうと策略していました。自分と意識や感情を共有するフィックスをした人型兵器を秘密時に開発。
コトコのフィックスによって誕生した、ミコとリコ。姉妹は、日本の琴莉を守るため、そして相対する公卿の面々を暗殺するためにこの世界に転送されていました。
真を狙い、ジンと対戦するミコ。そこに現れた琴莉と再会します。力を得るために琴莉とフィックスするミコは、琴莉の真に対する想いを知ることになります。
思わむ事態に一時休戦となった、真とジン、そして琴莉とミコ。
ミコからコトコの本当の作戦を聞いたジンは、目的は自分と同じことを知ります。争う理由がなくなったジンとミコの前に、もう一人コトコのフィックス人形・リコがやってきます。
リコを通して、日本公国のコトコにも現状が伝わりました。琴莉の真を思う気持ちが、温かい希望のように広がります。
日本公国では公卿たちが、コトコの動きに気付きます。コトコの命を狙う公卿たち。リコが慌てて戻るも、間に合いません。
コトコの命が尽きる。それは、琴莉の死を意味しています。もう間に合わない。真の目の前で倒れる琴莉。また、自分は何も出来なかった。自分の殻に閉じこもる真。
世界は独裁政権に飲み込まれようとしていました。もうひとつの日本の消滅です。
映画『あした世界が終わるとしても』の感想と評価
現在アニメーションの作り方は、おおまかに「CGアニメーション」か、手描きの「作画アニメーション」ですが、映画『あした世界が終わるとしても』では、クラフター独自の技術「スマートCGアニメーション」が用いられています。
「スマートCGアニメーション」は、2つのスタイルの良いところを、どちらも取り入れられる最新技術です。
見た目は日本の作画風なのに、実はすべて3DCGで制作されています。
夕日や自然、町並みの映像は、リアルに近くさらに美しく。登場人物たちの瞳の動きや輝きに魅せられます。
そして迫力ある戦闘シーンは、主人公目線でバーチャル体験をしているような臨場感を得られます。
物語は、もうひとつの日本の存在がキーワードになっていきます。別の世界、パラレルワールドの存在。もし、自分がもうひとり存在するとしたら。
タイムトラベル、タイムパラドックス、多次元、パラレルワールドなど、時間や時空をテーマにしたSF映画は数多く存在しますが、この作品もまたそんな好奇心を刺激する内容となっています。
もうひとつの世界にいる自分との命のリンクによって、大切な人の命が危ないとしたら。もしあした世界が終わるとしたら。自分はどこでどのように過ごすのでしょうか。
主人公の真は、好きな人を守るため、好きな人がいる世界を守るため、強くなります。守りたい者の存在は、人を強くする力があります。その力は奇跡をも呼ぶ力になるかもしれません。
もしあした世界が終わるとしても、最後まであきらめない強さを持っていたい。そして自分も誰かの強さの源でありたいものです。
まとめ
映画『あした世界が終わるとしても』のあらすじ、感想を紹介しました。
監督・脚本は、次世代の監督として、最新鋭のアニメーション技術「スマートCGアニメーション」を駆使した話題作を発表し続けている櫻木優平監督。最新のアニメーションがここにあります。
そして、豪華声優陣にも注目です。主人公の真には『進撃の巨人』の梶祐貴、ヒロインの琴莉には『中二病でも恋したい!』の内田真礼、そのほかにも中島ヨシキ、千本木彩花、悠木碧、水瀬いのりとアイドル並みの人気声優が勢揃いです。
アニメの世界観をみごとに表現した、カリスマ性あふれるシンガーソングライター「あいみょん」の主題歌も必聴です。