映画『マイル22』は、2019年1月18日(金)よりロードショー。
『ローン・サバイバー』、『バーニング・オーシャン』などの作品を放ってきた、マーク・ウォールバーグ&ピーター・バーグ監督が4度目のコンビを組んだ映画『マイル22』が日本上陸。
ある重要参考人の身柄を護送しようとするクセ者揃いの特殊部隊と、それを阻止しようとする凶悪武装勢力との、血で血を争う市街戦が勃発します。
CONTENTS
映画『マイル22』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Mile 22
【監督】
ピーター・バーグ
【キャスト】
マーク・ウォールバーグ、イコ・ウワイス、ローレン・コーハン、ロンダ・ラウジー、ジョン・マルコヴィッチ、ピーター・バーグ
【作品概要】
『ローン・サバイバー』(2014)、『バーニング・オーシャン』(2017)、『パトリオット・デイ』(2017)などのピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグが、4度目のコンビを組んで製作。
重要ミッションを抱えた特殊部隊と、それを阻止しようとする武装勢力の抗争を描く骨太アクション映画で、イコ・ウワイスやロンダ・ラウジーといった、格闘術に長けたキャストを揃えたのも話題です。
映画『マイル22』のあらすじとネタバレ
ジェームズ・シルバ率いるCIAの機密特殊部隊は、アメリカ郊外にて、アリスやサム、ダグといった部下と共に、指揮官ビショップの指示の元、ロシアのスパイKGBのアジトを奇襲する任務に就いていました。
しかし予期せぬ事態により、諜報員の確保ではなく殺害へと作戦変更。
「俺を殺すと後悔するぞ」と言ったその男を、シルバは「そんなの慣れている」と言って始末します。
アメリカ政府は、今回のCIAによる奇襲はロシア諜報部の摘発が目的だったと発表し、シルバが殺したのは18才の少年だったと伝えます。
その16ヶ月後、シルバ達は東南アジアの小国インドカーのアメリカ大使館にいました。
彼らの任務は、何者かに盗まれた4キロもの放射性物質セシウムを見つけ出すこと。
下手すれば大都市が危険になりかねない事態にシルバが激高するさなか、大使館にリー・ノアと名のる男がハードディスク端末を手に現れます。
インドカーの警官だというノアは、「セシウムの在り処は端末に入れてロックしているが、端末のデータは8時間を過ぎたら自然消滅する」と語り、さらにはロック解除を条件に、自身の亡命を要求します。
間もなくして、ノアの身柄引き渡しを求めて、インドカー政府の外務審議官と保安局長アクセルが大使館を訪れますが、同時に医者に扮した謎の男達がノアに襲いかかる事件が発生。
事態を重くみたアメリカ政府は、情報チーム作戦〈オーバーウォッチ〉を決定します。
それは、ビショップ指揮の元、シルバ達がノアをアメリカ大使館から米軍輸送機が待機する空港までの22マイル(35.4km)を護送するというものでした。
輸送機の滞在時間がわずか10分間しかないため、ドローンや街中の監視カメラをハッキングし、速やかにノアを目的地まで誘導しようとするシルバ達。
しかしその護送ルートは、ロシア偵察機の援護を受けた、アクセル率いるインドカーの特殊部隊に筒抜けでした。
それにより、インドカー部隊によるオートバイの爆弾攻撃を受け、仲間を次々と失っていくシルバ。
腹心の部下だったサムが自らを犠牲にして敵を阻止するも、状況が悪いと踏んだシルバは、協力者がいるカフェに退避します。
武器と車を確保したシルバでしたが、偵察機に場所を特定され、カフェを爆破されます。
それでも、爆破から逃れたシルバ達は、舞台をビルへと移して激しい銃撃戦を展開。
しかし、セシウムの在り処が入った端末の自動消滅作動開始も5分を切り、輸送機も離陸準備に入ります。
ようやく空港の入口までたどり着くシルバとノアですが、目の前にはアクセルが。
正に絶体絶命のピンチ!となる寸前に、ビショップがドローンによる空爆を命じ、アクセルの車を粉々にします。
シルバは無理やり滑走路に侵入し、強引に輸送機離陸を中止させることに成功。
端末の自動消滅が残り3分を切るも、無事に逃げ延びたノアはパスワードを伝えるのでした。
映画『マイル22』の感想と評価
ド派手かつド迫力のアクションが満載!
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— Mile 22 (@Mile22Movie) 2018年8月27日
本作の監督ピーター・バーグも、「とにかくエンタメ要素が高いアクションにこだわった」と語っているように、『マイル22』は銃撃や格闘アクションが最大の見どころと言っていいでしょう。
中でも、『ザ・レイド』で驚異の身体能力を見せた、リー・ノア役のイコ・ウワイスを中心としたアクションシーンが、スゴイの一言に尽きます。
アクションシーン全般のコレオグラフィー(振付)もウワイス自身が担当しており、『ザ・レイド』でも披露したインドネシアの武術シラットや、ブラジルのカポエイラ、カンフー、キックボクシングといった、あらとあらゆる格闘術を駆使した死闘が繰り広げられます。
そして、本物の銃器と4万発もの弾薬を使用して撮影されたというガンアクションは、視覚はもちろん、聴覚をも刺激する迫力となっています。
マーク・ウォールバーグのキレキレな演技が必見!
ピーター・バーグ作品には、本作で4回目の主演となるマーク・ウォールバーグ 。
過去作では、緊急時においても比較的冷静に対処を試みる人物を演じてきましたが、本作で演じたジェームズ・シルバは、まるで正反対の人物となっています。
常に自分の怒りやイライラから来る破壊・暴力衝動を抱えており、それを抑えるアンガーマネジメントとして、腕に巻いた輪ゴムを常に弾いています。
そのため、ちょっとしたことでもすぐ怒りが沸点となって、すぐ物に当たり散らせば、任務ミスをした女性部下アリスをシャワー室まで追いかけて、彼女が裸状態にもかかわらず説教する始末です。
そんなキレキレなウォールバーグに対し、他作品ではエキセントリックな役どころが多いジョン・マルコヴィッチが、対照的に冷静沈着な上司を演じているのもポイントでしょう。
ちなみにバーグ監督は、本作の続編を3部作構想で想定しているとのこと。
個性の強いシルバの、「その後」にも期待したいところです。
“苦み”を植え付ける監督、ピーター・バーグ
ピーター・バーグ監督がこれまで手がけた作品のジャンルは、アクションやコメディ、SFや実録物というようにバラバラです。
「僕はどんなジャンルの映画でも撮る」と本人も認めていることからも、統一性・作家性がない監督と思われがち。
しかし、彼のフィルモグラフィーを辿っていくと、ジャンルこそバラバラでも、ある共通点が見えてきます。
それは、単なるハッピーエンドにはせずに、“苦(にが)み”を加えている点。
物語上、事件や事故自体は一応の解決を見ますが、主人公が真の意味でのヒーローや勝利者にはならない――バーグ監督はそんな結末の作品ばかり手がけているのです。
例えば『キングダム/見えざる敵』(2007)では、中東で発生した自爆テロで同僚を失ったFBI捜査官が、復讐心から現地に乗り込み犯人を追うも、その代わりに大きな犠牲を伴います。
続くSFコメディの『ハンコック』(2008)では、その超人的能力で周囲に疎まれるスーパーヒーローが、次第に市井の人々に好かれていくも、能力を持続していくのに辛い代償を払っていたことが明らかとなります。
そして、実際に起きた原油流出事故を映画化した『バーニング・オーシャン』(2017)は、事故から生還して大団円、とはせずに、生還後も損害賠償を求める裁判で心身ともに疲弊していく作業員を描きます。
『マイル22』でも、ある意味「アメリカ万歳」とは言えないラストを用意したあたり、“苦み”を植え付けるバーグ監督たる所以でしょう。
まとめ
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— Mile 22 (@Mile22Movie) August 23, 2018
上映時間95分の『マイル22』ですが、その短さが災いしてか、物語的に詰め込み過ぎている感は否めないところ。
肝心のアクションシーンも、目まぐるしいカット割りの多用が逆効果となって、せっかくのイコ・ウワイスやロンダ・ラウジーの動きを観づらくしてしまっています。
ラストも勧善懲悪なオチではないことから、人によっては後味が悪いと感じるかも…。
しかし前述のとおり、“苦み”を植え付けるピーター・バーグの作風を知っている方なら、オチも納得の範疇かもしれません。
あらすじの至る箇所でドンデン返しの伏線は張られているので、ある程度の予想が付いた方もいるのでは。
とにかくネタバレ未読の方は、「世界をダマす 究極のミッション」というキャッチコピーに則り、「いっちょダマされてやるか」という心構えで劇場に足を運んではいかがでしょうか。