アメリカ同時多発テロから17年。本国のみならず全世界を震撼させたニュース映像で見た誰もが、生涯あの映像を忘れることはできないのではないでしょうか。
映画『ホース・ソルジャー』には、あのニュース映像が使用され、9.11直後の最初の戦いの任務作戦があったことを映画化。
ミッチ・ネルソン大尉は対テロ戦争の最前線に部隊のリーダーに志願し、僅か12人の特殊作戦の隊長に任命されます。
この作品は実話ではあるものの、戦争映画やアクション映画として楽しめる娯楽作です!
CONTENTS
映画『ホース・ソルジャー』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
12 Strong
【監督】
ニコライ・フルシー
【キャスト】
クリス・ヘムズワース、マイケル・シャノン、マイケル・ペーニャ、ナビド・ネガーバン、トレバンテ・ローズ、ジェフ・スタルツ、サッド・ラッキンビル、ロブ・リグル、ウィリアム・フィクトナー、エルザ・パタキー
【作品概要】
『マイティ・ソー』や「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワース主演で、9.11直後に実行されたテロとの戦い挑んだアメリカ陸軍特殊部隊の隊長と隊員合わせて12人の少数部隊の活躍を描く実録戦争映画。
スタッフ陣は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや『ブラックホーク・ダウン』の制作担当のジェリー・ブラッカイマー、演出担当はデンマークの映像作家で、報道写真家としても知られるニコライ・フルシー監督。
共演にマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャのほか、ヘムズワースと実際に夫婦でもあるエルザ・パタキーが、ヘムズワース扮するミッチ・ネルソンの妻役で出演し、夫婦共演を果たしている。
映画『ホース・ソルジャー』のあらすじとネタバレ
ミッチ・ネルソンは、愛する妻と娘のために願いを出した陸軍の転属が認められ、自宅で家族と転居の準備をしていました。
しかし、テレビのニュースに流れたのは、2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ勃発。
それを見たネルソンはアメリカにとっても新たな戦いの始まり、自分が率いた部隊への復帰を情感に申し出ます。
10月16日、ネルソン大尉が率いる陸軍特殊部隊が、ウズベキスタンに到着。
2年間にわたり訓練を共にしたネルソンと12名の隊員は、テロの首謀者ビンラディンとそのタリバンへの最初の反撃に志願します。
ネルソンは頼りにしているスペンサー准尉を連れて、マルホランド大佐の面談を受けます。
上官の大佐から語られた国からの指令は、反タリバンであるドスタム将軍が、テロ集団の拠点であるアフガニスタン北部の都市マザリシャリフ(通称マザール)を制圧するのを、空爆を駆使して支援することでした。
大佐から任務遂行の期間を6週間という期限を切ったことに、ネルソンは3週間で実行できると切り返します。
それは11月半ばになれば、雪のため山道が封鎖されることを知っての返答でした。
ネルソンには実践経験がないことを危ぶまれますが、前例のない戦場では誰もがゼロからのスタートと胸を張り、彼のチームもまた、実行部隊の一番手に選ばれます。
12人それぞれが戦闘への出陣準備するなか、戦闘経験の豊富なスペンサーは死を覚悟し、メモ帳に遺書を垣間記しますが、ネルソンはそれを嫌い「妻と約束したから必ず帰る」と言い切ります。
ドスタム将軍200人に対して、タリバン5万人の敵が待つアフガニスタンへと、輸送ヘリでネルソンを含む12人は飛び、現地に乗り込みます。
映画『ホース・ソルジャー』の感想と評価
西部劇や戦争娯楽作品としての楽しみ
本作『ホース・ソルジャー』は、かつて娯楽の一端を担っていた、難攻不落な敵陣に作戦遂行を挑む部隊を描いた戦争映画の醍醐味を持った作品です。
しかも、これが実話というのに驚かせれます。
映画を観ながら西部劇のような騎兵隊の12人の勇姿に、“自衛隊員は馬に乗れるのか”、“ネルソン大尉のように牧場育ちは日本にはいないな”と抱いてしまうのは、日本人なら仕方ないかもしれません。
あらためて、日本人とは戦う部族ではないねと、思い知りますね。
とはいえ、1961年のJ・リー・トンプソン監督の戦争映画の名作『ナバロンの要塞』や、名優ビック・モローがサンダース軍曹を演じたテレビドラマ『コンバット!』などを見てきた者には、とても楽しめる作品でした。
ましてや、西部劇ファンとって、現代にこのように西部劇が生まれ変わることは予想をしなかったのではないでしょうか。
そのことは『ビバリーヒルズ・コップ』や『トップガン』などを手掛けてきたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーもこのように述べています。
「これは娯楽映画なんだ。キャラクターに思い入れをしてしまい、ついに一緒に微笑んでしまうような。見終わった時、人はいい気持ちで映画館を出て行くと思うよ」
さらに驚かされるのは、この作品が低予算(アメリカ資本の映画としては)で、40日で撮影を終えたと言いますから、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーや初監督を果たしたニコライ・フルシー監督の手腕は大した者だと感心させられます。
実話でありながらも、かつての戦争映画や西部劇に登場した面白いモチーフを思う存分に上手く生かした、スタッフ陣にエールを送りたいですね。
“大切なことは知ることだ”
主人公のミッチ・ネルソン大尉を演じたクリス・ヘムズワース。
言わずと知れた代表作は「マイティ・ソー」シリーズのソー役を演じ、「アベンジャーズ」シリーズでもその存在感を見せています。
そんなヒーローの姿がよく似合うクリスが演じると、ネルソン大尉の正義感やタフさにも説得力がありまた。
また、クリスの説得力の裏側には、本作に出演していたキャストたちが、3週間の特殊訓練を特殊部隊のエキスパートと講師に招いて、任務の講義などを受けたそうです。
クリスが言うには、キャストたちのなかでもスペンサー准尉を演じたマイケル・シャノンが皆を引っ張ってくれたと語っています。
スペンサー准尉という役柄は、映画のストーリーの面白エピソードを含んだ見どころがあるキャラクターなのでしたが、演じたマイケルはこのように本作を語っています。
「今作を見て感じる事は人によって様々だと思う。だけどそれでいいんだ。大切な事は知ることだ。彼ら特殊部隊も、ただ戦場で爆弾を落として去ったのではなく、その国に住む人々の中に入っていき、文化や歴史をしっかりと理解したんだ。そういうことが大切だ」
俳優としてだけでなく、人徳のあるマイケルの言葉「大切な事は知ることだ」。
アメリカ自国民の1人として、彼はニューヨークに住み、本作のラスト銅像を何度も見ているそうで、銅像の意味も映画を観るとよく分かるとも語っています。
文化や歴史の背景が変わっていても一緒に何かについて考えることを、この娯楽映画として優れた戦争映画は目指しているのでしょう。
まとめ
本作のプロデュースを果たしたのは、対テロ戦争の映画『ブラックホーク・ダウン』の製作したジェリー・ブラッカイマー。
彼がデンマークCM界の新鋭監督で、コソボ紛争の報道写真家でもあったニコライ・フルシーを監督に招き描いた本作『ホース・ソルジャー』。
戦闘経験のないネルソン大尉には「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワース。
ネルソンが信頼を置く腹心の部下に、オスカー賞に2度ノミネートされ『シェイプ・オブ・ウォーター』でも注目されたマイケル・シャノン。
そのほか、『フューリー』のマイケル・ペーニャ、『ムーンライト』のトレバンテ・ローズなど、実力派俳優も出演。
さらには、クリス・ヘムズワースの実際の妻であるエルサ・パタキーも、ネルソン大尉を戦場に送り出す妻役を好演しています。
映画『ホース・ソルジャー』は実話を超えた娯楽作品として楽しめる、アクション映画としてオススメな1本です!