凄腕のエージェントが亡き友のためにCIAを欺くエージェント・アクション
ジングル・マが監督を務める、2018年製作の香港のエージェント・アクション映画であり、トニー・レオン主演による『東京攻略』『ソウル攻略』に続く「攻略」シリーズ第3弾『レイダース 欧州攻略』。
長年のライバルである凄腕のエージェントたちが、「神の右手」と呼ばれる秘密集積回路チップを盗んだ女性から取り戻そうとミラノへ渡りますが、事件の背後には巨大な陰謀が隠されていたというのは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
困難な仕事もこなす凄腕のエージェントたちが、「神の右手」を盗んだ女性ハッカーを助けたことにより、巨大な陰謀に巻き込まれていく、香港のエージェント・アクション映画『レイダース 欧州攻略』のネタバレあらすじや作品情報をご紹介いたします。
映画『レイダース 欧州攻略』の作品情報
【公開】
2019年(香港映画)
【脚本】
シャオ・ペン
【監督】
ジングル・マ
【キャスト】
トニー・レオン、クリス・ウー、ドゥ・ジュアン、ジージャー・ヤーニン、ジョージ・ラム、ティファニー・タン
【作品概要】
『ムーラン』(2009)や、『東京攻略』(2001)『ソウル攻略』(2004)の「攻略」シリーズ などを手掛けたジングル・マが監督を務める、香港のエージェント・アクション作品です。
そして、『のむコレ3』で2019年11月15日から上映された作品でもあります。
「攻略」シリーズや「レッドクリフ」シリーズ(2008・2009)、『モンスター・ハント 王の末裔(2020)』などに出演するトニー・レオンが主演を務めています。
トニー・レオンの他に、『バウンティ・ハンターズ』(2017)のティファニー・タンや、人気KPOPグループ『EXO』の元メンバーであるクリス・ウーら豪華キャスト陣が出演しました。
映画『レイダース 欧州攻略』のあらすじとネタバレ
2006年12月24日、武術を嗜む天才ハッカーのマーキュリーは、世界平和のために悪人から金を巻き上げ、貧しい人々に金を配る義賊のような男でした。
そのせいで敵が多かったマーキュリーは、武装集団に雪山のロッジで拉致され、拷問を受けていました。
そこへ、全身にライトを搭載した防寒着で雪山を滑る凄腕のエージェント、リー・ザイフォンとその仲間たちが救出しにやって来ます。
ザイフォンの仲間は、銃弾を跳ね返すほどの強靭な肉体を持つ鋼のカラダと、一撃必殺のトウシン、足だけが武器じゃないメガフットと呼ばれた、男2人女1人のメンバーです。
ザイフォンたちの華麗な武術のおかげで、マーキュリーが無事救出され、人質にされていた幼い姉弟の元へ帰ることができました。
マーキュリーはそのお礼に、ザイフォンに自分がデザインした刑務所の図面を渡します。
マーキュリーは、自ら入る監獄を設計したのです。ザイフォンは、中央情報局(CIA)米国本部へその図面を渡します。
ザイフォンはCIA米国本部を立ち去る間際、マーキュリーはMI6やロシア人が会いたがるほどの、あるシステムを開発したとCIA長官に告げました。
マーキュリーは自分が設計した、『CIA 第6監獄』の中でひたすら数式を書きこんでいきます。
それから12年後、マーキュリーは第6監獄の壁にびっしり書き込んだ数式を基に、あるシステムを開発しました。
それは、テロリストや資金洗浄などの不正を見つけ出すことができる秘密集積回路チップが埋め込まれた、人工衛星を使った監視プログラム、通称「神の手」と呼ばれるものでした。
2018年、イタリア・ローマにあるCIAイタリア本部から、何者かによってその「神の手」が盗まれました。
犯人のハッカーはCIAのシステムにハッキングし、わざと停電した隙に神の手を盗み出したのです。
CIAはすぐさま犯人の確保に動き出しましたが、既に犯人は逃げており、パソコンのIPアドレスを辿って特定した居場所には、ニヒルな笑みを浮かべる髑髏マークが表示されているノートパソコンだけしかありません。
しかも、イタリア本部には指紋がないメガネが置かれており、指紋認証で奪われそうだった「神の手」を取り出した大使の手には、代わりにザイフォンの名刺が握られていたのです。
別の場所に移動した犯人は「神の手」を起動させ、イタリア系マフィアのピーター・ローソンという男の口座を調べ、そこから1億ドルを奪います。
「神の手」が盗まれてから18時間後の中国・上海、ザイフォンのライバルである美しき請負人のワン・チャオインの元へ、CIA職員のローソンが訪ねてきました。
ローソンがチャイオンの元を尋ねた理由、それは容疑者候補のザイフォンの居場所を突き止めるためです。
「神の手」を盗んだ犯人扱いされているとは気づかず、ザイフォンは世界各地からチャオインへ愛のメッセージを送り続けます。
CIAに協力することにしたチャオインは、それを利用してザイフォンに連絡を取り、イタリア・ミラノにあるレストランで会わないかと約束を取り付けました。
その事に薄々勘づいていたザイフォンは、仲間に頼んでレストラン前に停めた車の中で監視するローソンたちCIA職員を昏倒し、その隙に店員に扮してチャオインと3年来の再会を果たします。
一方、イタリアのマフィア本部にいたピーターは、1億ドル口座から奪っていった電話の主に怒鳴り散らしていました。
その電話の主である女性ハッカーは、ピーターが差し向けたローマの屈強な古代の殺し屋を返り討ちにします。
そして女性ハッカーは、ピーターに「悪事で稼いだ金でしょう?この私に奪われたこと、光栄に思うことね」と言って嘲笑いました。
さらに女性ハッカーは、電話の最後に「私に協力するなら、1億ドルを返してあげる」と取引を持ち掛けます。
翌日、意識を取り戻したローソンたちCIA職員によって、ザイフォンとチャオインはCIAイタリア本部へ連行されました。
チャオインはもう用済みだと言わんばかりにCIAから解放され、代わりにザイフォンがローソンに、ある依頼を持ち掛けられます。
かつてマーキュリーをCIAへ引き渡し、彼の死を見送ったザイフォンに、ローソンは犯人の女性ハッカーであるゾフィの捜索を命じました。
世界各地に置かれた7つの情報局は、盗まれた「神の手」システムが導入されており、互いに連動しています。
そしてゾフィは、テロリストの資金を追うCIA職員として、偽造カードを使って2年間潜入していました。
そんなゾフィの居場所は、起動した「神の手」によって世界中の700億の場所が表示され、分刻みでそれが200ずつ増えているため、追跡することができません。
犯行声明もないため、ゾフィの目的も分からず困ったCIAは、マーキュリー確保に貢献したザイフォンに依頼することにしたのです。
ザイフォンは現場に残された自分の名刺を見て、これはかつて、マーキュリーの娘に贈ったものだと気づきます。しかし、ザイフォンはCIAからの依頼は断りました。
ロビーにいたチャオインは、ザイフォンたちの会話から彼が依頼を断ったことを知り、自分が彼より優秀な人材だと証明するべく、代わりにこの依頼を引き受けると申し出ます。
この申し出を受け入れたCIAの目的は、ザイフォンが大事に想っているチャオインがやるとなれば、必然的に彼もこの依頼を引き受けることになると踏んだからです。
イタリア本部から出たザイフォンとチャオインは、帰りの車の中でお互いの最新の小道具を披露し合います。
チャオインが持っている色も味もないリップグロスは、最新のナノテクノロジーを使っており、標的とキスするだけで24時間、標的を追跡することができるものです。
これに負けじと対抗したザイフォンが持っている小道具は、最新のナノテクノロジーを搭載した追跡装置となっている、最新作のパッションフォーです。
それを口に吹きかけ、標的と深いキスを交わすことによって、標的の舌に3Dプリンターを施し、36時間追跡できるものでした。
ザイフォンたちは互いの小道具の実用性を確かめるためと言い訳し、熱いキスを交わします。
2人が2回目のキスをしようとしたその瞬間、ザイフォン宛にソフィから連絡が入りました。チャオインはすぐさま、ローソンに逆探知するよう要求します。
ソフィはザイフォンに、「賞金稼ぎのために、CIAにパパを売ったのでしょう?だから、あなたにも参加してもらう。(CIA以外にも狙っている敵がいる)この危険な状況を、皆で共有しましょう。72時間以内に、6番監獄にいるロッキーを釈放して。出来なければ、“神の手”のソースコードを一般公開する」と告げました。
ロッキーとは、CIAが1年前に極秘エリア51に侵入したため、6番監獄に収容している男でした。
ソフィの要求を聞いたザイフォンは、彼女が言うロッキーが、マーキュリーの息子で彼女の弟だと気づいていました。
ソフィの目的は、マーキュリーを利用し裏切ったCIAに対する復讐だと考えたザイフォンは、彼女に監視カメラ越しにロッキーの身柄を引き渡す場所の座標を見せます。
その場所は、ローマにあるCIAの隠れ家でした。CIA職員に連れられ、隠れ家にやって来たロッキーは、かつてザイフォンから貰ったポルトガル限定販売の水色のボールを弄んでいました。
ロッキーはクリンゴン語を話し、尋問してくるチャオインやローソンをからかいます。
唯一グリンゴン語が話せるザイフォンが、代わってロッキーに話しかけ、「姉を西に逃がすため、我々に協力しないか。見返りとして、君が会いたがっている恋人に会わせてやる」と取引を持ち掛けました。
ザイフォンたちが話し合っていると、表向きチョコやワインを販売する店にしている隠れ家へ、1人の老人が客として訪れます。
その老人は、店員に扮したCIA職員が離れた隙に立ち去り、代わりに鞄に仕込んだ時限爆弾を置いていきました。
時限爆弾が起爆したことを合図に、ソフィに協力するピーター率いるイタリアマフィアが隠れ家へ侵入し、チャオインたちに襲い掛かってきます。
激しい銃撃戦が繰り広げられる中、イタリアマフィアは手榴弾を使って、ザイフォンたちがいる透明なガラスで覆われた部屋を破壊しました。
ザイフォンはロッキーと協力し、襲い掛かってくるイタリアマフィアを迎撃していきます。
先に隠れ家を脱出したのは、ザイフォンとロッキーです。彼らを逃がすため、チャオインはローソンたちと協力して、イタリアマフィアを次々と倒していきます。
ザイフォンたちは、路上に停められたパン屋の車が鍵が差しっぱなしなのを利用し、車にチャオインも乗せてイタリアの中華街へ逃走しました。
この様子を隠れて見ていたソフィは、ピーターの金を人質に、イタリアマフィアにもう一度ロッキーを捕まえるよう命じます。
映画『レイダース 欧州攻略』の感想と評価
ザイフォンが仲間と協力して、亡きマーキュリーのためにCIAを欺くエージェント・アクション作品でした。
ザイフォンとチャオインの最強コンビと、姉弟役を演じた男女コンビ、魔術師コンビが繰り広げるアクション場面は、華麗だけど激しい中国武術のぶつけ合いが見られて興奮します。
特にソフィ役を演じた女性が、ローマの古代の殺し屋を返り討ちにした場面は、対格差とか関係なく鮮やかに倒したのでとても格好良いです。
世界平和を望むマーキュリーが、12年かけて完成させた「神の手」、それが彼の娘を演じた女性によってフル活用された場面は、近未来なSF要素を感じてテンション上がります。
それが皮肉にも、世界各地でテロリスト撲滅のために活躍しているCIAに悪用されるなんて、マーキュリーに感情移入すると胸が痛くなります。
マーキュリーがCIAに訴えたところは、劇中で一番切ない場面でした。
濃縮液の中に落ちて、死んだかと思ったザイフォンたちが、実は生きていたなんてCIA長官から種明かしされる時は驚きすぎて言葉が出ません。
物語の最後で、素直じゃないザイフォンたちが結ばれたのは、とても微笑ましかったです。
まとめ
トニー・レオン演じるザイフォンが、賞金稼ぎ仲間や魔術師コンビと一緒になって、CIAを欺くエージェント・アクション作品でした。
トニー・レオンがCIAを欺くその華麗な手腕、観ているこっちまで騙されてしまい、物語をより楽しめます。
トニー・レオンらキャスト陣による華麗なアクション場面は、中国武術が好きな人にはたまらないものばかりです。
クリス・ウーとドゥ・ジュアンの2人が与えられた役を演じるだけでなく、さらに劇中の人物に成りすますという設定を、見事演じきれていたのが凄くて印象的でした。
CIAに引き渡すまでの間とはいえ、マーキュリーが死ぬ直前にザイフォンと会った場面には、これまでの帰還で築かれた友情や絆を感じました。
凄腕のエージェントや天才的なハッカー姉弟に慕われたマーキュリーが、静かに息を引き取ったところは本当に悲しくて涙が止まりません。
凄腕のエージェントと凄腕のハッカーが友情を築き、亡き友のためにCIAを欺いていくエージェント・アクション映画が観たい人には、とてもオススメな作品です。