映画『ファイティン!』は10月20日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開!
韓国のみならず世界的な話題となったゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍注目されたマ・ドンソクの主演作品。
肉体派俳優の先駆けであったシルベスター・スタローン主演の『オーバー・ザ・トップ』以来、本格的アームレスリング映画の主演マーク役を演じ、老若男女、大人から子どもまで、誰もが「頑張れ!」と声を掛けたくなる感動の腕相撲アクション映画です。
CONTENTS
映画『ファイティン!』の作品情報
【公開】
2018年(韓国映画)
【原題】
Champion
【脚本・監督】
キム・ヨンワン
【キャスト】
マ・ドンソク、クォン・ユル、ハン・イェリ、チェ・スンフン、オク・イェリン、カン・シニョ、ヤン・ヒョンミン、イ・ギュホ
【作品概要】
『新感染ファイナル・エクスプレス』で人気に火がつき、『犯罪都市』で主演を務めたマ・ドンソクが再び主演を演じたアームレスリングの世界を舞台にハートフルな感動ヒューマンドラマ。
共演は『バトル・オーシャン 海上決戦』のクォン・ユル、『海にかかる霧』のハン・イェリ。演出はWebドラマ『私たち別れました』のキム・ヨンワン監督。
映画『ファイティン!』のあらすじ
アメリカ・ロサンゼルス。子どもの頃に韓国から養子に出されたマークは、アームレスリングの世界で頂点を目指したが、アジア人への偏見を持たれ八百長疑惑をかけられてしまいます。
その結果、アームレスリング協会を除名され、何もかも諦めたマークの今の職業はクラブの警備係でした。
そんなマークの前に現れたのはスポーツエージェントを名乗るパク・ジンギ。
馴れなれしくマークを「兄貴!」と呼ぶジンギは、何とかマークに誘いを承諾させることに成功すると、韓国で行われる大会に招待します。
養子に出されて以来、ふたたび韓国にやって来たマークは、ジンギから教えられた実母が住む家の住所に向かいました。
しかし、どのような顔で母親に合えば良いのか分からないマークは、勇気を出すことも出来ずにやむなく立ち去ります。
その様子を部屋の中から見ていたのは、ジュニョンとジュニという2人の子どもとその母親スジンでした。
一方のジンギはサラ金業を営むユ・チャンス社長に近づき、アームレスリングを利用したスポーツ賭の話を持ちかけ、マークを利用した儲け話を勧めます。
その話にうまみを感じたチャンス社長は、マークに確実に八百長をさせる条件をジンギに約束させました。
ジンギは「できる」と答えた後、マークにはチャンス社長がアームレスリングのスポンサーになってくれたと説明して、うまく丸め込みました。
マークはふたたび実母の家に行き、家から出て来たスジンの後をつけると、南大門にある商業ビルのある一角に入って行くのを見かけます。
そこは安い衣服を販売するスジンが営む衣料店がありました。
一方でスジンもビルのなかでマークたちがどこかに向かうことに気がつきました。
スジンはチャンス社長の賭場で腕相撲に参加するマークの姿を見つけます。マークもまたスジンがいることに気がつきます。
ジンギはチャンス社長と八百長の契約をマークに告げ、1回目は勝って、2回目に負けるように話します。
しかし、それを無視してマークは相手を倒し、勝ってしまったことから、チャンス社長は大損して大金を失います。
怒ったチャンス社長は、マークとジンギをスジンの衣料品店前で見つけると、部下を使ってジンギを袋叩きにしようとしますが、逆にマークが大暴れしてジンギを助け出します。
状況が悪くなったチャンス社長は、その場を逃げ出してしまうと、現場に残されたマークとジンギは警察に捕まってしまいます。
マークは国籍の問題もあって大使館に通報されるところでしたが、そこにスジンが現れます。
スジンは大切に箱にしまってあった写真の束から、マークと実母が一緒に映った写真を刑事に見せました。
そして自分はマークの妹であるという事実を明かし、身元保証人だと話したことでマークは無事に釈放されます。
マークはスジンと子どもたちと一緒に生活を始めます。初めはお互いにギコチない態度を取っていましたが、子どもたちと距離は次第に縮まり、すっかり仲良くなっていきます。
一方、ジンギは放送局に勤める大学の先輩に連絡を取り頼みごとをしました。
それはマークの売り出しのために、釜山で開催される賞金の出る腕相撲大会で韓国1位のコンボ選手と対戦させ、マークが勝利する姿を取材させるというものでした。
その姿がテレビ放送されると、マークは一躍注目の的となります。
そんななかスジンは、マークに自分と実母の本当の関係を話し、亡くなるまで母親はマークのことを気にかけていたことを伝えます。
いよいよマークとジンギの再起をかけた腕相撲大会が始まり、真の韓国1位の勝者を決める時が来ました。
マークは予選から順調に試合に勝って行くが、さすがに手にシビレを感じはじめます。今大会には、あのチャンス社長が送り出した刑務所帰りの元腕相撲チャンピオンのパンチも勝ち続けてきました。
ジンギはチャンス社長から、ふたたびマークが負ける八百長話を持ちかけられ、ジンギの父親の借金の件からそれを受け入れてしまいます。
ジンギはマークに大金欲しさから試合で負けることを提案しますが、マークはこの大会こそ腕相撲しか残されていない自己存在とスジンの子どもたちに優勝を約束したことを理由に断ります。
お互いの気持ちがすれ違う2人。多くの注目がマークに集まるなか決勝ラウンドがはじまり…。
映画『ファイティン!』の感想と評価
ついに俳優マ・ドンソクの代表作の呼び声も
本作品『ファイティン!』でマーク役を演じたマ・ドンソク。
ヨン・サンホ監督のゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で頼れる男サンファ役の勇姿にドンソクに心を奪われたファンも少なくないはず。
そんな彼が八百長疑惑をかけられアメリカのアームレスリング界を追われ、名誉や家族の全てを失い、腕相撲でしか自己証明ができない不器用な男を見事に演じています。
前作『犯罪都市』では警察と韓国ヤクザ、中国マフィアが繰り広げる三つどもえの抗争を解決する警察の強面刑事マ・ソクト役を演じていました。
ソクト刑事も裏社会との戦いに挑みながらどこか人情味のあるキャラクターの一面を少し見せていたが、本作『ファイティン!』は、真の意味で精神が強く、人情味溢れた人物像として描かれています。
また、ドンソクファンならお気付きだろうが、筋肉ムキムキでありながらどこか愛くるしい風貌の彼が、少年少女2人の子どもと絡む場面が多く、ドンソクらしい人柄を感じられるストーリーになっています。
マ・ドンソクのプロフィール
参考作品:『隣人-The Neighbors』(2012/未公開)
マ・ドンソクは1971年3月1日生まれ。1989年に家族とともにアメリカに移住し、後にアメリカ国籍を取得します。
ジョージア州のコロンバス州立大学で体育学を学んだ後、ボディビルダーやフィットネストレーナーとしての活動をスタートさせ、元UFC世界ヘビー級王者のマーク・コールマンなどのパーソナルトレーニングを担当していた経験もあります。
その後、韓国へ戻り2004年の『風の伝説』(未公開)でスクリーンデビューを果たすと、『隣人-The Neighbors』(2012/未公開)で第49回百想芸術大賞助演男優賞を受賞し、一躍人気俳優の仲間入りを果たします。
参考作品:新感染ファイナル・エクスプレス(2016)
主な出演作はキム・ジウン監督の『グッド・バッド・ウィアード』(2008)、『ミッドナイトFM』(2010)、『悪いやつら』(2012)、『群盗』(2014)、キム・ギドク監督の『殺されたミンジュ』(2014)、特に日本で知られている作品は『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)と『犯罪都市』(2017)などがあり、韓国のみならず日本での人気も確実なものにしています。
アームレスリングに再起をかけたマーク役を演じたマ・ドンソクは、ファンに次のようなメッセージを贈ってくれました。
「10年間ずっと夢だったアームレスリングの映画に出られて夢が叶いました!『ファイティン!』は心が揺さぶられる、気持ちの温まるコメディで、本当の家族のドラマです。アームレスリングをテーマとしながら、楽しめる要素がたくさん詰まっています。」
ドンソクが述べるように、「心が揺さぶられる、気持ちの温まるコメディで、本当の家族のドラマ」この言葉に尽きる作品となっており、例えていうなら、マークは寅さんのようなキャラクターで孤独と愛嬌を持ち、かつての山田洋次監督作の馬鹿シリーズに近い物も感じます。
劇中で子どもから「パーボ(韓国語で馬鹿)」と筋肉ムキムキな体型のドンソクが言われると、ただただドンソクが愛おしく、まるでプーさんのように見えて仕方ありません。
とはいえ、単に人情劇である点のみを描いたものでなく、チャンス社長の手下と喧嘩になれば、前作『犯罪都市』とまでは行きませんが、ドンソクの華麗な掌底打ちも見ることができます。
よく考えてみるとアームレスリング大会に勝ち進むなか手を痛めたのか、喧嘩の際に掌底打ちで手を痛めたのか、とにかくドンソクファンなら必見の作品です。
あらゆる者と手を組み結ぶことの意味
本作『ファイティン!』の演出を務めたキム・ヨワン監督はこれが長編デビュー作です。
ヨワン監督は映画ファンに次のように語っています。
「この映画は、マ・ドンソクがアームレスリングをしたら面白いだろう、というシンプルなアイデアからスタートしました」
確かにアイデアはシンプルに俳優ドンソクの魅力を引き出しており、物語をストレートに描いた演出もまた初々しく、しっかり観客にメッセージが伝わる作品になっています。
またヨワン監督はこのようにも述べています。
「脚本を執筆中に考えていたことは養子に出された人たちやシングルマザーのことです。社会からの厚い偏見に直面しなければならない人たちについてのストーリーを書くということはとても意義があるとことだと思っていました。」
韓国を描くうえで外せない要素でもある「格差社会の問題」は、これまでの韓国映画とは一味違い現実味を帯びたものになっています。
そのすべてがドンソク演じるマークの腕一本に掛かって勝利を目指すという、浪花節な感覚は観客の感情を揺さぶってくれることでしょう。
マークは対戦相手と手を組み腕相撲をします。時に好敵手のライバルとなったものとも手を組み戦うのです。
しかし、手を組むことはアームレスリングだけのことではありません。
お互いのどん底から再起するジンギとマークも手を取り合ってチャレンジして行きます。
妹だと名乗るスジンもマークの母親の代わりに手を取り感謝を告げます。
スジンの子どもたちジュニョンとジュニとは約束の手を取り合います。
これらのようにマークは不器用な男でありながら、多くの人たちと硬く手を握ることで、“信じ抜くという強さ”を手に入れていきます。
それは敵であり、ライバルであり、仲間であり、出会った者であり、家族である者を“無条件に受け入れる”ことだと感じさせられます。
そのことが本作『ファイティン!』を見た観客が、思わず心のなかで「頑張れ!」と叫ぶ気持ちとシンクロしていきます。
まとめ
本作品『ファイティン!』の主人公マーク役を演じたマ・ドクソンを相手に共演を果たしたのは女優ハン・イェリ。
マークの妹を名乗り、2人の子どもの母親スジン役を演じました。
彼女の出演作は『海にかかる霧』(2014)、『最悪の一日』(2016/未公開)、『人狼』(2018/未公開)などで知られています。
ハン・イェリは韓国女優のなかで知性的な演技派の女優で、映画『ファイティン!』のテーマについて次のように述べています。
「あるメッセージを伝える優しい作品です。そのメッセージとは、“他人に対しても愛情を育み、そうして家族の一人として受け入れていくことで、誰もが家族になることができる”というものです。」
あなたが映画ファンであれば、お気付きかもしれません。スジン役を演じたイェリの心のひだも読み取ってくださいね。
映画において家族とはいかなるものなのか、しっとりとあなたの心に温かなものが届くはずです。
もちろん、マークの母親が登場した場面では、格差社会の韓国という描写とよりも、“貧しいなかでも品のある韓国の姿(母親の愛)”を見つけることができるでしょう。
映画『ファイティン!』は10月20日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開!
ぜひ、劇場でご覧いただきたい、マ・ドンソクの代表作です。お見逃しなく!