連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第267回
映画『未来への警鐘 原発を問う』は、原子力エネルギーを見直すドキュメンタリー映画です。
監督は、自身のベトナム戦争体験をもとに描いた『プラトーン』(1986)と『7月4日に生まれて』(1989)で、アカデミー賞の監督賞を2度受賞したオリヴァー・ストーン。
「いかに気候変動を解決するか」について書かれたアメリカの科学者ジョシュア・S・ゴールドスタインの著書『明るい未来』を基に、原子力エネルギーを見直します。
映画『未来への警鐘 原発を問う』は、2025年8月1日(金)より、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、テアトル梅田、アップリンク京都、ユナイテッドシネマ橿原、シネ・リーブル神戸、8月29日(金)より洲本オリオンほか全国順次公開!
映画『未来への警鐘 原発を問う』の作品情報

(C)2023 Brighter Future, LLC
【日本公開】
2025年(アメリカ映画)
【原題】
NUCLEAR NOW”
【監督・脚本】
オリヴァー・ストーン
【脚本】
ジョシュア・S・ゴールドスタイン
【音楽】
ヴァンゲリス
【作品概要】
巨匠オリバー・ストーン監督が、エネルギー戦争の裏側に迫ったドキュメンタリー。
アメリカの科学者ジョシュア・S・ゴールドスタインの著書『明るい未来』をもとに、原子力エネルギーの可能性について見直していきます。地球が気候変動とエネルギー不足の課題に直面するなか、監督自ら原子力発電所などへ足を運んで取材を行いました。
映画『未来への警鐘 原発を問う』のあらすじ

(C)2023 Brighter Future, LLC
2017年、トランプ大統領はアメリカをパリ気候協定から脱退させ、気候変動をでっち上げだとしましたが、多くの人々は、再生可能エネルギーという形のクリーンエネルギーを選びました。
再エネへの世界の投資はおよそ3兆ドルに達し、太陽光は8割、風力は5割コストが下がりました。
だが、多大な努力と期待にもかかわらず、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、30年以内に炭素排出をほぼ100%カットしなければ、2050年までに生態系と経済に深刻な被害が及ぶと示しました。
アカデミー賞の監督賞を2度受賞した社会派監督のオリヴァー・ストーンは、自ら原子力発電所などに出向いて取材をし、エネルギー源を見直すことに……。
映画『未来への警鐘 原発を問う』の感想と評価

(C)2023 Brighter Future, LLC
‟人類が選ぶべきクリーンエネルギー”は何かと問いかける本作を制作したのは、オリヴァー・ストーン監督。
貧困にあえぐ国は急いで発電を進めます。それに伴い、エネルギー資源として最も安く早く簡単に手に入れることのできる石炭を使用。
ですが、石炭は世界中で発掘事故などにより1年に50万人の死者をだす他、癌や肺気腫、心臓病などの人体への影響も出しています。
石炭の次に注目されるのは原子力エネルギーですが、これには被爆というリスクが伴います。
広島・長崎への原爆投下、チェルノブイリ原発事故、福島第一原子力発電所事故など、人類はこれまで被爆による被害を目の当たりにしてきました。
こういった一連の黒歴史によって、一部の人々は核に対する恐怖心を煽られ、原発というものに対して否定的な考えを持っています。
しかし、石炭に比べると原子力エネルギーはしっかりとした管理のもとで計画的に作り出されています。このことに注目したオリヴァー・ストーン監督は、これは使い方を誤らなければとてもクリーンなエネルギーだと指摘しました。
一方で、エネルギー貧困にあえぐ地球のこれまでの炭素排出は、昨今の気候変動の原因ではないかと言われています。気候変動とエネルギー貧困の課題に直面する今、この「原発」は人類の未来を救うことができるのでしょうか。
また、小さな地球に存在する限られたエネルギー資源を上手く使用するにはどうすればいいのでしょうか。ラストでは、オリヴァー・ストーン監督が原子力に対する未来への提案を掲げました。
本作は間違いなくタイトル通りの‟未来への警鐘”なのです。105分にわたる衝撃のドキュメンタリーで、原子力エネルギーに対する想いをどう受け取るべきなのでしょうか。これは、観客への大きな課題と言えます。
まとめ

(C)2023 Brighter Future, LLC
原子力発電と聞いてすぐに思い浮かぶのは、「被爆」でした。原発事故としては、チェルノブイリ原発事故が大きな現象を引き起こしました。
また日本人は、広島・長崎への原爆投下や福島第一原子力発電所事故などによって「被曝」や「原発事故被害」を身近なこととして体験しています。
ですから、核を伴う原発エネルギーに対して、恐怖や否定的感情を持つ人が多いのも当然と言えますが、本作を観ればそのエネルギーの未知なる有効な可能性も見えて来ました。
原子力エネルギーを「悪」とするか「善」とするか。それは使い方一つで変わります。他のエネルギーについても同じことが言えるでしょう。
ラストのオリヴァー・ストーン監督の問いかけが深く心に刺さります。
映画『未来への警鐘 原発を問う』は、2025年8月1日(金)より、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、テアトル梅田、アップリンク京都、ユナイテッドシネマ橿原、シネ・リーブル神戸、8月29日(金)より洲本オリオンほか全国順次公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。
































