大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第7作!
ガイ・ハミルトンが監督を務めた、1971年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ダイヤモンドは永遠に』。
ある日、南アフリカで発掘される200万ポンドにのぼるダイヤモンドが、何者かに盗難・密輸されてしまい、闇市場にも出ずに消失してしまった事件が発生。
その調査に向かった「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、謎の陰謀と巨悪な黒幕に挑む物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に復帰した、「007」シリーズ第7作『007/ダイヤモンドは永遠に』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/ダイヤモンドは永遠に』の作品情報
【公開】
1971年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『007/ダイヤモンドは永遠に』
【監督】
ガイ・ハミルトン
【キャスト】
ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ、ラナ・ウッド、ブルース・キャボット、ジミー・ディーン、ノーマン・バートン、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、パター・スミス、ジョー・ロビンソン、ジョセフ・ファースト、レナード・バー、デビッド・バウアー、ローラ・ラーソン、トリナ・パークス、エド・ビショップ、マーク・ローレンス、ボブ・シモンズ
【作品概要】
『007/ゴールドフィンガー』(1965)のガイ・ハミルトンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『007/ダイヤモンドは永遠に』をもとに描かれた、「007」シリーズ第7作目です。
「007」シリーズのショーン・コネリーが、本作の主人公ジェームズ・ボンド役に復帰しています。
映画『007/ダイヤモンドは永遠に』のあらすじとネタバレ
「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは、日本やエジプト・カイロなど世界中を飛び回り、宿敵「スペクター」のボスであるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドの足取りを追っていました。
その結果、ついにボンドは、ブロフェルドとその替え玉を殺害し、長きにわたるブロフェルドとの戦いに終止符を打ちました。
後日、イギリス・ロンドンにあるMI6の本部。MI6の部長であるMは、ブロフェルドとの戦いを終えたボンドに休養を兼ねて、地味で堅実な任務を与えます。
その任務とは、南アフリカの鉱山で発掘された大量のダイヤモンドが何者かによって盗難・密輸され、闇市場に出ずに消失した事件の調査です。
ボンドは早速、捜査線上に浮上した密輸業者ピーター・フランクスが密輸活動を行うオランダ・アムステルダムへ向かいました。
アムステルダムに到着後、ボンドたちMI6はフランクスを捕らえます。そしてボンドは、フランクスとしてダイヤモンドの密輸に関わっている集団の1人、ティファニー・ケイスに接触しました。
しかしティファニーからダイヤモンドの隠し場所を聞き出すよりも先に、フランクスが脱走。そのままティファニーに接触しようとしたため、ボンドは彼女のアパートのエレベーター内での格闘の末、フランクスを殺害します。
さらにボンドは、フランクスの懐に自分の身分証を忍ばせ、「ボンドは尾行していたフランクスに殺された」ことにしました。
この一件でボンドを本物のフランクスだと完全に信じ込んだティファニーは、小さな老婦人からダイヤモンドを預かり、シャンデリアにして隠していることを明かします。
その後、ボンドはフランクスになりきり、彼の遺体にダイヤモンドを隠して、ティファニーと一緒にロサンゼルスへ密輸しました。
一方殺し屋のミスター・ウィントとミスター・キッドは、南アフリカ産のダイヤモンドの密輸に関わった者たちを計画的に殺害していきます。
1人目は、作業員にダイヤモンドを盗ませ、小さな鞄に集めていた鉱山に常駐する歯科医タイナン。
2人目は、タイナンからダイヤモンドを受け取り、次の密輸業者へヘリで運ぼうとした密輸業者のジョー。
3人目は、アムステルダムで教鞭を執っている小さな老婦人。彼女はジョーから受け取ったダイヤモンドを、次の密輸業者であるティファニーに渡す役目を担っていました。
彼らを殺したウィントたちが狙うのは、ロサンゼルスへの密輸を任されたティファニーです。
それを知らないボンドはロサンゼルス空港へ到着後、税関職員に扮した盟友、CIAのエージェントのフェリックス・ライターと合流。
フランクスの遺体にダイヤモンドを隠したことを伝えた後、ボンドはフランクスの遺体を「スランバー葬儀社」という葬儀社へ運び、火葬しました。
火葬が終わり、スランバー葬儀社のスランバーとその部下から骨壷を受け取ったボンドは、中身がダイヤモンドであることを確認した上で、納骨室にそれを納めました。
しかしその直後、ボンドはウィントたちに後頭部を殴られ昏倒し、棺の中に閉じ込められて火葬されそうになりました。
それを助けてくれたのは、スランバーたちでした。しかし彼らは、骨壷の中身がダイヤモンドの模造品であることについてボンドを糾弾します。
逆にボンドは、納骨堂にあったダイヤモンドの代金は偽札だったと責め、「本物のダイヤモンドは、本物の金と交換だ」と要求しました。
その後、ボンドは宿泊先のトロピカル・ホテルで寛ぎながら、ライターに連絡をとり、MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQに本物のダイヤモンドを持ってこさせるよう指示を出しました。
Qが来るのを待つ間、ボンドは億万長者のウィラード・ホワイトが所有するカジノホテル「ホワイト・ハウス」へ足を運び、スタンドアップコメディアンであるシェイディ・トリーのショーを楽しむことにしました。
ショーが終わり、ボンドは控え室にいるトリーに会いに行きました。それは、彼もダイヤモンドの密輸に関わっていたからです。
しかしボンドは、控え室で死んでいるトリーを発見。ボンドが来るよりも先に控え室を訪れたウィントたちの仕業でした。
トリーが死んだことを知ったカジノの支配人バート・サクスビーは、ホワイト・ハウスの最上階にいるホワイトに報告。
カジノのクラップステーブルでゲームをしているフランクス(に成りすましたボンド)をどうするか指示を仰ぎます。
これに対しホワイトは、「ダイヤさえ手に入ればそれでいい」と答えました。
その後、5万ドルを勝ち取ったボンドは、ゲーム中に知り合ったプレイティー・オトゥールという美女を部屋に招きました。
しかしその部屋には、スランバーとその部下たちが待ち構えていました。ですがスランバーたちは、邪魔なプレイティーを窓から下のプールへ投げ落としましたが、ここにダイヤモンドがないことが分かるとあっさり退散していったのです。
それでもまだ誰か部屋にいると感じたボンドが、恐る恐る寝室へ向かうと、ティファニーがベッドに横たわっていました。
ティファニーは、ボンドからダイヤモンドの隠し場所を聞き出そうと色仕掛けをします。
その誘惑に負けたフリをして、ボンドは「ラスベガスのサーカスでダイヤモンドを渡す」と言いました。
映画『007/ダイヤモンドは永遠に』の感想と評価
ダイヤモンド密輸事件の裏に隠された陰謀を暴くボンド
物語の序盤で宿敵「スペクター」のボス、ブロフェルドとの戦いに終止符を打ったボンド。これまでの「007」シリーズ作品で描かれてきた、ボンドとブロフェルドの長い戦いがようやく終わって安堵する反面、2人の熾烈な戦いがもう見られないのかと寂しくなってきます。
そんなボンドに新たに与えられた任務は、南アフリカ産のダイヤモンドが何者かによって大量に盗難・密輸され、闇市場に出ずに消失した事件の調査でした。
密輸ルートを辿っていったボンドは、ついに密輸されたダイヤモンドの一部を奪取。これを機に残りのダイヤモンドも簡単に取り返していくのかと思いきや、死んだはずのブロフェルドが物語に再登場したことにより、事態は一変します。
この思わぬ大どんでん返しが起きた場面に、ボンド同様、観ている人も言葉を失うほど驚かされることでしょう。
ですが、さすがボンド。盟友のライターとその部下たち、ホワイトを味方につけて、ブロフェルドの陰謀を暴き、今度こそ世界規模の野望もろともブロフェルドを倒します。
「007」シリーズ史上最高のボンドとブロフェルドの戦いは、最後まで何が起きるか分かりません。一瞬たりとも見逃せないスリリングなアクション場面は、「007」シリーズが好きなファンはもちろん、初見の人でも楽しめます。
ダイヤモンド密輸事件の黒幕の正体
物語の序盤で替え玉もろとも、ボンドに殺されたブロフェルド。しかし物語の後半で、実はボンドが殺したのはブロフェルドの顔に整形済みの彼の替え玉と、整形手術前の替え玉志願者であることが、2人のブロフェルドの口から明かされます。
しかもボンドたちMI6の目を欺いただけでなく、ブロフェルドはダイヤモンド密輸事件の黒幕でもあったのです。
やり手の経営者であるホワイトに目をつけたブロフェルドは、彼が人間嫌いであることを利用して、彼に成りすまして複数の密輸業者を操り、南アフリカから大量のダイヤモンドを手に入れます。
ブロフェルドがそんなことをする目的は、メッツ教授に作らせた人工衛星を使い、核保有国であるアメリカ・ロシア・中国を脅して、世界の覇権を握るために人工衛星を国際的な競売にかけさせることです。
これまでの「007」シリーズ作品で描かれてきたブロフェルドの計画も規模が大きいものばかりでしたが、今回は世界規模のもの。しかも本物のホワイト自身にも知られずに、そこまでの計画を進めていたなんて驚嘆します。
まとめ
宿敵ブロフェルドを倒した「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、南アフリカで起きたダイヤモンド密輸事件の裏に隠された陰謀を暴いていく、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
前作『女王陛下の007』(1969)が原作小説に比較的忠実なものだったのに対し、本作ではブロフェルドが女装していたり、ボンドが何もしていないのに追手が自滅するなど、原作よりも娯楽性を重視した作品となっています。
ただ、ダイヤモンドの密輸に関わった者たちを計画的に殺していくウィントとキッド、このゲイの殺し屋が登場するのは原作どおりです。
そして本作は、初代ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーがボンド役に復帰した作品であると同時に、ショーン・コネリーが本作をもってボンド役を卒業した作品でもあります。
また、本作の原作ではブロフェルド及びスペクターは登場していません。そのためスペクター関連の権利を持つケヴィン・マクローリーが猛抗議し、『007/スペクター』(2015)までブロフェルドたちスペクターは登場しなくなることに………。
ショーン・コネリー演じる初代ジェームズ・ボンドと、ボンドの宿敵であるブロフェルドによる本当に最後の戦いが描かれた、スリリングでコメディタッチなスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。